東京都内で、また野宿者襲撃事件が発生。人権行政・教委の対応を求めます。
残念ながら、都内でまた中高生による野宿者襲撃事件が発生しました。
NHKニュース(「強盗の疑いで中高生逮捕 路上生活者も襲撃か」)によると、事件の概要は以下のとおりです。
東京・新宿区の路上で会社員の男性から現金などを奪ったとして中学生と高校生の少年合わせて3人が逮捕されました。新宿区内ではことし7月以降、公園などで路上生活者が暴行される事件が相次いでいて、警視庁は供述などから3人が関わったとみて調べています。
この事件の3時間ほど前、新宿区の都立戸山公園で60代から70代の路上生活者の男性3人が顔を殴られるなどしていて、少年らは一部について関与を認めているということです。ことし7月以降、この公園や近くの路上では路上生活者が暴行される事件がほかにも8件相次いでいて、警視庁は3人が関わったとみて調べています。
こうした襲撃事件は1990年代半ばから東京や大阪などで頻発しています。昨年夏、都内の野宿者支援団体、生活困窮者支援団体が合同で、野宿者への襲撃の実態に関するアンケート調査(野宿者347人への聞き取り)を実施したところ、40%の方が襲撃を受けた経験があるということがわかりました。
昨年8月14日、私たちはこの調査結果を公表し、東京都に対して、襲撃の実態把握と人権教育・人権啓発の強化などを求める申し入れをおこないました。
舛添要一都知事は翌8月15日、定例の記者会見で対策を徹底すると明言しました。
舛添都知事が野宿者襲撃への対策を徹底すると表明!実効性ある対策を求めます。(2014年8月16日)
しかし、その後、具体的な対策はほとんど行われませんでした。
都が今年8月に策定した東京都人権施策推進指針では、人権課題の一つとして「路上生活者」の項目が設けられ、「ホームレスに対する偏見や差別をなくし、ホームレスの置かれている状況や自立支援の必要性について都民の理解を促進するため、啓発等を行っていきます。」という記述が盛り込まれましたが、具体的な取り組みが実施されたという話は聞いたことがありません。
「人権啓発や人権教育はあまり効果がないのではないか」という意見をいただくこともありますが、区内で襲撃が続いたことを受けて、教育委員会と学校現場が野宿の当事者・支援者と連携をして、野宿者の人権に関する授業をおこなった墨田区では、実際に襲撃が激減しています。
東京都墨田区で野宿者襲撃が10分に1に減少(2014年10月17日)
今回の事件を受けて、東京都が姿勢を改め、野宿者襲撃をなくすための対策に本腰を入れることを求めます。また、地元の教育委員会にも働きかけをおこなっていきたいと思います。
2015年12月15日