【2014年10月13日】 東京新聞:生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?

メディア掲載

10月13日付け東京新聞朝刊の特報面に「生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき 高額印象 国が誘導?」という記事が掲載されました。

私のコメントに関わる部分を中心に以下に転載します。

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【特報】
生活保護関連また標的 家賃扶助削減ありき
高額印象 国が誘導?

生活保護の住宅扶助の上限額を引き下げようという議論が、厚生労働省社会保障審議会の部会で起きている。低所得の世帯よりも生活保護受給者の住む住宅の家賃が高いという指摘があるためだが、「根拠が不明確だ」と意見する委員もいる。支援者は「上限は高くない。削減ありきの議論はやめるべきだ」と訴える。 (白名正和)

東京単身5.3万円「範囲内の物件少ない」

生活保護受給者の家賃は国と自治体が全額を負担している。「住宅扶助特別基準額」の名称で、厚生労働省が都道府県、政令市、中核市ごとに上限を定めている。

約23万世帯の受給者が暮らす東京都の都心部は基準額の上限が全国で最も高い。一人暮らしが53700円、2~6人の家族が69800円、7人以上の家族なら83800円。上限内の住宅を受給者自身で探す。都保護課は「高い設定ではない。23区内でこの額の住宅が潤沢にあるとは思えない。引き下げで住み慣れた地域をやむなく離れる人も出るのでは」と話す。

(中略)

低所得者と比較「意図的数値」

引き下げ論議の根拠の一つが、財務省が作成した資料だ。2009年の全国消費実態調査に基づき、年収300万円未満の2人以上世帯の平均家賃が38000円と指摘。生活保護の住宅扶助基準額の上限で算出した46000円と比べると、約二割、8000円高い。

財務省の資料は5月の社会保障審議会の部会で厚労省保護課から示された。しかし、「低所得世帯には公営住宅に住む世帯も含まれている」「上限額と平均値を比べても、あまり意味をなさない」「二割の違いを出発点とするのは非常に意図的なミスリーディング」などと批判する委員が少なくなかった。

花園大(京都市)の吉永純教授(公的扶助論)は「住宅扶助基準額はあくまでも上限。満額の人ばかりではなく、扶助額の実態はもっと低い」と指摘する。

実は、厚労省は毎年、実態調査をしている。11年は、民間の住宅に住む受給者で、住宅扶助基準額の上限の95%以上が支払われていたのは全体の約四割。65~95%もほぼ同じ約四割だった。

(中略)

住環境・貧困ビジネス…実情無視

NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛さんは「家賃が住宅扶助基準額の上限より低くても、大家が上乗せすることがある」と指摘した。受給者は物件を探しきれず、やむなく応じるケースがある。大家にピンはねされているのに似た状況だ。

上限を超えるような場合は、超えた分を管理費などとして別にし、何とか入居するケースもあるという。超過分は受給者が生活費から捻出する。

(中略)

生活保護は昨年8月から三年かけて、生活費にあたる生活扶助基準を段階的に引き下げ中だ。全体で670億円の減額で、受給者全体の96%が影響を受ける。新たな負担となる以上、稲葉さんは「生活保護の議論が、削減ありきになっているように思う。実態に即した判断をしてほしい」と指摘した。

 

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