【2016年10月22日】 『SYNODOS』にインタビュー記事が掲載

メディア掲載

2016年10月22日、ウェブマガジンの『SYNODOS』に稲葉のインタビュー記事が掲載されました。

以下のタイトルをクリックすると、リンク先でご覧いただけます。

 

【SYNODOS】告発だけではダメ? 貧困問題の解決方法/『貧困の現場から社会を変える』著者、稲葉剛氏インタビュー 

 

関連記事:『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)が増刷!朝日新聞に書評も掲載されました。

 

11月15日(火) 『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)刊行記念 稲葉剛・星野智幸さん対談「生きやすい社会のつくり方」

講演・イベント告知

https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20161014204016.html

【紀伊国屋書店新宿本店】 『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)刊行記念

稲葉剛さん・星野智幸さん対談「生きやすい社会のつくり方」(2016年11月15日)

CqR0JgFUEAAhGgu

稲葉剛さんの新刊『貧困の現場から社会を変える』の刊行を記念して、初の自選作品集『星野智幸コレクション』Ⅰ~Ⅱを刊行された星野智幸さんをゲストにお迎えした対談&サイン会を行います。稲葉剛さんは、長く貧困の現場にかかわり、さまざまな提言や制度改革に取り組んでこられ、星野智幸さんは、いま問題となっている日本社会の危機的状況や問題を、早い時期から正面的に描き、警鐘となる作品を発表されてこられました。それぞれの著作や活動を手掛かりに、昨今また広がりを見せる貧困バッシング、自己責任論などについて、またそうした社会をどう変えていくか、についてお話していただきます。ぜひご参加ください。

日時◆2016年11月15日(火) 19:00開演/18:45開場

会場◆紀伊國屋書店新宿本店8階イベントスペース

定員◆50名  ※定員に達し次第、受付を終了させていただきます。

参加料◆1,000円(ただし、当日『貧困の現場から社会を変える』および『星野智幸コレクション』Ⅰ~Ⅱのいずれか1冊をお買い上げの方は無料となります)

参加方法◆11月1日(火)午前10時よりお電話にてご予約を受付いたします。(先着50名様)

ご予約電話番号:03-3354-5703
新宿本店3階売場直通(10:00~21:00)

※当店に繋がる他の電話番号にかけられてもご予約は承れませんのでご注意下さい。
※間違い電話が頻発しています。上記の電話番号を今一度お確かめの上お掛け下さい。
※イベントに関するお問い合わせも、上記の電話番号までお願いいたします。

【出演者プロフィール】

稲葉剛
1969年広島県生まれ。NPO 法人自立生活サポートセンター・もやい理事。立教大学特任准教授。著書に『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために―野宿の人びととともに歩んだ20年』(エディマン、2014年)、『生活保護から考える』(岩波新書、2013年)、『ハウジングプア』(山吹書店、2009年)など。

星野智幸
1965年、アメリカ・ロサンゼルス市生まれ。88年、早稲田大学卒業。2年半の新聞社勤務後、メキシコに留学。97年「最後の吐息」で文藝賞を受賞しデビュー。2000年「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、03年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、11年『俺俺』で大江健三郎賞、15年『夜は終わらない』で読売文学賞を受賞。『呪文』『未来の記憶は蘭のなかで作られる』など著書多数。

◆注意事項◆

・参加料1000円はイベント当日、会場にてお支払いいただきます。『貧困の現場から社会を変える』『星野智幸コレクション』Ⅰ~Ⅱも会場にご用意しておりますので、その場でお買い求めください。(お支払い方法は現金のみとさせていただきます)
・イベント会場は自由席となります。開場時間よりご入場いただいた方からお好きな席にお座りいただけます。
・イベント会場での撮影・録音は固くお断りします。
・お客様のご都合や交通機関の遅延により時間に遅れた方や、係員の指示に従っていただけない場合は、イベントへのご参加をお断りする場合がございます。
・イベントの出演者・内容については急な変更等ある場合がございます。予めご了承下さい。
・定員になり次第、受付を終了させていただきます。尚、当サイトでの受付終了のご案内は遅れる場合がございます。予めご了承下さい。

 

関連記事:鵺がつないだアートと小説~武盾一郎さん×星野智幸さんのコラボが完成!

 

11月11日(金) 貧困バッシングを考える院内集会

講演・イベント告知

Aequitas(エキタス)が主催する下記の院内集会で発言をします。ぜひご参加ください。

14650462_1764944160421040_1516579225847660670_n

私どもAEQUITAS(エキタス)は、最低賃金を抜本的に引き上げること(最低賃金1500円)の必要性、またそれに伴い充実した中小企業支援策を講じることで経済の巡りを良くし、国民の所得をあげ、ひいては日本の「格差と貧困」を解決できることを訴えています。

特に、日本の低賃金の問題が貧困と密接に関連しており、日本の労働のあり方や不十分すぎる社会保障制度のあり方が貧困を生み出していることに問題意識を持っており、声をあげていかなければならないと考えています。

8月18日にNHKのニュース7で女子高生が経済的な壁に直面しているとして紹介された際、ネット上で「当事者の女子高生の生活は貧しくない」という貧困バッシングが渦巻きました。この貧困バッシングには相対的貧困という視点が欠如しているといえます。相対的貧困は社会保障制度や政策などの構造によって発生している問題です。相対的貧困率は16パーセントを超えており、労働規制や福祉の充実を求めることが重要になっています。

しかし、バッシングに見られるように相対的貧困への無理解は根強く、私たちはこのような状況に危機感を感じています。このままでは、おかしいことにおかしいと訴える「声」が抑圧されてしまいます。そのため、私たちは8月27日には「貧困叩きに抗議する新宿緊急デモ」を行いました。今回の集会では、相対的貧困やさまざまな形の貧困への理解を深め、福祉の充実を訴えるものにしたいと思っております。また、政治のレベルでも、これまでよりも、より真剣に「格差と貧困」の解決を訴え、政策を考えていかなければならないと考えています。この集会に多くの人が集まり、「格差と貧困」の解決をこれまでよりさらに大きな政治課題へと押し上げていければと思っています。

「貧困」は、今や、子どもや若者だけでなく高齢者や多くのマイノリティにとっても切実な問題です。もはや、これ以上放置していいわけがありません。是非、参加をよろしくお願いいたします。

日時:11月11日(金)18:00〜19:45
場所:参議院議員会館講堂(永田町駅すぐ)

プログラム

【基調講演】
相対的貧困とは(仮)―大沢真理東京大学教授

【報告】
住まいの貧困―稲葉剛(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)
高齢者の貧困―藤田孝典(NPO法人ほっとプラス代表理事)
医療と貧困―岩下明夫(立川相互歯科・歯科医師)
最後に参加議員のコメント

【8月27日 貧困叩きに抗議する新宿緊急デモ関連】
「貧困たたきやめよ/東京・新宿エキタスが緊急デモ」
毎日新聞「新宿で緊急抗議デモ」
東京新聞「貧困たたき 若者NO 結成1年エキタスとは

〔お問い合わせ〕

AEQUITAS(エキタス)
mail:aequitas1500@gmail.com

関連記事:「生活保護利用者の人権は制限してもよい」の先には、どのような社会があるのか?

 

『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)が増刷!朝日新聞に書評も掲載されました。

日々のできごと

9月に上梓した稲葉剛の新著『貧困の現場から社会を変える』が、発売一ヶ月で増刷になりました。
多くの方に読んでいただき、著者としても嬉しい限りです。

貧困問題の入門書として買われる方も多いようです。国内の貧困に関心のある方、最近の貧困報道に疑問を持っている方はぜひ手にとってみてください。

CqR0JgFUEAAhGgu

また、10月16日付けの朝日新聞書評欄に星野智幸さんによる書評が掲載されました。飯島裕子さんの『ルポ 貧困女子』とともに拙著を取り上げてくださっています。

近年強まりつつある貧困者バッシングに触れた上で、「弱者の側が自ら苦境を証明しないと理解されないというこの現状を覆す」ための「指南書」として、拙著を紹介してくださっています。

書評は以下のページで全文をご覧になれるので、ぜひご一読ください。

BOOK asahi.com 書評:『ルポ 貧困女子』[著]飯島裕子/貧困の現場から社会を変える[著]稲葉剛

11月15日(火)には、刊行記念イベントとして、その星野さんとの対談をおこないます。ぜひご参加ください(事前予約制です)。

11月15日(火) 『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)刊行記念 稲葉剛・星野智幸さん対談「生きやすい社会のつくり方」

 

11月7日(月) 「いのちのとりで裁判全国アクション」設立記念イベント

講演・イベント告知

「いのちのとりで裁判全国アクション」設立記念イベント

161107_inochitoride-4_flyer

2013年から2015年まで3度にわたって最大10%もの生活扶助基準引き下げが行われました。これに対しては、全国27都道府県で900名を超える原告が違憲訴訟を提起して立ち上がっています。

このたび、原告同士の交流や社会へのアピールなど訴訟支援を通じて、普遍的な社会保障制度の実現をめざすため、「いのちのとりで裁判全国アクション」を設立します。

誰もが人間らしく生きられる社会をめざして、集い、声をあげましょう。

日時 2016年11月7日(月)
13:30~16:00(開場13:00)

※13:00から衆議院第1議員会館ロビーにて通行証を配布します。

場所 衆議院第一議員会館大会議室
東京都千代田区永田町2-2-1
※東京メトロ「国会議事堂前駅」3番出口、有楽町線「永田町駅」1番出口から徒歩5分

入場無料・事前申込不要

総合司会 本田宏さん(外科医)

■開会あいさつ 井上英夫さん(金沢大学名誉教授)

■基調報告 小久保哲郎(弁護士)

■原告からの訴え・国会議員あいさつ

■ミニシンポジウム
コーディネーター:雨宮処凛さん(作家)

稲葉剛さん(住まいの貧困に取り組むネットワーク)

藤川里恵さん(AEQUITAS/エキタス)

佐藤晃一さん(やどかりの里)

介護現場で働く方
■集会アピール

■まとめ 尾藤廣喜さん(弁護士)
主催:「いのちのとりで裁判全国アクション」準備会

[本件の問い合わせ先]
〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16 西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所 弁護士 小久保 哲郎
TEL 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320

 

第3回国連人間居住会議が17日開催!日本政府は国内に住まいの貧困があることを認めたくないの?

提言・オピニオン

国内ではほとんど注目をされていませんが、10月17日からエクアドルの首都キトで第3回国連人間居住会議(ハビタットⅢ)が開催されます。

「適切な居住への権利」は基本的人権であることが宣言されたハビタットⅡから20年を経ての開催になります。

関連記事:「住まいは人権」から20年。今こそ、住宅政策の転換を! 

ハビタットⅢでは、前回会議からの20年間に進められてきた各国の取組実績をもとに、人間居住にかかわる課題の解決に向けた国際的な取組方針「ニュー・アーバン・アジェンダ」をとりまとめられる予定です。

いわば、各国の提出した「通信簿」をもとに、新たな計画を決めようというわけです。

では、日本政府はこの20年間の「人間居住」に関する取り組みをどのように自己評価しているのでしょうか。

外務省のウェブサイトに、日本政府が提出した「ナショナルレポート」の全体版(英語)と概要(日本語)がアップされています。

外務省:第3回国連人間居住会議(ハビタット3)に向けた国別報告書の提出 

%e3%83%8a%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%83%ac%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%88%e8%a1%a8%e7%b4%99

驚くべきことにこのレポートでは、日本国内の「住まいの貧困」について全く触れられていません。英語の全体版を見ても、homelessという単語は一度も登場せず、日本国内で適切な住宅を確保できていない人は存在しないかのような書きぶりです。

東日本大震災の復興に関しても、「新しい東北(“New Tohoku”)の創造」といった美しい言葉ばかりが並び、被災者の住宅状況については「住宅再建とコミュニティ復興を加速化」としか触れられていません。東京電力・福島第一原発事故からの避難者についても「長期避難者に生活のための基盤を提供」と、全く問題がないかのような記述になっています。

この甘すぎる自己採点に対して、国内の住宅問題に取り組んできた団体で、以下の共同見解を発表しました。ぜひご一読いただき、「ナショナルレポート」の問題点と「人間居住」に関して、本来、政府が行なうべき政策について、考えていただければと思います。

 

第3回国連人間居住会議(ハビタットⅢ)の開催にあたって

日本政府報告書の問題点と私たちの見解

 

2016年10月15日

日本住宅会議理事長 塩崎賢明
国民の住まいを守る全国連絡会代表幹事 坂庭国晴
住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人 稲葉 剛

 

はじめに―ハビタットⅢ、南米エクアドルで開催

2016年10月17日~20日、南米エクアドルの首都キトで第3回国連人間居住会議(略称・ハビタットⅢ、人間居住に関わる課題解決のために開催される正式な国連会議)が開催される。

1996年トルコのイスタンブールで開催されたハビタットⅡから20年ぶりの開催で、テーマはhousing and sustainable urban development(住宅と持続可能な都市整備)で、前回Ⅱのテーマを引き継いでいる。その開催主旨は、「前回会議からの20年間進められてきた各国の取組実績をもとに、急速に進展する都市化を成長に結びつけることにより、幅広い人間居住に係る課題の解決に向けた国際的な取り組み方針『ニュー・アーバン・アジェンダ』をとりまとめる」こととなっている。

私たちは、日本における様々な住宅問題に携わっている団体として、「幅広い人間居住に係る課題の解決」は極めて重要であり、そのための議論が深められることを期待している。そして、「国際的な取り組み方針」がこうした議論を経て採択され、ハビタットⅢが成果をあげることを願っている。

日本政府報告書と居住貧困の現実

ハビタットⅢの開催に向けて、日本政府は2015年12月に「ナショナル・レポート」を提出している。これは「我が国のこれまでの経験と次世代に向けた課題について、有識者の意見等を踏まえ、我が国の人間居住に関する国別報告書をとりまとめた」ものとされている。

しかし、この報告書は、ハビタットⅢにおいて今後の国際的な取り組み方針に反映されるべき日本の公式文書としては、きわめて重大な問題を含んでいる。

・前回ハビタットⅡの宣言

そもそも前回のハビタットⅡのアジェンダ(行動綱領)では、「すべての人のための適切な住宅」が主要な柱として、次のように盛り込まれた。「われわれは、諸国際文書が定めた適切な住宅に対する権利の完全で漸進的な実現に向けての誓約を再確認するものである。この脈絡において、人びとが住まいを確保でき住宅と近隣を保護し改良できるようにする、政府のもつ義務を確認する」とし、「われわれは人権の基準と完全に合致する態度をとり、この目的を実施、促進しなければならない」と明確に宣言したのである。

したがって、当然日本はこの20年間における「住まいの確保、住宅と近隣の保護・改良」のための取り組みとその結果を報告すべきであるが、報告書はそうした内容にほとんど触れていない

・日本政府報告書での「住宅について」

報告書は、6つの章から成り立っているが、住宅については、最後の章で以下のようにごくわずか述べているだけである。

住宅については、2003年には、世帯数(4,700万世帯)を住宅戸数(約5,400万戸)が上回る状況となった。本格的な少子高齢社会、人口・世帯減少社会の到来等を契機に、2006年に「住生活基本法」を制定し、「住宅の量の確保」から「住宅の質の向上」へと政策を転換した。今日では、「サービス付き高齢者向け住宅」などによる高齢者が安心して暮らせる住まいと生活に係る福祉サービス等の一体的供給や住宅の省エネ性能の向上、低炭素社会の実現に向けた取組等が課題になっている。(日本語版概要)

・住宅貧困の記述なし―政府報告書

まず、ここで「2003年には世帯数を住宅戸数が上回る状況となった」としているが、わが国で、住宅戸数が世帯数を上回ったのは1968年であり、それ以来一貫して住宅戸数は世帯数より多いのである。2003年をことさら強調することには意味がない。

より重大な問題は、住宅戸数が世帯数よりはるかに多く、膨大な空き家が発生しているにも関わらず、ホームレス、ネットカフェ難民、脱法ハウスなど住まいに困窮する人々が大量に存在している現状に全く触れていない点である。現在大きな問題となっている空き家問題についても触れていない。また、住生活基本法の制定について述べているものの、住まいに困窮する人々(住宅確保要配慮者)に対する住宅セーフティネットについては、民間賃貸住宅を活用するために居住支援協議会を作るとしているだけで、現実に低所得者、被災者、高齢者、子育て世帯などの住宅貧困を解決する課題については記述がない。逆に、「地域優良賃貸住宅が効果的に使われている」、「公共住宅がUR(都市再生機構)などによって建設されている」(英文報告書)と述べられているが、実際には公共住宅の新規建設は事実上ストップしており、現実とかけ離れている。

・わが国の公営住宅の現状と居住権の侵害

今年7月、政府審議会の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、高齢者等の住宅確保要配慮者にとって住宅セーフティネットである公営住宅の応募倍率が東京都22.8倍、全国5.8倍(2014年)となっていることをふまえ、「応募倍率は大都市圏を中心に高い状況にあり、希望しても入居できない世帯が多く存在する状況にある」としている。「希望しても入居できない世帯が多く存在する状況」を認めているのであるが、この状況は20年間何ら改善されていない。

それどころか、2009年度から実施された入居収入基準の大幅引き下げ(月収20万円以下から月収15万8千円以下に変更)によって、公営住宅を「希望することさえできない状況」が作り出されている。

事実、2006年度の全国の公営住宅応募者は931,771世帯(応募倍率9.6倍)であったが、2013年度には同642,614世帯(6.6倍)となり、29万世帯も減少している。つまり制度改悪によって応募者が締め出されたのであって、住宅セーフティネットの状況はむしろ悪化しているのである。

東京都内では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う新国立競技場の建設や関連工事により、国立競技場近隣に300戸ある東京都の公営住宅・霞ヶ丘アパートの住民の追い出しが行われ、また、明治公園など各地の野宿者が立ち退きにさらされている。政府報告書は日本国内で居住の権利が侵害されている現実に向き合うべきであるが、その記述も見られない。

大震災・原発事故被災者の住まいの問題

報告書の第3章「地球温暖化対策と災害に強い地域づくりに向けて」では東日本大震災について次のように述べている。

2011年3月、東日本大震災により18,000人以上の死者・行方不明者が発生し、最重要課題として復興の加速化に取り組んでいる。復興に際して、『新しい東北』の創造、世界のモデルとなる『創造と可能性ある未来社会』の形成を全国に先駆けて目指す考え方も示された。2014年6月、『国土強靭化基本計画』が策定され、これに基づき、政府一丸となって強靭な国づくりを計画的に進めていく。また、わが国は、2015年3月に第3回国連防災世界会議をホストし(於仙台市)、我が国の知見を広く国際社会に発信共有し、防災の主流化を提案する。(日本語版概要)

・住宅難民の状態が続く―政府の理不尽な対応

驚くことに、ここには「被災者」やその住まいについての記述が全く登場しない。東日本大震災から5年半を経過するが、今なお14万人の人々が避難し、終の棲家に到達できず、先行きの見えない状況が続いている。また、兵庫県・神戸市・西宮市では、21年前の阪神・淡路大震災で借上げ公営住宅に入居した被災者が行政によって強制退去させられようとしている。東日本大震災や熊本地震等、近年頻発している災害の被災者の住宅再建は立ち遅れており、3000人以上の関連死を生み出した避難所や仮設住宅の非人間的な居住環境は一刻も早く改善されなければならない。

東京電力福島第一原発事故による被災者は全国に散らばり、先行きの見えない状態が長く続いている。加えて自主避難者を対象に、福島県が実施している住宅の無償提供が2017年3月末に打ち切られるという問題も発生している。

日本政府の報告書は、このような被災者の置かれている現状に触れないまま、復興庁の設置、復興予算25兆円の投入、復興の加速化、「新しい東北」の取り組みなどの記述に終始している。政府が取るべき姿勢は、現在進行中の被災者の深刻な居住問題に正面から向きあうことである。

「住生活基本法」とあるべき住宅政策

2006年の「住生活基本法」の制定と「政策転換」はどのようなものであったか。当時の政府は、「住宅及び住宅資金の直接供給のための政策手法について、抜本的な改革が行われてきたところであり、その総仕上げとして、今般、住生活基本法の制定により、住宅セーフティネットの確保を図りつつ、健全な住宅市場を整備するとともに、国民の住生活の質の向上を図る政策への本格的な転換を図る道筋が示された」と説明した。

しかし、「政策手法の抜本的な改革」のもとで、実際には、①ハビタットⅡが開催された1996年から、住宅セーフティネットの主柱である公営住宅制度の「抜本的改悪」が進められ、今日では新規建設供給の廃止に至っている。②住宅公団は、2004年に独立行政法人「都市再生機構」(UR)に改組され、賃貸住宅の直接供給が廃止された。③住宅金融公庫は、2007年に独立行政法人「住宅金融支援機構」に改組され、個人向け住宅融資は原則廃止された。

このように、「政策の転換」の中身は、公的住宅制度の縮小、廃止だったのであり、「その総仕上げとして、住生活基本法の制定」が行われたのである。

・「住宅セーフティネット」とハビタットの理念

住生活基本法の重要な柱である「住宅セーフティネットの確保」は、実現しない事態が今日まで続いている。そのことは今年3月閣議決定された「住生活基本計画」がよく示している。そこでは、「住宅確保要配慮者の増加に対応するため、・・・住宅セーフティネット機能を強化」するとし、「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」を設置して、「新たな仕組みの構築」に乗り出さざるをえなくなった。検討小委員会では、「高齢者世帯や子育て世帯のみならず、障害者、外国人、低所得の若年単身世帯を含む低額所得者等の住宅確保要配慮者について」対応することが示されている。そして「新たな住宅セーフティネット制度は、公営住宅を補完するものとして、公営住宅の入居対象世帯も含め、多様な住宅確保要配慮者を対象とすることが考えられる」として、公的住宅制度に準ずる仕組みの構築が検討されている。これは、1年前から政府が検討しているものであるが、これらの動きについては今回の政府報告書にはまったく触れられていないのである。

私たちは、ハビタットⅢの開催にあたって、現在検討されている「新たな住宅セーフティネット」が我が国の住宅困窮各層の実態と要求に基づき、実効性のあるものとすることを強く求めるものである。また、公営住宅制度をはじめとした公的住宅制度の再生、充実・強化を求めるものである。

さらに、私たちはこうした狭義の住宅政策のみならず、都市政策、福祉政策、災害復興等、「人間居住」に関連するあらゆる政策において、「住まいは基本的人権である」というハビタット(国連人間居住会議)の理念が貫かれることを政府に求めるものである。

空き家活用型セーフティネット住宅が実現へ!対象者は?家賃補助はどうなる?

提言・オピニオン

住まいの貧困が広がる中、国レベルで住宅セーフティネットの拡充を図る動きが本格化しています。

国土交通省に設置された「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、7月に「中間とりまとめ」を発表。
国交省はこれを受け、8月末の来年度概算要求で「子育て世帯や高齢者世帯が安心して暮らせる住まいの確保」、「民間の賃貸住宅を活用した、住宅セーフティネット制度を創設」、「サービス付き高齢者向け住宅や住宅団地に子育て支援施設の整備の推進」などに1320億円の予算を要求しました。

特に注目されるのは、空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度です。
小委員会は年内に最終とりまとめを行ない、来年国会に向け、予算案とともに関連法改正案が用意される予定です。

関連記事:「空き家活用+家賃補助」の新たな住宅セーフティネット整備へ!

 

しかし、この新たな住宅セーフティネット制度はまだまだ不明瞭な点がたくさんあります。

国土交通省住宅局の概算要求を見てみましょう。

子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅確保要配慮者向けの住宅(あんしん入居住宅(仮称))の改修や入居者負担の軽減等への支援を行う。併せて、居住支援協議会等による住宅確保要配慮者の円滑な入居等を図るための活動への支援を行う。

また、イメージ図によると、「あんしん入居住宅」(仮称)は以下の2種類に分かれています・

・認定あんしん入居住宅(仮称)
一定の要件を満たす子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯等向けの専用住宅

・登録あんしん入居住宅(仮称)
子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯などの入居を拒まない住宅

このうち、「国・地方公共団体による家賃低廉化補助」や「保証料等補助」を受けられるのは、「認定」の方のみとなっています。

 

%e6%a6%82%e7%ae%97%e8%a6%81%e6%b1%822

「家賃低廉化補助」というのは、実質的な家賃補助だと考えられます。実際に低家賃になるのは「認定」だけのようです。
そうすると、「認定」の対象者や入居条件が気になりますが、「一定の要件を満たす子育て世帯、高齢者世帯、障害者世帯等」という書き方ではよくわかりません。

近年は、一人暮らしの若者の間でも住まいの貧困が広がっていますが、「等」の中に若年単身者が含まれるかどうかは、今の時点で明らかになっていません。

私が懸念するのは、空き家の登録制度ができて、登録される物件が増えても、実際には低所得者が入れる家賃水準の住宅がほとんど供給されず、しかもそこに入るのが公営住宅のように「狭き門」になる、という事態です。

そのためには、「認定あんしん入居住宅(仮称)」の対象者や入居資格をなるべく広くさせ、戸数も確保させる必要があります。

せっかくできる新制度を実効性のあるものにしていくためには、多くの人がこの制度に関心を持ち、声をあげていくことが必要だと考えます。

私が世話人を務める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」など3団体は、10月26日(水)に「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」と題した院内集会を参議院議員会館で開催します。ぜひご参加ください。

10・26院内集会
「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」

と き 2016年10月26日(水)13時~15時30分
ところ 参議院議員会館1階101会議室 東京メトロ「永田町」駅すぐ。

※当日は12時30分から議員会館1階ロビーで会議室への通行証を配布します。

集会の詳細は、こちら。

 

【要予約】11月6日(日) ハウジングファースト国際シンポジウム「なぜ住まうことから始めると回復するのか」(大阪)

講演・イベント告知

http://www.mdm.or.jp/bokin/hf_symposium2.html

ハウジングファースト国際シンポジウム
なぜ住まうことから始めると回復するのか~世界と日本の現場から(大阪)

東京でのシンポジウムの情報は、こちら。

161106

ホームレス状態の人たち、精神科病院に長期入院している人たち。
そんな人たちも、地域での1人暮らしができる。
その決断と行動に踏み出せずにいるのは、「支援者」という立場にいる人たちなのではないでしょうか。欧米の多くの国で年々、その取り組みが広がっているハウジングファースト・モデルでは、重度の障がいがある人たち、長期にホームレス状態にある人たちに、まずは本人が住みたいと思う住まいを提供し、そして地域で支え合っていきます。

本シンポジウムでは、ハウジングファースト・モデルでいま世界的にも最も成果をあげている国の1つであるフランスよりゲストを招聘、これまでの東京での実践の試みに照らし合わせつつその実践方法をより深く学び、具体的な支援方法や担い手の育成方法などについて学びます。

日時 : 2016年11月6日(日)
13:00-16:30(開場12:30)
会場 : 大阪証券取引所ビル北浜フォーラム(定員:100名)
 会場地図はこちら。

会費 : 2,000円
主催 : 認定NPO法人世界の医療団
共催 : コミュニティホームべてぶくろ、NPO法人TENOHASI、訪問看護ステーションKAZOC、
一般社団法人つくろい東京ファンド、ゆうりんクリニック
協賛 :笹川日仏財団、ヤンセンファーマ株式会社
後援 : 大阪市立大学都市研究プラザ、日本居住福祉学会

*本シンポジウムは、科学研究費基盤研究(B)(海外学術調査)「東アジアにおける包摂型居住福祉実践に関する研究」(研究代表者:全 泓奎)の助成を得て実施しております。

お申し込み:こちらのページより手続きをお願いします。

 

【プログラム】 *日仏同時通訳付き

総合司会 : 槙野 友晴 氏
精神保健福祉士。ゆうりんクリニック・ソーシャルワーカー、
べてぶくろグループホームしずく生活相談員、相談支援事業所さくら相談支援専門員

講演1 : Pascale Estecahandy 氏
総合医、トゥールーズ大学病院所属医師、
フランスのハウジングファーストのナショナルコーディネーター、
DIHAL(難民や貧困層にむけた住宅支援を手がける政府機関)所属

講演2 : 竹端 寛 氏 山梨学院大学法学部政治行政学科教授

リレートーク ~東京と大阪から~
野村 恭代 氏 大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授、精神保健福祉士、社会福祉士、専門社会調査士
掛川 直之 氏 大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員(若手・先端都市)
西岡 誠 氏 内科医、ゆうりんクリニック院長、世界の医療団ボランティア医師
稲葉 剛 氏 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事

パネル・ディスカッション
 ファシリテーター : 全 泓奎 氏 大阪市立大学都市研究プラザ教授
・Pascale Estecahandy 氏
・竹端 寛 氏
・稲葉 剛 氏

* なお、プログラムの内容については変更が生じる場合がございますので、予めご了承ください。

Pascale Estecahandy(パスカル エステカアンディ)氏
総合医、トゥールーズ大学病院所属医師、フランスのハウジングファーストのナショナルコーディネーター、公衆衛生学専任講師、公衆衛生学修士課程修了。12年前より、社会医療機関とホームレス状態の人々へのアウトリーチのコーディネートを行う。2011年4月からは、重度の精神障害者でホームレス状態にある人々を対象としたDIHAL(難民や貧困層にむけた住宅支援を手がける政府機関)のハウジングファースト・プログラムの全国支援コーディネーターを務める。
世界の医療団の一員として15年にわたり、国内、国外ミッション、また国内プロジェクト向け運営委員会などに参画。2004年から2010年まで世界の医療団フランス理事。

竹端 寛(タケバタ ヒロシ)氏
山梨学院大学法学部政治行政学科教授。1975年、京都市生まれ。大阪大学人間科学部卒、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。専門は福祉社会学、障害者福祉政策、地域福祉論。大学院の頃に精神科病院でのフィールドワークを続け、NPO大阪精神医療人権センターのボランティアとしても20代から関与する。2010年~12年まで内閣府障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会委員として、障害者政策を変える「骨格提言」作りにも関与。著書に『枠組み外しの旅-「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)、『権利擁護が支援を変える-セルフアドボカシーから虐待防止まで』(現代書館)など。

全 泓奎(ジョン ホンギュ)氏
大阪市立大学都市研究プラザ教授。韓国ソウル市出身。スラム地域の再開発に対し、94年から5年間、住民と生活をともにしながら居住の権利獲得に向けて活動した。99年から、東京の「のじれん」、ホームレス東アジア交流(EAE))、05年からは名古屋の「野宿労働者の人権を守る会」で活動し、「ビッグイシュー名古屋ネット」の設立にかかわる。日本福祉大学の研究員として在職中、フィリピンのスラム住民と交流。韓国政府国土海洋部居住福祉担当係長を経て、2008年より現職。包摂型アジア都市研究、居住福祉論が専門。著書に、『包摂型社会:社会的排除アプローチとその実践』、『包摂都市を構想する:東アジアにおける実践』(ともに法律文化社)など。

野村 恭代(ノムラ ヤスヨ)氏
大阪大学大学院人間科学研究科修了(人間科学博士)。精神保健福祉士、社会福祉士、専門社会調査士。現在、大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授。医療法人に勤務中、生活のしづらさのある人の住まいに対する「施設コンフリクト」を知る。解決策が見出せないため自身で研究することに。著作に『精神障害者施設におけるコンフリクト・マネジメントの手法と実践-地域住民との合意形成に向けて-』(明石書店、2013年)などがある。

掛川 直之(カケガワ ナオユキ)氏
大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員(若手・先端都市)。専門は、司法福祉学。「シャバの空気をおいしくする会(@大阪)」「出所者支援ネットワーク(@東海)」など、出所者の社会復帰を支援するとりくみの企画・運営にも携わっている。共著に『地域で支える出所者の住まいと仕事』(法律文化社)『地方都市から子どもの貧困をなくす』(旬報社)、論文に「矯正施設等出所者に対する居住支援」居住福祉研究21号などがある。

稲葉 剛(イナバ ツヨシ)氏
2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立し、幅広い生活困窮者への相談・支援活動に取り組む。2014年、一般社団法人つくろい東京ファンドを設立し、空き家活用による低所得者支援を事業化。同法人は、ハウジングファースト東京プロジェクトの住宅支援部門を担当している。一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授。著書に『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(エディマン/新宿書房)、『生活保護から考える』(岩波新書)、『ハウジングプア』(山吹書店)など。

西岡 誠(ニシオカ マコト)氏
1970年、愛媛県松山市生まれ。内科医。ゆうりんクリニック院長。和歌山の病院勤務ののち路上生活者支援活動に携わる。2013年よりハウジングファースト東京プロジェクト世界の医療団ボランティア医師として、東京・池袋の路上生活者支援活動に参画。2016年4月、ゆうりんクリニックを開院、院長として、主にホームレス状態から脱した方の診療にあたる。愛読書は論語。

槙野 友晴(マキノ トモハル)氏
1980年大阪府堺市生まれ。精神保健福祉士。特別養護老人ホームのデイサービスにて介護職、精神科病院が運営する地域活動支援センター、宿泊型生活訓練事業所で相談員として従事し、現在は東京プロジェクトにてゆうりんクリニックでソーシャルワーカー、べてぶくろグループホームしずくで生活相談員、相談支援事業所さくらで相談支援専門員を兼務。
お問い合わせ
ハウジングファースト国際シンポジウム事務局
communications@mdm.or.jp
03-3585-6436

【要予約】11月5日(土) ハウジングファースト国際シンポジウム「なぜ住まうことから始めると回復するのか」(東京)

講演・イベント告知

http://www.mdm.or.jp/bokin/hf_symposium.html

ハウジングファースト国際シンポジウム
なぜ住まうことから始めると回復するのか~世界と日本の現場から(東京)

大阪でのシンポジウムの情報は、こちら。

161105%e3%83%81%e3%83%a9%e3%82%b7

 

ホームレス状態の人たち、精神科病院に長期入院している人たち。
そんな人たちも、地域での1人暮らしができる。

その決断と行動に踏み出せずにいるのは、「支援者」という立場にいる人たちなのではないでしょうか。欧米の多くの国で年々、その取り組みが広がっているハウジングファースト・モデルでは、重度の障がいがある人たち、長期にホームレス状態にある人たちに、まずは本人が住みたいと思う住まいを提供し、そして地域で支え合っていきます。

本シンポジウムでは、ハウジングファースト・モデルでいま世界的にも最も成果をあげている国の1つであるフランスよりゲストを招聘、これまでの東京での実践の試みに照らし合わせつつその実践方法をより深く学び、具体的な支援方法や担い手の育成方法などについて学びます。

日時 : 2016年11月5日(土)13:00-17:00(開場12:30)
会場 : 東京大学伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホール(定員:300名)
アクセスマップは、こちら

会費 : 2,000円
主催 : 認定NPO法人世界の医療団
共催 : コミュニティホームべてぶくろ、NPO法人TENOHASI、訪問看護ステーションKAZOC、一般社団法人つくろい東京ファンド、ゆうりんクリニック
協賛 :笹川日仏財団 、ヤンセンファーマ株式会社
後援 : 日本大学文理学部

お申し込み:こちらのページより手続きをお願いします。

【プログラム】 日仏同時通訳付き

講演1:Pascale Estecahandey 氏
総合医、トゥールーズ大学病院所属医師総合医、フランスのハウジングファーストのナショナルコーディネーター、DIHAL(難民や貧困層にむけた住宅支援を手がける政府機関)所属

講演2:ハウジングファースト支援モデルによるアパート入居者との対談

パネル・ディスカッション
ファシリテーター:向谷地 宣明 氏(コミュニティーホームべてぶくろ、ひだクリニック)
・Pascale Estecahandey 氏
・稲葉剛 氏 (立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)
・渡邊乾 氏 (作業療法士、訪問看護ステーションKAZOC代表)
・森川すいめい 氏 (精神科医、世界の医療団理事)

※なお、プログラムの内容については変更が生じる場合がございますので、予めご了承ください。

 

Pascale Estecahandy(パスカル エステカアンディ)氏

総合医、トゥールーズ大学病院所属医師フランスのハウジングファーストのナショナルコーディネーター、公衆衛生学専任講師
公衆衛生学修士課程修了
12年前より、社会医療機関とホームレス状態の人々へのアウトリーチのコーディネーションを行う。2011年4月からは、重度の精神障害者でホームレス状態にある人々を対象としたDIHAL(難民や貧困層にむけた住宅支援を手がける政府機関)のハウジングファースト・プログラムの全国支援コーディネーターを務める。
世界の医療団の一員として15年に渡り、国内、国外ミッション、また国内プロジェクト向け運営委員会などに参画。2004年から2010年まで世界の医療団フランス理事。

向谷地 宣明(ムカイヤチ ノリアキ)氏

1983年北海道浦河町生まれ。父は浦河赤十字病院のソーシャルワーカー、母は看護師で、1978年からはじまった浦河べてるの家の活動に両親が関わっていたことで、精神障害を経験した当事者たちと共に子供時代を過ごした。大学卒業後、株式会社MC Medianを設立、医療法人宙麦会ひだクリニック(千葉・流山)勤務、ハウジングファースト東京プロジェクトへの参加など通じて、浦河ではじまった当事者研究などの実践や各地の当事者会、 家族会などの応援活動を行っている。

稲葉 剛(イナバ ツヨシ)氏

1969年、広島市生まれ。94年より東京で路上生活者支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立し、幅広い生活困窮者への相談・支援活動に取り組む。2014年、一般社団法人つくろい東京ファンドを設立し、空き家活用による低所得者支援を事業化。同法人は、ハウジングファースト東京プロジェクトの住宅支援部門を担当している。
現在、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授。
著書に、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(エディマン/新宿書房)、『生活保護から考える』(岩波新書)、『ハウジングプア』(山吹書店)など。

渡邊 乾(ワタナベ ツヨシ)氏

作業療法士。都内の精神科病院に就職し、日本の精神科医療の現実を知る。病院とすったもんだし窓際族として過ごす。浦河べてるの家、イタリア・トリエステを視て地域支援を志す。福島県相双地区の復興プロジェクトに参加し、精神科病院を出る事を決意。2013年に精神科訪問看護ステーションKAZOC(かぞっく)を開設。同時にホームレス支援をするハウジングファースト東京プロジェクトに参加。ホームレス状態を経験した人の中で、精神疾患を持った人たちの在宅生活を維持継続する役割を担っている。
現在、オープンダイアローグ推し。剣道5段。

森川 すいめい 氏

1973年、池袋生まれ。精神科医。鍼灸師。みどりの杜クリニック院長。2003年にホームレス状態にある人を支援する団体「TENOHASI(てのはし)を立ち上げ、現在は理事として東京・池袋で医療相談などを行っている。2009年、世界の医療団TP代表医師、13年同法人理事に就任。東日本大震災支援活動を継続。つくろい東京ファンド理事。NPO法人認知症サポートセンター・ねりま副理事。NPO法人メンタルケア協議会理事。オープンダイアローグネットワークジャパン運営委員。
著書に、障がいをもつホームレス者の現実について書いた『漂流老人ホームレス社会』(朝日文庫、2015)、自殺希少地域での旅のできごとを記録した『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』(青土社、2016)がある。

 

関連記事:【2016年8月29日】 「路上生活者に『まず住まいを』」 ハウジングファーストの紹介記事が東京新聞に掲載

関連記事:【2016年9月23日】 「低所得者に住宅 自立支援」 ハウジングファーストの紹介記事が毎日新聞に掲載

 

10月26日(水) 院内集会 「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」

講演・イベント告知

10・26院内集会
「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を!」

と き 2016年10月26日(水)13時~15時30分
ところ 参議院議員会館・1階・101会議室 東京メトロ「永田町」駅すぐ。

※当日は12時30分から議員会館1階ロビーで会議室への通行証を配布します。

〔趣旨〕 

政府の「社会資本整備審議会・住宅宅地分科会」は今年4月に「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」を設置し、7月には「中間とりまとめ」を発表しました。
国土交通省はこれを受け、8月末の来年度概算要求で「子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、民間賃貸住宅や空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅確保要配慮者向けの住宅(あんしん入居住宅〈仮称〉)の改修や入居者負担の軽減等への支援を行なう」としています。
年内に小委員会の最終とりまとめ、来年国会に向け予算案とともに関連法改正案が用意される予定です。

この「新たな制度創設」などに対し、住宅困窮各層の要求に基づく、実効性のある住宅セーフティネットを求めることが重要となっています。各党国会議員の方々と共に、「今こそ、住宅セーフティネットの拡充を」議論し、実現をめざしていきたいと思います。

〔プログラム〕 

主催者あいさつ 稲葉 剛(住まいの貧困に取り組むネットワーク・世話人)
基 調 報 告 坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)
各党国会議員のあいさつ
各層、当事者からの報告と発言         

〔開催団体〕 

国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、日本住宅会議(関東会議)、住まいの貧困に取り組むネットワーク

〔連絡先〕 

NPO住まいの改善センター ℡ 03-3837-7611 fax 03-6803-0755
住まい連代表幹事 坂庭国晴 080-6939-5224

1