【2014年7月21日】 東京新聞:国立競技場建て替え問題 立ち退き迫られるアパート住民

メディア掲載

7月21日付け東京新聞朝刊の特報面に「国立競技場建て替え問題 立ち退き迫られるアパート住民」という記事が掲載されました。

私のコメントに関わる部分を以下に転載します。

写真 (51)
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「納得できる説明がないまま立ち退きを迫られ、不安を感じている」「向こう三軒両隣の暮らしができるコミュニティーが壊されてしまう」

国立競技場の建て替えに伴い取り壊される予定の都営霞ヶ丘アパート(新宿区)の住民らは15日、都庁で記者会見を開き、不安を口にした。都のこれまでの説明は不十分で、意見を聞いてもらえてないという。

茨城大の稲葉菜々子准教授(社会学)が6~7月にアンケートをしたところ、41世帯が回答し、約8割の32世帯が「このまま暮らしたい」と回答した。6割以上の27世帯に70歳以上がおり、約半数の21世帯は40年以上、霞ヶ丘アパートで暮らしていた。

住み続けたい理由としては、「アパート内や近所に知人がいる」「引っ越し先での新生活が不安」が多かった。「近くに住む88歳の姉の面倒を見ないといけない」「他地域での生活環境の違いについていく自信がない」という声もあった。

(中略)

霞ヶ丘アパートは1960年から6年間かけて10棟が建てられた。都営住宅の整備などを管轄する都住宅整備課によると、今春までは約200世帯が住んでおり、半数以上は高齢者とみられる。老朽化が進み、補修や建て替えが検討されていたが、2012年7月にJSC(日本スポーツ振興センター)が、敷地を新競技場の関連施設として使うことを決定した。

以前から都も競技場の建て替えを希望していた。都は応じる形で、霞ヶ丘アパートの住民を、近隣の三つの都営住宅に移そうとしている。

都住宅整備課によると、12年夏に住民説明会を実施しており「その後も町会と連携を取りながら話をまとめている」という。

だが、住民らとつくる「霞ヶ丘アパートを考える会」に参加する自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛さんは「新しい土地での生活にはさまざまなハードルがあり、築いてきたコミュニティーも維持するのは難しい。移転先があるからすぐ移る、というわけにはいかない」と説明する。

12年夏の説明会は、「決定事項」の通告という印象を受けた住民もいるという。稲葉さんは「若い住民は移転できるが、高齢者は身体的、精神的な負担から難しい。アンケートで、声に出せない住民の潜在的な不安が明らかになっている」。

5日には、市民約500人が競技場の周囲で手をつなぎ、建て替え反対を訴えた。15日には、霞ヶ丘アパートを考える会が、全住民の意向を聞くことを求める要望書を、舛添要一知事宛てに提出している。会に参加する向井宏一郎・和光大非常勤講師は「取り壊しありきの進め方は、そこに暮らす人々の生活を無視している。アパートはただの箱ではない。長く暮らしてきた住民の歴史の重みを考えるべきだ」と訴える。

(後略)

 

*関連記事:国立競技場建て替えに伴う都営住宅立ち退き問題で、舛添都知事に再考を求める要望書の提出と記者会見をおこないました。

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