提言・オピニオン

11月1日(水)生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟の傍聴に集まろう!

提言・オピニオン

2013年8月から生活保護の基準が三段階に分けて引き下げられました。

この過去最大の引き下げに対して、全国29の都道府県で引下げの違憲性を問う訴訟が行われています。

東京では、第6回口頭弁論が11月1日(水)11時から、東京地裁1階の103号法廷で開かれます。

傍聴をご希望の方は、早めに東京地裁の正門前に(地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ)にお集まりください。傍聴席を満席にしましょう!

口頭弁論終了後は、報告集会も予定されています。ぜひご参加ください。

 

以下は弁護団のブログからの引用です。

http://blog.goo.ne.jp/seihohassaku/e/05403cdd5752dcab2cc9b9b2d9348534

生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟の第6回口頭弁論期日が2017年11月1日11時から、東京地裁1階の103号法廷で開かれます。
2013年8月1日以降3回にわたって実施された生活保護基準の引下げは憲法25条違反だとして、都内の生活保護受給者の皆さんが、国などに対し、国家賠償と保護費減額の取消しを求めています。

11月1日の期日では、国に対する求釈明(引下げに至った根拠・過程等についての事実や関連文書を明確にするよう求める原告側の要求)への誠実な回答を迫るとともに、原告と弁護団による意見陳述が行われる予定です。

「健康で文化的な最低限度の生活」の保障をないがしろにさせないためにも、ぜひ傍聴に来ていただきたいと思います。閉廷後、同日11時40分ころから、裁判所近くの会場で報告集会も予定しておりますので、こちらにもご参加をお願いします。市民による「支える会」の結成も準備しており、会場で入会を受け付けます。

弁護団・原告団・支える会連絡先:
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1丁目17番10号 エキニア池袋6階 城北法律事務所内
生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟弁護団
電話03-3988-4866(担当=平松・木下)

 

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【衆院選】政治によって壊された「私たち」を修復するために

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衆議院が解散したことを受けて、朝日新聞から「安倍政権の5年間をどう評価するか」という点について取材を受け、9月29日の朝刊にコメントが掲載されました。

【2017年9月29日】 朝日新聞「安倍流5年見極め 政権の軌跡、識者の見方」にコメント掲載 

字数の都合で舌足らずになった点も多かったので、記者に述べた内容に一部補足して、ここに掲載します。

「行政を歪めた」生活保護基準の引き下げ

2012年12月の衆議院総選挙で大勝し、政権に復帰した自公政権が真っ先に行ったのが、生活保護基準の引き下げでした。

今年の夏、加計学園の獣医学部新設をめぐって、前川喜平・前文部科学事務次官の「行政が歪められた。」という証言が注目されましたが、生活保護基準の引き下げも、まさに「行政を歪める」形で行われたと、私は考えています。
本来、生活保護の基準は科学的なデータに基づいて算定されなければならないのですが、「生活保護費の給付水準の一割カット」を政権公約に掲げた自民党が政権に就いたため、政治的な理由により引き下げが強行されました。

そのつじつまを合わせるために、厚生労働省は「デフレにより物価が下落した」という理由を後づけしましたが、実際にはほとんど下落していないため、消費者物価指数のデータを「偽装」するということまで行いました。まさに「行政が歪められた」のです。

生活保護の基準は、社会保障の岩盤として機能しており、その基準は他の低所得者対策の制度にも連動しています。生活保護基準の引き下げにより、就学援助など他の制度も所得制限が厳しくなるなどの悪影響が出ています。社会保障制度全般が「地盤沈下」しているのです。

アベノミクスで雇用は増えましたが、増えた仕事の多くは非正規の不安定な仕事です。生活困窮者の支援に取り組んできて感じるのは、派遣やアルバイトの仕事をしながらも、安定した住まいを確保することができず、ネットカフェや友人宅などで暮らさざるをえないワーキングプアが若年層を中心に増えているということです。「見えにくい貧困」が広がっていると実感しています。

差別や排外主義を政治的に利用

私が最も許せないのは、安倍政権や与野党の保守系議員がマイノリティに対する差別や偏見、排外主義的な風潮を政治的に利用してきたことです。

生活保護基準の引き下げに先立って、2012年に一部の自民党議員が生活保護バッシングのキャンペーンを仕掛け、貧困対策に積極的だった民主党政権(当時)の姿勢を批判し、翌年の引き下げに至る流れを作りました。これは生活保護利用者への偏見を悪用した例だと言えます。

最近では、「武装難民」の「射殺」も検討するという麻生太郎副総理の暴言がありました。日本も批准している難民条約を無視し、ヘイトクライムを誘発しかねない犯罪的な発言であるにもかかわらず、未だに麻生氏は謝罪・撤回をしていません。マスメディアでもこの発言を追及する報道は少なく、この5年間で社会のマジョリティが極端な差別発言も許容するようになってきたと感じます。

昨年の「貧困高校生」へのバッシングでは、「あんなのは貧困ではない」という意見が散見されました。安倍政権下で、中間層の崩壊がさらに進み、生活が苦しくなった人たちが、より弱い立場の貧困層をたたく形のバッシングも強まっています。安倍政権はそうした分断を意図的に助長しているように見えます。

障害者や外国人への差別も底が抜けた状況です。
先進諸国では社会的なマイノリティへのヘイトクライムが発生した場合、政治的なリーダーが事件の背景にある差別を非難する声明を発表します。しかし、相模原の障害者殺傷事件では、安倍総理から積極的な発言はありませんでした。
本来はこうした動きにストップをかけるべき政治家が、黙認、あるいは助長しているのではないでしょうか。

社会に内在する差別や偏見を政治的に利用するのは、政治家としてやってはならない「禁じ手」ですが、この「禁じ手」に積極的に手を染める政治家が増えているのは恐ろしいことだと思います。
その意味では、関東大震災での朝鮮人虐殺に関する追悼文の送付を取りやめた小池百合子都知事(希望の党代表)も同類だと言えます。

「私たち」が壊されている

貧困状態にある人も、障害を持つ人も、外国人も、誰もが命を守られ、個として尊重されるべきだ、という考えは、人類が20世紀の負の歴史を通してかちとってきた普遍的な理念です。近年、世界的にこの普遍的な人権という考え方が危機にさらされていますが、安倍政権下における日本社会の惨状は際立っています。

社会を構成する「私たち」という意識そのものが政治によって壊されているのではないでしょうか。
20世紀の歴史に謙虚に学び、誰もが「私たち」の社会の一員として尊重されるべきだと発信する政治家が一人でも増えることを切に望みます。
有権者は、個々の候補者が「私たち」を壊してきた人なのか、修復できる人なのか、これまでの言動を吟味して投票してほしいと思います。

 

厚労省の審議会で扶養照会の段階的廃止を直言しました。

提言・オピニオン

厚生労働省は、2018年度に生活保護制度と生活困窮者自立支援制度の一体的見直しを行うため、今年5月、社会保障審議会に「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を設置しました。

部会は4ヶ月に6回というハイペースで議論を進めており、8月30日に開催された第6回部会では「有識者・利用者等からのヒアリング」が行われました。

私も、若年女性の支援をしているBONDプロジェクトの橘ジュンさんらと共に、ヒヤリングに参考人として呼ばれ、15分間の意見陳述を行いました。

私の提出資料を含め、当日の資料はこちらのページでご覧になれます。

第6回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」資料

私は、ホームレスの人たちに対する「ハウジングファースト」(安定した住まいの確保を最優先とする支援手法)の取り組みを紹介した上で、貧困ビジネス施設への規制を強化し、生活保護において「居宅保護の原則」を徹底すること、生活困窮者自立支援制度においても居住支援の対象者を広げることなどを主張しました。

そして最後に、扶養照会の問題について取り上げました。

部会に提出した資料より

この問題について取り上げたのは、厚生労働省が生活保護の扶養照会(福祉事務所が申請者の親族に扶養の意思を問い合わせること)の実態調査に乗り出しているからです。

2013年には、私たちの反対にもかかわらず、福祉事務所がこれまで以上に親族にプレッシャーをかけることを可能にする法改悪がなされてしまいました。今回の実態調査はさらなる改悪につながる危険性があります。

生活困窮者の相談支援の活動をしていると、この「親族に問い合わせる」という仕組みが生活保護申請への心理的なハードルになり、制度につながる人を減らしているという点を実感します。

そもそも、社会保障制度の利用において、親族の扶養を問題にすること自体が前近代的だと言えます。特に「成人した子どもの親に対する扶養義務」を問う仕組みは日本、韓国、台湾など、ごく一部の地域にしかありません。

その韓国では、日本以上に厳しい扶養義務の制度がありましたが、近年、親族の扶養義務を問うことが「福祉の死角地帯」に取り残される人を生んでいるという批判が高まり、今年に入り、扶養義務者の基準を段階的に廃止していく、という方針が示されています。これは制度につながる人を増やしていくための政策です。

扶養義務者の基準を段階的に廃止するという韓国の福祉改革については、こちらの記事もご参照ください。

日本の貧困対策はガラパゴス化へ進むのか? – 稲葉剛|WEBRONZA – 朝日新聞社の言論サイト

こうした韓国の動きを紹介した上で、目の前にいる厚労省の社会・援護局の官僚に対して、私は「国が本気で貧困対策をしたいのであれば、制度につながる人を増やす政策を取るべきです。これまでの動きを見ると、厚労省が制度につながる人を増やしたいのか、減らしたいのか、私にはさっぱりわかりません。」と述べました。

その上で、今の動きとは逆に、前近代的な扶養照会を段階的に廃止していく、という議論を日本も始めるべきだと問題提起しました。

現場の実態を伝えるのが、私たちの役割

「そんなことを言っても、どうせ動かないのだから、意味がない」という人もいるでしょう。

私はこれまで何度か、厚生労働省の審議会や国会の委員会で呼ばれたことがありますが、そのたびに「二度と呼ばれなくなっても、言うべきことを言おう」と心に決めています。

貧困の現場で起こっていることを政策を動かしている人たちにストレートに伝えるのが、私たち現場で活動をしている人間の役割であり、実現可能性を考えて、一部の主張を引っ込めたり、薄めたりすることはすべきではないと考えるからです。

部会では、委員の一部からも「扶養を強調することは貧困の世代間連鎖につながる」という懸念の声が出ているようです。

来年度の制度見直しの骨格はまだ明らかになっていませんが、「扶養義務の強調は、制度につながる人を減らし、貧困を悪化させる」、「貧困を社会的に解決するためには、前近代的な家族主義から抜け出す必要がある」という点をこれからも訴えていきたいと思います。

 

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7月19日(水)生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟の傍聴に集まろう!

提言・オピニオン

2013年8月に生活保護の基準が強引に引き下げられて、まもなく4年になろうとしています。

厚生労働省の生活保護基準部会では、一部委員の働きかけにより、先月の会合で初めて「これまでの生活保護基準見直しの影響」が議題にあがりました。

※資料:第29回社会保障審議会生活保護基準部会資料

厚生労働省は2018年度の見直しでさらに基準を下げようとしているようですが、まずは2013年度からの引き下げの影響をきちんと検証すべきだと思います。

そんな中、全国29の都道府県で生活保護基準引下げの違憲性を問う訴訟が行われています。

東京では、第5回口頭弁論が7月19日(水)11時から、東京地裁1階の103号法廷で開かれます。

傍聴をご希望の方は、早めに東京地裁の正門前に(地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ)にお集まりください。傍聴席を満席にしましょう!

口頭弁論終了後は、報告集会も予定されています。ぜひご参加ください。

以下は、弁護団からの呼びかけ文です。

【拡散お願い】

生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟の第5回口頭弁論期日が2017年7月19日(水曜)11時から、東京地裁1階の103号法廷で開かれます。

2013年8月1日以降3回にわたって実施された生活保護基準の引下げは憲法25条違反だとして、都内の生活保護受給者の皆さんが、国などに対し、国家賠償と保護費減額の取消しを求めています。

7月19日の第5回期日では、原告と弁護団による意見陳述が行われる予定です。「健康で文化的な最低限度の生活」の保障をないがしろにさせないためにも、ぜひ傍聴に来ていただきたいと思います。

閉廷後、同日11時40分ころから、弁護士会館11階第一東京弁護士会講堂で報告集会を行いますので、こちらにもご参加をお願いします。近く、市民による「支える会」の結成も準備しており、会場で入会を受け付けます。
弁護団・原告団・支える会連絡先:
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1丁目17番10号 エキニア池袋6階 城北法律事務所内

生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟弁護団 電話03-3988-4866(担当=平松・木下)

ブログ http://blog.goo.ne.jp/seihohassaku
フェイスブック https://www.facebook.com/hassakusosho/

※関連記事:【2017年3月29日】 朝日新聞に生活保護に関するインタビュー記事が掲載

改正住宅セーフティネット法が成立!まずはハウジングプアの全体像に迫る調査の実施を!

提言・オピニオン

4月19日、参議院本会議で改正住宅セーフティネット法が可決、成立しました。本サイトでも何度が取り上げていますが、この法律は高齢者、障害者、子育て世帯、低所得者など、賃貸住宅市場で住宅の確保に困難を抱えている人たちを「住宅確保要配慮者」と位置づけ、都道府県ごとに空き家の登録制度を新設して、オーナーが登録に応じた空き家を活用することで「住宅確保要配慮者」の入居を促進しようとするものです。

これはいわば、全国各地で増え続ける空き家問題と、深刻化する高齢者などへの入居差別の問題を「一石二鳥」で解決しようとする施策であり、「住まいの貧困」(ハウジングプア)を解決するために私がこれまで行なってきた提言とも合致する内容になっています。

増え続ける空き家を貧困対策に活用することを提言してきました。

 

国土交通省は2020年度末までに全国で計17万5000戸の登録住宅を確保したいとしています。しかし、若年層にも増えている低所得者の入居を促進するためには、空き家の登録制度を作るだけでは不充分で、貸し出される際の家賃を下げる施策が必要になります。そのため、政府は空き家のオーナーに月最大4万円の補助(国から2万円、地方自治体から2万円)を出すことで、家賃を低く抑えてもらう事業を実施するのですが、なぜかこの部分は法律の条文には盛り込まれず、予算措置にとどまっていました。

条文に明記されない事業は、その時々の財政状況によって縮小されたり、停止されたりする可能性が高まります。また、この家賃低廉化以外にも、支援の対象とされる「被災者」が災害発生三年以内に限られるという記述がある等、法案にはいくつか不充分と思える点がありました。

そこで、私が世話人を務める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」では、この間、「家賃低廉化も条文に盛り込むこと」などを求めて、各政党に対する働きかけを行なってきました。4月7日には衆議院国土交通委員会における審議に私も参考人として呼んでいただき、意見陳述と委員との質疑を行ないました。

【関連記事】衆議院国土交通委員会で参考人招致。住宅セーフティネットの強化を提言しました。 

その結果、残念ながら条文の修正は行われませんでしたが、衆議院及び参議院の国土交通委員会での採決の際、それぞれ私たちが懸念している点についての「附帯決議」が採択されることになりました。

附帯決議に何が盛り込まれたのか

参議院国土交通委員会での附帯決議は下記のような内容になりました。重要な部分は太字にしています。

◆参議院国土交通委員会:住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

一 本法に住宅セーフティネット機能の強化と併せ、公営住宅を始めとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努めること。

二 低額所得者の入居負担軽減及び安定的な住宅確保を図るため、政府は予算措置を含め必要な支援措置を講ずること。

三 高齢者、障害者、低額所得者、ホームレス、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居が拒まれている実態について、国土交通省と厚生労働省とが十分に連携し、住宅政策のみならず生活困窮者支援等の分野にも精通した有識者や現場関係者の意見を聞きながら、本法律の趣旨を踏まえ、適宜調査を行うなど、各々の特性に十分配慮した対策を講ずること。

四 住宅確保要配慮者が違法な取立て行為や追い出し行為等にあわないよう、政府は適正な家賃債務保証業者の利用に向けた措置を速やかに講ずること。

五 地方公共団体による賃貸住宅供給計画について、その策定の促進を図るとともに、地域の住宅確保要配慮者の実情に即し、かつ空き家対策にも資する実効性のあるものとなるよう、必要な支援を行うこと。

六 住宅セーフティネット機能の強化のためには、住宅確保要配慮者居住支援協議会の設立の促進とその活動の充実等を図ることが重要であり、また、地方公共団体の住宅部局及び福祉部局の取組と連携を強化することが不可欠であることに鑑み、各地域の実態を踏まえ、必要な支援を行うこと。

七 災害が発生した日から起算して三年を経過した被災者についても、必要が認められるときには、住宅確保要配慮者として支援措置を講ずること。

 

このうち、「三」に盛り込まれた「調査」の実施については、私が参考人陳述において最も強調した点でした。ハウジングプア(住まいの貧困)問題については、国土交通省と厚生労働省という行政の縦割りの壁に阻まれ、これまで包括的な実態調査が実施されたことがありません。法改正を機に本格的な調査をぜひ実施してほしいと願っています。

4月7日(金)に衆議院国土交通委員会で参考人として意見陳述をした際の資料より

 

空き家を活用した住宅セーフティネット事業は、今年の秋に開始される予定です。法律が中身を伴ったものになるよう、事業の実施状況をチェックし、適宜、国や地方自治体に働きかけを行なっていきたいと考えています。

5月25日には、今回の法改正に至る経緯を振り返り、今後の課題について考えるための報告集会を開催いたします。私と一緒に衆議院の国土交通委員会で参考人として意見陳述をした坂庭国晴さん(国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事)、参議院の国土交通委員会で意見陳述をした塩崎賢明さん(立命館大学特別招聘教授)も登壇されます。

報告集会の詳細はこちらで。ぜひご参加ください。

5月25日(木)「住宅セーフティネット法改正」の報告集会 ―国会審議の特徴と今後の課題を考える

立川市生活保護廃止自殺事件調査団が結成され、東京都に申し入れを行ないました。

提言・オピニオン

2015年12月10日、東京都立川市で生活保護を利用していた一人暮らしの40代男性(Aさん)が自宅のアパートの部屋で自殺しました。

立川市福祉事務所は、同年11月21日付けでAさんを就労指導に従わないという理由で保護廃止にしており、その通知書を12月9日にAさん宛に送っていました。この経緯から、Aさんは保護廃止の通知書を受け取った直後、絶望して自殺に至ったのではないかと考えられます。

この事件は、同年12月31日、立川市の日本共産党市議団控え室にAさんの知人と名乗る人より匿名のFAXが送られたことにより発覚しました。

共産党市議団に送られたFAX

その後、立川市議会の上條彰一議員(日本共産党)が立川市に対して事実関係を明らかにするように求めましたが、市側は個人情報の保護を理由に応じませんでした。

以下は上條市議による市への質問とその回答です。

そこで、弁護士や研究者らが中心となり、この事件の真相究明と再発防止を目的とする調査団を結成することになりました。

本日(4月11日)、立川市生活保護廃止自殺事件調査団(共同代表:宇都宮健児弁護士、後藤道夫都留文科大学名誉教授)が結成され、立川市の生活保護行政を監督する立場にある東京都に対する申し入れと記者会見を行ないました。

東京都に対しては、「質問状」と「要請書」の2つの文書を提出しました。それぞれ、下記で内容をご確認ください。

東京都の保護課長は申し入れの席上、「昨年、立川市から事故報告を受け、ヒヤリングを行なった。自分もケース記録などの書類を見た。(保護廃止に至る)手続き的なものについては、指導・助言すべきことはなかった。」と発言しました。

申し入れにも参加した上條市議によると、事件発覚直後、立川市の担当者と話し合いを行なった際、「懲らしめの意味で保護を切ったんですか?」と聞いたところ、「そうなんです」と認めたと言います。

また、Aさんに路上生活歴があることに関連して、「保護を切っても何らかの形で生きていけるのではないかと思った」という発言もあったと言います。

このような認識のもとに生活保護を打ち切ったのであれば、生活保護行政の責任を放棄した人権侵害以外の何物でもないと考えます。

申し入れ後の記者会見の場で、調査団の事務局を務める田所良平弁護士(三多摩法律事務所)は、「行方不明になり、連絡が取れないというような場合に保護廃止にするのはやむをえないが、そこにいる人の保護を廃止するのは、命綱を断ち切る行為であり、するべきでない」と指摘しました。

私も今回の事件の背景に、生活保護の利用世帯数を抑制しようとする政府の政策があることを見る必要があると発言しました。

また、過去にAさんの相談にのった民間団体の支援者が「Aさんから『死にたい』という発言を聞いたことがあり、うつ症状と思われる言動が認められた」と証言していることに関連して、「生活保護世帯の中で、Aさんのような人は『その他の世帯』と分類されるが、『その他の世帯』がみんな働ける状態にあるというわけではなく、中には隠れた障害や疾病が発見されていないだけの人もいる。隠れた障害や病気を見つけるために福祉事務所職員の専門性を高める必要性がある」と指摘しました。

調査団は東京都に「質問状」への文書回答を求めています。ぜひ多くの方のご注目をお願いします。

***************

【調査団による質問状の文面】

2017年4月11日

質問状

東京都知事 殿
東京都福祉保健局生活福祉部保護課長 殿

立川市生活保護廃止自殺事件調査団
共同代表 宇都宮 健児
同  後藤 道夫

去る2015年12月、立川市内で生活保護を受けていた方が、就労指導違反を理由とする生活保護廃止処分を受け、処分の翌日に自殺をするという事件(以下「本件自殺事件」といいます)が発生しました。我々は、この事件を受け、就労指導や保護の停止・廃止の在るべき運用を今一度確認すると共に、2度とこのような痛ましい事件が起こることのないよう、特定の職員に責任に矮小化することなく、構造的な要因も含めた原因の究明とこれを踏まえた再発防止策を講ずることが喫緊の課題であると考えております。

つきましては、下記のとおり、就労指導や保護の停止・廃止処分の運用の在り方(第1)並びに、立川市福祉事務所の人員体制と本件(第2)に関して質問いたしますので、後日文書にてご回答いただきますようお願い致します。

第1 就労指導及び保護の停止・廃止の在り方について

(1) 就労指導の前提となる稼働能力の有無・程度及びその把握について

① 就労指導の前提となる稼働能力の有無・程度は、年齢や医学的な面のみならず、職歴や、ホームレス経験の有無・期間などの生活歴なども考慮して、客観的かつ具体的に判断されるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

② 精神疾患、依存症、軽度知的障害や発達障害の疑い、既往症など(以下、「精神疾患等」といいます。)、稼働能力の存在・程度を慎重に検討すべき生活保護利用者について稼働能力の有無・程度を判断するにあたっては、対象者に医療機関等の診断を促し、その診断結果を参照しつつ慎重に行われるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

③ 上記の稼働能力の存在・程度を慎重に検討すべき生活保護利用者については、ケース診断会議等の組織的検討を経て判断すべきと考えますが、いかがでしょうか。

(2) 就労指導の内容について

① 就労指導は、稼働能力が存在することを前提に、具体的な稼働能力の程度に応じた内容でなくてはならず、同人の稼働能力を超える労働条件や職種への求職活動を指導してはならないと考えますが、いかがでしょうか。

② 就労指導は、対象者の職業選択の自由を尊重するものでなければならず、対象者の職歴やその有する知識、技能、経験等のみならず、同人の希望についても考慮した上でなされるべきと考えますが、いかがでしょうか。

(3) 指導指示違反を理由とする保護の停止・廃止について

① 保護の停止・廃止により対象者の衣食住が維持できなくなり、あるいは、必要とする治療や支援を打ち切られる等、その生存が脅かされるおそれがある場合には、指導指示違反(就労指導に限らない)を理由とする保護の停止・廃止をするべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

② 指導指示違反を理由とする保護の停止・廃止が行われた場合、要保護状態が解消されるわけではないため、放置すれば心身の健康を害し、ひいては生命の危機に瀕する蓋然性があることから、福祉事務所は引き続き対象者の生活状況を把握し、必要に応じ職権で保護を再開すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

③ 就労指導による保護の停止・廃止の目標値の設定は、個々の事情を無視した、不適切な就労指導を誘発する危険があるため、妥当ではないと考えますが、いかがでしょうか。

第2 本件自殺事件の原因究明について

構造的要因も含めた本件の原因究明のため、下記事項について立川市から事情聴取等を行ない、後日書面でご回答下さい。

1 前提事情
(1) 担当職員の人員体制等について
①配置職員の人数(生活保護担当全体、各係の人数、役職、正規職員と非正規職員の各人数、元警察、職安職員等の人数)
②各職員の経験年数、各職員の担当件数、
③生活福祉課の人事配置の方針、研修体制と研修内容
④上記①~③について改善が必要と考える点

(2) 国の生活保護行政、社会保障行政の姿勢に対する意見
2 本件事件について

(1) 稼働能力の有無・程度について

書面・口頭を問わず、就労指導を行う前の時点における次の各項目の事情をご説明下さい。

① A氏の健康状態、とりわけ精神疾患の有無、既往症、その他疾病の有無をどのようなものとして把握していたのでしょうか。

② A氏を支援した経験のある者によれば、A氏は対人関係を築くことが苦手で、「死にたい」等の発言もみられ、うつ症状と思われる言動が認められたとのことです。担当ケースワーカーはAのこのような言動を確認していなかったのでしょうか。

③ A氏の稼働能力の判断に際して、医療機関受診の促しや、医師の意見聴取等は行なわれていたのでしょうか。

④ A氏の稼働能力の有無・程度の判断に際して、ケース診断会議等の組織的検討が行われていたのでしょうか。

⑤ A氏の稼働能力の有無・程度に関する立川市福祉事務所の認識はいかなるものだったのでしょうか。

(2) 就労指導について

① A氏に対する就労指導(口頭、書面問わず)の時期と具体的な内容はいかなるものだったのでしょうか。
ⅰ 口頭の就労指導は該当部分のケース記録も開示してください。
ⅱ 書面による就労指導は指導指示書も開示して下さい。
② A氏に対する書面による就労指導の内容に関して、ケース診断会議等の組織的検討が行われたのでしょうか。
*ケース診断会議記録も開示して下さい。

(3) 保護停止・廃止処分について

ア 保護停止処分について

① 保護停止処分を行なう前提として、告知聴聞の機会は、いつ、どのようにして付与され、A氏はいかなる弁明を行ったのでしょうか。
*この点に関するケース記録も開示して下さい。
② 保護停止処分を行う前提として、ケース診断会議等の組織的検討は、いつ、誰が参加して行われ、どのような理由で停止の結論に至ったのでしょうか。
*ケース診断会議録に基づいてご説明下さい。同記録も開示して下さい。

イ 保護廃止処分について

① 保護廃止処分を行なう前提として、告知聴聞の機会は、いつ、どのようにして付与され、A氏はいかなる弁明を行ったのでしょうか。
*ケース記録も開示してください。

② 保護廃止処分を行う前提として、ケース診断会議等の組織的検討は、いつ、誰が参加して行われ、どのような理由で廃止の結論に至ったのでしょうか。
*ケース診断会議録も開示して下さい。

③ 保護停止処分から保護廃止処分までの間に、自宅訪問は実施されましたか。

④ 立川市福祉事務所は、保護廃止処分にあたり、廃止後の生活がどのようにして維持されていくものと認識していたのでしょうか。

⑤ 立川市福祉事務所は、保護廃止後、A氏の生活状況を把握するための何らかの措置を講じていたのでしょうか。
以上

***************

【調査団による要請書の文面】

2017年4月11日

要請書

東京都知事 殿
東京都福祉保健局生活福祉部保護課長 殿

立川市生活保護廃止自殺事件調査団
代表 宇都宮 健児
同 後藤 道夫

2015年12月、立川市内で生活保護を受けていた方が、就労指導違反を理由とする生活保護廃止処分を受け、その翌日に自殺する事件が発生しました。二度と同様の事件が繰り返されないよう、立川市福祉事務所を含む都内各福祉事務所を指導監督すべき立場にある貴庁において、全都の福祉事務所で下記事項を実現することを強く求めます。

1. 就労指導、指導違反に対する停止・廃止の在り方について

(1) 就労指導のあり方について

① 就労指導ないし就労による保護廃止数の目標値設定を直ちに中止すること。

② 精神疾患歴がある方やホームレス経験のある方など就労指導の前提となる稼働能力の制限ないし喪失が疑われる場合、稼働能力の有無・程度の判断は、ケースワーカーの独断にまかせることなく、精神疾患や軽度知的障害、発達障害の有無等に関する医師等の専門家の意見を踏まえて、ケース診断会議等の組織的検討の上で行うこと。

③ 就労指導は、形式的・画一的に行うことなく、当該保護利用者の稼働能力、家族の状況等の個別の事情を十分に踏まえて行うこと。

④ 就職活動が芳しくない人については、その原因の把握に努め、精神疾患、依存症、知的障害、あるいは同居家族の状況等、稼働能力を阻害ないし喪失させる事情の存在が疑われる場合には、上記②と同様に稼働能力の有無・程度を改めて把握すること。

⑤ 就労は、経済的な自立のために必要なだけでなく、社会参加や自己実現の機会でもあることを踏まえ、保護利用者の意思を尊重した就労指導を行うこと。また、様々な事情により稼働能力が喪失された場合でも、個人として尊重し、無理のない範囲で社会参加や自己実現を保障すること。

(2) 指導・違反に対する停止・廃止について

① 弁明の機会を付与する際は、形式的な質問と回答確認に留まることなく、十分な時間を確保し、本人の言い分を聴取し、これを記録に残すこと。とりわけ、知的能力の障害や精神疾患等により本人の言い分を独力で説明することに困難が伴う方については、聴取する職員の側において積極的に発問する等して、本人の言い分を丁寧に聴取するよう努めること。

② 保護の停止・廃止は、当該保護利用者の生存を危機的状況に追い込む具体的現実的危険性のあることに鑑み、就労指導違反のみを理由とする保護の停止・廃止は行わないこと。

③ 保護の停止・廃止を行った場合には、その後もその者の最低限度の生活が確保されているかを確認し、要保護状態に陥る場合には、再度の生活保護申請を促し、必要に応じて職権で保護を再開すること

2.保護の実施機関として適切に職務を遂行するための組織・人員体制について

(1) 職員研修の実施について

国民の人権、とりわけ憲法及び生活保護法に基づく国民の生存権保障と社会保障制度の意義を職員が充分に理解するための研修・教育に徹底すること。

(3) 人員体制の充実について

①  社会福祉専門資格有資格者を増員すること。
②  ケースワーカーを増員し、ケースワーカー一人当たり80件を実現すること

以上

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衆議院国土交通委員会で参考人招致。住宅セーフティネットの強化を提言しました。

提言・オピニオン

空き家活用型住宅セーフティネット事業の新設を盛り込んだ住宅セーフティネット法改正案の国会審議が始まりました。

この改正法案について、私が世話人を務める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」は、「法案の趣旨には賛同するが、不充分な点が多く、一部修正が必要」という意見を表明し、この間、各党の担当者への働きかけを行なってきました。

【関連記事】住宅セーフティネット法改正案は「住まいの貧困」解決の切り札となるのか?

【住まいの貧困に取り組むネットワークブログ】住宅セーフティネット法改正案について各党に要請書を提出しました!

このたび、法案が衆議院国土交通委員会で審議されるのにあたり、参考人として招致されることになりました。

本日4月7日(金)午前9時から、坂庭国晴さん(国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事)、浅見泰司さん(東京大学大学院工学系研究科教授)とともに、参考人として10分間の意見陳述を行ない、その後、各議員からの質疑を受けました。

坂庭さんは、「住まいの貧困」の解消に向けた社会運動を一緒に進めている仲間でもあるので、二人で役割分担を行ない、私は若年の低所得者層の「住まいの貧困」の実情と住宅支援の必要性を中心に発言しました。

委員会の場で配布したパワーポイント資料をもとに、発言の要旨をお知らせします。

 

・1990年代半ばから路上生活者など住まいを失った生活困窮者の相談支援を行なってきたが、活動の中で日本の福祉政策・住宅政策の縦割りの弊害を常に感じてきた。

・ヨーロッパでは「福祉は住宅に始まり、住宅に終わる」と言われてきた。日本でも「居住福祉」の理念に基づく政策が必要とされている。

・2007年に住宅セーフティネット法が施行されたが、生活困窮者支援の現場で、この法律に基づく仕組みはほとんど機能していない。


・2009年に『ハウジングプア』という書籍を出し、世代を越えて「住まいの貧困」が広がっていることを問題提起した。

・「ハウジングプア」とは、「貧困ゆえに居住権が侵害されやすい場所で起居せざるをえない状態」を指し、狭い意味での「ホームレス」だけでなく、ネットカフェや脱法ハウス、派遣会社の寮などにいる人たちも含んでいる。

・「住まいの貧困」の全体像を明らかにする調査を行ない、その上で対策を行なうべきだと提言してきた。

・だが、こうした「住まいの貧困」の全体像に迫る調査は未だ行われていない。

・2007年の厚生労働省による「ネットカフェ難民」調査も一度だけで、しかも対象は「ネットカフェに週3、4日以上寝泊まりしている不安定就労者」に限定されている。

・新たな住宅セーフティネット事業を実施する前提として、「住まいの貧困」の全体像に迫る実態調査は不可欠。国土交通省だけでなく、生活困窮者支援を管轄する厚生労働省と合同で調査を実施するべき。

・定期的に調査を実施することで、住宅セーフティネット事業の効果測定も可能になる。


・行政が調査をしないので、民間で実施した調査として「若者の住宅問題」調査がある。

・首都圏・関西圏の低所得の若者を対象に住宅状況を聞いたところ、全体の6.6%がネットカフェ生活や友人宅での居候など「広い意味でのホームレス」を経験していることが判明。親と別居して、自分でアパートやマンションなどを確保している層では、13.5%が「ホームレス経験あり」と回答した。


・同じ調査では、結婚に関する意向も質問したが、約7割が結婚に消極的・悲観的な回答。住まいの確保もままならない中、将来の見通しが立たない若者が多いと見られる。これは日本社会の持続可能性が危機にさらされていると言っていい状況。

・先日発表された国立社会保障・人口問題研究所の調査でも「生涯未婚率」が過去最高(男性約23%、女性約14%)になっていたが、その背景には住宅問題もある。

・欧米では家族政策、少子化対策として、若年層への住宅支援が行なわれており、日本でも若年単身者に対して低家賃の住宅を供給する政策が必要。


・厚生労働省は2015年度より生活困窮者自立支援制度を新設し、その中には住宅支援のメニューもあるが、実績は右肩下がり。その背景には、事業の使い勝手が悪く、住宅政策を管轄する国土交通省との連携が進んでいないという問題がある。


・世代を越えて広がる「住まいの貧困」を解消するためには、貧困対策としての住宅政策が必要である。


・その観点から住宅セーフティネット法改正案を見ると、不充分な点がいくつかある。

・特に家賃低廉化措置が法の条文に盛り込まれず、予算措置にとどまっているという問題は大きい。2017年度に家賃低廉化にあてられる予算は約3億円と聞いているが、これだと家賃が下がるのは2500戸程度(登録住宅全体の約1割)にとどまり、「住宅セーフティネット」と呼べる規模にならないのではないかと懸念している。

・若年層への住宅支援がどこまで進むのかも疑問であり、家賃保証会社が「追い出し屋」化しているという問題もある。

・また支援対象となる「被災者」の定義が災害発生3年以内に限定されているのも問題である。

・改正法の趣旨には賛成だが、これらの点の修正を求めていきたい。

 

参考人による意見陳述と質疑が終了した後、委員による質疑が行われ、住宅セーフティネット法改正案は全会一致で可決されました。
法案が修正されなかったのは残念ですが、私たちの懸念している点を踏まえた附帯決議も全会一致で採決されました。

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衆議院国土交通委員会:住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

一 本法による住宅セーフティネット機能の強化とあわせ、公営住宅をはじめとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努めること。

二 低額所得者の入居負担軽減を図るため、政府は必要な支援措置を講ずること。

三 高齢者、低額所得者、ホームレス、子育て世帯等の住宅確保要配慮者について、入居が拒まれている理由など各々の特性に十分配慮した対策を講ずること。

四 住宅確保要配慮者が違法な取立て行為や追い出し行為等にあわないよう、政府は適正な家賃債務保証業者の利用に向けた措置を速やかに講ずること。

五 住宅セーフティネット機能の強化のためには、地方公共団体の住宅部局及び福祉部局の取組と連携の強化が不可欠であることから、政府はそのために必要な支援措置を講ずること。

六 災害が発生した日から起算して三年を経過した被災者についても、必要が認められるときには、住宅確保要配慮者として支援措置を講ずること。

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今後、議論は参議院に移っていきますが、住宅セーフティネット機能の強化に向けて、さらに議論が深まることを願っています。

※附帯決議の文面を追加しました(4月7日14:37)

3月29日(水)生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟の第4回口頭弁論に集まろう!

提言・オピニオン

※当初、チラシに3月29日(木)と記載されていました。正しくは3月29日(水)です。お詫びして、訂正いたします。

私も応援している生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟の第4回口頭弁論が、3月29日(水)11時から、東京地裁1階の103号法廷で開かれます。

傍聴をご希望の方は、早めに東京地裁の正門前に(地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ)にお集まりください。

口頭弁論終了後は、報告集会も予定されています。ぜひご注目ください!

http://blog.goo.ne.jp/seihohassaku/e/4feb4808ccd62d14b1dceb80024c384b

2013年8月1日以降3回にわたって実施された生活保護基準の引下げは憲法25条違反だとして、都内の生活保護受給者の皆さんが、国などに対し、国家賠償と保護費減額の取消しを求めています。

「健康で文化的な最低限度の生活」の保障をないがしろにさせないためにも、ぜひ傍聴に来ていただきたいと思います。

閉廷後、11時40分ころから、弁護士会館5階502ABC室で報告集会を行いますので、こちらにもご参加をお願いします。

近く、市民による「支える会」の結成も予定しており、会場で入会を受け付けます。

【弁護団・原告団・支える会連絡先】
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1丁目17番10号 エキニア池袋6階 城北法律事務所内
生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟弁護団
電話03-3988-4866(担当=平松・木下)

フェイスブックもよろしくお願いします。https://www.facebook.com/hassakusosho/

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住宅セーフティネット法改正案は「住まいの貧困」解決の切り札となるのか?

提言・オピニオン

住宅セーフティネット法改正案が閣議決定

今年2月3日、政府は住宅セーフティネット法の改正案を閣議決定しました。

国土交通省:「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定

2007年に制定された住宅セーフティネット法は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」という長い正式名称を持ちますが、条文は12条しかない短い法律です。しかし、改正案は5倍以上の64条まで膨らみ、ほとんどの条文が新設されることになりました。

改正案では、高齢者、障害者、子育て世帯、被災者、低額所得者などを「住宅の確保に特に配慮を要する者」(以下、「要配慮者」とする)と定義し、これらの人たちが民間の賃貸住宅市場で住宅を借りにくくなっている状況を踏まえ、空き家を活用した要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設するとしています。
具体的には、都道府県が一定の基準を満たした空き家を登録する制度を作り、登録住宅の情報開示と賃貸人の監督をおこなうこと、登録住宅の改修費を住宅金融支援機構の融資対象に追加すること、都道府県が指定した「居住支援法人」が入居相談や家賃債務保証等をおこなうこと、生活保護世帯が登録住宅に入居する際の家賃の代理納付をおこなうこと等が改正案に盛り込まれています。

法案から抜け落ちた「家賃低廉化」

増え続ける空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度の創設は、私自身も提言してきたことであり、国が本腰をあげたことは大いに歓迎したいと思います。

しかし、国土交通省がこれまでプレスリリースしてきた新事業の案と今回の改正法案を比較すると、一部の項目が抜け落ちてしまっていることに気付きます。

最も問題なのは、家賃低廉化に関する条文がどこにも見当たらないことです。家賃低廉化とは、登録住宅の家賃を下げるために、国と地方自治体が月2万ずつ、合計4万円を家主に補助する仕組みで、当初、国土交通省は公的な補助をおこなうことで低家賃の住宅を供給するという点を強調していました。ですが、出来上がった法案の中には家賃低廉化に関する条文が抜け落ち、家賃低廉化は予算措置によって実施するとしています。

 

昨年12月22日の国土交通省資料では、低額所得者への支援が強調されていた(赤線は引用者)

 

改正法案の資料では、家賃低廉化は目立たないように記載(赤線は引用者)

同様に、家賃債務保証料の補助や改修費の補助についても、来年度予算案には盛り込まれているものの、法案の中には書き込まれていません。

法律に明記されず、予算措置にとどまるということは、家賃低廉化等の補助は「いつでもやめられる」ということを意味します。おそらく、予算が膨らむことを恐れた財務省サイドの意向もあり、法案には書き込まないということになったのでしょう。

このことは、新たな住宅セーフティネット事業の将来に暗雲をもたらしかねないと私は懸念しています。

家賃が安くなるのは全体の1割だけ?

政府は要配慮者向けの空き家登録制度は公営住宅を補完するものだと説明しています。そして、2017年度の下半期から事業をスタートさせ、毎年5万戸のペースで新規に住宅を登録し、2020年度末までに17・5万戸まで登録戸数を増やすとしています。

登録住宅の供給目標をきちんと掲げたことは評価すべきことですが、他方で、登録住宅のうち、家賃低廉化の補助が実施される住宅の戸数目標は出ていません。

2017年度予算で家賃低廉化のために概算要求されている予算は約3億円ですから、これを単純に割ると、最初の半年間(2017年10月~2018年3月)で家賃低廉化がなされるのは約2500戸ということになります。年間ベースで5000戸ですから、登録住宅全体の1割しか家賃は安くならないという設計です。

この程度の規模では、「住宅セーフティネット」という名前にふさわしいとは言えないでしょう。

一部の地方自治体では、「空き家バンク」等の名称で空き家の登録制度をすでに設けているところもあります。しかし、実際に各地の「空き家バンク」のホームページを見ると、低家賃帯の住宅は少なく、低所得者のニーズに応えられる物件はほとんどない場合が多いと私は感じています。

「住宅確保要配慮者」の定義は非常に広く、低所得ではない高齢者や子育て世帯等も「要配慮者」として位置づけられています。昨今の賃貸住宅市場ではこれらの人たちも住宅を借りにくくなっているので、その点では効果のある事業になるのかもしれません。

しかし、住宅セーフティネット機能を強化すると言うのであれば、低家賃の住宅がふんだんに供給されるようにならなければ、「看板倒れ」と言われても仕方ないでしょう。

法案の修正を求めて、集会を開催します!

この改正案の国会での審議は4月頃に始めると言われていますが、私が世話人を務める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」では、家賃低廉化補助の明記など、法案の修正を求めて各政党に働きかけることにしました。

【住まいの貧困に取り組むネットワーク】住宅セーフティネット法改正案について各党に要請書を提出しました!

3月21日(火)には集会も開催いたしますので、ぜひご注目ください。

◎住宅セーフティネット法改正案を考える院内集会
日時:2017年3月21日(火)12時30分~15時30分
場所:参議院議員会館地下1階B107会議室    
内容:国会議員各氏のあいさつ、基調報告、講演、当事者・各界からの報告・発言など
主催:住まいの貧困に取り組むネットワークなど

 

「他人事ではない」「構造的な問題」~お揃いジャンパー問題に各地の福祉事務所職員は何を思ったのか?(下)

提言・オピニオン

小田原市の福祉事務所職員が「保護なめんな」と書かれたお揃いのジャンパーを作り、生活保護世帯の訪問をしていた問題。

全国の法律家、研究者、NPO関係者らでつくる生活保護問題対策全国会議が小田原市長に提出した「公開質問状」では、ジャンパーに書かれた内容は「『利用者のウェル・ビーイング を支援する』というソーシャルワーク共通の価値観にも真っ向から反するもの」であると批判しています。

他地域の福祉事務所で働いている公務員の皆さんは、この問題をどのように考えているのかを知りたく、6人の方(現役5人、元職員1人)にコメントを寄せてもらいました。

前半の3人のご意見はこちらをご覧ください。

小田原市の「保護なめんな」ジャンパー問題、各地の福祉事務所職員は何を思ったのか?(上)

背景には構造的な問題がある。

4人目の方は、東京都内の福祉事務所で働くベテラン職員で、保護係長も務めたことのある人です。

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大変残念な事件です。自治体職員といえども、全員が福祉に詳しい訳ではありません。社会福祉法では、福祉事務所職員(ケースワーカー等)は社会福祉主事の任用資格が必要としています。

しかしながら、保護担当職員の4分の1は任用資格が無いというのが現実です。さらに、国家資格であり、専門家ともいえる社会福祉士は50人にひとりしかいません。

生活保護の仕事には専門性が求められ、他の法律や制度にも精通していることが必要です。なにより社会福祉や貧困問題についての正確な理解も必要です。それなのに、充実した研修も受けられず、正確な法の理解を欠いたまま仕事をさせられている自治体があります。

さらに、受け持ち世帯数が標準の80世帯どころか、100世帯以上を担当している職員も多く、仕事に追われ余裕が全く無いのが実情です。あってはならないのですが、そのストレスを利用者にぶつける者も出てきます。

全国各地で利用者を劣った人間として扱う「劣等処遇」や、「水際作戦」などの違法な運用が後を絶たないのは、このような構造的な問題があるからです。専門性ある職員配置にするなど、改善を求める声をさらに上げたいと考えています。(了)

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公務員であることさえ忘れなければ

5人目の方は、都内の別の福祉事務所で長年勤め、すでに定年退職されている元職員です。この方もケースワーカーの専門性が欠けていることを問題にされています。

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ケースワーカーである前に公務員であることさえ忘れなければ、ジャンパーがあったとしても、それを着て家庭訪問などしないだろう。これは人権感覚の問題である。個人というより組織の問題と捉えるべきだと思う。

このような事態が起きるたび、いつも思うのは、なぜ、ケースワーカーの専門性を問題にしないのか、ということだ。福祉の「業界」では社会福祉士、精神保健福祉士、ケアマネなどの資格要件が必要とされているのに、利用者の生活全般を支援するケースワーカーは公務員でありさえすればいい、という程度でしか考えられていない。そもそもそこがおかしい。

生活保護が発足した戦後間もない時期には、経済給付さえすれば、自ずと自立する環境があったのかもしれない。しかし、ここ10年近く、利用者は増加を続け、十分な支援ができないばかりでなく、ケースワーカーにとっても心身ともに相当な負担になっている。その結果、福祉事務所は行きたくない職場の筆頭格になった。大卒の新人を配置しなければ組織が成り立たない所もある。

ではどうすればいいのか。微かな希望かもしれないが、当面できることとして、ケースワーカーの専門職採用(人件費は事務職と同じ)や福祉職の経験者採用、そして志のある職員を配置すること。利用者ひとりひとりに合った自立支援を共有し合う風土をつくること。

専門性だけでは解決できない問題もある。ケースワーカーの負担軽減のため、国が80世帯(標準数)としている担当世帯数を減らし、業務の大半を占める事務処理(各種調査、収入認定等)を簡素化し、支援業務に振り向けること等が必要だ。そのためには、生活保護の国庫負担(現在75%)を増やし、自治体の負担を軽減するなど、ケースワーカーを増員できるような環境を作ることが欠かせない。さらに、生活保護の手前のセーフテイネット(年金、住宅等)を強化することも必要だと思う。(了)

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現場に広がる「監視・管理」の雰囲気

最後の方は、都内の福祉事務所で働く現役ケースワーカー、ペンネーム「なべ」さんです。2013年の生活保護法「改正」後に職場の雰囲気が変わった、ということを指摘されています。

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「これは、他人事ではないな」、記事を目にした時に正直に思った感想である。

たまたま、私は、比較的規模の大きい自治体の、それもゆる~い雰囲気の福祉事務所で働いているのでこの「事件」と無関係でいられたのだと思う。

小田原市の福祉事務所で働いていたら、あのひどく悪趣味なジャンパーの着用を拒否できていたどうかは自信がない。

ゴリゴリの活動家ならともかく、「良心的」で秩序に従順な公務員がこうした作風の職場に身を置いていたら、はたして「自分たちは被害者で、悪いのは受給者だ!」といった倒錯した同調圧力に抗することができたどうか、はなはだ心許ない。

福祉事務所の作風を変えていくには、自分たちの人権意識を問い直すことはもちろんだが、外からの批判を受け入れていく開かれた姿勢が必要になってくるはずだ。

考えさせられたのは、人権意識は自然に存在しないという事実である。厚労省を頂点とする生活保護行政の中だけでものを考えていくと、あっというまに人権意識は擦り切れてしまうと思う。

とりわけ、生活保護法「改正」の後は、福祉事務所の現場に援助ではなく監視・管理の雰囲気が強く覆っているように感じている。こうした流れに抗うためにも、ひとりひとりが自分の人権意識を問い直し育んでいく必要があると思う。それは、圧倒的な力関係の中で自分たちの言動が受給者へどのように受け止められるかを想像したり、そのことを同僚のケースワーカーと意識的に話し合ってみることから始まるのだと思う。

私たちは、ひとを監視するのではなく、よりよく生きるための援助をする仕事に従事していることを思い返す必要がある。そのためにも、職場に閉じこもらず外に開いていく姿勢が必要だ。

それにしても、現行での生活保護の運用の仕組みはそろそろ限界を迎えつつあるのではないか?そのことも考えさせる「事件」だと思った。(了)

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現場の心ある職員たちと共に声をあげていきます

今回、急なお願いにもかかわらず、東京と大阪の6人の職員の方(現役5人、元職員1人)からコメントをいただくことができました。ありがとうございました。

普段から、生活保護行政のあり方を厳しく批判している私の依頼に応えてくださった方々なので、皆さん、それぞれ職場では少数派として肩身の狭い思いをされている人が多いのではないかと推察します。

しかし、「監視・管理」の雰囲気が広がる各福祉事務所において、同調圧力に屈せず、本来あるべき福祉行政のあり方を追求している人たちがいる、ということは大きな希望です。

1月24日(火)には、生活保護問題対策全国会議として、小田原市の担当者との話し合いを行ないますが、小田原市役所の職員の中からも改善に向けた自主的な動きが出てくることを期待したいと思っています。

福祉事務所職員による人権侵害は小田原市だけではなく、全国各地の生活保護行政に共通する根深い「構造的な問題」として存在しています。

職員・元職員の方々が指摘されている「ケースワーカーの専門性(資格要件や研修)」、「職員配置」、「生活保護バッシングや法改悪」、「不正受給対策のあり方」等の問題について、内部の心ある人々とともに、引き続き、声をあげていきたいと考えています。

 

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