【2019年7月12日】 朝日新聞東京版「参院選 私の争点」にインタビュー記事掲載

メディア掲載

2019年7月12日付け朝日新聞東京版に稲葉のインタビュー記事が掲載されました。

https://www.asahi.com/articles/ASM787H1YM78UTIL03W.html

参院選2019 私の争点

つくろい東京ファンド代表理事 稲葉剛さん(50)

学生時代に路上生活者の支援に関わったのを機に、貧困問題に取り組んで25年になります。数字上の失業率は改善し、働ける世代の生活保護は減りましたが、実態をよく見ると、状況はよくなるどころか、悪化の一途をたどっているようにみえます。

若い世代では、非正規雇用の不安定な仕事が多いため、ネットカフェなどで暮らさざるをえない「住居喪失者」が増加。都内では2017年に4千人と、この10年間で倍増しました。24時間営業のファミレスやファストフード店、カプセルホテル、サウナ、友人宅などを転々とし、路上生活の一歩手前で都会を漂流する人が増えているのを実感しています。

高齢者も同様です。生活保護世帯に占める高齢者世帯の割合が年々増え、現在は半数を超えました。根っこにあるのは年金問題。家賃が高い東京で、年金が少ない一人暮らしの高齢者は生活できません。年金政策と住宅政策の失敗で、生活保護に頼らざるをえない高齢者が増えている。

07年に始まった反貧困運動にかかわりましたが、存在しないとされていた国内の貧困問題を可視化するのが目標でした。08~09年の派遣切り問題によって貧困は誰の目にも明らかになり、貧困を生み出す社会のあり方を再考しようとする動きが広がりました。

しかし、今は自分と家族が生き残るのが精いっぱいで、社会のあり方に目を向ける余裕のない人が増えているような気がする。悪い意味で、貧困が存在することがあたり前の社会になってしまったと言えます。

ここ数年はブラック企業批判など、若者の生きづらさや経済的な困難を言語化することで改善につながった例も出てきています。声を上げることで制度や社会の意識を変えるという経験を積み重ねていくしかない。選挙もその機会の一つなのだと思います。(聞き手・小林太一)

いなば・つよし 広島県生まれ。2001年に「自立生活サポートセンター・もやい」を設立し、14年まで理事長。15年から立教大大学院特任准教授。

 

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