提言・オピニオン

舛添都知事が野宿者襲撃への対策を徹底すると表明!実効性ある対策を求めます。

提言・オピニオン

8月14日、NPO法人もやい、山谷労働者福祉会館活動委員会、ひとさじの会など、都内の野宿者支援団体9団体は連名で、「野宿者襲撃への対策を求める要望書」を東京都に提出しました。

都内各地で野宿をしている人たち347人を対象に実施したアンケート調査で、「40%の人が襲撃を受けた経験がある」、「襲撃は夏季に多く、襲撃者(加害者)の38%は子ども・若者である」といった事実が判明したことから、「都としても実態調査をおこなうこと」、「都民にむけて広報・啓発活動をおこなうこと」、「学校教育において野宿者への正しい理解をうながす教育プログラムを策定し、実行すること」、「襲撃を受けた野宿者が訴えでた場合は必要な保護をおこない、再発防止に向けた協議の場をもつこと」を求めたのです。

関連記事:野宿者襲撃の実態に関する調査結果を発表。都に申し入れを行いました。

東京都の各部局との話し合いの場には、野宿の当事者も参加し、被害の実情を訴えましたが、都の各担当者は「持ち帰って検討します」と言うばかりで、今後の動きに期待できるような対応ではありませんでした。

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東京都の担当者に要望書を提出。

東京都の担当者に要望書を提出。

しかし、このニュースが各マスメディアで大きく報道された影響もあったのか、翌日(8月15日)に動きがありました。

舛添都知事が定例記者会見の場で、野宿者襲撃問題への対応を質問され、「対策を徹底する」と答えたのです。

NHKニュース:ホームレス襲撃問題 対策徹底へ

東京都庁のウェブサイトに掲載された舛添知事の記者会見録によると、舛添知事の発言は以下のとおりです。

【記者】毎日新聞の竹内と申します。昨日、市民団体の発表で、都内でですね、ホームレスの方が襲撃された経験があるというのは4割だと。うちですね、また約4割ぐらいが子供とか若者に襲われたという調査結果が出ているということです。都にも調査を求めてますけど、今後、都としてこういう問題にですね、どう取り組まれるのでしょうか。

【知事】そういう誰に対しても暴力というのは決してやってはいけないことだと思いますし、特にホームレスの方々という、ある意味では弱い立場にある方に対して暴力振るうというのは決してやってはいけないと思います。特に若い人たちが加害者になるというのは、これは教育現場の問題でもありますので、教育の現場でも、今までもずっと都の教育委員会を中心にやってきておりますけど、しっかりと徹底したいと思っています。
 それから、いろいろな事情があってホームレスになられたのだと思いますけれども、できれば1日も早くホームレスから脱却していただきたいということで、都のほうはそれぞれの区とですね、一緒になって定期的な巡回活動をして、聞き取りをしたり、一時的な宿泊場所の提供とかいろいろなことをやってますので、今後ともこれを継続的に続けてやっていきたいと思っております。
 今申し上げましたように、直接声をおかけして、例えば新宿、隣の中央公園にもブルーテントがありますけど、そういう所に直接行って、直接ホームレスの方に声かけして、どうですかと。状況を聞いて、例えばこういう仕事を探されたらどうですかと、こういうところありますよということをですね、都の職業紹介場所として飯田橋にあるところを紹介したりというようなこともやりたいと思っています。
 それから、やはり人権週間とかイベントにおいて、こういう啓発活動をやっていきたいと思っております。非常にこういう暴力というのは、何か陰湿な感じがしますし、決してあってはならないので、全力を挙げてこういうことがないように、都としてもこれまでもやってきていますけども、継続的にこういう活動を続けていきたいと思っています。

私たちとしてはこの動きを歓迎し、都知事の発言が「リップサービス」に終わらないよう、実効性のある対策を求めていきたいと考えています。

野宿者への襲撃を止めるための教育プログラムは、川崎市では1990年代半ばから実施されてきました。また今年に入り、東京都墨田区でも当事者や支援団体の働きかけに応じる形で、墨田区教育委員会が襲撃事件の再発防止プログラムを区内の全ての小中学校(小学5年~中学3年の全学年が対象)で実施しています。

関連記事:「ホームレス問題」の授業が墨田区教育委員会の主導で始まりました

川崎市でも墨田区でも、プログラムが形だけのものにならないよう、野宿の当事者や支援者と話し合いを重ねながら具体的なプログラム内容を詰めていきました。

私もこの5月から7月にかけて、墨田区教育委員会の教職員研修に3回にわたって呼ばれ、「子どもに『ホームレス』をどう伝えるか」をテーマにレクチャーをしてきました。そして、襲撃が多発する夏休み前に、区内の全ての小中学校で襲撃の再発防止を目的として授業が実施されたのです。

こうした取り組みの結果、川崎では襲撃件数を激減させることができ、墨田区でも今年の夏休みには今のところ襲撃が報告されていないと聞いています。

また、民間では私も理事を務める「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」が学校の先生たちにも協力してもらいながら、学校の授業で教材として使えるDVDや資料集を制作してきました。

舛添都知事や都教育委員会の関係者にまず取り組んでいただきたいのは、こうした先駆的な事例に学ぶことです。
そのために私たちも民間の立場で協力をしたいと考えています。

襲撃をなくしていくためには、継続的な取り組みが必要とされます。
ぜひ引き続き、多くの方のご注目、ご支援をお願いいたします。

関連記事:子どもたちと野宿者の出会いの場をつくる(2001年)

関連記事:中学生のみなさんへのメッセージ(2003年)

関連サイト:生田武志さんのウェブサイト「野宿・貧困問題の授業を行なっています」

野宿者襲撃の実態に関する調査結果を発表。都に申し入れを行いました。

提言・オピニオン

6月28日から7月14日にかけて、東京都内の野宿者支援団体、生活困窮者支援団体が合同で、野宿者への襲撃の実態に関するアンケート調査を実施しました。

新宿、渋谷、池袋、上野、浅草・山谷地域など都内各地で野宿をしている347名の方に聞き取りをした結果、以下のような衝撃的な事実が明らかになりました。

・40%の人が襲撃を受けた経験あり。

・襲撃は夏季に多く、襲撃者(加害者)の38%は子ども・若者。

・襲撃者は75%が複数人で襲撃に及んでいる。

・襲撃の内容としては、なぐる、蹴るなどの「身体を使った暴力」やペットボトルやたばこ、花火などの「物を使った暴力が62%を占めている。

・子ども・若者の襲撃は「物を使った暴力が53.6%にのぼる。

この結果を受け、本日(8月14日)、NPO法人もやいなど9団体の連名で東京都知事、東京都教育委員会、都人権部、都福祉保健局に対して、実態の把握と人権教育・人権啓発の強化などを求める申し入れをおこないました。

調査結果の詳細と要望書の内容は、NPO法人もやいのブログをご覧ください。

もやいブログ:野宿者襲撃の実態と東京都への申し入れについて

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申し入れの後は都庁記者クラブで記者会見を行いました。

記者会見の文字起こしは以下のページで公開されているので、ぜひご一読ください。

シノドス:襲撃されるホームレス――聞き取り調査からみえてきた襲撃の実態

申し入れと記者会見には、都内で野宿生活をおくる当事者も参加し、発言しました。

墨田区内で野宿をしている60代の男性は「中学生が5~8人のグループでやって来て、ロケット花火を打ち込んだり、石を投げてくる。小石だけではなく、縁石を割った大きなかけらを投げられたこともあり、毎日、『今晩も来るんじゃないか』という不安を感じている。ノイローゼで眠れなくなってしまった」と述べていました。

また、「墨田区教育委員会が襲撃の再発防止教育を始めた影響があるか」という点については、「この夏休みはまだ襲撃が来ていない」ということでしたが、「夏休みが終わるまでは気を緩めることはできない」とも話していました。

*関連記事:「ホームレス問題」の授業が墨田区教育委員会の主導で始まりました。

記者会見への各メディアの注目は高く、各新聞やNHKなどで報道されました。

毎日新聞:ホームレス:4割が襲撃された経験

朝日新聞:ホームレス4割「襲われた経験ある」 都内で調査

NHKニュース:路上生活者の4割が襲撃受けた経験

私たちの申し入れに対して、東京都の各部局の対応は「持ち帰って検討します」という官僚的なもので、前向きな姿勢があまり見られませんでした。

後日改めて今回の要望に対する検討結果を聞く機会を持ちたいと思いますが、ぜひ皆さんからも都教委や各部局に対する働きかけをしていただければと思います。

襲撃をなくしていくための取り組みにご注目、ご支援をお願いいたします。

関連サイト:ホームレス問題の授業づくり全国ネット

 

生活保護基準引き下げに対する集団訴訟が各地で始まります。

提言・オピニオン

昨年8月1日、生活保護の生活扶助基準の第一弾引き下げが行われました。

今年4月には第二弾の引き下げが行われ、来年4月には第三弾の引き下げが予定されています。

最初の引き下げからちょうど1年にあたる今日、埼玉県で25人、三重県で28人の生活保護利用者が基準引き下げの違法性・不当性を問う集団訴訟を提訴しました。

これにあわせて、東京の厚生労働記者会でも、訴訟のとりまとめを行なっている「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」が記者会見を行いました。

私もこの記者会見に参加し、発言をさせていただきました。

すでに提訴している佐賀県、熊本県、愛知県を加えると、5県で訴訟が始まることになります。

【関連記事】中日新聞(7月31日):生活保護引き下げは「違憲」 愛知の16人提訴

この5県に引き続き、少なくとも23都道府県で提訴が準備・検討されています(詳しくは画像をご覧ください)。

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今年の夏は「冷夏」の長期予報が外れ、猛暑日が続いています。

生活保護世帯には高齢者や障がい者、病気を抱えている人も多く、生活保護基準が引き下げられたことにより、こうした人たちがエアコンの電気代を捻出するのが難しくなっています。

生活保護基準の引き下げが健康悪化につながっているのです。

また、生活保護基準はナショナルミニマムとして様々な福祉制度と連動しています。そのため、生活保護基準が下がることで他の制度を利用できる所得制限の上限も下がり、制度が縮小してしまうことが懸念されてきました。

現実に、全国で約157万人が利用している就学援助制度では、生活保護基準の引き下げにより、全国71の自治体(全体の4%)で影響が出ていることが文部科学省の調査で明らかになっています。

しかも、文科省に「影響は出ない」と回答した自治体の中にも、昨年度受けていた子どもが今年度、制度から外れないように対応しているだけのところが多く、来年度以降は基準が下がってしまうと考えられる自治体が全国に318自治体(18%)もあります。

このように、生活保護基準の引き下げは国による低所得者対策全体を地盤沈下させてしまうのです。

その意味で、生活保護基準引き下げに反対する集団訴訟は、生活保護利用者の生命や健康を守るだけでなく、この社会における貧困の拡大に歯止めをかける、という意義もあると私は考えています。

ぜひ各地でおこなわれる訴訟にご注目、ご支援をお願いいたします。

「ホームレス問題」の授業が墨田区教育委員会の主導で始まりました

提言・オピニオン

昨日(7月30日)、日本経済新聞に「路上生活者の姿知ろう 東京・墨田、全区立小中で『特別授業』」という記事が掲載されました(共同通信配信記事)。

若者が路上生活者(ホームレス)を襲う事件をなくそうと、東京都墨田区は全ての区立小中学校で、路上生活者について学ぶ取り組みを6月に始めた。野宿生活を送る人を「ゲスト教師」として招いた学校もある。

記事では、墨田区立曳舟小学校の6年生の授業で、山谷労働者福祉会館活動委員会の向井宏一郎さんと野宿の当事者お二人が話をした様子が描かれています。

こうした授業が実現した背景には、支援者と当事者による粘り強い働きかけがあります。

中高生らが路上生活者を襲撃する事件は東京都内各地で発生していますが、墨田区では加害者が区内の中学生であると判明したケースが複数ありました。

そのため、山谷労働者福祉会館と当事者の有志が中心となり、2年以上にわたって墨田区教育委員会や墨田区の人権課に働きかけを行なってきました。

2012年の夏には、『墨田区で暮らす若者のみんなへ』へというチラシを配布して、地域への若者への訴えもおこなっています。以下はそのチラシからの引用です。

小屋や人に石を投げたり花火を打つことについて、やった人は軽いいたずらのつもりだったかも知れない。でも、テントは私たちの家だし、石が当たればケガもします。そんなことをした少年たちに、私たちは怒っているし、自分や仲間の身は守らなければなりません。みんなも、自分の家に石を投げられたらどんな気持ちがするか、考えてみてほしい。

こうした働きかけがあって、今年春、墨田区教育委員会は重い腰を上げ、区として「人権課題『路上生活者』に対する指導方針を作成し、襲撃の再発を防止する指導プログラムを開発する」という方針を決めました。

その方針に基づいて、襲撃が多発する夏休み前に区立の全ての小中学校で「ホームレス問題の授業」を実施することが決まったのです。

「ホームレス問題を子どもたちにどう教えるのか」という点については、私も理事を務める「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」で実践を積み重ねてきました。同ネットでは、教材として活用できるDVDや書籍も制作・販売しています。

墨田区の小中学校で授業を実施するにあたり、墨田区教育委員会から私に依頼があり、5月以降、3回にわたって教職員研修の場でホームレス問題の授業実践についてレクチャーを行なってきました。

教職員研修ではDVDや書籍の紹介もしたのですが、私が一番強調したのは「差別や偏見をなくすために一番重要なのは直接、顔を見て話をすること。子どもたちと路上生活の当事者が直接出会える機会を作ってほしい」ということでした。

今回、曳舟小学校が当事者を授業に呼んで、子どもたちと直接対話する、という授業をおこなったのは、とても良かったと思います。

共同通信の記事では、墨田区教育委員会の担当者にもインタビューをしています。

墨田区教委指導室の岡本賢二・統括指導主事は「これまでは近づくな、かかわるなと『遠ざける』指導をしてきたが、襲撃事件が起きた。路上生活をしている人たちを正しく理解することが大切だと考え、方向転換した」と説明する。ただ効果が生まれるかどうか、「検証はこれから」(岡本さん)という。

北村年子さんの『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』という本に詳述されていますが、川崎市では90年代半ばに教育委員会主導で同様の授業実践をおこない、襲撃件数を激減させた、という実績もあります。

ぜひ墨田区でも実践と検証を積み重ねてもらいたい、そして他の地域でもこうした取り組みが広がってほしいと願っています。

 

国立競技場建て替えに伴う都営住宅立ち退き問題で、舛添都知事に再考を求める要望書の提出と記者会見をおこないました。

提言・オピニオン

国立競技場建て替えに伴う都営住宅立ち退き問題で、「霞ヶ丘アパートを考える会」は、本日舛添都知事に再考を求める要望書と居住者の方へ行ったアンケートを提出し、14時半から都庁記者クラブで記者会見を行いました。20140715194925

●霞ヶ丘アパートを考える会
●要望書とアンケートはこちら(PDF)

相対的貧困率が16.1%、子どもの貧困率が16.3%に上昇

提言・オピニオン

厚生労働省が本日(7月15日)、「平成 25 年 国民生活基礎調査の概況」を発表しました。

厚生労働省ウェブサイト:平成25年国民生活基礎調査の概況

ここでは、貧困に関わる指標を見ていきたいと思います。

2012年の相対的貧困率は16.1% 前回(2009年)と比べて0.1%アップしています。

子ども(17歳以下)の貧困率も16.3%になりました。前回は15.7%だったので、0.6%アップしたことになります。

貧困率年次推移

 

特に、ひとり親家庭の貧困は深刻で、貧困率は54.6%になりました。こちらも3.8%上昇しています。

 

貧困率年次推移グラフ

 

主観的にも、生活が「苦しい」と答える世帯が増えており、「普通」と答える世帯の割合がどんどん減ってきています。

 

生活意識の年次推移

1世帯当たり平均所得金額も537万2 千円(2012年)と、前年に比べて2%減少しています。

これらのデータは、日本社会における貧困の拡大にストップがかかっていないことを示しています。

政府は現在、昨年成立した「子どもの貧困対策法」に基づく「子供の貧困対策に関する大綱」をまとめつつありますが、給付型奨学金制度の創設など、子どもの貧困対策を進めるだけでなく、生活保護基準引き下げなどの社会保障削減策を撤回し、総合的な貧困対策に乗り出すべきだと考えます。

 

生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに反対する記者会見を行いました

提言・オピニオン

本日(2014年7月9日13時~)、厚生労働記者会において、生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに反対する記者会見が行われました。kaiken

●プレス向け告知・主な発言者一覧はこちら
●共同声明(全文)はこちら

会見の冒頭「生活保護の住宅保護基準引き下げの動きに反対する共同声明」の趣旨説明をした稲葉剛の発言と、身体障がいをもつ生活保護利用当事者として登壇された川西浩之さんの発言を以下に書き起こします。

稲葉剛


hatugen01よろしくお願いします。
「住まいの貧困に取り組むネットワーク」の世話人で、「生活保護問題全国対策会議」の幹事も務めております稲葉と申します。
私からは生活保護の住宅保護基準引き下げの動きに反対する共同声明の内容についてご説明させていただきます。
お手元に共同声明の文章があるかと思いますが、それと基準額の一覧表がついた資料がありますので、あわせてご覧ください。

ご存知のように厚生労働省の社会保障審議会、生活保護基準部会で現在生活保護基準をめぐる議論が急ピッチで進められております。
基準部会では昨年一月に、まず生活扶助の基準について引き下げを容認する報告をまとめ、それに基づいて昨年8月から生活保護基準の段階的な引き下げが始まっております。
今年の4月にまた、第二段の引き下げが行われておりますが、その後基準部会では、今度家賃分にあたる住宅扶助に関する議論が進められております。

今年の5月16日には第17回の部会、30日には第18回の部会、一ヶ月の間に二度も部会が開催されるという状況になっていて、今後スケジュールと致しましては、7月以降調査を進めて、11月にはとりまとめを行うというような流れになっております。
7月以降には生活保護を受けている世帯の居住実態に関する調査を行うということで、細部について部会の中で作業部会を作って細部を詰めた上で実施して、その報告を受けて11月には取りまとめを行い、おそらく来年度から住宅保護基準の引き下げという動きになっていくのではないか、と推測しています。

こうした動きに対して反対するための共同声明を本日発表したわけですけれども、さまざまな問題点があるといえます。
まず、最初から、これは生活保護基準の時も同様のことがあったんですが、厚労省の方で最初から引き下げありきという形で議論を誘導しているのではないか、ということです。
たとえば第17回の部会の中では、財務省の財政制度等審議会の資料がそのまま出されているのですけれども、そこに「住宅保護基準の水準」ということで、生活保護基準の基準額と一般低所得世帯の家賃実態の棒グラフの比較がありまして、住宅保護基準が4.6万円、一般低所得者世帯の家賃実態が3.8万円ということで、わざわざグラフのところに「住宅保護基準の方が2割程度高い」というような指摘がなされています。

ただ、これを細かく見てみますと、住宅保護基準の方は、これは地域ごとに住宅保護の基準が定められてまして、これは上限額なわけですね。
あとで述べますように、特に大都市部においては住宅保護基準の上限額に家賃が擦り寄ってしまうという傾向はあるのですが、それでも実際は全ての生活保護世帯の方のアパートの家賃が全て上限額ということはありえないわけです。上限以下の方もたくさんいるわけです。
にもかかわらず、上限額と、一般低所得者世帯の家賃の平均額を比較するというのはミスリーディングではないかということが、実際部会の委員からも指摘が出ています。
これはあきらかに引き下げありきの方向に議論を誘導するものではないか。
おそらく財務省側からのいろんな圧力等もあるんじゃないかと予測していますけれども。

2つ目の問題点として、第18回の部会の中では住宅扶助に関する主な論点というものがまとめられています。
その中で最低居住面積水準に関する考え方というものも、いくつか出ています。
部会の資料の中において、質問の形で、住宅保護特別基準額の妥当性を検証するにあたって、健康で文化的な最低限度の住生活を営むことができる住宅かどうかを見るための基準・尺度は、住生活基本法に定められている最低居住面積でよいか、という、わざわざ質問にしてあって、その下に米印として、全国の民間借家で約三分の一の世帯でこの水準が未達成な状況にあると書いています。
さらに資料では、最低居住面積以下の世帯はどれくらいいるか、というデータが出ておりまして、全国の民間借家で約三分の一、東京の民間借家で四割を超えていると、わざわざこういう資料を出しているということでして。
これはあきらかに一般低所得者の世帯で、最低居住面積を割っているところが多い、だから、そうした基準というのは考慮しなくてもいいんだ、という方向に議論を誘導しているのではないかな、と考えております。

そもそも最低居住面積水準というのは、国土交通省のほうで定めている水準になります。
住宅政策に関しては、これは縦割りの問題があるんですけど、厚生労働省じゃなくて国土交通省の管轄ということになって、2006年以降、年によってこの基準は変わっていきますが、2006年度以上の基準についてはですね、単身で25平米以上というような基準が作られています。
2011年に閣議決定された住生活基本計画の全国契約の中でもですね、この最低基準面積水準の住宅については、早期に解消するようにということが指標として定められていると。
このように国土交通省で策定をして、国・政府として閣議決定をした指標を、こともあろうに厚生労働省が有名基準化してもいいんだ、そういう基準というのは無視してもいいんだ、といわんばかりの方向に議論を誘導している、というは、非常に由々しき事態ではないかと、考えています。

この最低居住面積水準というのは、今回は生活保護に関して議論が進んでおりますが、たとえば公営住宅であるとか、たとえば行政が民間の改修費の補助を出す際のさまざまな基準としても活用されているということで、こうした基準を有名無実化する、ないがしろにするということは、生活保護世帯だけではなくて、社会全体の住まいの貧困化、住まいの貧困の悪化、ということを招くのではないか、と考えております。

三点目の問題点と致しまして、今後、前回の第18回部会で話されてましたが、委員の一部によって作業部会を設置すると。そして生活保護世帯の居住実態に関する調査を行うとなっているわけですけれども、その作業部会は、この場合委員長が指名するということをいってましたけれども、その議論というのは非公開になっているということですので、検証がなかなか出来ない、出てきた時には結果が出てしまって、その後の流れが決まっていく、ということになっていくのではないかな、と思っております。これも問題であろうと思っております。

おそらく、この作業部会が行われて、そして生活保護世帯の居住実態の調査が行われると。
これは各地域で福祉事務所のケースワーカーが生活保護世帯を家庭訪問して、それで居住の状況、住環境を調査すると。そして、その中にはたとえばそのアパートの家賃や居住環境というものが、その地域の一般の低所得者世帯と比較してどうなのか、ということも含めて調査する、と。
部会の中では、それを本当にケースワーカーが調査する力があるのか、ということにも疑問の声が上がってましたが。そういう風な調査をするというような内容になっています。

一般低所得者世帯の住宅と比べた時にですね、おそらく生活保護世帯の方が同じ居住環境にあったとしても、割高の住宅に暮らしているというような結果が出るのは、ほぼそうなるであろうという風に予測しています。
というのも、生活保護世帯が暮らしている民間の賃貸住宅が従来の家賃水準よりも高めになってですね、それぞれの地域の住宅扶助の基準の上限額に近づいていくということが、さまざまな関係者から指摘されています。
私自身もずっと、NPOのもやいで生活保護世帯の方々のですね、アパートの保証人提供を行ってきたので、東京における生活保護世帯の方々の居住実態は知っているんでけれども、単身の高齢者の方とかですね、障がい者の方、一人親家庭の方、あるいは外国籍の方、こうした方々が生活保護世帯に多いのですが、そうした方たちに対する居住差別・入居差別というのが、かなり根強くあります。
そのために、借りる側からとするとオーナーさんや不動産業者から本来4万円とか、4万5千円で取引きしている・されている物件を紹介されても、でもオーナーや不動産業者からは、たとえば東京の場合上限額が5万3700円ですから、「ここは5万3700円なら貸しますよ」と言われてしまうとですね、入居者の側は交渉力がありませんので、他に不動産業者をまわっても断られてしまうという状況の中で、結局その家賃額を飲まざるをえないと、いうような状況があります。

さらに、社会的孤立の問題もあってですね、人間関係が切れてしまっている、親族・身内に保証人が頼めないという場合はさらに条件は不利になってきますので、そういう入居差別の問題ですね、民間の賃貸住宅における入居差別が結果的に生活保護世帯の家賃を割高にさせているという状況があります。
数字だけ見ると一般低所得者世帯より高いところに住んでいるじゃないか、という議論になりがちですが、その背景にはそのような問題があることを知っていただければと思います。

しかも、現在における住宅扶助の基準は十分であると思っておりません。
たとえば東京の場合は5万3700円、障害があったり複数世帯だったりすると6万9800円というようになっておりますが、地域によってはこれでも適切な住宅を確保するのが困難な地域があります。
昨年、住まいの貧困に取り組むネットワークでは、脱法ハウスの問題に取り組んでおりましたけれども、たとえば東京都の千代田区では、特別基準が6万9800円を出しても、賃貸住宅が借りられない、という状況があります。
そのために、なかなかドヤで生活保護を受けている、旅館で生活保護を受けている方が、アパートに移れない、アパートが見つからないんです、ということを福祉事務所の職員に相談したところ、「だったらこういうところがあるよ」といわれて、マンボーという会社が経営する脱法ハウス、違法貸しルームですね、そこを紹介されるという事案も起こっております。
今年度から厚労省はこうした違法貸しルームのようなところに生活保護世帯が暮らしている場合は適切な場所に移れるように支援しなさい、というような通知を出しておりますけれども、現在ですら、そういうような実態があります。

あと、後ほど、車椅子で生活されている生活保護世帯の方にも発言して頂きますけれども、特に車椅子で、室内でも生活をしている方がですね、その車椅子で使えるような居室を探すというのは非常に困難を極めておりまして、東京都内で6万9800円を出してもなかなか見つからない、そうするともともと7万5000円とかですね、8万円近い物件をやむなくですね、たとえば家賃は6万9800円、管理費・共益費が5000円・6000円というような形で、結果的に生活費の中から、生活扶助費の中から家賃分を出さざるを得ない、そのために場合によっては食費とかですね、生活費に使うお金を削って、実質的に家賃にあてている、というような状況も生まれておりますので、必ずしも十分ではない、といえるかと思います。

あと、非常に奇妙なのはですね、基準額の一覧表を見ていただければわかるかと思いますが、一番右のところですね、基準額1.3倍額、そして7人世帯基準というのがありますけれども、2人世帯から6人世帯までの基準がまったく同じだ、ということになっております。
東京では6万9800円、大阪では5万5000円、ということでして、特に子供の多い世帯ですね、お子さんが3人とか4人とかいらっしゃる世帯だと、東京で6万9800円だとワンルームしか借りられませんので、全く実態にあってない、というような問題もあって、現状でも住宅扶助基準は、決して高いとはいえないという状況があると考えています。

そうした住宅扶助をめぐる現状をなんですけれども、根本的には背景に、日本の住宅政策の失敗という問題があると私たちは考えております。
この間、どこの地域でも公営住宅を増やさない、東京でも増やさない、という政策が行われてきましたし、一方で低所得者の方々が公営住宅に入れないものですから、民間の賃貸住宅市場で部屋を探さざるを得ないんですけれども、その民間の住宅市場というのは、野放し状態になっている。
先ほど申し上げた、入居差別の問題も放置されているというような状況があります。
また、保証人の問題であるとか、貧困ビジネスに関する問題でも規制が進んでいないというような状況があって、そうした結果、さまざまな今言われているような住宅扶助をめぐる問題というようなことが起こっているんだろうと思っております。

そうした状況にきちんとメスを入れればまた話は別なんですけれども、こうした民間の賃貸住宅市場を放置したまま、住宅扶助基準の金額だけを切り下げると、そうすると結果どうなるかというと、ますます生活保護世帯の方が劣悪な住居に追いやられてしまうと、質の低下をまねくということで、これは健康で文化的な最低限度の生活を保障するという、生活保護の理念に真っ向から反しているといわざるをえない、と考えております。

最後に、私たちとしては、今回216団体の賛同も頂きましたが、この生活保護基準部会が作業部会も含めて、きちんと透明な形でオープンに議論することを求めていきたいと考えていますし、11月までに検討結果を取りまとめるというのは、あまりに拙速すぎると、こういうスケジュールは撤回すべきだと考えております。
そして、生活保護を実際に利用されている方、居住支援を行っているNPOの関係者、住宅問題に詳しい研究者・法律家などから意見を徴集し、議論を進めていくべきだと考えます。

そしてそもそも、根本に住宅政策の失敗という問題があります。
この間、脱法ハウスの問題、ネットカフェ難民の問題、と折に触れて住宅政策の問題というが社会に出てきていますけれども、本来は厚労省と国土交通省が縦割りではなくて、一緒になって、たとえば「住宅政策総合本部」というようなものを作って、健康で文化的な最低限度の住生活というものをどう保障すればよいのか、という観点のもと、住宅政策を転換すべきではないかと、住まいの貧困にきちんとメスを入れていくべきではないかと考えております。
そうした議論と平行して、この生活保護の住宅基準の問題も考えていくべきではないかというように考えております。

 

川西浩之さん(身体障がいをもつ生活保護利用当事者)


hatugen02私は東京世田谷に住んでいる車椅子の者です。
私は一日11時間弱ぐらいの、ヘルパーさんの援助を受けながらの生活をしています。そしてヘルパーさんには食事を作って貰ったり、着替えとかを手伝ってもらったりする生活をしております。
室内でも手動の車椅子を利用して、生活をしております。もうかれこれ、世田谷区内で生活をして14年目くらいになります。

ひとり暮らしを始める時に、不動産屋さんをまわってみた時のことを思い返しますと、車椅子を利用してすごせる住宅はありません、あなたはトイレとかお風呂周りに手すりをつけたいということですけれども、手すりをつけると壁に傷をつけるので、修繕と修復にトラブルが発生しますので、うちを貸したくありません、という不動産屋さんがほとんどでありました。
そんな中、10件か15件くらいヘルパーや支援してくれる仲間たちと探しましたが、全くそんなおうちはありませんでした。
公営住宅も少なく、非常に(住宅扶助基準の)引き下げに困っております。

なぜ私たちが車椅子ですごさなくてはならないかという、基本的な意味が、皆さんわかっておられないように思います。
車椅子は、私は脳性まひではあるんですけれども、車椅子がないとお腹の力が弱くて体が支えられていないからこそ、車椅子で生活しているのであります。
車椅子ですごしてはいけない家があるなんてことが、とても信じられません。アメリカ等の外国では、車椅子で室内をすごすこと、事務所内ですごすことが当たり前の生活になっています。
そういった僕たちの障がいの状況をちゃんと理解してもらった上で、生活を見ていただけたらと思います。

私は8万を超える住宅に住んでおります。
やはりワンルームとかですと食事する部屋と書類を書く部屋が一緒で、僕らの仲間にはワンルームなんかですと、車椅子で中に入るのが精一杯で、身動きが取れないおうちに住んでいるというものが大勢います。
住宅改造の問題で、室内で寝たきりでリフトとかベッドまわりでも必要という仲間は数多くいます。

そういった人たちが家賃基準が下げられてしまうと引っ越さなくてはいけなくなり、とてもどこへいっても嫌な目で、後ろめたい目で苦労する姿が目に浮かびます。そして、なにせ不動産屋さんは僕らが話をしても、あまり話を聞いてくれません。
ほとんど、僕の場合は、ヘルパーさんへ「こういううちに住みたいから」ということで、話をしてもらいました。
そしてその中で、やっと住宅を見つけてきました。
不動産屋さんにも話しました。僕たちは10軒・20軒まわっても住む家がありませんと。お風呂釜を代えたいということでしたが、手すりの位置とかもあるので、微妙に違うと入りにくくなってしまいますから、ということで、このままで住居も変えず生活しています。

もう少し実態に即した、私たちの本当に生の声を聞いた上でいろいろと見直しをして頂きたいと思います。
よろしくお願いします。

集団的自衛権容認で「赤紙なき徴兵制」が強化されるのか?

提言・オピニオン

2014年7月1日、安倍政権は従来の政府による憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。

これは戦後の日本の安全保障政策の大転換であり、これまで「専守防衛」に徹してきた自衛隊が、日本が直接攻撃されていなくても出動することが可能になったことを意味します(ただ、実際には今後の法整備が必要になります)。

1つの政権の意向で憲法の解釈を変えることは立憲主義に反する行為であり、民主主義の原則を踏みにじる暴挙です。連日、総理官邸前で展開された抗議活動に、私も一人の市民として参加してきました。

写真 (48)

SNSなどでは、自衛隊が海外の戦地に派兵されることになれば、志願者の減少や退職者の増加が起こり、その結果、将来的に徴兵制が導入されるのではないか、という意見が出ています。

実際、2003年のイラク戦争の後に自衛隊が派遣された際には志願者が減ったというデータもあります。

しかし、生活困窮者支援に関わる者として言いたいのは、貧困層の若者を「安定した仕事だから」と勧誘して、自衛隊に「自発的に」志願させる「経済的徴兵制」は以前から存在している、ということです。

支援関係者の間では知られている話ですが、路上生活者には貧困家庭の出身で、自衛隊で働いた経験のある人が少なくありません。

「農家の次男坊・三男坊が安定した仕事に就くには、自衛隊の仕事しかなかった」と言っていた方もいます。

災害出動の際のトラウマで精神疾患になったことや、訓練の爆音で難聴になったことが原因となって仕事に就けず、ホームレスになった方もいました。

自衛隊が海外で戦闘に参加するようになれば、アメリカのようにPTSDを発症し、ホームレス化するベテランが増えるのは必至です。

 

安倍政権は財政難を口実に生活保護などの社会保障制度を改悪し、「成長戦略」の名のもとに雇用のさらなる流動化を図ろうとしていますが、こうした一連の政策は若年層のさらなる貧困化を招きます。

自らの政策によって貧困を拡大させ、貧困層を自衛隊に送り込もうとしているのではないか。

「赤紙なき徴兵制」(経済的徴兵制)をさらに強化しようとしているのではないか。

そのような疑念を抱かざるをえない政策が行なわれようとしています。

2007年のアメリカ映画『大いなる陰謀』(ロバート・レッドフォード監督)では、低所得層の学生たちが除隊後の就職先や大学奨学金を求めて軍に志願する姿が描かれていましたが、これは近い将来の日本の姿なのかもしれません。

 

7月1日は、自衛隊発足から60年にあたる日でした。

この日から自衛隊はAKB48メンバーを起用する隊員募集コマーシャルを流し始めました。

自衛隊発足から60年。募集CMに島崎遥香さんを起用。

私自身はこれまで社会保障の削減に反対する運動を主におこなってきましたが、安全保障の問題で動いている人たちとも連携を深めていきたいと考えています。

憲法9条と25条の問題はつながっています。

 

 

 

 

「エライ人たちが決めた大規模事業は止まらない」という悪習は根絶しよう

提言・オピニオン

本日12日(日本時間は13日未明)、ブラジルでFIFAワールドカップが開催されます。

この間、ブラジルでは貧富の格差が広がる中、大規模スポーツイベントに巨費を投じる政府の姿勢が批判にさらされ、開催日当日も大規模なデモやストライキが起きるのではないかと言われています。

地球の裏側ほどではありませんが、日本でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた競技場の整備に関して「経費がかかりすぎる」という観点から批判が高まり、計画を見直す動きが出てきています。

舛添都知事は10日、「都民の理解を得られるよう、招致時点で作成した会場計画全体を見直す」と表明しました。建設資材、人件費の高騰を再検討の理由にあげています。

 

東京新聞:五輪整備費 削減へ コスト高騰で都知事表明

 

このニュースを見た瞬間、「ついに新国立競技場の見直しに踏み込んだか?」と勘違いをしそうになったのですが、批判を浴びている新国立競技場について知事は言及していません。

この問題について、私は以前、経費削減や歴史的景観といった観点だけでなく、建て替えによって立ち退きをさせられる住民の視点から計画を見直すべきだとブログを書きました。

 

国立競技場建て替え問題:まず聴くべきは地域住民の声では?

 

その際、建て替えではなく、改修を主張する建築家の伊藤豊雄さんの案についても言及しましたが、実はその後、伊藤氏の改修案でも都営霞ヶ丘アパートは「サブトラック」の用地として指定されていることがわかりました。

伊藤氏自身が都営霞ヶ丘アパートの立ち退き問題をあまり認識していないか、軽視しているせいではないかと思われます。この案についても再考を求め、改修案をブラッシュアップしてほしいと思います。

「建て替えか、改修か」という議論は7月に競技場の解体が迫る中、「時間切れ」で押し切られそうになっていましたが、競技場を管理する日本スポーツ振興センター(JSC)は、この解体工事の入札が不調に終わったと発表しました。資材費や人件費の高騰が原因ではないかと言われています。

 

朝日新聞:国立競技場、解体工事の入札不調 東京五輪の主会場

 

これにより、7月中に解体工事に着手できない可能性が出てきました。これは計画について白紙から考え直す良いチャンスだと思っています。

そんな中、国立競技場周辺の住民に「新国立競技場基本設計概要の説明会」を13日夜に実施するというチラシが配布されました。

チラシの画像(表・裏)はこちらです。

140613説明会チラシ表

140613説明会チラシ裏

説明会の概要はこちら。

「新国立競技場基本設計概要の説明会」

日時:6月13日(金)
19:00~21:00(受付18:30)

場所:国立霞ヶ丘競技場体育館
(東京都新宿区霞ヶ丘町10-2)

主催:JSC
(日本スポーツ振興センター)
問合:03-5410-9143
担当:高崎・関・鈴木(武)

この説明会、周辺住民でなくても参加できることが確認されています。
会場となっている体育館は500人が入れるところなので、関心がある人は参加してみてはいかがでしょうか。

この国立競技場建て替え問題、「エライ人たちが勝手に決めた大規模事業は絶対に止まらない」という悪しき慣習をなくしていくチャンスだと私は考えています。

あなたにもできる!「路上スキマ部」活動の勧め

提言・オピニオン

昨年2月から住まいの貧困に取り組むネットワークの呼びかけで、有志による月2回の「アウトリーチ活動」を行なっています。

東京23区内には20を超える路上生活者支援団体があり、新宿・渋谷・池袋などの主要ターミナル駅周辺や山谷地域とその周辺(上野、浅草を含む)では、定期的な夜回りや炊き出しなどが各団体によって行なわれています。

こうした活動によって、路上生活をしている人が比較的多い地域はほとんどカバーされているのですが、場所によっては住宅街やオフィスビル街、小規模の公園などに数人単位で路上生活者がいる地域もあり、23区内でも支援団体がカバーしていない地域はまだたくさんあります。

そうした「支援の空白地域」を埋めようと始めたのが、この「アウトリーチ」で、参加者の間では「路上スキマ部」と呼ばれています。

前回5月26日は両国から浜町まで河川敷を歩きました。

前回5月26日は両国から浜町まで河川敷を歩きました。

「路上スキマ部」の活動には、もやいのメンバーだけでなく、各地で支援をしている団体のメンバーも参加して、交流の場にもなっています。

どなたでも参加できますので、ぜひご協力ください。活動日は原則毎月第2・第4月曜日夜ですが、たまに昼に回ることもあるので、以下のページでスケジュールをご確認ください。次回は明日9日です。

住まいの貧困に取り組むネットワークブログ カテゴリー「アウトリーチ活動」

夜回り中に公園で会った猫

夜回り中に公園で会った猫

 

ですが、こうした「路上スキマ部」活動は、実は個人でもおこなうことができます。

昨日(6月7日)も、定例の「もやいセミナー」に参加された方々とサロン・ド・カフェこもれびでお話をしていたのですが、そこで「自分の家の近所に野宿をしている人がいて、気になっているのですが、自分に何ができるでしょうか」という質問を受けました。

これは私がよくされる質問の一つですが、そのたびに私は「路上脱出ガイド」の紹介をしています。

ビッグイシュー基金「路上脱出ガイド」紹介ページ

「路上脱出ガイド」は、ホームレス状態になった人に「その人が活用できる社会資源」(行政サービスや炊き出し情報など)を正しく伝えるために、ビッグイシュー基金が各地の支援団体の協力を得ながら作成している冊子です。

現在では東京、大阪だけでなく、札幌、名古屋、京都、福岡の各都市版も発行され、無償で配布されています。

東京23区版はリーマンショック後の2009年に第1版が作成され、私もその編集に協力をさせていただきました。

その後、東京23区版を重ね、第4版まで発行されています。累計の配布部数は2万部を超えています。

「路上脱出ガイド」は各支援団体を通して、炊き出しなどの場で配布してもらうと同時に、一般の市民の方にも配布をお願いしています。図書館やお寺、教会などで置いてくれているところもあります。

ビッグイシュー基金に依頼すれば、送料のみ負担する形で送ってくれるので、ぜひ「自分の家や職場の近くに気になる人がいる」という方は取り寄せてみてください。

でも、いきなり野宿の人に声をかけるのは勇気がいることです。私はいつも「声をかける勇気がなければ、その人が寝ている時に枕元に置くだけでもいいですよ」と言っています。

大切なのは、その人が活用できる支援に関する正確な情報を伝えることです。私たちにできることはそれくらいしかありません。

その情報を受け取った人が、支援に関する情報を「活用するのか、しないのか」(生活保護を申請したり、もやいなどの民間団体に相談をするのか)、あるいは「いつ活用するのか」というタイミングは、その人に任されています。

路上生活をしている人の中には、アルミ缶集めなどの仕事をして生計を立てている人も多く、高齢であっても「まだ生活保護は申請するつもりはない」という人もいます。見ているこっちが心配になる人も多く、私も時には説得に乗り出すこともあるのですが、基本的に「自分の生活を今後、どうするか」ということはその人の選択に任されています。

そのため、私は「路上脱出ガイド」を渡す時、「すぐには使わないかもしれないけど、病気になることもあるかもしれないから、お守り代わりに持っていてくださいね」と言うことにしています。

このように支援と言ってもできることは限られていますが、「あなたのことを気にしている人がいますよ」というメッセージを伝えることは(自己満足かもしれませんが)意味のあることだと思っています。

ぜひ「路上脱出ガイド」を取り寄せて、支援の空白地帯を埋める「路上スキマ部」活動にぜひあなたも参加してみてください!

 

 

 

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