認知症を悪化させる介護サービス削減法案は廃案に!
田村憲久厚生労働相が医療・介護総合法案の趣旨説明をおこなう際、厚労省が議員に配布したペーパーに他法案の資料が紛れ込むミスが発覚。
この日の法案審議はストップしました。
以下は東京新聞の記事です。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014052202000141.html
厚労省ミス 質疑できず 介護サービス削減法案
2014年5月22日 朝刊
参院本会議で二十一日、介護保険サービスの削減を柱とする地域医療・介護総合確保推進法案の趣旨説明を田村憲久厚生労働相が行った際、厚労省が出席議員に配った法案説明の文書にミスがあると判明。野党が反発し、予定されていた安倍晋三首相らへの質疑に入れないまま散会した。
文書は「第一に」「第二に」と順番に法案内容を説明しているが、「第一に」との段落が二回現れる。厚労省によると、二回目は昨年末に成立した社会保障制度を見直すプログラム(工程)法の内容。担当職員がパソコン上で工程法の説明に法案の説明を上書きした後、不要な部分を削除し忘れた。
今国会に提出した同省所管の労働者派遣法の改正案でも、行政機関の命令に応じなかった派遣事業者への罰則に関し「一年以下の懲役」とするべき条文を「一年以上」と間違えた。
田村氏は本会議後、参院議院運営委員会の理事会で陳謝。記者団に「単純ミスを繰り返すことは許されない。ミスがないように徹底する」と述べた。菅義偉(よしひで)官房長官は記者会見で、厚労省に注意したと明かし「誤りが二度とないよう緊張感を持って対応する」と述べた。
民主党の榛葉賀津也(しんばかづや)参院国対委員長は国会内で記者団に「立法府をばかにした対応だ」と強調。日本維新の会の小沢鋭仁国対委員長も「(政府に)緩みが出ている」と指摘した。
法案は二〇一五年四月から特別養護老人ホーム(特養)の新規入所者を原則として中重度の要介護3~5の人に限定。軽度の要支援1、2のお年寄り向けの訪問・通所介護事業は国から市町村に移す。一五年八月からは、一定以上の所得がある介護サービス利用者は一律一割の自己負担を二割に引き上げる。特養の入所者への居住費や食費の補助も縮小する。
この法案には様々な問題点がありますが、最もひどいのは、「要支援」の高齢者への通所・訪問介護を介護保険から外し、市町村事業に移すことです。
市町村事業になってしまえば、地域間の格差が広がり、財政力のない自治体では事業を継続することができなくなります。
多くの地域では結果的に、今までプロの介護ヘルパーがおこなっていたサービスを「家族や地域のボランティアに丸投げする」という状況が起こってしまうでしょう。
これでは、家族介護のために離職をせざるをえない人も増えかねません。
政府の責任を後退させ、家族に負担を押しつける、という方針は、生活保護法改悪における「扶養義務の強調」とも重なります。これも、「絆原理主義」の現れと言えるでしょう。
「要支援」というと、「そんなにサポートが要らないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、訪問・通所のサービスを受けることで、認知症が初期段階で済んでいる高齢者はたくさんいます。
「要支援切り」は、厚労省の進める認知症予防に逆行し、認知症の悪化を促しかねないのです。
「認知症の人と家族の会」は、4月に法案の一部撤回を求める6万人以上の署名を厚生労働省に提出しています。
この法案はすでに衆議院を通過してしまっていますが、野党には政府の事務的ミスをも利用してがんばっていただき、廃案に追い込んでもらいたいと思います。
2014年5月22日