新国立競技場基本設計(案)概要説明会に参加してきました。
本日(6月13日)19~21時、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が開催した「新国立競技場基本設計(案)概要説明会」に参加してきました。
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会場となった国立霞ヶ丘競技場体育館は500名の定員だそうですが、ほぼ満席でした。
説明会では、まず小一時間、JSCによる基本設計の説明がありました。
説明会資料より:下側にある「都立公園予定地」に、現在、都営霞ヶ丘アパートがあり、約170世帯が居住。国立競技場建て替えにより現在の明治公園をのみ込む形で敷地が拡大。玉突きで、その隣にある都営住宅を取り壊し、公園にしようという計画です。
説明会資料より:概算工事費(計1625億円)は、2013年7月時点の単価をもとに消費税は5%で計算!
その後、約1時間にわたり、質疑応答が行なわれました。以下は私のメモから書き起こしたものです。
Q:実際の工事価格についてはどの程度になるのか。
A:単価の変動や消費税の影響もあり、現時点では明らかにできない。
Q:70mの高さになった時、日照がどうなるのか、シミュレーションはあるのか。
A:まだ基本設計なので、今の時点ではお示しできない。
Q:周辺のマンションに住んでいるが、今まで何の説明もなかった。私たちのマンションには競技場側にしか窓がなく、下層階からは何も見えなくなる。今日の資料を見ても実際の高さがどうなるのかわからない。
A:もし対応ができていなかったのであれば、お詫びしたい。日影については改めて説明会を開催し、その時にお示ししたい。
Q:コンセプトには人と環境に優しいスタジアムとあるが、都営霞ヶ丘アパートに住んでいる170世帯が追い出される。敷地内にもテント生活している人がいる。誰の意見を聞いて基本設計を作ったのか。
A:都営アパートの敷地は周辺域からのバリアフリー確保、歩道スペース、防災のため必要。
Q:質問に答えてない。誰の意見を聞いたのか。
A:有識者会議で意見を聞いた。
Q:有識者会議に住民はいるのか。
A:住民はいません。
この頃から、JSCの住民無視の姿勢に途中退席する人が続出しました。
交通アクセスの問題も指摘されました。
Q:この動線(写真)だと西側の通りが大渋滞になる。西通りはこのあたりの住民がふだん使っている道。住民のことを考えていないのではないか。
A:東側は歩行者、西側は車というように分けた方が安全と考えて、そうしている。
Q:コストは最終的に3000億くらいになるのではないか。世界のオリンピックの流れは既存施設の活用。なぜ3000億もかけて巨大なグロテスクなものを作るのか?
A:私どもは3000億かかるとは思っていない。改修についても検討したが、収容人員、利便性等を考慮して改築にした。
Q:追い出される霞ヶ丘アパートの住民です。2年前の説明会ではコミュニティを大事にして移転すると言っていたが、実際はバラバラに移されている。この巨大な計画には心がない。8万人が集まった時に災害が起こったらどうするのか?
A:都営霞ヶ丘アパートは東京都の管轄であり、都が決めたことなので、都から説明がなされていると思う。災害時の避難については都と協議していく。
Q:伊藤豊雄氏の改修案は知っているのか。
A:伊藤氏が改修案を出したことは知っているが、JSCとしてコメントする立場にない。
Q:ランニングコストは?今日出た意見はどのように反映されるのか?
A:ランニングコストは年間46億円と試算している。今日出た意見は持ち帰り、内部で検討したい。
ここで21時になりましたが、まだ多くの参加者が手をあげていました。しかし、JSCは延長を求める声を無視して、説明会を一方的に打ち切りました。
全体として、周辺住民の不安の声に全く応えようとしないJSCの姿勢が浮き彫りになった説明会でした。
終了後、霞ヶ丘アパートの住民の方に感想を聞いてみました。
「今日の説明会は、あくまでも施設についての説明であって、そこに心が入っていない。住民の人たちがいろいろ訴えていたけど、その人たちの心情、悩み、不安が全然、考慮されないで作っている。国というのは私たちをバカにしているのかな、と感じました。住民のほとんどは高齢者だから、不安に思っていても、なかなか口に出せない。ただ『困っている』『体が弱っている』という単発的な言葉でしか出せていない。その状況を知ってほしい。」
こうした声にJSCや東京都が正面から向き合うことを切に願います。
都営霞ヶ丘アパートの立ち退き問題は明日のイベントでも取り上げます。
6月14日(土)2014年 「住まいは人権デー」ミーティング &パレード
2014年6月13日