9月30日(金) 自由と生存の家 総会/シンポジウム企画 「入居者の“リスク”をいかに受け止めるか?」

講演・イベント告知

http://freeter-jutaku.org/article.php/20160824203302588

一般社団法人 自由と生存の家 2016年度総会/シンポジウム企画
「入居者の“リスク”をいかに受け止めるか?」

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<日時>
2016年9月30日(金)19:30~21:00
(19:00~19:30は自由と生存の家の総会となります)

<会場>
四谷レンタルスペース「グラッドスペース」(新宿区大京町2-4 サウンドビル3F)

<内容>
シンポジウム「入居者の“リスク”をいかに受け止めるか?」

問題提起:大平 正巳(一般社団法人 自由と生存の家)

報告1:新島 彩子(認定NPO法人 難民支援協会 支援事業部)  
テーマ「難民の住宅支援」

報告2:稲葉 剛(一般社団法人 つくろい東京ファンド/ハウジングファースト東京プロジェクト)
テーマ「生きづらさを抱えた人と住宅支援」

<会場アクセス>
東京メトロ 丸ノ内線 四谷三丁目1番出口 徒歩3分
https://rental-space.biz/access.html

<主催・お問い合わせ>
一般社団法人自由と生存の家 担当:大平、菊地
info@freeter-jutaku.org

<企画趣旨>
一般社団法人自由と生存の家では2009年2月以降、低所得者や失業者など不安定な生活を強いられる仲間への住宅支援として、四谷三丁目のアパート2棟を確保 し、低家賃、保証人なし、礼金なし、敷金を分割支払いにするなど、入居者の負担を減らした住宅を実現し、併せて生活・労働相談の実施や支援団体の紹介を柱とした活動を行ってきました。これまでの入居者数は短期利用者を除いて40名以上、年齢層は20代~60代で、なかでも30代、40代が中心です。

自由と生存の家の活動の中でも、就労し生活を安定させ、次の場所に転居していく入居者と、自分自身の生活を管理することに困難を抱え、なんらかの支援が必要な入居者がいます。

なかでも、生活に必要な費用を自己管理出来ないという問題を抱える入居者が一定数おり、この部分に支援を行わなければ、自由と生存の家であっても住み続けることが出来ません。それ以外にも、「近隣住民とのトラブル」「金銭の管理が出来ない」「収入が不安定で家賃等を支払えない」「精神的な疾病に起因する被害妄想」「引きこもり」「コミュニケーションの課題」「言葉の問題」「洗濯機など共同の機器使用に関する問題」「騒音問題」など、日々多くの問題に直面しています。

また、いま世界的にも注目が集まる難民問題も私たちにとって身近なテーマとなっています。自由と生存の家では、昨年末より国外から難民として日本に来ている人々の一時宿泊を受け入れています。彼、彼女らは言葉も通じず、生活習慣、慣習も違う土地で、社会保障の正式な保護も受けられない状態のまま、野宿もやむなしという環境に置かれています。まさに、外部からの支援がなければ生きることもままならない状況です。

東京のみならず全国でも空き家や空き室が社会問題になっている一方で、路上生活やネットカフェ難民、国外からの難民、無料低額宿泊所の蔓延など、まともな住宅を確保できない人が数多くいることを実感します。これらを解決するための一つの課題が上記の入居者の“リスク”とでもいうべき問題への認識や対応の方法にあるのではないでしょうか。

福祉的施設などではない通常の住宅で、この“リスク“をいかに受け止め、どのような対応を行うことでトラブルを回避できるか?という問題は、家を管理する側(大家、管理会社など)と家を必要とする側(当事者・支援者)双方にとって深め理解しあう必要があるテーマと考えます。

2016年度の総会に当たり、単なる金銭的な困窮だけにとどまらない、様々な課題を抱えた人たちが入居する家を運営する上で、考えなければならない“リスク”の問題について、当法人の理事で住まいの貧困問題に長年取り組んできた稲葉剛さん、この間シェルター利用の連携を進めている難民支援協会の新島彩子さんに、それぞれの現場からのリスクと対応について提起頂き、一緒に考えたいと思います。

チラシのPDFは、こちらでダウンロードできます。

【2016年8月29日】 「路上生活者に『まず住まいを』」 ハウジングファーストの紹介記事が東京新聞に掲載

メディア掲載 日々のできごと

2016年8月29日付け東京新聞朝刊の特報面に「路上生活者に『まず住まいを』 『ハウジングファースト』の挑戦」という記事が掲載されました。稲葉が代表を務める一般社団法人つくろい東京ファンドの活動とクラウドファンディングが紹介されています。

 

路上生活者に「まず住まいを」 「ハウジングファースト」の挑戦
支援団体 ネットで資金集め 都内にアパート1棟用意

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路上生活者(ホームレス)の支援は、安心して暮らせる住まいの確保を最優先に―。欧米で生まれた「ハウジングファースト」という理念に基づき、支援団体によるプロジェクトチームが、都内のアパート1棟を借り上げた。家賃の原資はインターネットを通じた募金で、市民の善意が路上生活者支援につながる仕組みだ。(池田悌一)

東京都豊島区の住宅街にある単身用の四室が入った二階建てアパート。七月上旬から、ここの一室(四畳半)で暮らす四十代の男性は心の病などもあり、以前は路上生活をしていた。
「風呂やトイレが自由に使えるのがうれしい。ソーシャルワーカーもしょっちゅう訪ねて来てくれるので、いろいろな相談に乗ってもらえる。最近は簡単な仕事にも挑戦しようと思って、倉庫業の面接を受けたところだったんです。」

厚生労働省の審議会は昨年、「身元保証への懸念などから障害者や高齢者で、特に単身世帯の入居を拒否する実態が一部に見受けられる」と指摘した。路上生活者の場合、入居はさらに難しい。

そこで、医療関係のNGOや一般社団法人など六団体からなる「ハウジングファースト東京プロジェクト」がアパート一棟を丸ごと借り上げ、また貸しをるすことにした。主に知的障害や精神障害のある路上生活者に部屋を提供する。

プロジェクトに関わる精神科医の調査では、路上生活者の三割に知的障害があり、精神障害がある人も目立ったという。

入居後はソーシャルワーカーら医療関係者を定期的に派遣し、将来的には自立を目指す。豊島区を「モデル支援」先に選んだのは、区内の池袋が路上生活者の多い街だからだという。

いまは、初期費用などの寄付を、ネットを使ったクラウドファンディングで募っている。プロジェクトの住宅支援部門を担う一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さん(47)は「寄付者は百人を超えた。目標の百万円よりあと少し。ハウジングファーストの理念が浸透しつつある」と手応えを感じる。

行政の路上生活者支援は「まずは施設に入居させ、その後アパート移行を目指す」ステップアップ方式を採ることが多い。問題は、その過程で「貧困ビジネス」が介在する危険性があることだ。生活保護費の大半を宿泊所の寮費として徴収されたり、相部屋にされて人間関係のトラブルなどに巻き込まれたりし、「脱落して路上生活に戻る人が多い。特に障害のある人では顕著だ」と指摘する。

稲葉さんは「プライバシーが保たれた居室での生活は、ゴールではなくスタート」と考える。「つくろい東京ファンド」では先行して2014年から、路上生活者への居室の提供をしてきた。「作業所でコツコツ働くなど、生き生きとした生活を取り戻している人もいる」という。

「従来のステップアップ方式では、路上生活者の自立につながらないことが多い。結局、社会的コストの無駄遣いにもつながっている。政府は空き家の利用も一案として、住まいの提供を最優先する施策にかじを切るべきだ」

 

※クラウドファンディングは、9月末までおこなっております。引き続き、ご協力をお願いいたします。詳細は下記をクリックしてください。

路上からアパートへ!東京・池袋でハウジングファーストを実現したい! – クラウドファンディング MotionGallery(モーションギャラリー) 

9月5日(月) 日韓住宅政策交流シンポジウム:「市民参加型の住宅福祉」ソウル市の事例を学ぶ

講演・イベント告知

http://housingpoor.blog53.fc2.com/blog-entry-291.html

「市民参加型の住宅福祉」ソウル市の事例を学ぶ
日韓 住宅政策交流シンポジウムのご案内
-「安心できる住まい」をすべての人の手に取り戻す-

 

住まいの貧困に取り組むネットワーク」(世話人:稲葉剛、坂庭国晴)は、2009年の結成以降、「人が大切にされる住まいと暮らし」の実現をめざし、住まいの貧困(ハウジングプア)の解決に向けた活動を進めてきました。

ハウジングプア状態に置かれた人たち全体が、安心できる住居を確保できるよう、公共住宅を拡充し、民間賃貸住宅への居住対策として、低所得者向けの公的支援制度の導入を求める等の政策提言や学習活動をすすめてきました。

今回、韓国のソウル市からソウルハウジング公社(SH公社)のメンバーが訪日されます。ソウル市がすすめる「住宅福祉政策」の報告を頂き、日本での住宅政策の現状と私たちの取り組み事例を交流していきます。

日時:9月5日(月)15:30~18:30
会場:参議院議員会館101会議室(地下鉄「国会議事堂前」または「永田町」下車)

議員会館ロビーにて通行証を配布しますので、少しお早めにお越しください。

プログラム(予定)

※韓国ソウル市の住宅政策とSH公社の取り組み
※「住まいの貧困に取組むネットワーク」より
  日本の住宅福祉政策と私たちの取り組み
※東京都における住宅政策の現状
※国会議員より

【ソウルハウジング公社とは】

韓国のソウルハウジング公社は、1989年ソウル特別市によって設立され、創業以来賃貸住宅132,000戸、分譲住宅81,00戸を供給して、無住宅ソウル市民の住居安定と生活の質の向上のために努力する住居福祉都市再生の専門公企業です。主な事業は、ソウル市民に、自分の家がない「無住宅者」に世帯当たりの所得水準、財産の規模に応じて様々な賃貸住宅を建設して、国民に安価な家賃で貸すことです。

また、市民代表3人を招いて「市民に約束する14項目の革新案」を伝え、住宅福祉と都市生活のための市民参加型の公共デベロッパーに生まれ変わろうとしています。住宅福祉サービスの強化に向け、住宅福祉センター11カ所を拠点に、地域に見合った体制を構築して総合的な住宅福祉プログラムを施行し、その過程でこれまで公共賃貸住宅政策から排除されてきた1人世帯や障害者、ホームレスらに、それぞれのニーズに対応した共同体住宅1万戸を2018年までに供給する計画です。
(お問い合わせ先)
主催:住まいの貧困に取り組むネットワーク
連絡先:〒162-0814 新宿区新小川町8-20 こもれび荘もやい気付
E-mail: sumainohinkon@gmail.com

見逃してはいけない映画『さとにきたらええやん』が、8月27日より東京でアンコール上映!

日々のできごと

お勧めのドキュメンタリー映画『さとにきたらええやん』(重江良樹監督)が、8月27日(土)からポレポレ東中野でアンコール上映されることになりました!

9月16日まで、一日一回、15時10分から上映されるようです。

※ポレポレ東中野のウェブサイトはこちら。

私は、NPOもやいのスタッフやボランティア、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科の院生の皆さんにも、この映画をお勧めしてきましたが、見た方はみんな良かったと言ってくれました。「子どもの貧困について、こんなに考えさせられる映画はない」と感想を言っていた人もいます。

以下は私の推薦コメントです。

 

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映画のDVD化はおこなわない、ということなので、子どもの貧困や居場所について関心のある方で、未見の方はぜひこの機会を見逃さないでください。

以下の記事もご参考にしてください。

関連記事:映画を見て、子どもの権利を守る取り組みを知ってほしい! 

関連記事:こうして「さと」は映画になった:「さとにきたらええやん」重江良樹監督に聞くドキュメンタリーのつくりかた

 

ブレイディみかこさんが見た日本のグラスルーツ。『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』が刊行されました!

日々のできごと

昨年11月30日、前々から注目をしていた英国在住のブレイディみかこさんのブログに「お願い:わたしに会ってください&使ってください」という記事が掲載されました。

来年1月下旬から2月の間、東京または近郊でわたしと会ってお話を聞かせてくださる方々を探しています。
感触として、ここに来てくださっている方々の中には、けっこう福祉関係者がいらっしゃるような気がしているのですが、

貧困支援
母子支援
子ども支援
非正規労働者支援
依存症者リカバリー

などの分野で働いておられる方、または関係者の方、わたしと会っていただけませんか?

また、可能であれば1月下旬から2月にかけてわたしをヴォランティアさせてください。

この記事を見つけたNPO法人もやいのスタッフがブレイディさんに連絡を取り、今年2月、ブレイディさんはもやいの相談活動やつくろい東京ファンドのシェルター、私が呼びかけて実施している夜回り活動にボランティアとして参加してくださいました。

活動の合間には、日本の貧困の現状や社会運動のあり方について意見交換をおこない、日本の社会運動関係者へのメッセージもいただきました。

【動画】「みんなが乗れる『船』をつくるには?」:ブレイディみかこさん来日インタビュー

ブレイディさんは他にも、日本滞在中、キャバクラユニオンの争議に参加したり、エキタスのメンバーとディスカッションしたり、デモの先頭で踊るノラ・ブリゲードに感動したり、企業組合あうんの見学に行ったり、『下流老人』著者の藤田孝典さんにインタビューしたり、とさまざまな「グラスルーツ」の社会運動の現場を見て、関係者との話し合いを重ねていきました。

それから半年。ブレイディみかこさんの日本滞在記が『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』(太田出版)という書籍になりました。

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【目次】

まえがき

1 列島の労働者たちよ、目覚めよ
キャバクラとネオリベ、そしてソウギ
何があっても、どんな目にあわされても「働け!」
労働する者のプライド
フェミニズムと労働
今とは違う道はある

2   経済にデモクラシーを
経済はダサくて汚いのか
貧乏人に守りたい平和なんてない
一億総中流という岩盤のイズム
草の根のアクティヴィストが育たない国
ミクロ(地べた)をマクロ(政治)に持ち込め
反緊縮派とはいったい何なのか
いま世界でもっともデモクラシーが必要なのは

3 保育園から反緊縮運動をはじめよう
保育士配置基準がヤバすぎる衝撃
紛れもない緊縮の光景
日本のアナキーは保育園に
ブレアの幼児教育改革は経済政策だった
保育園と労働運動は手に手を取って進む
ネオリベ保育とソーシャル保育
待機児童問題はたぶん英国でも始まる

4 大空に浮かぶクラウド、地にしなるグラスルーツ
日本のデモを見に行く
交差点に降り立った伊藤野枝
でも・デモ・DEMO
クラウドとグラスルーツの概念
あうんストリートと山谷のカストロ
反貧困ネットワークへのくすぶり
新たなジェネレーションと国際連帯

5 貧困の時代とバケツの蓋
川崎の午後の風景
鵺の鳴く夜のアウトリーチ
人権はもっと野太い
あまりにも力なく折れていく
どん底の手前の人々
もっと楽になるための人権

エピローグ カトウさんの話

 

文中に私も何度か登場しますが、第5章における貧困と人権をめぐる議論は、夜回りの後、ブレイディさんや他の参加者とラーメン屋で語り合った内容も踏まえられていて、非常に考えさせられる内容になっていました。

また、エピローグの「カトウさんの話」は、異なるバックグランドを持つ人たちが出会うことによってもたらされる「豊かさ」を描いていて、希望を感じさせるエピソードでした。

ぜひ多くの方に読んでいただければと願っています。

「空き家活用+家賃補助」の新たな住宅セーフティネット整備へ!

提言・オピニオン

国土交通省の「新たな住宅セーフティネット検討小委員会」は、7月22日の第3回会合で、民間の空き家・空き室を活用した「セーフティネット住宅」を整備するという内容の中間とりまとめを発表しました。

国土交通省:第3回新たな住宅セーフティネット検討小委員会資料

 

新たな住宅セーフティネット

 

拡大する住まいの貧困に対応するために、空き家や空き室を活用する、というアイデアは、これまでずっと私たちが要望してきたことです。

今年春の住生活基本計画の策定にあたっても、空き家・空き室を活用した準公営住宅をつくることを提言しました。

関連記事:今後10年の住宅政策の指針が閣議決定!パブコメは反映されたのか? 

無題

また、私が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドでは、空き家・空き室を活用したシェルターやシェアハウスなど、低所得者向けの住宅事業を実践してきました。

関連記事:東京・池袋でハウジングファーストを実現したい!クラウドファンディングを展開中です!

民間の力でモデル事業を実施することで、行政に対しても「こういうやり方がある」ということを示してきたつもりですが、思ったより早く国土交通省が動き始めたことは歓迎したいと思います。

ただ、実際に空き家・空き室を活用した「新たなセーフティネット住宅」が整備される際、どの程度の戸数が供給されるのか、どの程度の質の住宅が整備されるのかが問題になっていきます。

現在の案では、民間の賃貸住宅のオーナーに空き家・空き室を登録してもらう仕組みになっているので、事業に協力してくれるオーナーがどのくらい出てくるのかによって、事業の規模が決まってくるかもしれません。

また、入居資格をどうするのか、家賃をどこまで補助するのか、という点も重要です。

国土交通省では、今後、具体化に向けて詳細を詰め、来年の通常国会に関連法改正案の提出を目指すと言います。

この動きを注視し、「新たなセーフティネット住宅」という名前にふさわしい事業になるよう、働きかけを強めていくつもりです。

ぜひご注目ください。

『ひとびとの精神史』最終巻に「NPO法人もやいと反貧困運動」を寄稿しました。

日々のできごと

岩波書店の『ひとびとの精神史』シリーズ(全9巻)の最終巻(第9巻)『震災前後 2000年以降』(栗原彬編)が7月26日に刊行されました。

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最終巻は、さまざまな社会問題に現場で取り組む21人が語る現代史というコンセプトで、私も「NPO法人もやいと反貧困運動」という文章を寄せています。

拙稿では、2001年のもやい設立から、2015年の25条大集会までの流れを書きました。

貧困や格差の問題では、大阪の野宿者ネットワークの生田武志さん、NPO法人POSSEの今野晴貴さんも寄稿しています。ぜひご一読ください。

『ひとびとの精神史』シリーズは、「第二次世界大戦の敗戦以降,現在に至るまでのそれぞれの時代に,この国に暮らすひとびとが,何を感じ考えたか,どのように暮らし行動したかを,その時代に起こった出来事との関係で,精神史的に探究しようとする企て」です。

各巻は、それぞれの時代の社会運動を知る上でも貴重な資料になっており、私もすべての巻を読ませていただいています。そのシリーズの最終巻に寄稿させていただいたことは、個人的もとても感慨深い出来事でした。

このシリーズの編集委員のお一人は、水俣病の問題に取り組んでこられた栗原彬先生です。栗原先生は、私が昨年から所属する立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科の創設にも深く関わっていらっしゃいました。

昨年10月27日付けの朝日新聞には栗原先生のインタビュー記事が掲載されていますが、その中で栗原先生は「近代化の流れの中で犠牲となってきた人たちが、それでもなお人間の尊厳を保とうと異議申し立てをした歴史がある。その事実や言葉を丁寧に拾うことで、メインストリームに抗う小さな流れが見えてくる」とシリーズの意図を解説されています。

朝日新聞デジタル:主流に抗った市井の人々 戦後の生き様描いた「ひとびとの精神史」

拙稿も「人間の尊厳を保とうと異議申し立てをした歴史」を意識して書かせていただきました。

また、シリーズの中では、21世紀社会デザイン研究科委員長の中村陽一先生の文章(第6巻「岩根邦雄―『おおぜいの私』による社会運動」)や、私と研究室をシェアしている吉田敏浩先生の文章(第4巻「岡村昭彦―ベトナムを直視して」)も掲載されており、さまざまな縁を感じました。

岩波書店『ひとびとの精神史』紹介ページ

ぜひ多くの方に読んでいただければと願っています。

【2016年7月3日】 朝日新聞千葉版「あすを選ぶ:住まい失い 負の連鎖」にコメント掲載

メディア掲載

2016年7月3日付け 朝日新聞千葉版「あすを選ぶ:住まい失い 負の連鎖」に、稲葉のコメントが掲載されました。

関連部分を以下に転載します。

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生活困窮者の住宅支援に取り組んでいる立教大大学院の稲葉剛特任准教授は「住宅を失うのは、以前は中高年の建築土木関係者に特有の問題だったのが、誰が住まいを失ってもおかしくない状況になっている」とし、「若者向けの家賃補助や、保証人がいない人向けの公的な保証人制度が必要ではないか。住宅セーフティーネットをどう構築するかという議論も、選挙の中でやってほしい」と話す。

関連記事:今後10年の住宅政策の指針が閣議決定!パブコメは反映されたのか?

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