【2016年11月18日】 「『まず住まい』のホームレス支援 民間団体が試み」 ハウジングファーストの紹介記事が朝日新聞に掲載

メディア掲載

2016年11月18日付け朝日新聞東京都内版に、ハウジングファースト東京プロジェクトの紹介記事が掲載されました。稲葉のコメントも出ています。

http://www.asahi.com/articles/ASJC245XLJC2UTIL01Q.html

東京)「まず住まい」のホームレス支援 民間団体が試み

2016年11月18日03時00分

 

路上生活者(ホームレス)の支援は安定した住まいの確保から――。欧米で採り入れられている「ハウジングファースト」という考えに基づき、民間の支援団体が豊島区でモデル事業に取り組んでいる。ホームレスの自立生活をめざす新たな試みだ。

豊島区の住宅街にある木造2階建てのアパート。5畳ほどの広さの部屋に男性(65)は7月から住む。ベッドや冷蔵庫、テレビ、エアコンが備えられ、食事は炊飯器でご飯をたき、コンビニなどでおかずを買う。男性は「ちゃんとした部屋で暮らすのは15年ぶりくらい。快適です」と笑う。

千葉県の漁師町で生まれ育った。バブルの真っ盛りに上京し、日雇いの建築現場で働いた。だが、50歳代に入ると、仕事は激減。公園などで寝泊まりし、池袋や新宿、上野を転々とするようになった。「女房とも別れ、ホームレスの世界にどっぷりつかった」

男性の住まいは、ホームレス支援や医療関係の6団体で構成する「ハウジングファースト東京プロジェクト」が用意した。空きアパート1棟(4室)を丸ごと借り、男性らに転貸している。家賃は生活保護の家賃補助を充てる。

敷金や家電製品の購入などの初期費用は、インターネットで小口の寄付を募るクラウドファンディングで調達した。9月末までに目標の100万円を上回る約144万円が集まった。

「従来型の支援ではホームレス問題の解決につながらない」。モデル事業の住宅支援部門を担う「つくろい東京ファンド」の代表理事で、立教大特任准教授の稲葉剛さん(47)は言う。

首都圏のホームレス支援は、まず民間宿泊所(無料低額宿泊所)などに一時的に入居するのが一般的だ。しかし「貧困ビジネス」と言われる劣悪な環境の施設も多く、自立の前に再び路上生活に戻るケースが目立つという。「いじめられたり、人間関係のトラブルに巻き込まれたりといったことも多い。精神疾患や知的障害がある場合はなおさらだ」と稲葉さんは話す。

男性も都内の民間宿泊所に入ったことがあるが、路上生活に戻った。「人間関係の風当たりが強く、命が縮まる思いがした。ああいう場所には帰りたくない」と言う。

そこで、安心して暮らせる住まいの確保を最優先にした今回の事業を始めた。精神疾患や知的障害がある人が主な対象。1990年代に米国で始まり、欧州などでも採用されている「ハウジングファースト」と呼ばれる考え方だ。

男性ら入居者の元にはソーシャルワーカーらが定期的に訪れ、日常生活を総合的に支援し、数カ月後の自立をめざす。

稲葉さんは「行政は最初からアパートに入居させることに消極的だが、施設の環境に耐えかねて脱落してしまう今のやり方ではムダが多い。発想の切り替えが必要なのではないか」と話す。プロジェクトが運営する部屋は現在、豊島区内に7室。少しずつ増やしていきたいという。(武井宏之)

※つくろい東京ファンドのウェブサイトは、こちら。ぜひご覧ください。

12月2日(金) 講演会『児童養護施設出身者の学生生活支援を考える』(立教・新座)

講演・イベント告知

http://www.rikkyo.ac.jp/aboutus/philosophy/activism/human_rights/events/info/2016/11/18441/

立教大学人権・ハラスメント対策センター
2016年度 秋季人権週間プログラム(新座キャンパス開催)
講演会『児童養護施設出身者の学生生活支援を考える』

立教大学人権・ハラスメント対策センターでは、毎年『人権週間プログラム』を開催しています。
新座キャンパスにおいて、講演会『児童養護施設出身者の学生生活支援を考える』を企画しました。

児童養護施設で暮らす子どもたちは日本に約3万4,000人。彼らは、高校を卒業する18歳で施設を出なければいけません。大学等への進学率は1割強、専門学校を含めても2割程度。進学には、高い授業料、生活費、友人との付き合いや課外活動費などを含めると高額な費用がかかります。将来、社会で自立するための経験を積む学生生活は、彼らにとって決して簡単なものではありません。経済的な困窮と孤独から学業の継続は難しく、志半ばで挫折し中退することも多いのが現実です。

こうした若者を真剣に応援しない社会に未来はない!
志ある学生を応援するために、児童養護施設出身の女子学生のシェアハウスを設立した、社会福祉と家族・ジェンダーの専門家である庄司洋子氏が、活動について紹介し、児童養護施設出身者にとって家族とは何か、また、彼らが大学等へ進学し卒業するために必要な支援とは何かについて講演をします。

また、貧困問題の専門家である稲葉剛氏が「住宅問題と若者の貧困」の視点からコメントをします。
その後、両氏で対談を行い、参加者も一緒に考えていきます。

たいへん貴重な機会ですので、みなさんどうぞご参加ください!!

 

日時 2016年12月2日(金) 18:30-20:30
場所 立教大学 新座キャンパス 3号館1階 N311教室

新座キャンパスへのアクセスはこちら。キャンパスマップはこちら。

講師 庄司 洋子 氏 NPO法人 学生支援ハウス ようこそ理事長、立教大学名誉教授

   稲葉 剛 氏 立教大学 21世紀社会デザイン研究科特任准教授

対象者 本学学生、教職員、一般
受講料 無料
申込 不要(当日は、直接会場へお越しください)
主催 立教大学人権・ハラスメント対策センター
共催 ジェンダーフォーラム、コミュニティ福祉研究所、社会福祉研究所
問合せ先 立教大学 人権・ハラスメント対策センター
(新座) TEL:048-471-7396
(池袋) TEL:03-3985-3192
jinken@rikkyo.ac.jp

1