メディア掲載
生活保護基準引き下げ問題に関して、2017年12月19日付けの毎日新聞と東京新聞に、稲葉のコメントが掲載されました。
政府は引き下げ方針を決めましたが、方針の撤回を求めて、働きかけを続けていきます。署名も引き続き、ご協力ください。
【拡散希望】「 #生活保護 制度の充実を求める緊急署名」を募っています。みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。
http://mainichi.jp/articles/20171219/k00/00m/040/125000c
生活保護費 母子加算削減に怒り悲鳴「負の連鎖招く」
生活保護費の生活費相当分の受給額最大5%カットが決まり、受給者や支援者らからは憲法25条が保障する「生存権」がさらに脅かされることを懸念する声が相次いでいる。
(中略)
生活保護を受けていない低所得世帯の消費額と同水準になるように受給額を決める方法にも異論が出ている。経済成長時には全体に合わせて受給額も上がっていた。だが、社会の状況は大きく変わっている。貧困問題に取り組む一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は「貧困が広がるほど減額になる仕組みだ」と批判する。
(後略)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2017121902000114.html
生活扶助、3年で160億円削減へ 政府決定 母子加算も減額:核心
政府は十八日、生活保護のうち食費などの生活費に充てる「生活扶助」を、国費ベースで約百六十億円(1・8%)削減することを決めた。二〇一八年十月から三年かけて段階的に削減する。都市部の子どもがいる世帯や高齢単身世帯の削減幅が大きく、最大5%程度減少する見通し。
(中略)
※以下は、稲葉のコメント部分の画像です。
※関連記事:社会の底割れを招く生活保護基準引き下げに反対!署名を提出しました。
2017年12月19日
講演・イベント告知
私自身は残念ながら参加できませんが、重要な集会なので、行ける方はぜひご参加ください。
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緊急院内集会
「もうひとつの生活保護基準部会~厚労省は当事者、生活保護基準部会の声を聴け!~」
厚労省が来年度から生活保護基準を大幅に引き下げる方針を示しています。減額幅を5%に抑えるという報道も出ていますが、5%でも十分過酷な大幅引き下げです。2013年から生活扶助基準、住宅扶助基準・冬季加算が相次いで引き下げられ、29都道府県で違憲訴訟が争われているさなか、さらなる引き下げ自体があり得ません。
下から10%の最貧困層の生活水準に合わせての引き下げは、市民生活全体の際限ない「引き下げスパイラル」を招くもので、生活保護基準部会も決して容認しているわけではありません。
当事者・支援者の現場からの声を聴いてください!
【日時】2017年12月19日(火)午後2時~
※午後1時30分から衆議院第1議員会館ロビーで通行証を配布します
【場所】衆議院第1議員会館多目的ホール
※入場無料・事前予約不要
【内容】
「生活保護基準部会報告書をどう読むか」
布川日佐史さん(法政大学教授、元生活保護制度の在り方専門委員会委員)
「厚労省案のどこが問題か」
森川清さん(弁護士、元葛飾区ケースワーカー)
「子どものいる世帯の扶助・加算削減の影響」
桜井啓太さん(名古屋市立大学専任講師、元堺市ケースワーカー)
当事者・関係者のリレートーク
国会議員発言(適宜)
主催:「もうひとつの生活保護基準部会」実行委員会
連絡先:あかり法律事務所 弁護士 小久保哲郎 (06-6363-3310)
※関連記事:社会の底割れを招く生活保護基準引き下げに反対!署名を提出しました。
2017年12月17日
メディア掲載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017121602000154.html
【特報】「節約も限界」 生活保護費カット
厚生労働省は生活保護費のうち、食費や光熱費など「生活扶助」の基準額引き下げを検討、年末までに結論を出す。基準額の見直しは5年に1度で、前回も引き下げられた。受給者らは「節約もすでに限界」と不安を募らせるが、不正受給例などを挙げて減額を肯定する声もある。ただ、生保の目減りは受給者か否かにかかわらず、住民税の非課税限度額や賃金水準そのものにも影響する。 (安藤恭子、大村歩)
(中略)
※以下は稲葉のコメント部分の画像です。文中、「一番貧しい人に合わせるという一見、合理的に見える水準均衡方式には…」とありますが、これは今回の方式という意味です。水準均衡方式は、本来、一般低所得層との比較のみで決めるというものではありません。
※関連記事:社会の底割れを招く生活保護基準引き下げに反対!署名を提出しました。
2017年12月16日
提言・オピニオン 日々のできごと
本日(12月15日)、私が共同代表を務める「いのちのとりで裁判全国アクション」は、厚生労働省に「生活保護制度の充実を求める緊急署名」第一次集約分17471筆分を提出しました。
署名で要望しているのは、以下の4点です。
1.社会保障と教育への予算配分率を先進ヨーロッパ諸国並みに引き上げてください。
2.生活保護世帯の子どもの大学・専門学校等への進学を認め、低所得世帯の学費減免と給付型奨学金を拡充してください。
3.生活保護の母子加算の削減や級地の見直し等さらなる生活保護基準の引き下げをしないでください。
4.生活扶助基準・住宅扶助基準・冬季加算を元に戻し、夏季加算を創設してください。
この緊急署名は、今年10月下旬から集め始めたものですが、12月に入り、「厚生労働省がさらなる生活保護基準の引き下げを検討している」との報道が流れて以来、オンラインを中心に署名が急速に広がりました。
本日提出分のうち、約4分の1にあたる3794筆分はオンライン署名でした。
署名提出の後、厚生労働記者会で記者会見を行いました。会見には生活保護の利用当事者も3人参加し、各メディアに「生活保護利用者の生活実態を知ってほしい」と訴えました。
署名提出と記者会見の様子は、すでに各社で報道されています。NHKとTBSの報道は下記リンク先よりご覧ください(一定期間が過ぎると、リンクが切れる可能性があります)。
生活扶助引き下げ方針 撤回求め署名提出 | NHKニュース
生活保護費の引き下げ反対、弁護士ら要望書提出 TBS NEWS
新聞各社は明日の朝刊に記事が出る見込みです。ぜひご注目ください。
一般低所得世帯との比較は「悪魔のカラクリ」
私は記者会見の場で、生活保護問題対策全国会議が発表した緊急抗議声明の内容を説明して、「下位10%の一般低所得世帯の消費実態と比較して、生活保護基準の方が相対的に高いので、基準を引き下げる」という厚労省の考え方を強く批判しました。
「一般低所得者世帯と比較して、生活保護基準を下げる」というのは、一見、合理的なように見えるかもしれませんが、この理屈で行くと、「政府が貧困対策に失敗すれば、失敗するほど、生活保護基準を下げて、社会保障費を抑制できる」ということになります。
例えば、「一般低所得世帯」の中には、生活保護を利用する資格がありながら、行政の「水際作戦」などによって利用できておらず、「受給漏れ」状態にある方が多数含まれています。
生活保護の捕捉率(利用資格のある人のうち、実際に制度を利用できている人の割合)が2~3割と言われる中で、生活保護基準を下位10%の層の人たちの消費実態と比較すれば、どういう結果になるのかは、最初から明らかです。
生活保護行政が充分に機能していない結果が、生活保護基準の引き下げという形で、制度利用者に押し付けられてしまうのです。
そして、生活保護基準は他の低所得者対策の基準とも連動しているので、その基準が下がれば、他の社会保障制度も利用しづらくなります。
その影響で、下位10%の人たちの生活がさらに苦しくなれば、その事実をもとにさらに生活保護基準を下げることが可能になります。これは「貧困スパイラル」と言われている現象です。
「貧困スパイラル」では、政府が貧困対策に失敗し、低所得者の生活が悪化すればするほど、生活保護基準を下げることができます。
極論を言えば、貧困が拡大し、国民の10%が飢える状態にまでなってしまえば、それとの比較で、生活保護基準をゼロに近づけることまで可能になるのです。
このように、格差や貧困が拡大している現代の日本社会において、「一般低所得者世帯との比較」論は「悪魔のカラクリ」になってしまうのです。
生活保護基準部会でも、この点については各委員から何度も懸念が示されていました。その指摘をスルーして、引き下げを強行すべきではない、と私は強調しました。
引き下げ幅が小さければ良いわけではない
引き下げ額は最大13.7%という報道もありましたが、5%に圧縮するという各社報道もあります。
この点について、記者から質問をされましたが、私は「引き下げ幅が小さければいいという問題ではない。私たちは前回、2013年の引き下げ自体が不当であり、違憲だと考えている。すでに現在の基準では、健康で文化的な生活をおくるのに困難な状況になっている。あくまで、前回の引き下げ前の基準(2012年までの基準)に戻すことを求めたい」と答えました。
緊急署名は継続中です!ぜひご協力ください!
緊急署名は、来年1月末まで継続して募集しています。まだの方はご協力をお願いします。
「生活保護制度の充実を求める緊急署名」を募っています(いのちのとりで裁判全国アクション)
同アクションでは、今後とも緊急の抗議行動を企画していきます。ぜひご注目ください。
2017年12月15日
講演・イベント告知
http://japansocio-culture.com/taikai/taikai_20/
社会文化学会第20回全国大会 大会テーマ「抵抗の文化は可能か?」
2017年12月15日(金)~17日(日)
会場:立教大学池袋キャンパス
※稲葉は、2日目(12月16日)の全体シンポジウムでお話します。大会全体のスケジュールは上記リンク先をご覧ください。
大会スケジュール〔12月16日(土)〕
13:00~ 受付開始
13:30~17:00 全体シンポジウム「抵抗の文化は可能か――社会運動の再考」
場所 立教大学池袋キャンパス5号館5121教室
報告者:
谷和明(東京外国語大学名誉教授)
「九条俳句訴訟からみる政治的中立と市民的公共性」
清眞人(元近畿大学教授・「戦後世界史と日本 市民ネット」代表)
「社会文化学会への提案--抵抗の文化蘇生イニシアチブの幾つか」
稲葉剛(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)
「貧困の現場から社会を変える~野宿者運動、反貧困運動の経験から」
司会・趣旨説明:和田悠(立教大学)
17:10~18:10 総会
18:30~20:30 懇親会(多国籍創作料理 レッドピーマン 豊島区池袋3-1-2)
参加費
大会参加費:1,500円(非会員の一日参加1,000 円)
〔懇親会〕一般4,000円、大学院生2,500円
チラシのPDFは、こちらでダウンロードできます。
2017年12月1日
講演・イベント告知
http://housingpoor.blog53.fc2.com/blog-entry-308.html
12月8日(金)第4回講座「空き家を活用したハウジングファーストの取り組み」
「新たなセーフティネット住宅の実践を考える」の第4回講座を下記のとおり、開催いたします。
どなたでも参加できます。ぜひご参加ください。
第4回講座 「空き家を活用したハウジングファーストの取り組み」
日時:12月8日(金)午後6時30分~午後8時
会場:新宿区・戸塚地域センター・地階集会室1(高田馬場駅徒歩3分)
アクセスは、こちら。
講 師:稲葉 剛(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)
「ハウジングファースト」とは、生活困窮者の支援において安定した住まいの確保を最優先とする支援アプローチです。
1990年代にアメリカで始まったハウジングファーストは、ホームレス問題の解決につながる画期的な支援手法として欧米各国に広がりました。
日本でも東京都内の7団体がネットワークを組み、「ハウジングファースト東京プロジェクト」を進めています。一般社団法人つくろい東京ファンドは、このネットワークの中で住宅支援を担当しており、中野区・豊島区などで空き家・空き室を借り上げた個室シェルターや支援アパートを運営しています。
この学習会では、ホームレス問題の現状と東京におけるハウジングファーストの取り組みについて学びます。ぜひご参加ください。
【開催団体】 国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、住まいの貧困に取り組むネットワーク、日本住宅会議(関東会議)
【連絡先】 NPO住まいの改善センター ℡:03-3837-7611
※講座終了後の8時過ぎより、住まいの貧困に取り組むネットワークの定例会議も行いますので、お時間のある方はあわせてご参加ください。
2017年12月1日
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