【2015年6月22日】 全国賃貸住宅新聞に「つくろいハウス」の紹介記事「空室を生活困窮者支援の応急施設に活用」が掲載
2015年6月22日付け週刊全国賃貸住宅新聞に、稲葉が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドの個室シェルター「つくろいハウス」に関する記事が掲載されました。
空室を生活困窮者支援の応急施設に活用
自立前の一時的住居を運営
「ここに住めて本当に良かった」
85歳の小林勇さんは笑顔で話す。ベッドや冷蔵庫、テーブルなど一通りの物がそろった個室は、4畳半だが壁一面が窓になっておりそれほど狭さを感じさせない。
一般社団法人つくろい東京ファンド(東京都中野区)が東京都中野区で運営する生活困窮者のためのシェルター「つくろいハウス」には、ネットカフェで寝泊まりをする若者や収入が途絶えて路上生活を送っていた人たちが自活できるまでの一時的な住居として生活している。
昨年10月にオープンし、これまで1週間程度のショートステイを含め27人が利用した。小林さんもその一人だ。シェルターに入る前は老人ホームで暮らしていたが生活になじめず出てしまった。同法人の稲葉剛代表理事と知り合いだった小林さんは、昨年11月にこのシェルターに入ることになった。
稲葉代表は、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい(東京都新宿区)を14年前に立ち上げ、長年、生活困窮者のアパート入居や生活支援を続けてきた。これまで保証人を引き受け賃貸住宅入居をサポートしてきたケースは約2350件。家賃保証会社の緊急連絡先として登録したのは約350件ある。
オーナーが空室提供の申し出
シェルター運営のきっかけは、稲葉代表の活動をしる、ある賃貸マンションのオーナーからの申し出だ。東京都中野区にある築50年程のRC造マンションの住居部分3階が空室なので生活困窮者のために使ってほしい、という要望だった。
都内には100軒ほど生活困窮者を対象とした居住施設があるが、相部屋が多く個室は数えるほどしかないという。
現場の第一線に身を置いてきた稲葉代表にとって、こうした状況は現状のニーズと離れていると感じてきた。生活困窮者の中には、知的な障がいや精神疾患を持つ人も少なくない。彼らは集団生活になじめずストレスを抱えながら暮らしている場合もある。また、ネットカフェで寝泊まりしている非正規労働者などが病気になってもすぐに入居できる住居がなかった。
そこでプライバシーを守れる個室形式にしようと、2Kの居室それぞれに鍵を取り付け、個室仕様に変えた。7室を貸し出している。1戸は管理人室として使っており、夜間から朝まで管理人が常駐する。
建物の3階部分はつくろい東京ファンドがオーナーから借り上げ、利用者に貸している。収入状況で変わってくるが同物件では仕事を持つ人の家賃は約3万円、生活保護受給者は住宅扶助分を家賃として設定している。
人的なサポート体制を構築
応急的な住まいの提供というハード面での支援だけではない。自活に向けて人的なサポートも徹底する。週1回、6~7人のボランティアが集まり入居者の状況を把握するため面談を行っている。
収入のない利用者には生活保護申請のサポートを行い、生活が安定してくると部屋探しの手伝いを行う。「近所の不動産会社を回ったところ協力してくれる会社があり相談しています」(稲葉代表)。多くの利用者はシェルター入居後、だいたい2~3カ月でアパートでの新生活をスタートするという。
こうした活動を知って物件を提供したいというオーナーからの打診が少しずつ出てきた。中野区のワンルームや、新宿区の戸建てが新たにシェルター住居として加わった。「人的サポートが必要なので通いやすいなどの立地も重視しますが積極的に展開していきたいと考えています」と語る稲葉代表。貧困支援の第一人者は常の弱者の視点で前を見据えている。
※つくろい東京ファンドへの寄付については、こちらのページをご覧ください。
2015年7月7日