日々のできごと

【2017年3月6日】 デモクラシータイムスで池田香代子さんと対談しました。

メディア掲載 日々のできごと

ネット番組の「デモクラシータイムス」で、池田香代子さんとの対談を行ないました。

ハウジングファーストとカフェ事業について詳しく説明をしています。ぜひご覧ください。

 

現在、つくろい東京ファンドでは、住まいを得た生活困窮者の「仕事」と「居場所」をつくるためのカフェを開設する準備をしています。

クラウドファンディングサイトの「アップデート」コーナーではカフェができていく過程もご紹介しています。ぜひご覧ください。

「住まい」の次は「仕事」と「居場所」!ホームレス経験者が働く自家焙煎カフェを作りたい! – クラウドファンディング MotionGallery(モーションギャラリー)

【ご挨拶】もやい綱を解き放つ時~NPO法人もやいを退職しました。

日々のできごと

私、稲葉剛は本日、2017年2月28日をもって、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいを退職いたしました。また同時に、理事も退任しました。

2001年の設立以来、「共同代表」(2001~2003年)、「理事長」(2003~2014年)、「理事」(2014年~)と立場を変えながら、ずっともやいに関わってきましたが、もやいが活動拠点にしてきた「こもれび荘」が近日中に移転することが決まり、このタイミングで身を引くのが適切だと判断した次第です。

「もやい」という名前は、ロープの結び方である「もやい結び」に由来します。「もやい結び」は外部から引き離そうとする力には強いものの、自らが外そうと思った時には簡単に外せる結び方だと言われています。絆とは違う、人と人との自発的なつながりをイメージする言葉として、私はこの言葉を団体の名称に採用しました。

いま、私は自分を団体に結びつけていた「もやい綱」を解き放つ時が来たと感じています。
そう考えるに至った経緯については、また別の機会にお話できればと思います。

 

今後は、2014年に立ち上げた一般社団法人つくろい東京ファンドの活動を中心に、生活困窮者支援の活動を続けていきます。

つくろい東京ファンドでは、これまで空き家を活用した住宅支援事業を展開してきましたが、今年3月より、もやいの「こもれびコーヒー」(路上生活経験者による自家焙煎コーヒーの製造・販売事業。こもれび荘の移転とともに2016年12月で販売終了)の活動を担ってきた人たちと共に、新たに「潮の路(しおのみち)珈琲」という名称でフェアトレードコーヒーの焙煎・販売事業も行ないます。

新たに「潮の路珈琲」チームとなった皆さんとともに

4月には西武新宿線「沼袋」駅から徒歩11分の場所に「カフェ潮の路」を開設する予定で、現在、その準備のためのクラウドファンディングも行なっています。

「住まい」の次は「仕事」と「居場所」!ホームレス経験者が働く自家焙煎カフェを作りたい! – クラウドファンディング MotionGallery(モーションギャラリー)

路上生活を経験した当事者と共に新たな「仕事」と「居場所」を作り出す事業に、ぜひご協力をお願いいたします。

15年以上の間、私は「もやいの稲葉さん」と呼ばれてきました。3月からは「もやいの稲葉さん」ではなくなりますので、ご理解のほど、よろしくお願いします。

長年、慣れ親しんだ場所を離れるのは寂しいことですが、これからの旅路は楽しみでもあります。

これまでのご支援、ご協力に感謝申し上げるとともに、今後の活動にもご注目、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

2017年2月28日

稲葉 剛

 

関連記事:ホームレス経験者が働く自家焙煎カフェを作りたい! クラウドファンディングにご協力を! 

ホームレス経験者が働く自家焙煎カフェを作りたい! クラウドファンディングにご協力を!

日々のできごと

ホームレス経験者が働く自家焙煎カフェを作りたい!
クラウドファンディングにご協力を!

空き家を活用した住宅支援事業を展開中!

稲葉が代表を務める一般社団法人つくろい東京ファンドは、「市民の力でセーフティネットのほころびを修繕しよう」と合言葉に、2014年6月に設立されました。現在、東京都中野区、新宿区、豊島区、墨田区で、さまざまな生活困窮者支援団体と連携をしながら、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業を展開しています。
特に中野区の個室シェルター「つくろいハウス」(7室)を利用して、地域での生活を始めた人は2年半で30人を超えました。アパートに移った方々へのサポートも継続して行なっています。

コーヒーの自家焙煎事業とカフェを立ち上げます!

ホームレス支援において「住まい」の次に必要となるのが、「仕事」と「居場所」です。「つくろいハウス」からアパートに移った人の中は、高齢や障害のため、一般就労が難しい方が多く、社会的に孤立しがちな状況にあります。

私たちは、この課題を解決するため、西武新宿線・沼袋駅から徒歩11分の場所(住所:東京都練馬区豊玉南1-4-2)に三階建ての一軒家を確保し、コミュニティカフェ「カフェ潮の路(しおのみち)」を開設することにしました。

2017年4月にオープンを予定しているカフェは、元ホームレスの人たちが働く場であり、さまざまな人たちが出会い、交流できる居場所にしたいと考えています。

現在、「カフェ潮の路」の開設費用を集めるためのクラウドファンディンングを行なっています。SNSでの情報拡散など、多くの方々のご協力をお願いいたします。

◆クラウドファンディングのキャンペーンサイト(モーションギャラリー)
「住まい」の次は「仕事」と「居場所」!ホームレス経験者が働く自家焙煎カフェを作りたい!

3月には「潮の路珈琲」のショップサイトも開設する予定です。後日またお知らせします。

 

【2017年1月24日】 小田原市ジャンパー問題申し入れに関する各メディアの報道

メディア掲載 日々のできごと

1月24日(火)、小田原市の「保護なめんな」ジャンパー問題について、私を含む生活保護問題対策全国会議のメンバーが小田原市役所を訪れ、担当者との意見交換を行ないました。

同会議は1月20日(金)付けで小田原市に公開質問状を提出しており、2月末までに書面での回答を求めています。

生活保護問題対策全国会議ブログ:小田原市長宛てに公開質問状を提出しました

意見交換の場で、小田原市の保健福祉部長は、2月末までの書面回答を約束した上で、外部の人も入れた検証委員会を設置するつもりであること、研修を強化するなど再発防止策を徹底することなどを表明しました。

その後、行われた記者会見では多数のメディアが取材に来ていました。
以下に主な報道をご紹介します。

申し入れと記者会見の内容について、詳しく報じたのはハフィントンポストと弁護士ドットコムです。

ハフィントンポスト:生活保護「なめんな」ジャンパーは「構造的な問題」 小田原市に支援者ら申し入れ

弁護士ドットコムニュース:「保護なめんな」問題、小田原市に再発防止要望「見えないジャンパー」全国拡大に懸念

NHKも報道していますが、この問題で一貫して、「保護なめんなジャンパー」を「不正受給許さないジャンパー」と表現している点に私は疑問を持っています。

NHK:“不正受給許さない”ジャンパー 調査など申し入れ

東京新聞と朝日新聞は、私が指摘した小田原市ホームページの記載の問題についても触れています。

東京新聞:生活保護ジャンパー問題 小田原市に苦情900件超

朝日新聞:「保護なめんな」問題、職員の人権研修へ 小田原市方針

また、生活保護問題対策全国会議のメンバーとして一緒に申し入れに参加した雨宮処凛さんが「マガジン9」の連載コラムで、この問題について書かれています。非常に重要な指摘をされていますので、ぜひご一読ください。

生活保護バッシングと役所バッシングの5年周期〜「保護なめんな」ジャンパー問題に思う〜の巻-雨宮処凛がゆく!

 

関連記事:【改善させました!】「保護なめんなジャンパー」の小田原市ホームページは制度を利用させない「仕掛け」が満載だった。

 

【2016~2017冬】生活困窮者を支えるシェルター活動へのご協力をお願いします。

日々のできごと

ふとんで年越しプロジェクト2016が実施されます。

今年も年の瀬が押し迫ってきました。冬の寒さも厳しくなり、路上生活を余儀なくさせられている人たちには過酷な季節です。

この冬も、都内の生活困窮者支援団体の関係者が連携をして「ふとんで年越しプロジェクト」が実施されることになりました。

このプロジェクトは、福祉行政が機能を停止する年末年始に、各団体がネットワークを組み、独自の宿泊支援・生活支援を行うというもので、今年で4回目になります。

プロジェクトの経費を集めるためのクラウドファンディングも始まっていますので、ぜひご協力ください。詳しくは下記をクリックしてください。

ふとんで年越しプロジェクト2016 ~誰もが暖かく年を越せるように – クラウドファンディング MotionGallery(モーションギャラリー)

 

つくろい東京ファンドのシェルター事業

また、私が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドでは、年間を通して個室シェルター「つくろいハウス」(東京都中野区)を運営しています。

「つくろいハウスとは?」の説明は、以下のイラストをクリックしてください。

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「つくろいハウス」では、都内の様々な生活困窮者支援団体の紹介で、これまで2年3ヶ月の間に約70名の入居者を受け入れてきました。
利用期間は、1週間程度のショートステイ利用と、3ヶ月~半年のステップハウス利用がほぼ半々。ステップハウスとして利用して、地域のアパートに移った方も約30名になります。

アパートに移った方とも、毎月の「なべ会」の開催などを通して継続的なつながりを作っています。精神疾患や知的障害、発達障害を抱えている人も多いため、精神科のクリニックや訪問看護ステーションなどとも連携をして地域生活をサポートしています。

シェルターに入居される方の中には、着の身着のままの状態の方もいます。つくろい東京ファンドでは、必要に応じて生活保護の申請支援を行なっていますが、当面の対応として食料などの緊急支援も行なっています。

物資カンパも募集しています!

「つくろいハウス」では、以下の物品を募集しています。提供できる方がいらっしゃれば、ぜひカンパをお願いします。

◆募集する物品

・タオル、バスタオル(急募!)
・インスタント食品、レトルト食品、缶詰等の保存食(賞味期限内のもの)
・おせち料理の食材(ハム、かまぼこ等、賞味期限内のもの)
・お米
・男性用下着(新品)、靴下(新品)、Tシャツ、防寒着
・石けん、洗剤
・布団用シーツ(大きめのもの)
・クオカード
・炊飯器
・ふとん乾燥機

保管スペースが限られているため、あらかじめ、品目と数量をお問い合わせフォームでお知らせください。

【お問い合わせフォーム】 http://tsukuroi.tokyo/information/

折り返し、送付先住所をお知らせします。申し訳ありませんが、送料はご負担をお願いします。

つくろい東京ファンドでは、活動資金も募集しています。
下記の銀行口座にお振り込みの上、上記のお問い合わせフォームにご連絡ください。

◆つくろい東京ファンドの銀行口座
みずほ銀行 飯田橋支店(061)
普通 2634440 「つくろい東京ファンド」

また、クレジットカードを利用したAmazonギフト券によるご支援も可能です。下記ウィッシュリストでご購入いただけます。

「つくろい東京ファンド」Amazonウィッシュリスト

いただいたギフト券は、日々の活動で必要な物品の購入に使わせていただきます。

ぜひご協力をお願いいたします。

関連記事:【2016年9月23日】 「低所得者に住宅 自立支援」 ハウジングファーストの紹介記事が毎日新聞に掲載

関連記事:【2016年11月18日】 「『まず住まい』のホームレス支援 民間団体が試み」 ハウジングファーストの紹介記事が朝日新聞に掲載 

 

『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)が増刷!朝日新聞に書評も掲載されました。

日々のできごと

9月に上梓した稲葉剛の新著『貧困の現場から社会を変える』が、発売一ヶ月で増刷になりました。
多くの方に読んでいただき、著者としても嬉しい限りです。

貧困問題の入門書として買われる方も多いようです。国内の貧困に関心のある方、最近の貧困報道に疑問を持っている方はぜひ手にとってみてください。

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また、10月16日付けの朝日新聞書評欄に星野智幸さんによる書評が掲載されました。飯島裕子さんの『ルポ 貧困女子』とともに拙著を取り上げてくださっています。

近年強まりつつある貧困者バッシングに触れた上で、「弱者の側が自ら苦境を証明しないと理解されないというこの現状を覆す」ための「指南書」として、拙著を紹介してくださっています。

書評は以下のページで全文をご覧になれるので、ぜひご一読ください。

BOOK asahi.com 書評:『ルポ 貧困女子』[著]飯島裕子/貧困の現場から社会を変える[著]稲葉剛

11月15日(火)には、刊行記念イベントとして、その星野さんとの対談をおこないます。ぜひご参加ください(事前予約制です)。

11月15日(火) 『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)刊行記念 稲葉剛・星野智幸さん対談「生きやすい社会のつくり方」

 

鵺がつないだアートと小説~武盾一郎さん×星野智幸さんのコラボが完成!

日々のできごと

作家の星野智幸さんの自選作品集(人文書院・全4巻)の刊行が始まりました。現在、第1巻、第2巻が刊行されています。

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星野さんはホームレスサッカー「野武士ジャパン」の応援団や「路上文学賞」の選考委員を務めるなど、ホームレス支援の活動にも深く関わっていらっしゃり、私も大変お世話になっています。

星野さんの小説は、日本社会の闇の部分が投影されたものが多く、昨年刊行された『呪文』には、打ちのめされるほどの衝撃を受けました。その一方で、『夜は終わらない』(2014年)では、「読み終わりたくない」と思わせるほど、想像力あふれる世界を描いていらっしゃいます。

その星野さんの選集の装画を担当したのが、画家の武盾一郎さんです。武さんは、1990年代半ばに新宿の路上生活者コミュニティ「新宿ダンボール村」でダンボール絵画を制作していたことで知られています。

新宿西口地下道 段ボールハウス絵画集

その縁もあり、昨年刊行された私のエッセイ集『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』で、「鵺(ぬえ)」をモチーフにした装画を描いていただきました。

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昨年2月に開催された『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』の出版記念イベントでは、座談会の参加者として星野さんにお越しいただき、武さんにもスピーチをしていただきました。その場で、『新宿鵺』の原画を披露していただきました。

出版記念会の座談会 右から吉水岳彦さん、星野智幸さん、私、司会の小林多美子さん 撮影:吉田敬三

出版記念会の座談会 右から吉水岳彦さん、星野智幸さん、私、司会の小林多美子さん 撮影:吉田敬三

座談会の動画はこちらでご覧になれます。

動画で見る『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』出版を祝う会 

武盾一郎さんと『新宿鵺』原画 撮影:吉田敬三

武盾一郎さんと『新宿鵺』原画 撮影:吉田敬三

武さんの『新宿鵺』に感銘を受けた星野さんが、ご自身の選集を出版するにあたり、武さんに装画制作を依頼し、全4巻の選集の全ての表紙を武さんが担当することになりました。

拙著がきっかけとなり、武さんのアートと星野さんの小説が結びついたのは、不思議な縁を感じます。私自身は特に何もしていないのですが、嬉しい限りです。

ぜひ星野さんの選集を手に取っていただき、小説の世界とアートの世界の融合を楽しんでいただければと願っています。

 

【2016年9月23日】 「低所得者に住宅 自立支援」 ハウジングファーストの紹介記事が毎日新聞に掲載

メディア掲載 日々のできごと

2016年9月23日付け毎日新聞朝刊の「くらしナビ・ライフスタイル」欄に、「低所得者に住宅 自立支援」という記事が掲載されました。

稲葉が代表を務める一般社団法人つくろい東京ファンドの活動とクラウドファンディングが紹介されています。

 

http://mainichi.jp/articles/20160923/ddm/013/100/005000c

 低所得者に住宅 自立支援

生活困窮者や路上生活者のために住まいを確保しようという動きが進んでいる。民間団体がアパートを借り上げて困窮者に提供する「ハウジングファースト」活動を実施。国も低所得者らのセーフティーネットとして空き家を活用できないか検討中だ。

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●路上生活戻る例も

従来は施設や病院への収容が中心だったが、相部屋で人間関係がうまくいかなかったり、結局、路上生活に戻ったりする例が出ていた。ハウジングファーストでは、まず安定した住まいを提供したうえで、医療や福祉の専門家が支えていく。1990年代に米国で始まり、欧州にも広がった。しかし、住宅購入を促進する「持ち家政策」がとられてきた日本では、低所得者向けの賃貸住宅が少なく、公営住宅の倍率も高いため、住まいの対策はなかなか進んでいなかった。

このため、生活困窮者の支援団体が中心となって2014年に「一般社団法人つくろい東京ファンド」(稲葉剛代表理事)を設立。東京都中野区のアパートを借りて、路上生活者やネットカフェ難民らを支援する個室シェルターを開設した。一時的に住宅を提供し、自立へとつなげる。これまで約60人が利用したほか、新宿区や墨田区などにも施設を設置した。

●仕事探しにも利点

中野区のシェルターで暮らす派遣社員の男性(42)は、仕事が切れたためシェアハウスの家賃が払えなくなり、追い出されてシェルターを利用。その後、東京都の自立支援センターに移り、一度はアパートに入ったが、再び職がなくなり、ネットカフェ難民となったあと戻ってきた。男性は「雨露をしのげ、屋根があるところに暮らせるかどうかで天国か地獄になる。仕事探しのうえでも住所があるのは大きい」と話す。さらに、施設の集団生活でない点について「自分の好きな時間に風呂に入れたり、食事を作れたりすることも大きい」と歓迎する。

この活動の延長線上で、豊島区ではアパートを丸ごと借り上げた「ハウジングファースト東京プロジェクト」が始まっている。契約時に必要となる敷金・礼金などの資金をインターネットで募るクラウドファンディングを9月末まで続行中。稲葉さんは「低収入で自分の家は夢のまた夢という人が増えている。ネットカフェや路上と施設を行き来させるのでなく、住宅のセーフティーネットが必要だ」と訴える。市民団体「住宅政策提案・検討委員会」の14年の調査では、年収200万円未満の20〜30代の若者の77・4%が親との同居を余儀なくされている。独立して住居費を払うのは困難だからだ。今後、親の高齢化が進めば、老朽化した住宅の修繕も難しくなり、相続税が払えず手放さざるを得ないケースが多発すると予想される。

●空き家の活用検討

一方、国土交通省の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、低所得の高齢者についても、賃貸住宅の大家が家賃滞納や孤独死のリスクから入居を拒むケースがあると指摘。さらに、生活保護受給世帯を著しく狭い住宅に住まわせて不当な利益を得る「貧困ビジネス」の存在も問題視している。

検討会では、公営住宅は建て替え優先で大幅な増加が見込めない一方、民間の賃貸住宅も供給が進んでいないと分析。空き家や民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティーネットの強化策を議論した。今後は住宅情報を都道府県または市町村に登録する仕組みを作り、家賃負担が困難な世帯には比較的低家賃が期待できる空き家の活用を促す。住宅改修や家賃の低廉化のために、地域の実情に応じて自治体が支援する仕組みも作れるようにする。

9月5日には国会内でシンポジウムが開かれ、低所得者対策に取り組んでいる韓国・ソウル市住宅供給公社の担当者も参加した。ソウル市では住宅費補助のほか、団地内の作業場を活用した雇用創出にも取り組んでいるという。担当者は「仕事がないと家賃が払えないので自分たちで働いて住めるようにしている」と説明した。ミニ図書館をベースにしたコミュニティー作りもしているという。住宅を確保した後に、どのような支援ができるかは、日本でも課題になりそうだ。【柴沼均】

 

※ハウジングファーストの実現をめざすクラウドファンディングは、9月30日までおこなっています。引き続き、ご協力をお願いいたします。詳細は下記をクリックしてください。

路上からアパートへ!東京・池袋でハウジングファーストを実現したい! – クラウドファンディング MotionGallery(モーションギャラリー)

 

関連記事:【2016年8月29日】 「路上生活者に『まず住まいを』」 ハウジングファーストの紹介記事が東京新聞に掲載

関連記事:「空き家活用+家賃補助」の新たな住宅セーフティネット整備へ! 

新著『貧困の現場から社会を変える』が刊行されました!

日々のできごと 書評・関連書籍

稲葉剛の新著『貧困の現場から社会を変える』が刊行されました。

ブラック企業対策プロジェクト主催の連続講演会(全6回)の講演録をもとに、大幅に加筆・修正して完成させました。私自身がこの二十余年の間に行なってきた生活困窮者支援の活動を紹介しながら、「生活保護」、「バッシングと差別」、「住まいの貧困」、「自立支援」といったテーマについて考察しています。

最終章では、『下流老人』(朝日新書)の著者であり、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典さんとの対談が収録されています。

「国内の貧困問題について学びたい」という方、「自分も何かアクションを起こしてみたい」という方に、ぜひ読んでいただければと思います。ご協力ください!


 

POSSE叢書

貧困の現場から社会を変える
稲葉剛(著/文)
発行:堀之内出版

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176頁  並製
価格 1,800円+税

ISBN 978-4-906708-61-1 C0036

発売日 2016年9月15日

 

【紹介】

政治だけじゃない。
貧困が広がる社会を、私たち自身が変えることができる。

下流老人、貧困女子……。一億総中流社会の崩壊がより深刻な今、貧困問題はだれにとっても人ごとではありません。ではどのようにしたら、そうした問題を解決したり、未然に防いだりすることができるのでしょうか。長く貧困問題の現場に関わり、さまざまな提言や制度改革に取り組んできた著者が記す、貧困社会を変える希望の1冊。用語解説もつき、中学生くらいからでもよみやすく、わかりやすい内容です。

【目次】

第1章 私が取り組んできた生活困窮者支援
第2章 権利としての生活保護
第3章 バッシングと差別
第4章 拡大する住まいの貧困
第5章 自立支援を問う
第6章 対談・藤田孝典×稲葉剛

【著者プロフィール】

稲葉剛(イナバツヨシ)

1969年広島県生まれ。NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事。著書に『鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために―野宿の人びととともに歩んだ20年』(エディマン、2014年)、『生活保護から考える』(岩波新書、2013年)、『ハウジングプア』(山吹書店、2009年)など。

【2016年8月29日】 「路上生活者に『まず住まいを』」 ハウジングファーストの紹介記事が東京新聞に掲載

メディア掲載 日々のできごと

2016年8月29日付け東京新聞朝刊の特報面に「路上生活者に『まず住まいを』 『ハウジングファースト』の挑戦」という記事が掲載されました。稲葉が代表を務める一般社団法人つくろい東京ファンドの活動とクラウドファンディングが紹介されています。

 

路上生活者に「まず住まいを」 「ハウジングファースト」の挑戦
支援団体 ネットで資金集め 都内にアパート1棟用意

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路上生活者(ホームレス)の支援は、安心して暮らせる住まいの確保を最優先に―。欧米で生まれた「ハウジングファースト」という理念に基づき、支援団体によるプロジェクトチームが、都内のアパート1棟を借り上げた。家賃の原資はインターネットを通じた募金で、市民の善意が路上生活者支援につながる仕組みだ。(池田悌一)

東京都豊島区の住宅街にある単身用の四室が入った二階建てアパート。七月上旬から、ここの一室(四畳半)で暮らす四十代の男性は心の病などもあり、以前は路上生活をしていた。
「風呂やトイレが自由に使えるのがうれしい。ソーシャルワーカーもしょっちゅう訪ねて来てくれるので、いろいろな相談に乗ってもらえる。最近は簡単な仕事にも挑戦しようと思って、倉庫業の面接を受けたところだったんです。」

厚生労働省の審議会は昨年、「身元保証への懸念などから障害者や高齢者で、特に単身世帯の入居を拒否する実態が一部に見受けられる」と指摘した。路上生活者の場合、入居はさらに難しい。

そこで、医療関係のNGOや一般社団法人など六団体からなる「ハウジングファースト東京プロジェクト」がアパート一棟を丸ごと借り上げ、また貸しをるすことにした。主に知的障害や精神障害のある路上生活者に部屋を提供する。

プロジェクトに関わる精神科医の調査では、路上生活者の三割に知的障害があり、精神障害がある人も目立ったという。

入居後はソーシャルワーカーら医療関係者を定期的に派遣し、将来的には自立を目指す。豊島区を「モデル支援」先に選んだのは、区内の池袋が路上生活者の多い街だからだという。

いまは、初期費用などの寄付を、ネットを使ったクラウドファンディングで募っている。プロジェクトの住宅支援部門を担う一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さん(47)は「寄付者は百人を超えた。目標の百万円よりあと少し。ハウジングファーストの理念が浸透しつつある」と手応えを感じる。

行政の路上生活者支援は「まずは施設に入居させ、その後アパート移行を目指す」ステップアップ方式を採ることが多い。問題は、その過程で「貧困ビジネス」が介在する危険性があることだ。生活保護費の大半を宿泊所の寮費として徴収されたり、相部屋にされて人間関係のトラブルなどに巻き込まれたりし、「脱落して路上生活に戻る人が多い。特に障害のある人では顕著だ」と指摘する。

稲葉さんは「プライバシーが保たれた居室での生活は、ゴールではなくスタート」と考える。「つくろい東京ファンド」では先行して2014年から、路上生活者への居室の提供をしてきた。「作業所でコツコツ働くなど、生き生きとした生活を取り戻している人もいる」という。

「従来のステップアップ方式では、路上生活者の自立につながらないことが多い。結局、社会的コストの無駄遣いにもつながっている。政府は空き家の利用も一案として、住まいの提供を最優先する施策にかじを切るべきだ」

 

※クラウドファンディングは、9月末までおこなっております。引き続き、ご協力をお願いいたします。詳細は下記をクリックしてください。

路上からアパートへ!東京・池袋でハウジングファーストを実現したい! – クラウドファンディング MotionGallery(モーションギャラリー) 

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