メディア掲載

【2015年1月13日】 東京新聞:15年度予算案 住宅扶助、冬季加算カット 「命にかかわる」

メディア掲載

15年度予算案 住宅扶助、冬季加算カット

「命にかかわる」 生活保護受給者から悲鳴

14日に閣議決定される2015年度予算案で、生活保護費のうち住宅扶助と冬季加算の支給カットが決まり、生活保護受給世帯からは「ますます生活が苦しくなる」「命にかかわる」と懸念する声が上がっている。

(中略)

家賃に相当する住宅扶助は、7月に引き下げ開始予定。厚生労働省は、国費ベースで15年度に約30億円、18年度には約190億円の抑制を見込む。

受給者を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事は「受給者の多くは、国が定めた最低居住面積の水準を満たす住居で暮らせないでいる。住まいの支援充実が先決なのに削減はおかしい」と批判する。

冬季加算は15年度に総額約30億円を削減するが、これも受給者を追い詰めかねない。11月から3月に必要な暖房費として支給されるが、寒冷地では「それだけでは灯油代を賄いきれない」との声が上がる。湯たんぽで体を温めて節約したり、隙間風が入り込む老朽化したアパートで我慢したりする人もいる。

稲葉さんは「冬季加算を住宅扶助と一緒に削ると、冬場の生活が一気に苦しくなる人が出てしまう。生命の危機にもかかわる問題だ」と訴える。(共同通信配信記事)

※関連記事:【2014年10月13日】 東京新聞:生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?

※関連記事:住宅扶助基準引き下げに反対する申し入れと記者会見

 

 

 

【2014年12月23日】 東京新聞:住まいの貧困 生活基盤の崩壊が心配

メディア掲載

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014122302000135.html (一定期間が過ぎるとリンクが消えます)

【社説】住まいの貧困 生活基盤の崩壊が心配

2014年12月23日

貧困や格差、非正規雇用の広がりで、年金の少ない高齢者だけでなく、若い世代にも安定した住まいを持てない人が増えている。雇用や福祉の支援に加え、住まいを保障する政策が求められる。

貧困のために安定した住まいを持てない「住まいの貧困」の問題で、ホームレスやネットカフェ難民は一つの断面でしかない。

敷金礼金がいらず、ビルの一室を仕切って窓もない「脱法ハウス」や、劣悪な環境に高齢者を詰め込む「貧困ビジネス」も次々に明るみに出た。

貧困や格差の広がりは、問題を身近な人にまで及ばせる。

年金の少ない単身高齢者は家主が建て替えをする際の立ち退きや、家賃上昇などで、住まいを失い、入居拒否にもあいやすい。民間賃貸会社のアンケート調査によると、単身高齢者の入居を断っていると答えた割合が少なくない。

保証人がいないことも理由にされやすく、困窮者を支援するNPO「もやい」(東京)は、年間延べ三千件の生活相談を受けており、住まいの問題も多い。相談者には、高齢者だけでなく母子家庭や若い人も目立っている。

働く人の三割が年収二百万円以下という若い世代は、自分で住まいを借りたり、持つことが難しくなっている。

「ビッグイシュー基金」が首都圏と関西圏に暮らす年収二百万円以下の未婚の二十~三十代、約千七百人から回答を得たインターネット調査によると、6・6%がホームレス状態を経験したことがあると答えた。生活が厳しいと答えた人も半数を超えた。親と同居しているために窮状が隠れている。

住まいは暮らしの基盤になる。日本は雇用と福祉の施策が中心だが、生活保護を受けるほどに困窮しなければ住居費の援助を受けられないのでなく、まず住宅を保障する政策が必要ではないか。

住まいがあれば仕事を探して生活を立て直し、貧困から抜け出すこともできる。

日本の公的賃貸住宅は4%。政策の整った欧州で、ドイツは社会賃貸住宅が二割、家賃補助制度も二割が受けている。
注目したいのは空き家だ。全国で13・5%に上る。所有者の理解を得て活用を進めてほしい。

NPOや自治体に家主が協力し、空き家を困窮者のシェルターなどに活用するケースが出ている。貧困を拡大しないためにも、こうした支援を積極的に進めてほしい。

【2014年12月22日】NHK NEWS WEB:若者の低所得層 7割が結婚に消極的か悲観的

メディア掲載

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141222/k10014170781000.html(一定期間が過ぎるとリンクが消えます)

若者の低所得層 7割が結婚に消極的か悲観的

12月22日 7時35分

若者の低所得層 7割が結婚に消極的か悲観的

未婚で低い所得の40歳未満の若者を対象にした民間団体の調査で、4人に3人が親と同居し、7割以上が結婚に消極的か悲観的な見方をしていることが分かりました。
背景には経済的に親元を離れられない事情などがあるとみられ、専門家は「雇用に加えて、親から独立して生活の土台となる住まいを確保できる新たな住宅政策が必要だ」と指摘しています。

この調査は、認定NPO法人「ビッグイシュー基金」が、若者の貧困の問題を「住まい」の視点から捉えようと、ことし8月、首都圏と関西圏に住む20歳から39歳で年収200万円未満の未婚者を対象に行い、計1767人から回答を得ました。

4人に3人は親と同居

4人に3人は親と同居
まず、現在の住まいについて尋ねたところ、親との同居率が77%を占め、単身者は18%にとどまりました。
一般的な同世代の同居率とされる62%よりかなり高く、経済的な事情で親と同居して生活を維持している姿がうかがえます。
仕事の雇用形態については、無職が39%と最も多く、働いていてもパート・アルバイトなどが38%、契約・派遣社員などが9%と、安定性を欠く雇用が目立ちました。
正規社員は8%にとどまり、自営業・自由業が6%でした。

結婚に消極的か悲観的7割超

また、結婚について尋ねたところ、「結婚したいと思わない」が34%と最も多く、「将来結婚したいが、できるかわからない」が20%、「将来結婚したいが、できないと思う」が19%と、結婚に消極的か悲観的な回答が7割以上に達しました。
「わからない」が18%で、「結婚したいし、できると思う」は7%、「結婚の予定がある」は3%にとどまりました。
特に親と同居している若者に限ると、「結婚したいが、できないと思う」や「結婚したいと思わない」の割合が高くなりました。
さらに幸福な生活のために重要なことを尋ねたところ(複数選択)、「健康であること」(82%)に続いて、「安定した住まい」(48%)と「安定した仕事」(47%)が上位を占めました。

「社会持続のための新たなサイクルを」

「ビッグイシュー基金」は、学者や路上生活者の支援者などによる「住宅政策提案・検討委員会」を設置して今回の調査結果の分析などを進めてきました委員長を務めた神戸大学の平山洋介教授は、戦後の日本社会の、結婚して安定雇用で所得を増やし持ち家を購入するというライフコースを若い世代が取れなくなったと指摘し、若い世代を支えて社会を持続させる新しいサイクルを作る必要があると強調しています。

少子化対策の意味も含めて安定した住まいの確保が重要だとし、「OECD加盟国で家賃補助制度がないのは日本と地中海の国しかなく、家賃補助制度や空き家の活用などを考えるべきだ」と話しています。

また、路上生活者の支援などに取り組むNPO法人「もやい」理事の稲葉剛さんは「親との同居率の高さに驚いた。また、調査結果の中には親と別居している人たちの8人に1人が広い意味でのホームレス状態を体験したというデータもあり、ホームレス化のリスクで親から離れられない状況もあると考えられる。親の家の老朽化で修繕費が賄えるかなど将来のリスクもあり、対応が必要だと思う」と話しています。

【2014年11月30日】 中日新聞:「家族のこと話そう」 稲葉剛

メディア掲載

11月30日付け中日新聞・東京新聞の「家族のこと話そう」欄に、稲葉剛のインタビュー記事が掲載されました。

************************************

家族のこと話そう:稲葉剛 被爆体験語った母

 

ものごころがついたころに父は家におらず、母と姉、兄、祖父母と暮らしていました。両親は離婚して、父は「たまに会うおじさん」という感じ。小学校の途中で祖父母は引っ越していきました。母がスナックのママをして一家を支えてくれました。

私が強い影響を受けたのは母です。母は10歳のとき広島原爆を体験。疎開先の小学校の校庭できのこ雲をみたそうです。母のおばと幼なじみの友だちが亡くなり、母も数日後に広島市内に行って、「入市被爆」しました。知り合いの人の顔がやけただれ、誰かわからなかったそうです。

そんな話を、何かのおりにぽつりぽつりと口にする。「戦争は嫌だ」と話していました。原爆についてよく話し合う家族で、毎年の8月6日の午前8時15分にはテレビをつけて黙とうしていました。8歳上の姉は高校生の時、NHKの番組で平和への願いをしゃべったことがあり、外国人に広島の慰霊碑を案内するボランティアをしていました。

私は小学校の時、アニメの「宇宙戦艦ヤマト」が好きでした。ある日、日本軍の戦艦図鑑を見ていたら、姉から「人を殺す道具だよ」と言われたんです。母は勉強についてうるさいことは言いませんでした。私は中学・高校時代は私立高校で寮生活。家族とは夏休みなどに帰省したときに話すぐらいになりました。

大学入学後、平和運動に加わったのは、広島出身の被爆二世としての問題意識があったから。1991年の湾岸戦争では、学生を集めてデモをしました。新宿駅西口で段ボールハウスの野宿者たちが東京都に強制排除されたニュースを見て、野宿者の支援活動を始めた。強制排除反対の活動で警察に逮捕されそうになったこともあり、母や姉には心配をかけました。

平和運動と貧困者支援は、「人の命が理不尽に奪われている」という点で共通しています。野宿の人が凍死や餓死したりする。戦争と同じようなところがあると…。当時の自治体窓口は、生活保護の申請を受け付けない「水際作戦」を今より強力に行っていました。それで仕方なく路上生活をする人がいます。

私は大学に6年いて、東京大大学院に進んだのですが、活動が忙しくやめてしまいました。姉に強く反対されましたね。折に触れて「もやい」の会報を送り、自分たちの活動を取り上げた新聞記事のコピーも送っています。今も広島在住の母がカンパしてくれることもあり、理解してくれているようでうれしいです。(聞き手 白井康彦)

 

【2014年11月30日】 高知新聞:困窮者に住宅支援を NPO理事講演 路上生活予防訴え

メディア掲載

困窮者に住宅支援を
NPO理事講演 路上生活予防訴え

東京都で路上生活者の支援活動を行うNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」理事の稲葉剛さんの(45)が29日、高知市内で講演し、「路上生活になるのを予防する活動が必要」とセーフティーネットの充実を訴えた。

稲葉さんは1994年から支援活動を始め、2001年に「もやい」を設立。アパート入居の際に必要な保証人となるほか、生活保護の申請に同行するなどしている。年間700~900世帯が相談に訪れるという。

「ホームレス状態からの脱却を支援して」と題した講演では「仕事と住まいは、人々の生活を支える2本柱。それがここ20年でやせ細ってきている」と指摘。非正規労働者が増加し、仕事と住まいを同時に失ってしまう状況を説明した。

稲葉さんは「困窮者にとって、生活保護が最初で最後のセーフティーネットになっている」とも話し、「住所や住民票がないと仕事も探せない。低廉で質のいい住宅を(行政が)提供すべきだ」と強調した。

講演会は、県内でホームレス支援など貧困問題に取り組む「こうちネットホップ」(代表:田中きよむ・高知県立大学教授)が主催し、約50人が参加した。(真崎裕史)

 

【2014年10月3日&17日】ダイヤモンドオンライン「生活保護のリアル」にインタビュー記事掲載

メディア掲載

10月3日、ダイヤモンドオンラインのみわよしこさんによる連載記事「生活保護のリアル」政策ウォッチ編・第79回に稲葉剛へのインタビューに基づく記事が掲載されました。

ぜひご一読ください。

以下のタイトルをクリックすると、リンク先に移ります。

生活困窮者の自立にはまず“住まい”が必要? 定員7名の個室シェルター「あわやハウス」の試み

10月17日の第81回には、つくろい東京ファンドの個室シェルター「あわやハウス」の訪問記が掲載されました。

あわせてご覧ください。

なぜ生活困窮者のアパート入居は困難を極めるか? 個室シェルター「あわやハウス」見学記

 

参考記事:貧困ジャーナリズム大賞2014発表!生活保護問題に挑む書き手たち

【2014年10月13日】 東京新聞:生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?

メディア掲載

10月13日付け東京新聞朝刊の特報面に「生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?」という記事が掲載されました。

私のコメントに関わる部分を中心に以下に転載します。

************************************

【特報】
生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき
高額印象 国が誘導?

生活保護の住宅扶助の上限額を引き下げようという議論が、厚生労働省社会保障審議会の部会で起きている。低所得の世帯よりも生活保護受給者の住む住宅の家賃が高いという指摘があるためだが、「根拠が不明確だ」と意見する委員もいる。支援者は「上限は高くない。削減ありきの議論はやめるべきだ」と訴える。 (白名正和)

東京単身5.3万円「範囲内の物件少ない」

生活保護受給者の家賃は国と自治体が全額を負担している。「住宅扶助特別基準額」の名称で、厚生労働省が都道府県、政令市、中核市ごとに上限を定めている。

約23万世帯の受給者が暮らす東京都の都心部は基準額の上限が全国で最も高い。一人暮らしが53700円、2~6人の家族が69800円、7人以上の家族なら83800円。上限内の住宅を受給者自身で探す。都保護課は「高い設定ではない。23区内でこの額の住宅が潤沢にあるとは思えない。引き下げで住み慣れた地域をやむなく離れる人も出るのでは」と話す。

(中略)

低所得者と比較「意図的数値」

引き下げ論議の根拠の一つが、財務省が作成した資料だ。2009年の全国消費実態調査に基づき、年収300万円未満の2人以上世帯の平均家賃が38000円と指摘。生活保護の住宅扶助基準額の上限で算出した46000円と比べると、約二割、8000円高い。

財務省の資料は5月の社会保障審議会の部会で厚労省保護課から示された。しかし、「低所得世帯には公営住宅に住む世帯も含まれている」「上限額と平均値を比べても、あまり意味をなさない」「二割の違いを出発点とするのは非常に意図的なミスリーディング」などと批判する委員が少なくなかった。

花園大(京都市)の吉永純教授(公的扶助論)は「住宅扶助基準額はあくまでも上限。満額の人ばかりではなく、扶助額の実態はもっと低い」と指摘する。

実は、厚労省は毎年、実態調査をしている。11年は、民間の住宅に住む受給者で、住宅扶助基準額の上限の95%以上が支払われていたのは全体の約四割。65~95%もほぼ同じ約四割だった。

(中略)

住環境・貧困ビジネス…実情無視

NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛さんは「家賃が住宅扶助基準額の上限より低くても、大家が上乗せすることがある」と指摘した。受給者は物件を探しきれず、やむなく応じるケースがある。大家にピンはねされているのに似た状況だ。

上限を超えるような場合は、超えた分を管理費などとして別にし、何とか入居するケースもあるという。超過分は受給者が生活費から捻出する。

(中略)

生活保護は昨年8月から三年かけて、生活費にあたる生活扶助基準を段階的に引き下げ中だ。全体で670億円の減額で、受給者全体の96%が影響を受ける。新たな負担となる以上、稲葉さんは「生活保護の議論が、削減ありきになっているように思う。実態に即した判断をしてほしい」と指摘した。

 

関連記事:住宅政策という「パンドラの箱」を開けよう!

関連記事:【2014年10月7日】NHK NEWS WEB:“最低限”の住まいの行方は

 

【2014年10月7日】NHK NEWS WEB:“最低限”の住まいの行方は

メディア掲載

10月7日付けのNHK NEWS WEBに「“最低限”の住まいの行方は」という記事が掲載されました。
生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに関する記事で、稲葉剛のコメントも掲載されています。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1007.html (一定期間が過ぎるとリンクが消えます)

“最低限”の住まいの行方は

生活保護を受ける人に支給される費用のうち食費や光熱費に当たる「生活扶助」が去年から段階的に引き下げられています。
ことしに入ってからは、さらに住宅費部分を見直す議論も進み、生活保護の受給者や支援団体から「最低限度の住生活を保障するという考えが抜け落ちている」などと反発の声が強まっています。
ネット報道部の山田博史記者が取材しました。

被災地の路上生活からアパートへ

「生活保護はありがたい制度ですが、住宅費や生活費がこれ以上減るのは厳しいです」。
仙台市で生活保護を受けて暮らす50代の男性が漏らしました。
東日本大震災で仕事と住まいを失い、市内の公園で初めて路上生活を始めました。
おととし暮れに路上生活者の支援団体に勧められて生活保護を受けることになりましたが、住まいがなかなか見つからず、さらに2か月、路上生活が続きました。

仙台市の場合、生活保護を受ける単身者に支給される住宅費の上限額は3万7000円。
震災後、住宅不足が続いた仙台市で、この条件での部屋探しは難航しました。
男性を支援した「宮城県生活と健康を守る会連合会」の山脇武治事務局長が、ようやく築30年以上のアパートの1室を探しました。
男性は現在、入浴は週2回、日中は電気を消して読書をするなど、生活を切り詰めながら過ごしています。
「アパートが古くて2階から生活音が響いたり結露したりと、厳しい面もありますが、住まいがあるのはありがたいです。ただ、生活はギリギリです」。

「部屋が見つからなくなる」

男性の部屋を探した「宮城県生活と健康を守る会」の山脇さんは、震災後、被災地の低所得者を巡る住宅事情は大きく変わったといいます。
震災後5か月ごろからつきあいのある業者を回っても全く物件がなくなり、相談を受けても断るしかない状況が続いたと言います。

おととし、石巻市の70代の男性から相談を受けたときは、住宅事情がより厳しい石巻での部屋探しは無理だと判断し、仙台に出て来てもらってなんとか確保しました。
山脇さんは「今は新築物件が次々と建てられていますが、生活保護世帯が入居できる物件はまずなく、特に単身者は厳しい。これで例えば住宅費の上限額が10%削られて3万3000円台にでもなればとても部屋は見つかりません。被災地では弾力的に運用してほしいと思っているのに、本気で引き下げようとしているのでしょうか」と話します。

生活保護“抑制”の流れ

生活保護費が年間で3兆7000億円にも上る中、国は事実上、抑制の動きを強めています。
すでに食費などに充てる「生活扶助」は、去年から3年で約670億円減らすことが決まり、受給者は最大で10%減額されることになっています。
さらに去年6月に経済財政諮問会議に示されたあと閣議決定した「骨太の方針」で生活保護のさらなる見直しが打ち出されました。

この流れを受けて厚生労働省が学識者を集めて設置している審議会の生活保護部会で、住宅費に当たる部分や暖房費に充てる冬季加算の見直しについての議論が慎重に進められています。
議論の進め方に委員が疑問を示す場面もあり、5月の会議では、生活保護の住宅費基準額(上限額)が、低所得世帯(世帯収入300万円未満)の平均家賃より約2割高いという資料が示されたのに対し、委員が「上限額と平均家賃を比較するのはおかしい。意図的なミスリーディングを導く比較だ」と指摘する一幕もありました。
厚生労働省は現在、生活保護世帯が実際にどんな住居に住んでいるか、全国のケースワーカーを通して10万世帯以上を対象とした実態調査を進めていて、今月中に集計して審議会で議論してもらうことにしています。

支援団体から反発の声

こうしたなか、先月15日、東京駅に近いビルで生活保護のさらなる削減に不安を募らせる支援団体や学者など約120人が参加した集会が開かれました。

生活保護を受けている車いすの男性は、10件以上の不動産業者を回っても部屋すらなかなか見せてもらえなかった体験を話し、「住宅費を減らされてまた家を探さなければならなくなるのでしょうか」などと不安を訴えました。
また、冬季加算の見直しについて、岩手県二戸保健福祉環境センターの沼田崇子福祉課長は、「冬季加算の支給は11月から3月までですが、二戸地域では10月から6月まで暖房が必要で、灯油代も上がり現状でも足りません。減らすのはありえないと思います」と話しました。
全国の支援者らで作る生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤廣喜弁護士は「単に財政が厳しいからという発想で国の議論が進められている。最低限度の生活を保障する中で住宅をどうすべきかこそ考えるべきだ」と訴えました。

「健康被害につながりかねない」

この集会で司会を務めた「住まいの貧困に取り組むネットワーク」世話人の稲葉剛さんは、約20年間にわたって東京で路上生活者の支援などに取り組み、特に住宅問題の重要性を訴えてきました。

稲葉さんは、東京では家賃が高いうえに特に身寄りのない単身の高齢者は「倒れたら困る」などの理由で借りにくい“居住差別”を受けやすく、住宅費の上限額を超えると管理費に上乗せされてなんとか入居できるケースが珍しくないといいます。
「その場合、食費や電気代を削って家賃に回すことになりますが、住宅費部分がさらに削られると夏の熱中症など健康被害の問題になりかねません」と指摘します。
また、被災地と同様、都内では震災後、オリンピックも見据えて木造アパートをマンションなどに建て替える動きが加速しているといいます。
稲葉さんは「本来なら低所得者も入居できる公営住宅の充実など住宅政策の見直しが必要です。生活保護が使いづらくなると低所得者が都会で暮らせない状況が生まれてくると思います」と話しています。

厚労省は「削減でなく適正化」

一方、生活保護を巡る議論について、厚生労働省保護課は「最初から削減するというわけではなく、適正な額になるよう検証、見直しをかけているということです。厳しい財政の中で社会保障費も聖域ではないと厳しく言われていますが、検証結果を見て必要があれば上がる部分もあると思います」と話しています。

現在進めている調査結果を見たうえで、ことし12月に審議会に報告書を出してもらう方針で、国の来年度予算に反映される見通しです。
憲法で国民の権利とした「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられた生活保護。その中で住まいの問題がどう位置づけられるのか、国の姿勢が注視されています。

【2014年9月1日】 下野新聞:子どもと貧困 関連法改正の問題指摘 NPO理事が講演

メディア掲載

9月1日付け下野新聞に宇都宮でおこなった講演についての記事が掲載されました。

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20140901/1704307

子どもと貧困 関連法改正の問題指摘 宇都宮 NPO理事が講演

改正生活保護法と生活困窮者自立支援法について考える学習会が31日、宇都宮市中戸祭町の県労働者福祉センターで開かれた。東京都新宿区のNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事が講演。「(改正生活保護法で)扶養義務者への圧力強化は、子どもの貧困対策推進法の理念にも反する」などと2法に関する問題点を指摘。よりよいセーフティーネットの在り方を訴えた。

反貧困ネットワーク栃木主催。7月施行の改正生活保護法で、福祉事務所が扶養義務のある親族に対し、扶養できない理由の報告を求められるようになった。

稲葉理事は「問題の解決を社会でなく親族間でしなさいという風にみえる」とする。子どもの貧困対策推進法は、子どもの将来が生まれ育った環境に左右されない社会の実現を目指すが、「子どもが学習支援などを受け進学し、世帯分離しても親への扶養義務を果たせと言われ続ける。何のための支援か分からなくなる」と疑問を投げ掛けた。

また、来年4月施行の生活困窮者自立支援法では「窓口の『自立相談支援事業』が(実質的に生活保護が受給しづらくなる)新たな水際作戦の場にならないよう注視する必要がある」などと指摘した。

*関連記事:激化する「水際作戦」で排除される数百万人

【2014年8月14日】 野宿者襲撃の実態調査の結果が各メディアで報道されました。

メディア掲載

http://mainichi.jp/select/news/20140815k0000m040025000c.html

ホームレス:4割が襲撃された経験 NPO調査

毎日新聞 2014年08月14日 18時42分(最終更新 08月15日 08時54分)

東京都内のホームレスの4割が何者かに襲撃された経験があることが14日、NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(新宿区)などが実施したアンケートで分かった。都内では1995年以降、襲撃で10人のホームレスが命を落としているといい、もやいの大西連理事長は「襲撃経験者は予想以上に多かった。放置すればエスカレートする恐れがある」として行政に早急な対策を求めた。【和田浩幸】

もやいによると、襲撃経験に絞ったアンケートは全国初。6〜7月に新宿、渋谷、池袋、上野などの路上で生活する男女347人を対象に聞き取り方式で実施した。ホームレスの年齢は30〜86歳、平均59.8歳だった。

襲撃に関する問いに答えた318人のうち40%に当たる126人が、被害経験があると回答。うち22人は襲撃が「よくある」と答えた。時期は夏(57%)と春(29%)が多かった。見た目から判断した襲撃者は「子供・若者」が38%に上り、「大人」は22%だった。

襲撃人数は2人以上が75%を占め、集団で弱者を襲う構図も浮かび上がった。手口は「物を使った暴力」の37%が最多。▽水入りのペットボトルや空き缶、石などを投げる▽鉄パイプでたたく▽花火を打ち込む▽荷物に火をつける−−など悪質なケースが目立つ。殴ったり、段ボールを蹴ったりする「身体を使った暴力」と、因縁などをつける「暴言・脅迫」は、ともに25%だった。

*********************

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140814/k10013812441000.html

路上生活者の4割が襲撃受けた経験

NHKニュース 8月14日 19時48分

路上で生活をしている、いわゆるホームレスの人たちが若者らに襲われるケースが後を絶たないなか、東京都内の支援団体がホームレスの人たちに聞き取り調査を行った結果、およそ40%の人が、石を投げられるなどの襲撃を受けた経験があることが分かりました。

この調査は、東京都内でホームレスの人などを支援している団体が行ったもので、新宿や渋谷、池袋などでホームレスの人300人余りに聞き取りを行いました。
その結果、襲撃を受けた経験ついて、「よくある」が7%、「たまにある」が20%、「過去にはある」が13%と、合わせておよそ40%の人が経験があることが分かりました。
また、加害者について、「子どもや若者」が38%、「大人」が22%、「その他・不明」が40%と答えています。

具体的な襲撃の方法については、空き缶や石を投げたり、花火をうち込んだりするなど、物を使った暴力が多いことが分かりました。

60代のホームレスの男性は「夜中に突然、段ボールの中にロケット花火をうち込まれた。それ以来、夜が来るたびに不安で眠れないようになった」と話していました。

調査した団体によりますと、ホームレスの人に対する襲撃は夏場が特に多いということで、「こうした暴力が人の命を奪うことさえあることを、若者たちが認識していないとしたら恐ろしいことだ。人権について、教育現場でしっかり学べるようにしてほしい」と話しています。

*********************

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014081502000119.html

鉄パイプやロケット花火… ホームレス4割「襲撃受けた」

東京新聞 2014年8月15日 朝刊

東京都内の路上生活者(ホームレス)の四割が、暴力や花火を打ち込まれるなどの襲撃を受けた経験のあることが分かった。民間支援団体が十四日、ホームレスに聞き取りした結果を発表した。夏季に子どもや若者が複数で襲撃に及ぶケースが多いとの傾向が出ており、実態把握や差別、偏見をなくす人権教育の充実を都に要望した。

調査は六月下旬から七月中旬にかけ、台東区や新宿区など都内十数カ所で、駅や公園などで寝泊まりする約三百五十人を対象に実施。襲撃を受けた経験の有無を答えた三百十八人のうち7%が「よくある」、20%が「たまにある」と答えるなど、四割が何らかの被害を受けていた。

時期は夏57%、春29%の順で、加害者に関しては38%が見た目で「子ども・若者」と回答。75%が複数人に襲われており、「鉄パイプでたたかれた」「ロケット花火を打ち込まれた」などのケースがあった。

支援団体が十四日に都庁で開いた記者会見で、同席したホームレス男性は「五、六人に花火や石を投げ付けられ、『死ね』と言われた。毎日不安だ」と訴えた。都内では一九九五年以降、野宿をしているという理由だけで襲撃を受け、十人が死亡したという。

小中学生がホームレスについて学ぶ取り組みを始めた墨田区の事例も紹介。調査に加わったNPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長は「野宿は悪で、襲撃されても仕方ないという差別意識が背景にある。まず実態を知ってほしい」と語った。

< 1 2 3 4 5 6 >