シェルターからアパートに次々と移り始めています!

日々のできごと

今年8月、つくろい東京ファンドが個室シェルター「あわやハウス」を開設して、まもなく3ヶ月が経ちます。
この間、「あわやハウス」では開設直後に入居された方々が次々とアパートに移り始めています。

写真 (46)

10月下旬にアパートに入居し、「あわやハウス」からのアパート入居第1号となったKさんに、シェルターでの暮らしや今後の希望についてうかがいました。
Kさんは40代男性。現在、病気療養のため、生活保護を利用されていますが、過去に生活保護を受けた時は集団生活の施設に入れられて、とても苦労したと言います。

〈あわやハウスでの生活はどうでしたか?〉

・部屋も広いし、悪くなかった。
・一人の時間をとることができて、これからどう自立していくかをじっくり考えることができた。テレビがなくてかえってよかった。
・あわやハウスで動いてくれてる人はみんな優しくて、鍋会とかもやってくれて相談しやすかった。
・他の施設に比べれば、人間関係も悪くないし、冷暖房や冷蔵庫があってケンカにならない。布団もキレイだし、困ったときに食糧をくれてよかった。
・他の施設では門限があって拘束されていて不自由だったが、ここには自由があった。24時間自由だった。
・駅にも近く、買い物に便利だった。
・相談にのってくれる人がいてよかった。

〈今後、アパートでどういった生活がしたいですか?〉

・今後はまず1からやり直し。アパートに移れたからゼロではない。
・自分で光熱費や食糧のお金をださないと行けないから、無駄遣いせず、お金を大事にしたい。
・悪いとこ(病気、怪我)を治して、仕事して、福祉を切りたい。

10月に、スタッフの有志が企画した鍋会も好評だったようで、良かったです。
今後とも、「あわやハウス」からアパートに入られた方の声を順次、伝えていくので、よろしくお願いします。

物資カンパも引き続き、募集中です。

シェルターに入居される方の中には、着の身着のままの状態の方もいます。つくろい東京ファンドでは、必要に応じて生活保護の申請支援を行なっていますが、当面の対応として食料などの緊急支援も行なっています。

こうした緊急支援のために以下の物品を提供できる方がいらっしゃれば、ぜひカンパをお願いします。

◆募集する物品
・インスタント食品、缶詰(賞味期限内のもの)
・男性用下着(新品)
・男性用防寒着
・洗剤
・クオカード
・電気ポット

保管スペースが限られているため、あらかじめ、品目と数量をお問い合わせフォームでお知らせください。

【お問い合わせフォーム】 http://inabatsuyoshi.net/information

折り返し、送付先住所をお知らせします。申し訳ありませんが、送料はご負担をお願いします。

また、つくろい東京ファンドでは、引き続き活動資金も募集しています。
下記の銀行口座にお振り込みの上、上記のお問い合わせフォームにご連絡ください。

◆つくろい東京ファンドの銀行口座
みずほ銀行 飯田橋支店(061)
普通 2634440 「つくろい東京ファンド」

セーフティネットのほころびを修繕する事業にぜひご協力をお願いします。

 

関連記事:【2014年10月3日&17日】ダイヤモンドオンライン「生活保護のリアル」にインタビュー記事掲載

関連記事:【2014年8月6日】 毎日新聞:「ひと」欄に稲葉剛の紹介記事が掲載されました。

住宅扶助基準引き下げに反対する申し入れと記者会見

日々のできごと

20141028230400_inaba 本日(2014年10月28日)厚労省に対し、生活扶助基準および住宅扶助基準・冬季加算の引き下げに反対する申し入れと記者会見を行いました。 詳細は報告動画をご覧下さい。 また、生活保護問題対策全国会議のサイトに要望書の内容が簡単に解る概略ペーパーが掲載されています。(要望書本体も近々アップされる予定です) http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-224.html

「コミュニケーションのマンガとして描く、現場のリアル」対談:柏木ハルコさん(漫画家) [後編]

対談・インタビュー

週刊スピリッツで『健康で文化的な最低限度の生活』を連載中の漫画家、柏木ハルコさんと稲葉剛の対談(後編)をお送りします。
※前半はこちら
(2014年10月@個室シェルター つくろいハウスにて)

■長い長いタイトルの話

20141027104627_kasiwagi02
稲葉: このタイトルはいつ思いついたんですか?
柏木: これはかなり最初の方で、生活保護をマンガにしようと思った直後です。なんかキャッチーな感じがしたし、覚えやすいかなぁということもありましたが……。取材を進めていく中で、最終的なテーマは人権ってことになっていくのかなぁと気づいたので、このタイトルで良かったと思っています。結局は、このタイトルの意味を考えるマンガなのかなって。ただ、それは連載をずっと進めてみないとわかんないですけどね。
稲葉: 「健康で文化的な最低限度の生活」っていう憲法第二五条・生存権の言葉が繰り返されるわけですけど、それ自体が一つの問題提起「健康で文化的な最低限度の生活」って何?という問いかけになっているというのはすごいなぁと思いました。そうか、この手があったかと。自分の本を書くときにこうすれば良かったかなと。(笑)
柏木:やっぱりこう、パッと文字にした時に、マンガですからね、印象に残るのがいいって思ったんですよね。
稲葉: 残りますねぇ。
柏木: よく、どうやって略してるのって聞かれますけどね。
稲葉: 編集部では何て言ってるんですか?
柏木: 最終的には今、「健康」って感じで。長すぎるんで。デザイナーさんは「健文最生」って呼んでますね。
稲葉: 健文最生!それはすごいな。

■気になる今後の展開は……

稲葉: 差支えない範囲で、今後どう展開していくのかを聞かせていただけますか? 今、第2クール目でしたよね。第1クールが就労支援の話で、第2クールで不正受給の問題という非常にホットな問題を取り上げているんですけど、今後はどのように展開していくんでしょうか?
柏木: これは……言っちゃっていいのかな?(笑) 生活保護っていうと、やはり就労とか不正受給ってホットな話題で、もう一つホットな話題が、扶養義務なんですよ。そこは早めに行きたいなっていうのがあるんですけど。
稲葉: 生活保護バッシングが拡がる中で、割と一般的な人たちが普通に持ってしまっている疑問があって、柏木さんのマンガは、敢えてそこに切り込んでるなっていう感じは持ちましたね。
柏木: そうですね、やっぱり読者が興味のあるところを描いていきたいというのがありますね。不正受給を描きたいのはそういう理由なんですけど。あと、就労支援編を一番最初にやったのは、ほとんどの人が「あいつらどうして働かないんだ」って思ってるってことから、興味あるかなって思って一発目はあれで行ったんです。
稲葉: なるほど。
柏木: 細かいことで取り上げたいこともいっぱいあるんですよね。依存症の人のこととか、住まいのこととか。住まいの問題もどんどん新たにいろんなことが起こってますし。でも、住まいの問題で活動してらっしゃる稲葉さんの動きを見ると、取材して載るまでの間に、もう状況がめまぐるしく変わってるんじゃないかとも思っています。

■このテーマに「踏み込む」

稲葉: さきほど、「最終的には人権になる」っておっしゃいましたけど、私も人権を「人権」という言葉を使わないで表現するって、すごく大変だなっていつも感じています。
柏木: そうですよね。分かります、すごく。
稲葉: 人権は大切だって言っても、本当の大切さは伝わらないじゃないですか。学校の校長先生の朝の挨拶みたいになっちゃうので。本当にそれが大切だということを伝えるためには、すごく微に入り細に入り暮らしを描くしかないという気がしているのですが。
柏木: 人権って、普通に生きていると空気みたいに当然あるものだって気がしちゃうので、それが奪われたらどんな大切だったか分かると思うんですよね。空気なかったら生きていけないので。日頃、普通の家庭で普通に育ってきたら気付かないで済んでしまうと思うんですよ。
稲葉: そうですね。
柏木: だから大切さに気付かない人は多いし、考えなかったり、どうでもいいって思ってる人はたぶんいっぱいいると思うんです。私も正直、このテーマに取り組む前はそういうところがあったんですけど。でも、奪われた時にすごく困ることなので、そこのせめぎあいなんですよね。まだ、そこまで踏み込んだ描写っていうのはしてないんですけどね。
稲葉: 是非、長期連載して踏み込んで下さい!
柏木: そうですねぇ。人権って、こう、認めようと社会が合意するまですごく大変だったと思うんですよ。昔の、明治時代みたいなところから考えたら、人権ってものを認めようとなるまで、人間ってすごく苦労したと思うんです。
稲葉: ヨーロッパなんかだと血で血を洗うような歴史があって……
柏木: その結果、獲得したものですよね。
稲葉: 日本の場合はそれを数十年でやろうとしているっていうことなんで、上滑りになっちゃうのかなって感じますね。
柏木: でも、やっぱり絶対大切なものだと思うんですよね。獲得するまでの大変さを思うと、大事にしなくちゃいけないんじゃないかなっていうのはありますね。
稲葉: ただ、その伝え方で私もいつも悩むことではあるんですけどね。ともすれば私の本を見ていただければ分かるように、漢字ばっかりになっちゃうんですよ。
柏木: あはははは(大笑)
稲葉: 分かりやすく伝えようと努力はしているんだけど、どうしても漢字で伝えた方が、伝える側にとっては伝えやすく、そこに頼ってしまうところがあります。受け取る側がリアルにイメージできるようにどう伝えたらいいかというのがすごく課題だと常に思っていて。そういう意味でも、柏木さんのマンガは、私たちが日ごろ伝えようとしながらも、できないでいるメッセージが伝わりにくい人たちにも伝わるような形で描いてらっしゃるので、すごく感謝はしています。
柏木: ありがとうございます。
20141027104846_kasiwagi03

「コミュニケーションのマンガとして描く、現場のリアル」対談:柏木ハルコさん(漫画家) [前編]

対談・インタビュー

今回は週刊スピリッツで『健康で文化的な最低限度の生活』を連載中の漫画家、柏木ハルコさんと稲葉剛の対談(前編)をお送りします。
(2014年10月@個室シェルター つくろいハウスにて)

漫画家と活動家/ふたりの出会い

20141027104423_kasiwagi01
稲葉: 柏木さんとお会いしたのは、確か3年前ですかね、2011年震災後の……
柏木: 秋か冬くらいでしたかね。年明ける前の。
稲葉: その頃ぐらいに編集の方が連絡を取って下さって、新宿の炊き出しとか、もやいに来られて。それ以来、私も何度か取材を受けましたし、あと生活保護問題の関連の集会にいつも来ていただいて。
柏木: 私、最初「もやいはどういう活動してるんですか?」って聞いた時に、稲葉さんが「そこからですか」って答えたので、「ああ、すみませーん、恥ずかしい~!!」って。なんかもう、我ながらひどいなって思ったんですけど……。
稲葉: いえいえ。
柏木: 「もやい」はもっとビルみたいなところでやってると思っていたら、住宅街にある普通の民家で活動していて、ああ、こんな家庭的な場所でやっているんだって不思議な感じでした。
稲葉: 私に対する漫画家さんの取材って結構あるんですけど、柏木さんはあんまりガツガツしていなかったですね。それで、最初の取材が終わったあとも淡々とイベントのいろんな手伝いとかで継続的に関わって下さっていたので、半年くらいになると「いつになったら描くのかなぁ」と心配になって。
柏木: (笑)
稲葉: 今でこそ、淡々と積み重ねておられたのだなぁということがよく分かったのですが、当時はこれ、大丈夫なのかなぁ?って思っていました。

ケースワーカーが主人公?

稲葉: 早速ですが、なぜ今回、生活保護そしてケースワーカーを主人公にしたマンガを描こうかと思ったかというところからお話しを伺えますか?
柏木: はい。 何か、いろんなところでいろんなことを書いているので、どうだったか・・・(笑) 5~6年くらい前に、ある相談機関に勤めている友達がいて、仕事の愚痴を聞いていたら、いろんな人がいろんな相談をしに来る仕事は面白いなって漠然と思っていました。それで、震災のあとくらいからでしょうか。自分は今まで、自己表現ということだけやってきたんですけど、社会に目を向けなきゃいけないなって気持ちにだんだんなってきたんですね。
稲葉: それで生活保護を描こうと?
柏木: はい、生活保護って社会のいろんな問題が集約している場所だって思ったんですね。だから、マンガにしたらいろんなドラマを作れるんじゃないかなって。ケースワーカーを主人公にしようと思ったのは、あれは「新人」ケースワーカーなんですね。生活保護のこと、私も知らないし読者も知らないので、全く知らないところから「いろんな人がいるんだな」と同じ立場で分かっていくことができるかな、と思ったので。
稲葉: なるほど。
柏木: 最初、5人新人ケースワーカーを出したんですけど、かなり最初の頃は青春群像にして、いろんな人がいろんな風に思うという形にしたかったんです。結局は彼女(義経えみる)が主人公になっていますが、最初はもっとバラける予定だったんです。
稲葉: そうなんですか。
柏木: はい。でも、生活保護っていろいろ描くことが多すぎて、5人の青春群像なんかとても描けないっていう風になって、現在の形になっています。でも、キャラクターそれぞれに思い入れはありますし、ぼんやりと何人かがモデルになっていたりっていうのはあります。生活保護を受給している方もそうなんですけど、ケースワーカーも実際どういう人がやってるのか全然想像ができなかったので、イメージを掴むのに時間掛かりましたね。

長期に渡った取材の理由

稲葉: 2011年の暮れから取材を始められて、結構長かったですよね。2年半以上ですか?
柏木: そこから考えるとそうですね。まぁ、大体2年くらいって言ってるんですけど。
稲葉: かなり突っ込んだ取材をされてきて……
柏木: やっぱり、取材にすごい時間が掛かったのが想定外で。最初は勉強すればいいだろうと思っていたんですけど、本を読んでもお会いしないと想像できないんですね。会った人でないと画に起こせないし、雰囲気も出せないし。そもそも最初が知らなさすぎたので、どうやって取材していいかも分からなかったんですね。まず、ケースワーカーに知り合いが一人もいなかったので、稲葉さんに一人紹介していただいて。でも、その最初に紹介していただいた方は、もう会った瞬間に「(マンガに描くのは)無理だと思います」って。
稲葉: え、そうなんですか?あの人が?(笑)なんでまた。
柏木: 本当のことは描けないとか……。
稲葉: ああ、プライバシーの問題ですね。
柏木: あと、「取材でもみんな本当のことを喋ってくんないと思うよ」とも言われました。ただ、そう言いながらもその方は、高校生のバイトの不正受給の話などバーッといろいろ喋ってくれたあと「じゃっ!」って感じで帰って行かれて(笑)。
稲葉: ご存じの通り、もやいのような民間相談機関を通じて当事者の方の取材をされていると、ここは福祉事務所側と協力する場面もあるけれど、対立する場面も多い現場なんです。柏木さんは受給者側と福祉事務所側両方の取材をされていますが、見方の違いやスタンスの取り方で悩まれたりしましたか?
柏木: それはずっと悩んで、今でも悩んで、多分これからも悩むことなんだと思うんですよね。一つの事柄でもこっちから見るのとあっちから見るのでは、受け取り方が全然違うので。例えばケースワーカーの人が「あの人、何も喋ってくんない」と言っている当事者の方がいても、当事者から言わせれば「あんなこと言われたら何も喋れない」と思ってる。そういうすれ違いを、なるべく両方から描きたいなというのはありますね。
稲葉: なるほど。
柏木: もちろん、私がどちら側だけになりたくないなというのがあるんですけど、読者もいろんな方がいろんな見方をすると思うんですね。だから、いろんな人が「自分の意見もここに入ってる」と、そう思えるようにしたいなと。難しいですけどね。100%客観なんて無いと思うんで。

感情のメディアとしてのマンガ

稲葉: この前の社会保障関連のイベントでインタビューを受けられていて、その中で「マンガってのは感情にスポットを当てたメディアだ」とお答えになっていて非常に印象的だったんです。私たちは支援者であり活動家なので、割と生活保護問題っていうのを俯瞰して喋ることが多いんですけど、柏木さんのマンガは主人公や当事者がこの時にどう感じたののかがすごくリアルに描かれていると感じました。感情にスポットを当てることで、どっちが正しくてどっちが正しくないっていう視点ではなく、「現場のリアル」を伝えられているのかなと読んだのですが。
柏木: はい、そういう風にしたいなって思っています。うまくいってるか分からないですけど。やっぱりマンガの面白いところって、感情が動くところがドラマになるので、そこをどう物語に盛り込んでいくかなぁ……と思っています。マンガだから、やっぱり面白くないと読まれないので。イベントの時も言ったんですけど、一人一人の人間は、生活保護を受けていようが、一括りにできないと思うんです。私も取材していく中で、こんなにいろんな人がいるんだって結構びっくりしたんですね。

稲葉: まったくその通りですね。
柏木: まとめて総論、「生活保護受給者ってこうだ。こういう人たちだ。」って、絶対に言えない。だから、ケースワーカーも一人一人に向き合っているので、結局その人とのコミュニケーションってことでしかないと思うんですよね。
稲葉: 福祉事務所の担当ケースワーカーと利用者・受給者っていう、そこのあり方がすごく描かれていていると感じました。コミュニケーションしようとするんだけど、お互いの力関係だったり制度によってコミュニケーションがうまくいかなくて断絶する様子がすごくリアルに描かれている。その両者がどうやって乗り越えていくのかみたいなところも一つのテーマになっているのかな、と思っているのですが。
柏木: 総論ではない、一人一人のコミュニケーションのマンガっていう感じで描きたいというのはすごくあります。

※後編はこちら

12月7日(日) りんりんふぇす Sing with your neighbors  THE BIG ISSUE support live vol.5

講演・イベント告知

りんりんふぇす Sing with your neighbors
THE BIG ISSUE support live vol.5

公式サイト http://singwithyourneighbors2014.jimdo.com/

りんりんふぇす2014開催!

12月開催となった今回の「りんりんふぇす」。イベントの名称は「隣の人と歌おう!」という「輪(りん)」と「隣(りん)」の音をかけています。見知らぬ人のこと、ほんの少し身近に感じて帰ってもらえたら嬉しいです。
今年はアジアンカンフージェネレーションの後藤正文さんがGotchとしてソロを聞かせてくれます。
共演者の三輪二郎さんについて「三輪さんの音楽も大好きです」とのこと!あだち麗三郎クワルテッットとソケリッサのコラボも企画中。菊池成孔や谷川賢作などと精力的にセッションをくり広げるダウン症ドラマー、新倉壮朗の至極のピアノもお楽しみに。今年も素敵な一日になりそうです。
会場費や維持費の値上げがあり、チケット料金を少し上げましたが予約して来ていただければ嬉しいです。
            「THE BIG ISSUE」 support Live vol.5実行委員会 寺尾紗穂

●日 時:
2014年12月7日(日)
開場 14:00/開演 14:30

●料 金:
前売り券2500円
当日券3000円(税込・入退場自由)

●会 場:
梅窓院 祖師堂(そしどう)
〒107-0062 東京都港区南青山2丁目26-38
※東京メトロ銀座線 外苑前駅1a出口徒歩1分
※駐車場はございません。お車での来場はお控えください。

●予 約:
メール予約のみ。チケット申込のフォームからどうぞ。

●内 容:
音楽ライブ/1部・2部制
座談会/1部終了後に行います
炊き出し/簡単な食事(無料)、フェアトレードのコーヒー販売

●出 演:
Gotch、寺尾紗穂、あだち麗三郎カルテット、新倉壮朗、ソケリッサ、三輪二郎

●座談会:
寺尾紗穂、稲葉剛、吉水岳彦、佐野未来、ビッグイシュー販売者、他

●主 催:
「THE BIG ISSUE」 support Live vol.5実行委員会

●協 力:
BIG ISSUE基金、NPOもやい、ひとさじの会

●問合せ:
singwithyourneighbors@gmail.com
※梅窓院(会場)へのお問合せはご遠慮下さい。

●備考:
観覧席は倚子を200脚、座布団を100個ほど用意。ゆったり観れます。
小学生以下はチケット代なし。ぜひとも家族そろってお楽しみください。

【2014年10月3日&17日】ダイヤモンドオンライン「生活保護のリアル」にインタビュー記事掲載

メディア掲載

10月3日、ダイヤモンドオンラインのみわよしこさんによる連載記事「生活保護のリアル」政策ウォッチ編・第79回に稲葉剛へのインタビューに基づく記事が掲載されました。

ぜひご一読ください。

以下のタイトルをクリックすると、リンク先に移ります。

生活困窮者の自立にはまず“住まい”が必要? 定員7名の個室シェルター「あわやハウス」の試み

10月17日の第81回には、つくろい東京ファンドの個室シェルター「あわやハウス」の訪問記が掲載されました。

あわせてご覧ください。

なぜ生活困窮者のアパート入居は困難を極めるか? 個室シェルター「あわやハウス」見学記

 

参考記事:貧困ジャーナリズム大賞2014発表!生活保護問題に挑む書き手たち

東京都墨田区で野宿者襲撃が10分に1に減少

提言・オピニオン

東京都墨田区で、当事者と支援団体の要望に応える形で「ホームレス問題の授業」が教育委員会主導で始まったことは、以前にもお知らせしましたが、山谷労働者福祉会館活動委員会によると、今年に入って、区内での襲撃件数が10分の1まで減少しているとのことです。

活動委員会が野宿の当事者向けに配布しているチラシの文面を転載する許可をもらったので、以下に貼り付けます。

関連記事:「ホームレス問題」の授業が墨田区教育委員会の主導で始まりました

——————————–

この夏、墨田区で野宿者襲撃を10分の1に減らせることができた!

DSC03402_変更済み_修正 (1)

野宿している仲間に対する暴力は最も卑劣な行為だ。石を投げる、ペットボトルを投げる、ダンボールを蹴るといった暴力を多くの仲間が受けている。

繰り返される襲撃に「襲撃を止めなくては」と立ち上がった仲間と共に取り組みを続けてきた。見張りをやったり、襲撃者を追いかけたり、写真をとったり。その中で2年続けて襲撃の加害者が明らかになり、2件とも墨田区立中学の生徒だった。どちらもグループで何度も襲撃を繰り返していた。

墨田区と団体交渉を何度も持った。はじめは他人事のようだった人権課、教育委員会。なぜ野宿者に暴力をふるうのか。「おもしろ半分」 いやちがう。その子らは一般の大人を襲うことはしていない。野宿者だから襲ったのだ。そこにはっきりとした差別意識がある。そこを直視しなければ襲撃は決して止められない。

差別意識の原因を掘り起こすと野宿する人のことを生徒も親も教師も知らないということが浮かび上がってきた。

どんな仕事をしてきたのか。どうして野宿になったのか。今どうやって生き抜いているのか。何も知らずに「怠けもの。いてはいけない人」などと思い込んでいることがわかった。役所の追い出しやアルミ缶仕事に対する条例を作ったことも偏見の原因を作っていることも。

墨田区教育委員会がようやく本腰をいれ取り組みをはじめた。この夏休み前に区内の全ての小中学校で「野宿者を知る」授業が行われた。ある小学校には区内で野宿する仲間が授業に行って自分の暮らしについて話した。10代からペンキ屋として働きその後日雇い労働者の土方になった。ドロドロになりながら基礎工事の穴掘りの仕事をやってきた。50代でバブルの崩壊、年齢制限で仕事に就けなくなりドヤに泊まれなくなった。今もアルミ缶を拾いながら小屋で暮らしている。

子供たちの感想は「大変な暮らしをしているのを知らなかった」「絶対石を投げてはいけないと思った。」

この夏墨田区内の襲撃は激減した。(わかっているだけで区内の夏の襲撃件数は2012年28件、2013年20件、2014年3件)「野宿者襲撃は問題にもならない。」そんな現状に対し立ち上がった仲間たちのねばり強いとりくみの成果だと確認したい。

墨田区が引き続き本気で取り組んでいくこと、墨田区だけでは問題は解決しないので台東区をはじめ他の区や東京都もきちんととりくみを始めることが必要だ。

襲撃を根絶するまでがんばっていこう。

山谷労働者福祉会館活動委員会
山谷争議団/反失実

———————————–

墨田区では大きな成果をあげることができましたが、野宿者への襲撃が発生しているのは墨田区だけでなく、他区にも広がっています。
これは本来、東京都が対応すべき問題であり、現在、都内の複数の支援団体で、東京都に対しても具体的な襲撃防止策の実施を求めて要望をしているところです。
ところが、都の対応は8月に舛添都知事が「対策を徹底する」と記者会見で公言したにもかかわらず、担当者レベルでは具体的な動きが未だに出てきていません。

関連記事:舛添都知事が野宿者襲撃への対策を徹底すると表明!実効性ある対策を求めます。

引き続き、東京都に対しても粘り強く働きかけをしていくので、こちらもご注目をお願いします。

 

【2014年10月13日】 東京新聞:生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?

メディア掲載

10月13日付け東京新聞朝刊の特報面に「生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?」という記事が掲載されました。

私のコメントに関わる部分を中心に以下に転載します。

************************************

【特報】
生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき
高額印象 国が誘導?

生活保護の住宅扶助の上限額を引き下げようという議論が、厚生労働省社会保障審議会の部会で起きている。低所得の世帯よりも生活保護受給者の住む住宅の家賃が高いという指摘があるためだが、「根拠が不明確だ」と意見する委員もいる。支援者は「上限は高くない。削減ありきの議論はやめるべきだ」と訴える。 (白名正和)

東京単身5.3万円「範囲内の物件少ない」

生活保護受給者の家賃は国と自治体が全額を負担している。「住宅扶助特別基準額」の名称で、厚生労働省が都道府県、政令市、中核市ごとに上限を定めている。

約23万世帯の受給者が暮らす東京都の都心部は基準額の上限が全国で最も高い。一人暮らしが53700円、2~6人の家族が69800円、7人以上の家族なら83800円。上限内の住宅を受給者自身で探す。都保護課は「高い設定ではない。23区内でこの額の住宅が潤沢にあるとは思えない。引き下げで住み慣れた地域をやむなく離れる人も出るのでは」と話す。

(中略)

低所得者と比較「意図的数値」

引き下げ論議の根拠の一つが、財務省が作成した資料だ。2009年の全国消費実態調査に基づき、年収300万円未満の2人以上世帯の平均家賃が38000円と指摘。生活保護の住宅扶助基準額の上限で算出した46000円と比べると、約二割、8000円高い。

財務省の資料は5月の社会保障審議会の部会で厚労省保護課から示された。しかし、「低所得世帯には公営住宅に住む世帯も含まれている」「上限額と平均値を比べても、あまり意味をなさない」「二割の違いを出発点とするのは非常に意図的なミスリーディング」などと批判する委員が少なくなかった。

花園大(京都市)の吉永純教授(公的扶助論)は「住宅扶助基準額はあくまでも上限。満額の人ばかりではなく、扶助額の実態はもっと低い」と指摘する。

実は、厚労省は毎年、実態調査をしている。11年は、民間の住宅に住む受給者で、住宅扶助基準額の上限の95%以上が支払われていたのは全体の約四割。65~95%もほぼ同じ約四割だった。

(中略)

住環境・貧困ビジネス…実情無視

NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛さんは「家賃が住宅扶助基準額の上限より低くても、大家が上乗せすることがある」と指摘した。受給者は物件を探しきれず、やむなく応じるケースがある。大家にピンはねされているのに似た状況だ。

上限を超えるような場合は、超えた分を管理費などとして別にし、何とか入居するケースもあるという。超過分は受給者が生活費から捻出する。

(中略)

生活保護は昨年8月から三年かけて、生活費にあたる生活扶助基準を段階的に引き下げ中だ。全体で670億円の減額で、受給者全体の96%が影響を受ける。新たな負担となる以上、稲葉さんは「生活保護の議論が、削減ありきになっているように思う。実態に即した判断をしてほしい」と指摘した。

 

関連記事:住宅政策という「パンドラの箱」を開けよう!

関連記事:【2014年10月7日】NHK NEWS WEB:“最低限”の住まいの行方は

 

11月5日(水)緊急院内集会:下げるな!生活保護の住宅扶助基準と冬季加算 上げろ!生活扶助基準

講演・イベント告知

http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-222.html

緊急院内集会
下げるな!生活保護の住宅扶助基準と冬季加算
上げろ!生活扶助基準

20141027225821ec9

*チラシPDFのダウンロードは、こちら。

国は史上最大の生活扶助基準引き下げを決めて段階的に実行中です。
しかし、アベノミクスと消費増税で低所得者の暮らしは厳しさを増す一方。引き下げの根拠として厚労省がでっちあげた「生活扶助相当CPI」の考え方からは、物価上昇局面で来年の生活扶助基準は上げないと一貫しません。
それなのに、厚労省は、今度は、国交省が一生懸命実現しようとしている「最低居住面積水準」について、「どうせ達成率が低いんだから守る必要なし」として住宅扶助基準を引き下げようとしています。 また、寒冷地の暖房代としての「冬季加算」についても得意のデータ操作で引き下げようとしています。

国会議員の方々に生活保護利用者の声を届け、実態を知っていただくために院内集会を開催します。

ぜひ多数ご参加ください。

日時:2014年11月5日(水)12時45分~14時30分頃

場所:衆議院第1議員会館 多目的ホール

受付開始:12時30分から
同会館ロビーで通行証を配布します。
事前申込不要・入場無料・定員200名(先着順)

【プログラム】
司会:稲葉剛(自立生活サポートセンターもやい理事、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人)

講演「低所得者の生活を直撃する物価上昇」
上原紀美子さん(久留米大学教授)

報告「生活保護利用者の暮らし緊急アンケートの分析」
田中武士さん(社会福祉士)

当事者の声、声、声!
北海道など寒冷地の当事者、障がいをもつ当事者、元ケースワーカー、貧困ビジネスの被害者(いずれも予定) etc….

主催:「STOP!生活保護基準引き下げ」アクション

 

【2014年10月7日】NHK NEWS WEB:“最低限”の住まいの行方は

メディア掲載

10月7日付けのNHK NEWS WEBに「“最低限”の住まいの行方は」という記事が掲載されました。
生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに関する記事で、稲葉剛のコメントも掲載されています。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1007.html (一定期間が過ぎるとリンクが消えます)

“最低限”の住まいの行方は

生活保護を受ける人に支給される費用のうち食費や光熱費に当たる「生活扶助」が去年から段階的に引き下げられています。
ことしに入ってからは、さらに住宅費部分を見直す議論も進み、生活保護の受給者や支援団体から「最低限度の住生活を保障するという考えが抜け落ちている」などと反発の声が強まっています。
ネット報道部の山田博史記者が取材しました。

被災地の路上生活からアパートへ

「生活保護はありがたい制度ですが、住宅費や生活費がこれ以上減るのは厳しいです」。
仙台市で生活保護を受けて暮らす50代の男性が漏らしました。
東日本大震災で仕事と住まいを失い、市内の公園で初めて路上生活を始めました。
おととし暮れに路上生活者の支援団体に勧められて生活保護を受けることになりましたが、住まいがなかなか見つからず、さらに2か月、路上生活が続きました。

仙台市の場合、生活保護を受ける単身者に支給される住宅費の上限額は3万7000円。
震災後、住宅不足が続いた仙台市で、この条件での部屋探しは難航しました。
男性を支援した「宮城県生活と健康を守る会連合会」の山脇武治事務局長が、ようやく築30年以上のアパートの1室を探しました。
男性は現在、入浴は週2回、日中は電気を消して読書をするなど、生活を切り詰めながら過ごしています。
「アパートが古くて2階から生活音が響いたり結露したりと、厳しい面もありますが、住まいがあるのはありがたいです。ただ、生活はギリギリです」。

「部屋が見つからなくなる」

男性の部屋を探した「宮城県生活と健康を守る会」の山脇さんは、震災後、被災地の低所得者を巡る住宅事情は大きく変わったといいます。
震災後5か月ごろからつきあいのある業者を回っても全く物件がなくなり、相談を受けても断るしかない状況が続いたと言います。

おととし、石巻市の70代の男性から相談を受けたときは、住宅事情がより厳しい石巻での部屋探しは無理だと判断し、仙台に出て来てもらってなんとか確保しました。
山脇さんは「今は新築物件が次々と建てられていますが、生活保護世帯が入居できる物件はまずなく、特に単身者は厳しい。これで例えば住宅費の上限額が10%削られて3万3000円台にでもなればとても部屋は見つかりません。被災地では弾力的に運用してほしいと思っているのに、本気で引き下げようとしているのでしょうか」と話します。

生活保護“抑制”の流れ

生活保護費が年間で3兆7000億円にも上る中、国は事実上、抑制の動きを強めています。
すでに食費などに充てる「生活扶助」は、去年から3年で約670億円減らすことが決まり、受給者は最大で10%減額されることになっています。
さらに去年6月に経済財政諮問会議に示されたあと閣議決定した「骨太の方針」で生活保護のさらなる見直しが打ち出されました。

この流れを受けて厚生労働省が学識者を集めて設置している審議会の生活保護部会で、住宅費に当たる部分や暖房費に充てる冬季加算の見直しについての議論が慎重に進められています。
議論の進め方に委員が疑問を示す場面もあり、5月の会議では、生活保護の住宅費基準額(上限額)が、低所得世帯(世帯収入300万円未満)の平均家賃より約2割高いという資料が示されたのに対し、委員が「上限額と平均家賃を比較するのはおかしい。意図的なミスリーディングを導く比較だ」と指摘する一幕もありました。
厚生労働省は現在、生活保護世帯が実際にどんな住居に住んでいるか、全国のケースワーカーを通して10万世帯以上を対象とした実態調査を進めていて、今月中に集計して審議会で議論してもらうことにしています。

支援団体から反発の声

こうしたなか、先月15日、東京駅に近いビルで生活保護のさらなる削減に不安を募らせる支援団体や学者など約120人が参加した集会が開かれました。

生活保護を受けている車いすの男性は、10件以上の不動産業者を回っても部屋すらなかなか見せてもらえなかった体験を話し、「住宅費を減らされてまた家を探さなければならなくなるのでしょうか」などと不安を訴えました。
また、冬季加算の見直しについて、岩手県二戸保健福祉環境センターの沼田崇子福祉課長は、「冬季加算の支給は11月から3月までですが、二戸地域では10月から6月まで暖房が必要で、灯油代も上がり現状でも足りません。減らすのはありえないと思います」と話しました。
全国の支援者らで作る生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤廣喜弁護士は「単に財政が厳しいからという発想で国の議論が進められている。最低限度の生活を保障する中で住宅をどうすべきかこそ考えるべきだ」と訴えました。

「健康被害につながりかねない」

この集会で司会を務めた「住まいの貧困に取り組むネットワーク」世話人の稲葉剛さんは、約20年間にわたって東京で路上生活者の支援などに取り組み、特に住宅問題の重要性を訴えてきました。

稲葉さんは、東京では家賃が高いうえに特に身寄りのない単身の高齢者は「倒れたら困る」などの理由で借りにくい“居住差別”を受けやすく、住宅費の上限額を超えると管理費に上乗せされてなんとか入居できるケースが珍しくないといいます。
「その場合、食費や電気代を削って家賃に回すことになりますが、住宅費部分がさらに削られると夏の熱中症など健康被害の問題になりかねません」と指摘します。
また、被災地と同様、都内では震災後、オリンピックも見据えて木造アパートをマンションなどに建て替える動きが加速しているといいます。
稲葉さんは「本来なら低所得者も入居できる公営住宅の充実など住宅政策の見直しが必要です。生活保護が使いづらくなると低所得者が都会で暮らせない状況が生まれてくると思います」と話しています。

厚労省は「削減でなく適正化」

一方、生活保護を巡る議論について、厚生労働省保護課は「最初から削減するというわけではなく、適正な額になるよう検証、見直しをかけているということです。厳しい財政の中で社会保障費も聖域ではないと厳しく言われていますが、検証結果を見て必要があれば上がる部分もあると思います」と話しています。

現在進めている調査結果を見たうえで、ことし12月に審議会に報告書を出してもらう方針で、国の来年度予算に反映される見通しです。
憲法で国民の権利とした「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられた生活保護。その中で住まいの問題がどう位置づけられるのか、国の姿勢が注視されています。

1 2 >