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新著「貧困パンデミック ― 寝ている『公助』を叩き起こす」、7月末に刊行されました!

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拙著「貧困パンデミック ― 寝ている『公助』を叩き起こす」が7月末に明石書店から刊行されました!

コロナ禍での生活困窮者支援活動のかたわら、ウェブ媒体で発表してきた記事を中心に活動報告と政策提言をまとめました。
ぜひ多くの方に読んでいただければと願っています。

※画像をクリックすると、明石書店のサイトに移ります。

稲葉剛「貧困パンデミック ― 寝ている『公助』を叩き起こす」

2020年来のコロナ禍は、女性や若者等の貧困問題を可視化させた。長年、住居支援を中心に困窮者支援に取り組んできた著者が、コロナ禍の生活困難層への支援活動の記録を綴り、すべての人に健康で安全な生活が確保されるため必要な政策について提言する。

ISBN 9784750352398
判型・ページ数 4-6・224ページ
出版年月日 2021/07/31

新著『閉ざされた扉をこじ開ける~排除と貧困に抗うソーシャルアクション』(朝日新書)、3月13日刊行です!

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拙著『閉ざされた扉をこじ開ける~排除と貧困に抗うソーシャルアクション』が3月13日、朝日新書から刊行されます。

朝日新聞社のオピニオンサイト「論座」で、3年以上にわたって連載をしているシリーズ「貧困の現場から」の記事をもとに、最新の情報や活動報告を加えて、大幅に加筆・修正した内容になっています。

すでに予約も始まっているので、ぜひお買い求めください。

 

 

全国書店ネットワークe-honサイトはこちら。

 

『閉ざされた扉をこじ開ける~排除と貧困に抗うソーシャルアクション』 

著者:稲葉剛

本体790円+税(計869円)

新書: 224ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2020/3/13)

ISBN-10: 4022950595
ISBN-13: 978-4022950598

《内容紹介》
住宅確保は自己責任とされ政策として意識されたことのない日本。
住まいの貧困に取り組む著者は、
住宅確保ができずに路上生活から死に至る例を数限りなく見てきた。
支援・相談の現場歴二十余年の経験から、「2020以後」の日本社会に警鐘を鳴らす。

《目次》

はじめに   

第1章 2020年東京五輪の陰で排除される人々  

・池袋西口公園から消えた路上生活者
・新国立競技場建設に伴う排除
・都営霞ヶ丘アパートの取り壊し
・追いやられる原発事故避難者
・「祝賀資本主義」の弊害
・命と安全を守る意識が欠如した台東区
・カジノ問題で揺れる横浜・寿町
・ホームレス問題とギャンブル依存症の深い関連
・立教大学におけるカジノ推進イベント
・犯罪歴のデジタルタトゥー
・貧困状態を固定化しかねない「バーチャルスラム」
など

第2章 世代を越えて拡大する住まいの貧困  

・今晩から野宿になるとブログで報告した若者
・親元から出ることができない若者たち
・困難極める単身高齢者の部屋探し
・障害者差別解消法は入居差別をなくせるか
・新たな住宅セーフティネット制度
・外国人への入居差別
・LGBTの住まい探しの困難
・「LGBT支援ハウス」開設
・住宅政策を選挙の争点に
など

第3章 最後のセーフティネットをめぐる攻防  

・「私は人間だ、犬ではない」
・立川市生活保護廃止自殺事件調査団の結成
・「保護なめんな」ジャンパーの衝撃
・「生活保護受給者」から「生活保護利用者」 へ
・自民党の公約実現のための生活保護基準引き下げ
・厚生労働官僚はどのように痕跡をもみ消したのか
・「貧困スパイラル」という「悪魔のカラクリ」
・「健康で文化的な生活」とは?
など

第4章 見えなくさせられた人たちとつながる  

・『路上脱出ガイド』を作成、無償配布
・待っているだけでは出会えない少女たち
・漂流する妊婦を支える
・新たな基金を作り、緊急宿泊支援に助成
・「障害の社会モデル」、変わるべきは社会環境だ
・健康格差を生じさせる社会的要因
・貧困対策にも分断が持ち込まれている
・誰も路頭に迷わせない東京をつくる
・新宿で「年越し大人食堂」を開催
など

おわりに   

【2018年5月27日】毎日新聞書評欄で『ハウジングファースト』が紹介されました。

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2018年5月27日付け毎日新聞朝刊「今週の本棚・新刊」欄で、稲葉剛・小川芳範・森川すいめい編『ハウジングファースト~ 住まいからはじまる支援の可能性』(山吹書店・JRC)が紹介されました。

https://mainichi.jp/articles/20180527/ddm/015/070/032000c

今週の本棚・新刊
『ハウジングファースト 住まいからはじまる支援の可能性』=稲葉剛ほか編

毎日新聞 2018年5月27日 東京朝刊
(山吹書店・2808円)

米国で開発された「ハウジングファースト」。本書によると、路上生活者や精神科病院の入院患者らにまずは住まいを提供し、福祉や医療の専門家による支援サービスを実施して自立を促進する方式をいう。この方式を日本でも本格導入し、社会復帰しやすい仕組みをつくるべきだとの提言をまとめた一冊だ。

編者は、長年、路上生活者らの支援に取り組む団体のスタッフや医師ら。米国で開発された同方式が、社会復帰に効果を上げている実例やデータを提示。その一方で、寮生活を送りながら就労支援を受け、仕事を得てからアパートに移り住むという「ステップアップ方式」が主流の日本では、集団生活になじめない人たちがドロップアウトし、再び路上生活に戻る実情を訴えている。

編者の稲葉剛氏は「ハウジングファーストは、パターナリズムから抜け出せずにいる日本の社会福祉や精神医療のあり方に変革を迫る」と強調する。今後、社会保障費の上昇が懸念される中、施設からの社会復帰を手助けする同方式は、一つの解決策や処方箋となりえるのではないか。福祉関係者らにとって必読の一冊といえる。(武)

関連記事:稲葉剛・小川芳範・森川すいめい編『ハウジングファースト』、好評発売中です!

 

生田武志×稲葉剛『当たり前の生活って何やねん?! 東西の貧困の現場から』、6月2日刊行!

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尊敬する社会活動家の生田武志さんとの対談が本になりました。

 

昨年9月に大阪で開催された生田さんと私のトークセッション「当たり前の生活って何やねん?! 東西の貧困の現場から」は、ソーシャルワーカーの鶴幸一郎さんが中心となって企画され、会場では芦田麗子さんがコーディネイトをしてくださいました。

前半は生田さんと私の対談。後半は会場の参加者の皆さんからも様々な意見が出て、白熱した議論になりました。
この本は、このトークセッションの内容をまとめたもので、書籍化にあたり、埼玉大学の高端正幸さんが解説を書いてくれました。

読みやすい内容なので、ぜひ多くの方に手に取っていただければと願っています。
Amazonではすでに予約受付が開始されています。

 

 

『当たり前の生活って何やねん?! 東西の貧困の現場から』
生田武志 (著), 稲葉 剛 (著), コーディネート:芦田麗子 (著), 解説:高端正幸 (著)

【書籍情報】
単行本: 92ページ ¥ 972
出版社: 日本機関紙出版センター; 初版 (2018/6/2)
ISBN-10: 4889009590
ISBN-13: 978-4889009590
発売日: 2018/6/2

【内容紹介】
大阪と東京で、ともに路上生活者支援から貧困問題に関わることになった2人が、支援を通じて感じる「生きづらさ」「当たり前の生活」、そして「自己責任社会の罠を乗り越えるためにできること」について語り合った。

【著者について】

生田武志
1964年生まれ。同志社大学在学中から釜ヶ崎の日雇労働者・野宿者支援活動に関わる。2000年、「つぎ合わせの器は、ナイフで切られた果物となりえるか?」で群像新人賞評論部門優秀賞。2001年から各地の小、中、高校などで「野宿問題の授業」を行う。野宿者ネットワーク代表。一般社団法人「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」代表理事。「フリーターズフリー」発行人。
著書に『〈野宿者襲撃〉論』(人文書院、2005)、『ルポ 最底辺 不安定就労と野宿』(ちくま新書、2007)、『貧困を考えよう』(岩波ジュニア新書、2009)、『おっちゃん、なんで外で寝なあかんの?―子ども夜回りと「ホームレス」の人たち』(あかね書房、2012)、『釜ヶ崎から 貧困と野宿の日本』(ちくま文庫、2016)など。

稲葉 剛
1969年生まれ。東京大学在学中から平和運動、外国人労働者支援活動に関わり、1994年より東京・新宿を中心に路上生活者支援活動に取り組む。2001年、湯浅誠とともに自立生活サポートセンター・もやいを設立。2014年まで理事長を務める。一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人、生活保護問題対策全国会議幹事、「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」理事など。
著書に『ハウジングファースト』(共編著、山吹書店、2018)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版、2016)、『生活保護から考える』(岩波新書、2013)、『ハウジングプア』(山吹書店、2009)など。

芦田麗子
1973年生まれ。龍谷大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻修士課程修了。神戸親和女子大学講師。社会福祉士。大阪のDV 被害者サポートグループCOSMO で、立ち上げから解散までの12年間、ボランティアスタッフとして暴力被害を受けた女性や子どもの支援に関わる。現在は一般社団法人シンママ大阪応援団理事として活動中。『シングルマザーをひとりぼっちにしないために』(日本機関紙出版センター、2017)を監修。

【目次】

はじめに

第1章 ともに路上生活者支援から始まって

第2章 質問に答えながら考える

おわりに

解説 自己責任社会の罠を乗り越えるために(高端正幸)

関連記事:90年代の新宿ダンボール村を振り返る動画が公開されました。

 

稲葉剛・小川芳範・森川すいめい編『ハウジングファースト』、好評発売中です!

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稲葉剛・小川芳範・森川すいめい編『ハウジングファースト~ 住まいからはじまる支援の可能性』(山吹書店・JRC)が4月20日に刊行されました。

 

「ハウジングファースト」の全体像を紹介する本を日本で初めて出したい!という思いから、私が1年半前に立案。関係者に声をかけて、お忙しい中、書いていただきました。

編集は、NPO法人TENOHASIのソーシャルワーカーの小川芳範さん、ハウジングファースト東京プロジェクトの代表医師である精神科医の森川すいめいさんと共に行いました。

出版は、拙著『ハウジングプア』を2009年に出していただいた山吹書店にお願いしました。

この本は、欧米で始まっているホームレス支援の革新的手法「ハウジングファースト」の理論と実践を日本で初めて紹介した書籍になります。
東京で「ハウジングファースト」型の支援を実践している医療・福祉関係者、アメリカのハウジングファーストを研究している研究者など、計10名が執筆を担当しています。

精神科医で、近年は「オープンダイアローグ」の紹介者として知られる斎藤環さんからは、素晴らしい推薦文をいただきました。

住まいは「尊厳」であり、住まいは「自由」だ。
つまり住まいは人間の条件なのだ。
オープンダイアローグやハームリダクションといった「新しい人間主義」の最先端、それがハウジングファーストなのである。-斎藤環

生活困窮者支援や生活保護の関係者だけでなく、精神保健医療福祉、障害者福祉、住宅セーフティネットといった分野において実践や研究をしている方、これらの分野に関心のある学生さんや一般の方々に読んでいただきたいと願っています。

よろしくお願いします。

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『ハウジングファースト~ 住まいからはじまる支援の可能性』

稲葉 剛 (著, 編集), 森川 すいめい (著, 編集), 小川 芳範 (著, 編集), 熊倉 陽介 (著), 山北 輝裕 (著), 吉田 涼 (著), 小林 美穂子 (著), 大澤 優真 (著), 渡邊 乾 (著), 高橋 慎一 (著)

欧米で始まっているホームレス支援の革新的手法「ハウジングファースト」の理論と実践を日本で初めて紹介した本
ハウジングファーストとは、無条件に、安定した住まいを提供する。「安定した住まいを得たいか否か」、問いはそれだけ。 得たいならば、住まいを支援する。そして、必要に応じて、本人のニーズにもとづいた支援をする。支援と住まいは完全に分けられる。 支援がなくても住まうことができ、住まいを失っても支援を利用することができる。それが、ハウジングファーストである。

価格:¥ 2,808
単行本(ソフトカバー): 224ページ
出版社: 山吹書店
ISBN-10: 4865380698
ISBN-13: 978-4865380699
発売日: 2018/4/20

目次
はじめに 「ハウジングファースト」という試みが始まっている(森川すいめい)
第1章 ハウジングファースト型のホームレス支援のエビデンスとその実践(熊倉陽介+森川すいめい)
第2章 パスウェイズ・トゥ・ハウジングとハウジングファースト(山北輝裕)
第3章 国内におけるホームレス対策の進展とハウジングファースト~東京23区における状況を中心に(稲葉 剛)
第4章 貧困ビジネス施設の実態(吉田 涼)
第5章 「自分の部屋が欲しい」―かなえてあげられなかったあなたへ(小林美穂子)
第6章 ハウジングファーストの人間観と支援アプローチ(小川芳範)
第7章 ホームレス状態にある人に対する居住支援の現状と課題~つくろいハウスの実践を通して(大澤優真)
第8章 日本の精神科医療とハウジングファースト(渡邊 乾)
第9章 ハウジングファーストと障害者自立生活運動(高橋慎一)
第10章 拡大する「住まいの貧困」とハウジングファースト(稲葉 剛)
◎ハウジングファースト東京プロジェクトのご紹介
おわりにかえて(稲葉 剛)

関連記事:ハウジングファーストを紹介する動画がアップされました!

 

『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)が電子書籍化されました。

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2016年に上梓した拙著『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)は、順調に版を重ねてきましたが、このたび、電子書籍版(Kindle版)が発売されました。

貧困問題の入門書として、学生さんなど、この問題に初めて触れる方に広く読んでいただいています。

まだの方はぜひこの機会にお読みいただければと思います。よろしくお願いします。

以下の画像をクリックすると、Amazonのページに行きます。

【書籍紹介】

政治だけじゃない。貧困が広がる社会を、私たち自身が変えることができる。下流老人、貧困女子……。一億総中流社会の崩壊がより深刻な今、貧困問題はだれにとっても人ごとではありません。ではどのようにしたら、そうした問題を解決したり、未然に防いだりすることができるのでしょうか。長く貧困問題の現場に関わり、さまざまな提言や制度改革に取り組んできた著者が記す、貧困社会を変える希望の1冊。用語解説もつき、中学生くらいからでもよみやすく、わかりやすい内容です。

 

私の書いた本では、他に『生活保護から考える』(岩波書店)、『英語のおさらい』(自由国民社)も電子書籍版(Kindle版)が出ています。

ちなみに『英語のおさらい』は、私が学習塾講師をしていた時の経験に基いて書いた「大人が中学英語をやりなおす」というコンセプトの本です。貧困問題に関する内容ではないので、お間違えなく。

関連記事:『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)が増刷!朝日新聞に書評も掲載されました。

関連記事:【2016年10月22日】 『SYNODOS』にインタビュー記事が掲載

 

小田原市ジャンパー問題を検証する書籍が出版されました!

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全国の福祉関係者に衝撃を与えた小田原市「保護なめんなジャンパー」問題の発覚から半年が経ちました。

今年春、小田原市はこの事件を検証する検討会を設置し、検討会は画期的な内容の「報告書」を発表しました。

このジャンパー問題の核心に迫り、検討会報告の意義についてまとめた書籍が出版されました。私も「『住まいは人権』が欠如した小田原市生活保護行政の問題点」という文章を寄稿しています。

ぜひご一読ください!以下の画像をクリックすると、出版社のサイトに移ります。

「生活保護なめんな」ジャンパー事件から考える-絶望から生まれつつある希望
生活保護問題対策全国会議/編著
尾藤廣喜、小久保哲郎、田川英信、藤藪貴治、渡辺潤、橋本真希子、西田真季子、稲葉剛、雨宮処凛、吉永純/著

A5判/144頁  2017年7月発行
1500円(税別)
ISBN978-4-87154-152-7

小田原市で発覚した衝撃の「生活保護なめんな」ジャンパー事件…。 生活保護利用者を侮蔑するジャンパーなどを10年もの間、職員は身にまとい続けることができたのか? 問題の核心はなにか? 全国の福祉現場に「見えないジャンパー」は蔓延していないか? 小田原市ジャンパー事件発覚を契機に、生活保護行政の問題点と改善の道筋を、生活保護利用者、弁護士、研究者、福祉職員、ジャーナリストが考え合い、提起する話題の労作。

その後、小田原市では画期的な検証作業によって、生活保護行政が大きく改善されようとしている。それは、「絶望から生まれつつある希望」でもある。その詳細を、本書は網羅する。 「検証委員会報告書」、改訂『生活保護のしおり』も全文収録。

【目次】

はじめに   「生活保護なめんな」ジャンパー事件をどう見るか ………尾藤廣喜

1章 ジャンパー事件の背景、その後の経緯、そして改善への課題………小久保哲郎
2章 改善された小田原市『生活保護のしおり』………田川英信
3章 全国の「見えないジャンパー」問題を解決するために………藤藪貴治・渡辺 潤

寄稿
◆小田原市生活保護問題について感じたこと、考えたこと……橋本真希子
◆背景にある生活保護バッシング……西田真季子
◆「住まいは人権」が欠如した小田原市生活保護行政の問題点……稲葉 剛
◆変わり始めた小田原市……雨宮処凛

終章 小田原市「生活保護行政のあり方検討会報告書」を片手に、
利用者と「ともに命を輝かす」ケースワーカーに………吉永 純

検討会報告書、改訂『生活保護のしおり』全文所載

 

新著『貧困の現場から社会を変える』が刊行されました!

日々のできごと 書評・関連書籍

稲葉剛の新著『貧困の現場から社会を変える』が刊行されました。

ブラック企業対策プロジェクト主催の連続講演会(全6回)の講演録をもとに、大幅に加筆・修正して完成させました。私自身がこの二十余年の間に行なってきた生活困窮者支援の活動を紹介しながら、「生活保護」、「バッシングと差別」、「住まいの貧困」、「自立支援」といったテーマについて考察しています。

最終章では、『下流老人』(朝日新書)の著者であり、NPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典さんとの対談が収録されています。

「国内の貧困問題について学びたい」という方、「自分も何かアクションを起こしてみたい」という方に、ぜひ読んでいただければと思います。ご協力ください!


 

POSSE叢書

貧困の現場から社会を変える
稲葉剛(著/文)
発行:堀之内出版

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176頁  並製
価格 1,800円+税

ISBN 978-4-906708-61-1 C0036

発売日 2016年9月15日

 

【紹介】

政治だけじゃない。
貧困が広がる社会を、私たち自身が変えることができる。

下流老人、貧困女子……。一億総中流社会の崩壊がより深刻な今、貧困問題はだれにとっても人ごとではありません。ではどのようにしたら、そうした問題を解決したり、未然に防いだりすることができるのでしょうか。長く貧困問題の現場に関わり、さまざまな提言や制度改革に取り組んできた著者が記す、貧困社会を変える希望の1冊。用語解説もつき、中学生くらいからでもよみやすく、わかりやすい内容です。

【目次】

第1章 私が取り組んできた生活困窮者支援
第2章 権利としての生活保護
第3章 バッシングと差別
第4章 拡大する住まいの貧困
第5章 自立支援を問う
第6章 対談・藤田孝典×稲葉剛

【著者プロフィール】

稲葉剛(イナバツヨシ)

1969年広島県生まれ。NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事。著書に『鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために―野宿の人びととともに歩んだ20年』(エディマン、2014年)、『生活保護から考える』(岩波新書、2013年)、『ハウジングプア』(山吹書店、2009年)など。

27ヶ月かかりましたが、増刷になりました!

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拙著『生活保護から考える』(岩波新書)が第2刷になりました!

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この本は、生活保護法の改悪案が国会で審議されている時期に緊急出版したものです。第1刷の発行は2013年11月なので、2年3ヶ月かけて増刷になったことになります。

時間はかかりましたが、多くの方に読んでいただいたことは著者としては嬉しい限りです。大学などでの社会福祉関連の授業で、テキストとして使用してくださっているところも多いようです。

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時間はかかりましたが、生活保護制度や利用者に関する誤解やデマをなくしていくために、末永く活用してもらえると嬉しいです。

まだの方はぜひこの機会にご一読ください。

『生活保護から考える』目次

はじめに

第1章
崩される社会保障の岩盤
「働いた者がバカを見る制度」なのか/猛暑の夏に起こったこと/夏季加算の新設を求めて/安倍政権による基準引き下げ/基準部会の検証は活かされたか/小泉政権における老齢加算廃止/なぜ2008年と2011年を比較するのか/生活扶助相当CPIの算出方法/脅かされるいのちと暮らし/子どもたちの将来に与える影響/排除されるボーダー層/「補足性の原理」とは/制度から排除によって何が起きるのか/ほかの制度への波及/就学援助の縮小と最低賃金への影響/物価上昇政策がもたらすこと/資産要件の厳しさ/医療費を支払うと……/封印された「ナショナルミニマム」/強行された基準引き下げ

第2章
届かない叫び声
切符を渡されて、たらい回しに/厚労省による是正指導/窓口で行なわれる虚偽の説明/「水際作戦」の背景にあるもの/不正受給キャンペーンから123号通知へ/餓死、路上死の増加/自治体ごとの恣意的な判断基準/「ヤミの北九州方式」/裏と表の使いわけをする厚労省/厚労省の通知が生活保護利用者を増やしたのか/生活保護の捕捉率/生活保護制度の認知度が低い/貧困を直視しない政治/相対的貧困率の発表/スティグマを強化させた生活保護バッシング/生活保護の現物給付化案/国連からの勧告/「裏システム」の「表」化に動き出した政府

第3章
家族の限界
親族間の暴力と支配/「私」を、「親密」と「個」に/生活保護を活用して親子を分離する/芸能人親族の生活保護利用/扶養義務を強化する法改正/生活保護と扶養義務との関係/扶養義務が「優先」に/公的扶助と私的扶養の線引きのわかりにくさ/中途半端に終わった民法改正/諸外国では/貧困の世代間連帯が悪化/生活保護世帯の高校生の声/障がい者の自立生活にも影響/扶養義務強要は家族関係を破壊/DV・虐待の被害者に深刻なダメージ/社会問題を「私的領域」に押し込める/自民党のめざす社会保障ビジョン/「日本型福祉社会」の崩壊/家族の支え合いの限界/「社会保障と税の一体改革」の変質/「絆原理主義」

第4章
当事者の一歩
当事者が声をあげられない/親の介護のために離職/初めての路上生活/路上からの生活保護申請/生活保護利用者への就職差別/当事者の支え合いをつくる/福島からの避難者を支援/「一人ひとり、その人にあった言葉をかけてもらいたい」/精神疾患で働けなくなり/生活保護を利用している自分を肯定できない/二度目の生活保護申請/当事者の声を政策に/生活保護利用者によるデモ/身体障がい者の当事者として/福祉予算削減の動きに懸念/当事者としてロビー活動に参加/数ある制度の一つとして

第5章
問われる日本社会
自民党議員による人権制限論/小野市の福祉制度利用者「監視」条例/1950年の生活保護法の抜本的な改正/利用者バッシングと社会保障費抑制/問題だらけの生活保護法改正案/切り縮められた「自立」概念/生活困窮者自立支援法案の問題点/貧困をなくすための総合的政策を/「生活保障法」へ/ケースワークの質の確保/世帯単位の緩和/生活保護利用者は「徴兵逃れ」か/石原吉郎の語る「弱者の正義」/基準引き下げに対する不服審査請求

『すぐそばにある「貧困」』(大西連 著)が刊行されました!

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認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長が『すぐそばにある「貧困」』(ポプラ社)を上梓しました。

NPO法人もやいの理事長は、設立以来、私が務めていたのですが、昨年夏に世代交代をおこない、20代の大西君が二代目の理事長に就任しました。

理事長交代時におこなった新旧理事長対談はこちらでご覧になれます。

もやい理事長交代記念 対談×大西連(前編)

もやい理事長交代記念 対談×大西連(後編)

『すぐそばにある「貧困」』は、その大西理事長の初の単著になります。

貧困問題についてのわかりやすい入門書であると同時に、20代の若者がさまざまな事情により生活に困窮した人々と出会いながら成長をしていく、という物語としても読むことができます。

私も重要な登場人物の一人として出てくるのですが、若干、キャラ設定が実物と違うので、ご注意ください(苦笑)。2010年に出会った当時、彼からはつっけんどんに見えたのかもしれませんが…。

ぜひ多くの方々に読んでいただきたい本です。

この本を読んでから、拙著『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』や、もやい編『貧困待ったなし』を読むと、生活困窮者支援の歴史的なつながりが見えて、興味深いと思います(宣伝ですが…)。

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【著者からのメッセージ】

初の単著となる『すぐそばにある「貧困」』(ポプラ社)が刊行されました。企画から足かけ3年の月日を経て、無事に出版となりました。

「貧困」というテーマで本を書く。それは、つらく苦しい作業でした。
はじめて新宿の炊き出しに参加した22歳の冬から今までに出会ったすべての人のことを思い返しながら、これまで歩んできた月日を振り返り、貧困の現場で見てきたこと、経験してきたことを率直につづった本です。

僕の生い立ちを含めた原点から、炊き出し、夜回り、生活保護の申請同行、越年越冬、相談会などなど。路上で、相談の現場で出会った一人ひとりとのストーリーを丁寧に描きました。

ぜひ、手に取ってもらえたらと思います。

なかなか大きな書店にしか並ばないかもしれませんので、Amazonをご利用の方はこちら↓

多くの方に手に取っていただけたら幸いです。
よろしくお願いします。

以下ご案内です。転送転載大歓迎です。

*******************

すぐそばにある「貧困」
大西 連/著

発行 ポプラ社
9月8日刊行 四六判並製 288頁
定価:本体1,500円(税別)
ISBN978-4-591-14656-9

GDP世界第3位、豊かな日本の見えない貧困に20代にしてNPO法人「もやい」理事長の著者が迫る!

ホームレス問題、ネットカフェ難民、若年失業者、DV被害者の苦悩、元暴力団員の更正、不正受給や水際作戦の実態、誰かを支援することの難しさ。ふとしたことから路上支援の世界に飛び込むことになった20代の著者が、その目で見てきた生活困窮者たちの人生と、支援現場での葛藤を描く。子どもや女性といったわかりやすいテーマに留まらない、日本の貧困の全体像に迫った衝撃のノンフィクション。

ポプラ社紹介ページはこちら。

==以下内容紹介==

■6人に1人が貧困?
GDP世界第3位、豊かな日本の見えない貧困に迫る!

「兄ちゃん、あんたはまだ若い。俺たちみたいにはなるなよ」(第1章 路上)
「あんた……そんな理由で偽名を使ったのか……?」(第4章 不正受給)
「このまま殺されたほうがラクなんじゃないかとさえ、思ったんです」(第6章 若者)
「どうして私はこうなっちゃったんだろう」(第8章 家族)
「私たちは、恥ずかしい存在なのでしょうか?」(第10章 バッシング)

2006年、当時の総務大臣は次のような発言をした(同年6月16日付『朝日新聞』)。
「社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はこの国にはないと思います」

では本当に、日本に貧困問題は存在しなったのだろうか?
もしそうだとして、じゃあ、いま目の前で、困っているこの人たちはなんなのだろう?

いま、僕たちと貧困を隔てる壁は、限りなく薄く、もろく、そして見えづらくなっている。
もはや「貧困」は、別の誰かの話じゃない。
誰の身にもふりかかる、すぐそばにあるものなのだ……。

■20代にしてNPO法人「もやい」理事長、初の書き下ろし!

ホームレス問題、若年失業者、DV被害者の苦悩、元暴力団員の更正、生活保護の不正受給や役所の水際作戦の実態――
日本の生活困窮者支援の最前線を担うNPO法人「もやい」理事長の著者が直面した、生活に困窮してしまった人たちの人生や支援現場での葛藤をありのままに描く衝撃のノンフィクション。

エピソードメインなので、今までの貧困本は難しくて読めなかった、という人にも読みやすく、「生活保護ってどんな制度?」「不正受給ってどれくらいあるの?」といったテーマ別のコラムも充実。
子どもや女性といった特定のテーマにとどまらない、日本の貧困問題の全体像を把握するのに最適な1冊となっている。

■大西連(おおにし・れん)
1987年東京生まれ。
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長。新宿ごはんプラス共同代表。
生活困窮者への相談支援活動に携わりながら、
日本国内の貧困問題、生活保護や社会保障制度について、
現場からの声を発信、政策提言している。
Twitter:@ohnishiren

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