空き家活用型セーフティネット住宅が実現へ!対象者は?家賃補助はどうなる?
住まいの貧困が広がる中、国レベルで住宅セーフティネットの拡充を図る動きが本格化しています。
国土交通省に設置された「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、7月に「中間とりまとめ」を発表。
国交省はこれを受け、8月末の来年度概算要求で「子育て世帯や高齢者世帯が安心して暮らせる住まいの確保」、「民間の賃貸住宅を活用した、住宅セーフティネット制度を創設」、「サービス付き高齢者向け住宅や住宅団地に子育て支援施設の整備の推進」などに1320億円の予算を要求しました。
特に注目されるのは、空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度です。
小委員会は年内に最終とりまとめを行ない、来年国会に向け、予算案とともに関連法改正案が用意される予定です。
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しかし、この新たな住宅セーフティネット制度はまだまだ不明瞭な点がたくさんあります。
国土交通省住宅局の概算要求を見てみましょう。
子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅確保要配慮者向けの住宅(あんしん入居住宅(仮称))の改修や入居者負担の軽減等への支援を行う。併せて、居住支援協議会等による住宅確保要配慮者の円滑な入居等を図るための活動への支援を行う。
また、イメージ図によると、「あんしん入居住宅」(仮称)は以下の2種類に分かれています・
・認定あんしん入居住宅(仮称)
一定の要件を満たす子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯等向けの専用住宅
・登録あんしん入居住宅(仮称)
子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯などの入居を拒まない住宅
このうち、「国・地方公共団体による家賃低廉化補助」や「保証料等補助」を受けられるのは、「認定」の方のみとなっています。
「家賃低廉化補助」というのは、実質的な家賃補助だと考えられます。実際に低家賃になるのは「認定」だけのようです。
そうすると、「認定」の対象者や入居条件が気になりますが、「一定の要件を満たす子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯等」という書き方ではよくわかりません。
近年は、一人暮らしの若者の間でも住まいの貧困が広がっていますが、「等」の中に若年単身者が含まれるかどうかは、今の時点で明らかになっていません。
私が懸念するのは、空き家の登録制度ができて、登録される物件が増えても、実際には低所得者が入れる家賃水準の住宅がほとんど供給されず、しかもそこに入るのが公営住宅のように「狭き門」になる、という事態です。
そのためには、「認定あんしん入居住宅(仮称)」の対象者や入居資格をなるべく広くさせ、戸数も確保させる必要があります。
せっかくできる新制度を実効性のあるものにしていくためには、多くの人がこの制度に関心を持ち、声をあげていくことが必要だと考えます。
私が世話人を務める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」など3団体は、10月26日(水)に「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」と題した院内集会を参議院議員会館で開催します。ぜひご参加ください。
10・26院内集会
「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」
と き 2016年10月26日(水)13時~15時30分
ところ 参議院議員会館1階101会議室 東京メトロ「永田町」駅すぐ。
※当日は12時30分から議員会館1階ロビーで会議室への通行証を配布します。
集会の詳細は、こちら。
2016年10月7日