「安全保障関連法案に反対する立教人の会」発足!声明に込められた戦争の記憶とは?

提言・オピニオン

衆議院で強行採決された安保法制に対する反対の声が広がっています。

私の所属する立教大学でも、このたび「安全保障関連法案に反対する立教人の会」を設立され、7月31日(金)に開催される「安全保障関連法案に反対する学生と学者による共同行動」に合流することになりました。

会の設立集会は、キリスト教系の大学らしく、学内のチャペルで「発足の祈り」として開催されます。

安全保障関連法案に反対する立教人の会・発足の祈り(設立集会)
日時:2015年7月31日(金)14時〜15時
会場:立教学院諸聖徒礼拝堂(チャペル)(立教大学池袋キャンパス)

「立教人の会」の声明「もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、 私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます」には、84名の教職員(チャプレンや元職の方も含む)と1つの学生団体(SPAR 平和のために行動する立教大生の会)が呼びかけ人になりました。

私はこの4月に立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科に着任したばかりで、立教にはまだ約4ヶ月しか在籍していないので、「呼びかけ人」になるのはおこがましいかとも思ったのですが、縁があって「呼びかけ人」に加えていただきました。

声明文の全文は以下のとおりです。ぜひご一読ください。

 

声明:もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、

私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます

 現在、国会では、安倍晋三政権が提出した「国際平和支援法」と 10 本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」が審議されており、衆議院平和安全法制特別委員会および衆議院本会議で採決・可決されました。これら安全保障関連法案は、日本国憲法第 9 条 に違反するものであり、日本を「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へと変えようとするものです。安倍政権がこれを、十分に説明を果たさないまま審議を打ち切り、強行採決によって可決したことは、日本の立憲主義と民主主義を破壊する行為です。

私たちの立教大学は、太平洋戦争中の 1942 年 9 月に、創立以来のキリスト教主義による教育から皇国の道による教育に教育理念を変更して戦争に協力し、多くの学生を戦地に送り出したという歴史を持っています。その罪責の自覚のもと、戦後 70 年間、立教大学・立教学院はキリストの伝える平和に根ざした教育と研究を探求してきました。

「戦争」とは決して抽象的なものではありません。具体的な名前をもった若者たちが戦場で向かい合い、殺し殺されることを意味します。そして、子どもたちを含む多くの戦争犠牲者を生み出し、いのちの尊厳を踏みにじるものです。1945 年までの戦争への反省の上に立って戦後日本が国是としてきた平和主義に逆行し、日本に戦争への道を開く安全保障 関連法案の可決に、私たちは強く抗議し、法案の即時廃案を要求します。

古代キリスト教神学者であり、哲学者であるアウグスティヌスに帰せられる言葉に「希望には二人の娘がいる。一人は怒りであり、もう一人は勇気である」とあります。私たちは、人間としてのまっとうな怒りを持ち続け、それぞれの持ち場でできることをやっていく勇気をもって行動し、発信し、希望を創り出していくために、連帯していきます。もう二度と、学生たちに武器を取らせず、戦地に赴かせないために、私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

2015 年 7 月 24 日
安全保障関連法案に反対する立教人の会

 

現在、立教大学・立教学院教職員、元教職員、学生、卒業生、その他立教に関係する方に声明への賛同を呼びかけています。賛同していただける関係者は、ウェブサイトのフォームにご記入をお願いします。

声明は、立教大学が「太平洋戦争中の 1942 年 9 月に、創立以来のキリスト教主義による教育から皇国の道による教育に教育理念を変更して戦争に協力し、多くの学生を戦地に送り出したという歴史」に言及しています。

現在、立教大学の池袋キャンパスにある立教学院展示館では、企画展「戦時下、立教の日々―変わりゆく「自由の学府」の中で」が開催されています。

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私も先日、この企画展を見学に行き、1247名もの立教大生が学徒出陣で戦地に送られたことを知りました。

展示館の常設展には、稀有な運命をたどった「寄せ書きが書かれた一枚の旗」が展示されていました。

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この「寄せ書きの旗」は、学徒出陣で出征し、戦死した渡邊太平さんが身につけていたもので、戦場で相対した米兵アール・ツヴィッキーさんのもとで60年以上保管されていたのことです。

2010年、67年ぶりに日本に帰還し、立教大学でご遺族への返還式がおこなわれました。

祈念礼拝「平和を祈る夕べ~寄せ書きの旗返還」(立教大学)

「立教人の会」の声明にある「「戦争」とは決して抽象的なものではありません。具体的な名前をもった若者たちが戦場で向かい合い、殺し殺されることを意味します。」という言葉は、大学に残る戦争の記憶を踏まえて書かれたものです。

「寄せ書きの旗」の返還に尽力された立教大学文学部長で、前副総長の西原廉太先生は、今年7月18日、安保関連法案の廃案を求める個人的な声明を発表されました。その中で、「寄せ書きの旗」をめぐる経緯について詳しく説明をされています。

西原廉太先生の「声明」

また、立教大学チャプレン団と立教大学キリスト教教育研究所(JICE)が7月17日に発表した『敗戦70年を迎えて』という声明書では、戦争中に「皇国ノ道ニヨル教育」をおこない、「創立以来のキリスト教主義大学としての教育理念を手放し、結果、多くの学生を戦地に送り出した、という過去」についての反省に立って、戦後の立教は「平和の構築に寄与する学問の探究」をおこなってきたと述べた上で、学生や教職員に対して「再び、日本が戦争に荷担し、人を傷つける蛮行へと向かわないように、しっかりと見張っていてください。」と呼びかけています。

「立教人の会」が今回発表した声明には、こうした立教大学の中で継承されてきた戦争の記憶と自らが戦争に荷担した歴史への反省が刻み込まれている、と私は感じています。

”生きる”を支える人を応援するメディア「マチバリー」が始まりました!

日々のできごと

7月19日、”生きる”を支える人を応援するメディア「マチバリー」が始まりました!

「マチバリー」は、稲葉が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドが運営するニュースサイトです。

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「マチバリー」では、首都圏で生活困窮者支援に関わる団体や個人の活動や思いを記録し、分かりやすい形で発信します。
また、生きづらい社会の中で新しい生き方を実践している人や、今現在様々な意味で困窮状態にある人、その状態にある人をお手伝いしたい人、それぞれをマッチングさせる情報を幅広くお伝えしていきます。

「マチバリー」では、すでに動画やレポート、インタビュー記事をアップしており、今後も続々とコンテンツを増やしていきます。ぜひブックマークをお願いいたします。

以下は、主なコンテンツのご紹介です。

「非効率だからこそ、誰も取り残さない空間」:のじれん・室田大樹さんが語る「渋谷の真ん中で野宿の仲間と野菜を刻みつつ紡ぐ自由」

【のじれん】ボランティアって何やってるの?~のじれん編【参加してみた】

【前半】「私が新宿ダンボール村に足を踏み入れた頃」講演:稲葉剛(ほっとプラス記念講演 生活困窮者支援の過去と未来)

【後半】「ソーシャルアクションを意図的にしかけていこう」対談:藤田孝典さん・稲葉剛(ほっとプラス記念講演 生活困窮者支援の過去と未来)

【前編】「1年で結果を出せなかったらあきらめようと思ってた」流しのマンガ描き・さいきまこさんが語る「私の綱渡りまんが道」

【後編】「この声は絶対、拾わなければ」流しのマンガ描き・さいきまこさんが語る「私の綱渡りまんが道」

 

9月13日(日)にシンポジウム『伝わりにくいものをどう伝えるか?~貧困とメディアと私たち~』を開催!

また、「マチバリー」開設を記念して、9月13日(日)にシンポジウムを開催いたします。
以下はシンポジウムの概要です。詳細が決まりましたら、またお知らせします。

 

『伝わりにくいものをどう伝えるか?~貧困とメディアと私たち~』

「マチバリー ~”生きる”を支える人を応援するメディア」スタートに伴い、関連シンポジウムを開催します。

閉塞感を増す日本社会。
その中で、貧困や差別・排除などの問題は深刻さを増しているにも関わらず、なかなか世論へ本質的な理解が深まっていきません。
未だ単純な誤解に基づいた偏見が、ネットを中心に広がっている現実があります。

そうした中で、メディアはどのような役割を果たすことができるのでしょうか。

本シンポジウムでは、様々な立場でメディアに関わり、それぞれのやり方で「伝わりにくいもの」を問題提起してきた方々をお招きして、現状の課題の整理と、今後よりよく伝えるための方法を、一緒に発見する機会に出来ればと考えています。

●シンポジスト
水島宏明さん(法政大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター)
遠藤大輔さん(ビデオジャーナリスト・ビデオジャーナリストユニオン代表)
稲葉剛さん(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事・NPOもやい理事・立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)
(その他ゲスト交渉中)

●日時
9月13日(日) 開場:13時30分 開始:14時(16時30分 終了予定)

●料金
無料

●会場
東京しごとセンター 5階 セミナー室
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋3丁目10番地3号
地図は、こちら。

・飯田橋駅から
JR中央・総武線「東口」より徒歩7分
都営地下鉄大江戸線・東京メトロ有楽町線・南北線「A2出口」より徒歩7分
東京メトロ東西線「A5出口」より徒歩3分

・水道橋駅から
JR中央・総武線「西口」より徒歩5分

・九段下駅から
東京メトロ東西線「7番出口」より徒歩8分
東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄新宿線「3番出口」より徒歩10分

CRIMELESS 事業検討委員会の委員として「意見書」を発表しました。

日々のできごと

今年3月、大阪でホームレス支援を行なってきたNPO法人Homedoorが「GPSによる治安維持とホームレス雇用の両立」(CRIMELESS事業)というアイデアでGoogleインパクトチャレンジのグランプリを受賞したことは、関係者の間で大きな議論を呼び起こしました。

防犯の見回りを実施するにあたり、事業の従事者に危険が及ぶのではないか、一般市民から情報を集めることにより監視社会の助長につながるのではないか、といった懸念や批判が多くの個人や団体から寄せられました。

そのため、NPO法人Homedoorは、今年4月、CRIMELESS事業を再考するための第三者機関として検討委員会を立ち上げました。私もこの事業には懸念を抱いており、事業の見直しを促したいと思い、委員の一人として検討委員会の議論に参加しました。

 CRIMELESS事業について検討委員会を開催することになりました(NPO法人Homedoor)

検討委員会は議論を重ねた結果、「防犯」を事業目的として掲げる以上、根本的な問題点を払拭できないことを指摘し、「防犯」に関わる事業を実施しないよう、Homedoor事務局に勧告しました。

しかし、本日7月22日、Homedoorは「Google インパクトチャレンジ受賞事業について」というウェブサイト上のリリースで、事業を一部手直ししながら「防犯」事業を実施することを表明しました。

表明された方針では、「犯罪数の減少等の目標を掲げることは行わず、地域への貢献活動としての見守り活動を主目的としていくこと」が述べられています。

個人的には「犯罪数の減少等の目標」を設定しないという点は評価したいと思いますが、「防犯」事業そのものを撤回すべきだという検討委員会の結論が反映された内容にはなっていません。

検討委員会は委員全員の連名で以下の「意見書」を発表しました。ご参考にしてください。

私個人としては事業の抜本的な見直しを実現したいと思って委員会に参加していただけに、力不足を痛感しています。

Homedoor事務局の決定が残念でなりません。

 

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意 見 書

2015年7月2 2 日

CRIMELESS 事業検討委員会

委 員 生 田 武 志
同 稲 葉 剛
同 木 原 万樹子
同 徳 武 聡 子
同 中 桐 康 介
同 福 原 宏 幸

今般 、N P O 法 人 Homedoor が 、Google インパクトチャレンジでグランプリを受賞した事業について、正式に事業開始することを決定したとの報告を受け、上記事業検討委員としては、下記のとおり、意見を表明いたします。

1 見直し後も事業に伴う危険が存すること

市民の声をもとに防犯パトロールを行った場合、誤解や偏見にもとづく通報がなされる危険性があり、 現に野宿生活を強いられている人達を排除する結果をうみかねません。

2 当事者に対する配慮が欠けること

上記事業が 「防犯」を標榜する以上、大きなトラブルにまき込まれる可能性はあり、放置自転車対策活動に従事していた当事者にとって、予想外の危険な活動に当事者をまきこみかねません。

3 検討委員会の議論が反映されていないこと

以上の問題点をはらんでいることは、検討委員会において再三指摘し、 Homedoor としても、いったんは「防犯」事業の中止を表明しておられました。
にもかかわらず、 当初事業案を撤回せず、事業開始を決定されたことは、 遺憾であるといわざるを得ません。

以 上

それぞれの場所で「アベ政治を許さない」と意思表示することの大切さ

日々のできごと

2015年7月18日午後1時、作家の澤地久枝さんの呼びかけで、全国各地いっせいに「アベ政治を許さない」というポスターが掲げられました。

朝日新聞デジタル:「アベ政治を…」あの筆文字プラカード、コンビニで拡散

澤地さんのページでは、事前に「ここでやります」という情報が掲載してありました。私は当日、立教大学大学院での授業の帰りだったので、つれあいと合流して池袋西口の芸術劇場前に行ってみました。

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12時50分くらいに芸術劇場の前に行ってみると、数人の方が来られていたので、声をかけてみました。皆さん、呼びかけを知って、個人で集まってこられた方のようで、特に仕切り役がいる感じでもありません。

手にポスターを持っている人が集まりつつあるのを見て、芸術劇場のガードマンが近寄ってきて、「ここの敷地内ではやらないでください」とやんわりと言われました。

隣接する池袋西口公園では「フラフェスタ」が盛大に行われていて、そっちに行ける感じでもありません。

皆さん、「どうしたものか」という感じになっていたので、私から芸術劇場と歩道の境界あたりに移動することを提案して、そちらに移動しました。ちょうど、バス停の前あたりなので、バスを待つ人やバスに乗っている人からもよく見える場所です。

「こういうときは敷地の管轄が分かれるキワキワのところに行くのがいいんですよ」と玄人っぽいことを言ったのですが、あとでよく考えると、これは野宿の人たちから教わった知恵でした。

 

Twitterで@webeholdyou0608 さんから送っていただいた写真

Twitterで@webeholdyou0608 さんから送っていただいた写真

 

途中から参加した人もいて、入れ替わりも含めて、二十数名が参加しました。拡声器も、コールもなく、それぞれが自分のいられる時間だけスタンディングをする、という形になりました。写真を見るとわかりますが、向いている方向もバラバラですね(笑)。これはそれぞれが効果的だと思った方向を向いているからでしょう。

参加されている方数人とお話ししましたが、それぞれ個人で来られた方でした。街頭で意思表示をするのは初めて、という方もいらっしゃいました。

「国会前で大勢で集まるのも大切だけど、それぞれの場でブツブツと言って意思表示をするのも大事ですよね」「澤地さんはそういうことを呼びかけたかったんじゃないかな」という話になりました。

この日は全国のほとんどの都道府県でアクションが行われたようです。一人で玄関のドアや車にポスターを貼り出した人、街頭でのアピールや集会を企画した人など、いろんな形があったようですが、個々人がそれぞれの場所で意思表示をすることの大切さを改めて感じました。

与党の政治家からは安保法制反対の運動は一過性のブームで終わる、と揶揄し、そのことを期待をするような発言が続いていますが、一人ひとりの個人が自分の頭で考えて行動するということをそれぞれの場所で積み重ねていけば、ブームで終わることのない社会運動をつくることができるはずです。

それこそが民主主義を取り戻すための一番大きな力になると私は信じています。

 

※今後のアクションに関する情報はこちらで。

日本全国デモ情報(マガジン9)

戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

自由と民主主義のための学生緊急行動

【2015年7月1日】 平和フォーラムニュースペーパーにインタビュー記事掲載

メディア掲載

平和フォーラムニュースペーパー2015年7月号に、稲葉のインタビュー記事が掲載されました。

http://www.peace-forum.com/newspaper/150701.html#1

インタビュー・シリーズ:102
戦争と貧困の問題はつながっている
自立生活サポートセンター・もやい理事 稲葉 剛さんに聞く
稲葉 剛さん

【いなば・つよしさんのプロフィール】
1969年広島市生まれ。被爆二世として戦争や平和の問題に敏感な子どもとして育つ。大学在学中から平和運動、外国人労働者支援活動に関わり、94年より新宿を中心に路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立し、幅広い生活困窮者への相談・支援活動に取り組む。09年、住まいの貧困に取り組むネットワークを設立し、住宅政策の転換を求める活動を始める。また、11年より生活保護制度の改悪に反対するキャンペーンに本格的に取り組んでいる。現在、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人、生活保護問題対策全国会議幹事、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科准教授。著書は『生活保護から考える』(岩波新書)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために―野宿の人びととともに歩んだ20年』(エディマン/新宿書房)など多数。

─稲葉さんが生活困窮者の問題に関わるようになったきっかけはなんですか。

私は広島出身で、実は被爆二世なのです。母親が入市被爆者(原爆投下後、救援活動や肉親捜しなどで被爆地に入った人)なのです。そんなことがあって、平和運動に関心があり、学生の頃は湾岸戦争反対のデモなどをやっていました。バブル経済が崩壊した1994年2月に新宿駅西口地下で、ホームレスの「ダンボール村」が強制排除されるのを見に行ったのがホームレスの人との最初の出会いでした。当時、年間40~50人が路上で亡くなっていました。それにショックを受けて、路上生活者の支援活動として炊き出しや夜回りのパトロールなどを行ってきました。また、生活保護の申請をしても、役所では「水際作戦」として、窓口で追い返されることも横行していました。そんなこともあって、ホームレス問題に取り組むようになりました。私の中では、これも平和運動の一つと言えます。

─その後、行政の対応も変わってきたのでしょうか。

東京では2000年に「自立支援センター」ができて、自立支援に向けた動きが出てきました。しかし、施設に入って仕事が見つかり、アパートに入居するためのお金が貯まっても、入居に必要な保証人がいないという相談が増えたので、2001年に「自立生活サポートセンター・もやい」を立ち上げ、ホームレスの人がアパートに入る時の保証人になりました。こうしたことから居住支援が活動の根幹にあります。また、生活保護の申請も支援団体がサポートをするようになって、受けやすくなりました。
しかし、住まいの問題については、民間の宿泊所で生活保護費から住居費や食費を差し引いて、本人にはわずかしか渡らない「貧困ビジネス」も横行しています。一方、ドヤと言われる簡易宿泊所の居住環境は劣悪ですが、長期にわたって住んでいる人も多くいます。福祉事務所も「ホームレスは一人暮らしが出来ない」「面倒を見られない」などと偏見を持って、アパートに移ることを積極的に進めていません。私たちが保証人になっても、アパートの大家はそうした人を入れたがらない。公的住宅も非常に減っていて、「ハウジング・プア」と言える深刻な問題が生まれています。

─どうして、このような深刻な状況になったのでしょうか。政策の問題は何でしょう。

特に、派遣労働者は仕事とともに住まいも失ってしまうことから、2008年暮れからの日比谷公園での「年越し派遣村」で、こうしたことが大きな社会問題になりました。民主党政権の時は居住問題に取り組もうという動きもありましたが、自民党政権になって後退してしまいました。今年度から、「住居確保交付金」などの支援制度も出来ましたが、対象者は離職者のみで、高齢者は使えないなど、効果は限定的でしかありません。
一方、仕事があっても低賃金な若者や女性は住む所もなくて、脱法ハウスやネットカフェに出入りしていますが、そうした「ワーキング・プア」にも支援制度は使えない。特に安倍政権になってからは、生活困窮者への給付が縮小しています。子どもの貧困対策でも、法律は出来ても児童扶養手当の拡充もなく、民間の基金が入る方向になっています。国の責任で生活困窮者を支援することが弱くなっていて、生活保護水準の引き下げにもなっています。特に生活保護のバラマキ批判が出されて、自助努力や家族や地域の「絆」が強調されて、そこで支え合うということを制度の中に盛り込もうとしています。

─生活保護費の切り捨てでは、今年度、暖房費や住居費などを減額し、188億円も削減されています。その一方、オスプレイの購入や防衛費増額、海外支援のODA予算に膨大な金をばらまいている。そうした政治のあり方をもっと批判すべきですが、なかなか私たちも気がついていません。

生活保護基準に対する自民党などからのバッシングがありますが、私たちはこの基準を「命の最低ライン」と言っています。これが下がるということは、生きるための「ボトムライン」が下がることを意味します。例えば、就学援助や最低賃金のラインも連動して下げられてしまいます。社会のボトムラインをどう設定するかは、他にも連動しています。生活保護引き下げ反対の運動をすると、「自分たちの方がもっと苦しい」と言って叩くという事が起きています。「底辺への競争」に乗せられているようです。
確かに、路上生活者は少しずつ減ってきていますが、その一歩手前の、仕事や住まいが不安定な人は確実に増えているのではないかと思います。しかし、困窮者自立支援法にしても、生活保護水準以上の人に対するメニューが限られている。公営住宅にも入れない。そうなると、相談さえ行こうとしません。そうした人がどのくらいいるのかもわからない。厚生労働省が2007年に調査したところ、ネット・カフェ難民は全国で5400人でしたが、実際はもっと多いかと思います。

─いま、特に若者を中心とした「雇用」の問題が深刻になっています。連合も格差問題に取り組んでいますが、労働運動に期待することはありますか。

90年代は、私たちの所に相談に来るのは、50~60代の日雇い労働者の人が圧倒的に多かった。それが、1999年と2003年に労働者派遣法が改悪されて、派遣労働が拡大して、3人に1人は非正規労働という状況になって、若者や女性の相談が増えてきています。貧困が、かつては中間層だった人達まで広がってきているということを感じています。
とりわけ、20代では約半数が非正規労働者になっている状態で、正社員になることに必死になっています。そこにつけこんで、過労死寸前まで長時間労働をさせることが横行しています。私たちは「ブラック企業対策プロジェクト」を作って、キャンペーンもしていますが、雇用の質を確保していくことも必要になっています。その意味からも、今の国会では労働者派遣法の改悪と残業代ゼロ法案の成立は止めてほしいですね。それが将来的には貧困を阻止する事につながっていくと思います。

─日本の社会的基盤が崩れ、だんだんアメリカ型の社会になりつつあるようです。しかも、いま安倍政権は戦争法制を作り、自衛隊が戦争することになります。アメリカでは貧困層が兵士になっていますが、日本もそうなるのではないかと思っています。

それは感じています。いわゆる「経済的徴兵制」と言われますが、アメリカでは、貧困地域にターゲットを絞ってリクルートをかけるということが多いと言われています。日本で戦争法案が成立すれば、自衛隊への志願者が減ると思うのです。そうすると、アメリカで行われているような、貧困地域の人達を勧誘するというようなことが行われるのではないかと思います。
その上、海外で戦闘に巻き込まれると、それがトラウマになってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してホームレスになってしまうのではないでしょうか。実際、アメリカではベトナム戦争など海外での戦闘行為に参加したことによるPTSDからホームレスになる人が増えています。そういう意味でも、戦争と貧困の問題はつながっていると言えます。

インタビューを終えて
過日、生活に困窮した母親が、公営住宅を強制撤去されようとする日に中学2年の娘を殺害した事件の判決が、千葉地裁で下されました。懲役7年でした。子どもの貧困率が16.3%、OECD加盟国中下から4番目となりました。国内総生産は上から3番目です。社会的につくられた貧困とも言えるでしょう。安倍政権は、弱者を切り捨て、戦争への道に歩みを進め、防衛予算を膨らませています。「戦争と貧困はつながっている」稲葉剛さんの言葉を噛みしめなくてはなりません。(藤本泰成)

さいきまこさんの新作漫画『神様の背中~貧困の中の子どもたち~』刊行!

日々のできごと 書評・関連書籍

生活保護をテーマにした漫画『陽のあたる家』で知られるさいきまこさんの新作『神様の背中~貧困の中の子どもたち~』が発売されました。

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今回のテーマは子どもの貧困で、前作に引き続き、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいが取材協力団体に名前を連ねています。

ぜひ多くの方に読んでいただければと願っています。

 

以下は著者のさいきまこさんからのメッセージです。

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生活保護などを題材にした漫画を描いております、さいきと申します。

前作『陽のあたる家 ~生活保護に支えられて~』に続く新刊
『神様の背中 ~貧困の中の子どもたち~』が発売されましたので
ご案内させていいただきます。

本作は、サブタイトルの通り「子どもの貧困」を切り口にしています。
6人に1人という困窮家庭の子どもたちの危機的状況とその要因を
可能な限り盛り込み、背後にある「貧困の連鎖」「雇用環境の劣化」
「自己責任論とスティグマ」などにも言及しました。

貧困に苦しむ子どもたちの状況は、いまだ世間に広く知られているとは
言いがたく、「この豊かな日本に、困窮している子どもなど本当にいるのか」
という認識を持つ人たちも少なくありません。
子どもたちの、そして親御さんたちの危機的な状況が広く知られる
きっかけとなれば、と願って取材・制作しました。
ご一読いただき、ご意見やご感想をいただければ幸いです。

下のURLからamazonなどのネット書店に飛べます。
http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253106412

書店は大型店舗でないと置いていないかもしれませんが、お近くの書店で
書名と出版社名を伝えれば取り寄せをしてもらえます。

どうぞよろしくお願いいたします。

さいき まこ

【新国立競技場見直し】数百億円の削減でごまかすな!「巨大化」をあきらめ、住民の暮らしと景観を守れ!

提言・オピニオン

「工費が2520億円もかかるのは高すぎる」と世論の猛反発を受けた新国立競技場が、計画見直しに向けて動き出しました。

このタイミングで見直しの方針が示された背景には、安保法制の衆議院強行採決による政権へのダメージを最小限に抑えたいという安倍政権の政治的な意図があることは明白ですが、新国立競技場の計画に反対を続けてきた多くの建築家や市民の運動が世論を動かし、政府も無視できなくなったという事実は踏まえておきたいと思います。

ただ報道によると、見直し案は「工費を数百億円減らす」程度のものになりそうです。これでは過去のオリンピック競技場と比較しても、コストははるかに高く、「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」などが指摘してきた景観の問題も解消されません。

現行案の最大の問題は、競技場の規模が高さ、広さともに巨大なところにあります。その高さは歴史的な景観を台無しにし、その広さは長年暮らしている地域住民の住まいを奪い去ります。

私は国立競技場を建て替えるにあたって、一番に聴くべきは地域住民の声ではないかと指摘してきました。特に、競技場に隣接する都営霞ヶ丘アパートの住民が競技場の巨大化に伴い、立ち退きを強いられていることを問題視してきました。

国立競技場建て替え問題:まず聴くべきは地域住民の声では?

【2014年7月21日】 東京新聞:国立競技場建て替え問題 立ち退き迫られるアパート住民

「歩行者の滞留空間となるオープンスペース」と位置付けられている「A-3地区」に都営霞ヶ丘アパートがある。

「歩行者の滞留空間となるオープンスペース」と位置付けられている「A-3地区」に都営霞ヶ丘アパートがある。

 

今年6月22日、都営霞ヶ丘アパートの住民の有志は上智大学の稲葉奈々子教授とともに都庁で記者会見を開き、都営団地の存続を訴えました。稲葉奈々子研究室による住民アンケートでも、高齢者の多い住民が移転を望んでいないことは明らかです。

【霞ヶ丘アパートを考える会】6月22日(月)霞ヶ丘アパート住民が記者会見をしました

政府が本当に「見直し」を進めるのなら、こうした住民の声を受け止め、競技場を「巨大化」させるという前提から見直すべきです。

マスメディアも、小手先の「見直し」にごまかされず、「巨大な競技場が本当に必要なのか」という本質的な議論を展開していってほしいと願っています。

 

共同声明「人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄を」

提言・オピニオン

私が世話人を務める住まいの貧困に取り組むネットワークは、日本住宅会議、国民の住まいを守る全国連絡会とともに、共同声明「人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄を」を発表しました。

ぜひご一読ください。

2014年6月14日、「住まいは貧困デー」パレードにて。

2014年6月14日、「住まいは人権デー」パレードにて。

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住宅関係3団体の共同声明

人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄を

安倍政権は、国民の圧倒的な反対の声を押し切り、また多くの憲法学者や専門家の指摘を無視し、安保法制を強行しようとしている。この法案は、明確に憲法に違反するだけでなく、平和をもたらすどころか、日本を再び戦争の危険にさらすものであり、我われは、法案の即時廃棄を求める。

戦争は人間と住宅の最悪の破壊をもたらすものである。現代においては、とりわけ先の世界大戦での痛恨の教訓を忘れることはできない。日本の侵略戦争によって、中国、朝鮮、東南アジアをはじめとするアジア・太平洋地域では2千万人を超える人々が殺戮され、膨大な住宅が破壊されたのは70数年前のことである。

日本では300万人を越す人々が、戦争によってかけがいのない命を落した。そして戦争によって直接失われた住宅は265万戸にのぼった。この中には、強制疎開による取り壊し住宅55万戸が含まれている。さらに、海外からの帰国・引揚げ者の住宅不足67万戸、戦時中の住宅供給不足が120万戸あり、1945年の終戦時には合計420万戸(戦災死による住宅減約30万戸を差し引いたもの)という絶対的住宅不足におちいったのである。全国の住宅(この当時の住宅数は1,450万戸)の実に約2割が戦争により破壊され、戦争による住宅不足と合わせ全住宅の3割に及ぶきわめて深刻な住宅難、住宅困窮が生じたのである。こうして、わが国では、数百万人の人々がホームレスに突き落とされたのである。

この苦難と惨禍の上に、わが国の平和憲法が成立し、戦後の住宅復興が行われた。しかし、住宅政策が極めて不十分な中で、絶対的住宅不足の解消は戦後半世紀以上にも及んだのである。そして今また、住宅・居住政策の無策が続き、新たなホームレス、住まいの貧困が広がる今日にある。

我われは、日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に基づく、すべての人々への住宅保障の実現を、第9条の順守と共に強く求める。また、戦争への道に突き進むのではなく、軍事費を大幅に削減し、公営住宅の新規建設、家賃補助制度の実施など住宅予算に充てることを要求する。
住宅関係3団体は、人間と住宅の破壊をもたらす安保法制(戦争法案)の廃棄に向けて共同し、たたかう決意を新たにするものである。

2015年7月14日

日本住宅会議・理事長 塩崎賢明
国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事 坂庭国晴
住まいの貧困に取り組むネットワーク・世話人 稲葉剛

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また、私は個人の立場で以下の声明・アピールにも賛同しています。

いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法案に反対する医療・介護・福祉関係者の会

安全保障関連法案に反対する学者の会

「安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール」実行委員会

各市民団体、大学、職場などで安保法制反対の声が広がっていますが、安倍政権は今週、衆議院で強行採決に踏み切ると言われています。

国会周辺では連日の抗議行動が予定されています。

強行採決反対!国会正門前行動(7.15~17)

私も一人の市民として行動に参加します。ぜひ多くの方のご参加をお願いいたします。

【2015年6月22日】 全国賃貸住宅新聞に「つくろいハウス」の紹介記事「空室を生活困窮者支援の応急施設に活用」が掲載

メディア掲載

2015年6月22日付け週刊全国賃貸住宅新聞に、稲葉が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドの個室シェルター「つくろいハウス」に関する記事が掲載されました。

空室を生活困窮者支援の応急施設に活用

150622全国賃貸新聞

自立前の一時的住居を運営

「ここに住めて本当に良かった」
85歳の小林勇さんは笑顔で話す。ベッドや冷蔵庫、テーブルなど一通りの物がそろった個室は、4畳半だが壁一面が窓になっておりそれほど狭さを感じさせない。

一般社団法人つくろい東京ファンド(東京都中野区)が東京都中野区で運営する生活困窮者のためのシェルター「つくろいハウス」には、ネットカフェで寝泊まりをする若者や収入が途絶えて路上生活を送っていた人たちが自活できるまでの一時的な住居として生活している。
昨年10月にオープンし、これまで1週間程度のショートステイを含め27人が利用した。小林さんもその一人だ。シェルターに入る前は老人ホームで暮らしていたが生活になじめず出てしまった。同法人の稲葉剛代表理事と知り合いだった小林さんは、昨年11月にこのシェルターに入ることになった。

稲葉代表は、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい(東京都新宿区)を14年前に立ち上げ、長年、生活困窮者のアパート入居や生活支援を続けてきた。これまで保証人を引き受け賃貸住宅入居をサポートしてきたケースは約2350件。家賃保証会社の緊急連絡先として登録したのは約350件ある。

オーナーが空室提供の申し出

シェルター運営のきっかけは、稲葉代表の活動をしる、ある賃貸マンションのオーナーからの申し出だ。東京都中野区にある築50年程のRC造マンションの住居部分3階が空室なので生活困窮者のために使ってほしい、という要望だった。

都内には100軒ほど生活困窮者を対象とした居住施設があるが、相部屋が多く個室は数えるほどしかないという。
現場の第一線に身を置いてきた稲葉代表にとって、こうした状況は現状のニーズと離れていると感じてきた。生活困窮者の中には、知的な障がいや精神疾患を持つ人も少なくない。彼らは集団生活になじめずストレスを抱えながら暮らしている場合もある。また、ネットカフェで寝泊まりしている非正規労働者などが病気になってもすぐに入居できる住居がなかった。

そこでプライバシーを守れる個室形式にしようと、2Kの居室それぞれに鍵を取り付け、個室仕様に変えた。7室を貸し出している。1戸は管理人室として使っており、夜間から朝まで管理人が常駐する。

建物の3階部分はつくろい東京ファンドがオーナーから借り上げ、利用者に貸している。収入状況で変わってくるが同物件では仕事を持つ人の家賃は約3万円、生活保護受給者は住宅扶助分を家賃として設定している。

人的なサポート体制を構築

応急的な住まいの提供というハード面での支援だけではない。自活に向けて人的なサポートも徹底する。週1回、6~7人のボランティアが集まり入居者の状況を把握するため面談を行っている。
収入のない利用者には生活保護申請のサポートを行い、生活が安定してくると部屋探しの手伝いを行う。「近所の不動産会社を回ったところ協力してくれる会社があり相談しています」(稲葉代表)。多くの利用者はシェルター入居後、だいたい2~3カ月でアパートでの新生活をスタートするという。

こうした活動を知って物件を提供したいというオーナーからの打診が少しずつ出てきた。中野区のワンルームや、新宿区の戸建てが新たにシェルター住居として加わった。「人的サポートが必要なので通いやすいなどの立地も重視しますが積極的に展開していきたいと考えています」と語る稲葉代表。貧困支援の第一人者は常の弱者の視点で前を見据えている。

※つくろい東京ファンドへの寄付については、こちらのページをご覧ください。

 

7月26日(日) 稲葉剛のソーシャルワーク入門講座「貧困の現場から社会を変える」:第5回住まいの貧困

講演・イベント告知

7月26日(日)、「稲葉剛のソーシャルワーク入門講座 貧困の現場から社会を変える 第5回 住まいの貧困」を開催します!

近年、貧困問題は日本社会で深刻な課題になっています。ワーキングプア、孤立死、子どもの貧困、ハウジングプアなど様々な問題が広がり、生活保護制度利用者をはじめとする生活困窮者に対する差別やバッシングも蔓延しています。相談援助の現場でも、背景に貧困問題が潜んでいるケースと出会うことは決して少なくありません。こうした状況に対して、生活困窮者支援の現場からどのようなアクションができるのでしょうか。
本講座では、約20年にわたり、NPOによる生活困窮者支援に携わって来た稲葉剛が講師を担当し、全6回(予定)にわたって、日本の貧困問題の現状や課題、支援のあり方などを講義し、貧困の現場から社会を変える方法を考えます。
第5回は、住まいの貧困をテーマに、住まいの貧困の実態や日本の住宅政策のあり方について学びます。相談援助に関わるソーシャルワーカーやケースワーカーの方はもちろん、貧困問題に取り組みたい、考えたい学生など、多くの方のご参加をお待ちしています。

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稲葉剛のソーシャルワーク入門講座 貧困の現場から社会を変える

第5回 住まいの貧困

【概要】
日時  2015年7月26日(日)14:00~16:30

場所 連合会館 404号室

アクセス 東京都千代田区神田駿河台3-2-11
●地下鉄
千代田線  新御茶ノ水駅  B3出口 (徒歩0分)
丸ノ内線  淡路町駅  B3出口 ※ (B3出口まで徒歩5分)
新宿線  小川町駅  B3出口 ※ (B3出口まで徒歩3分)
●JR
JR中央線・総武線  御茶ノ水駅  聖橋口 (徒歩5分)
http://rengokaikan.jp/access/

対象  新人・若手ソーシャルワーカー、社会福祉を学ぶ学生など生活困窮者支援に携わっている・将来携わろうと考えている方(初めて参加の方も大歓迎です)

参加費 資料代500円(学生は無料です)

予約 不要

【今後のスケジュール】
最終回 貧困ビジネス、ソーシャルアクション(2015年10月)

【プログラム】
稲葉剛講義 90分
休憩    10分
質疑応答  30分

【講師】
稲葉剛(いなば・つよし)
1969年生まれ。学生時代から平和運動、外国人労働者支援活動にかかわり、1994年からは新宿での路上生活者支援活動に取り組む。
2001年にはNPO法人自立生活サポートセンター・もやいを立ち上げ、ホームレスや生活困窮状態にある方への連帯保証人提供等アパート入居支援、生活相談支援事業、アパート入居後の孤立を防ぐための交流事業などの活動に従事。現在、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事。一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人を務める。
主著に『生活保護から考える』(岩波新書、2014年)、『ハウジングプア』(山吹書店、2009年)など。

主催:ブラック企業対策プロジェクト 福祉ユニット http://bktp.org/

お問い合わせ 03-6673-2261 admin @bktp.org

 

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