【2015年2月15日】 しんぶん赤旗に住宅問題に関するインタビュー記事が掲載

メディア掲載

2015年2月15日付けの「しんぶん赤旗」に、ビッグイシュー基金・住宅政策提案・検討委員会が昨年12月に発表した「若者の住宅問題~住宅政策提案書 調査編」に関する記事が掲載されました。

稲葉へのインタビューに関する部分を以下に転載します。

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「家族依存」は社会のゆがみ

NPO法人もやい理事 稲葉剛さん

今回の提案書に先立ち、過去2回にわたって「若者ホームレス白書」を出してきましたが、NPOの相談現場では2004年頃から若者の相談が増えていました。

近年、路上生活者は減っていますが、「ネットカフェ難民」に代表される広い意味でのホームレスは増えています。最近では〝脱法ハウス〟など違法で劣悪な住宅に若者が住んでいることが問題になりました。私は〝ハウジングプア〟と名づけていますが、若者全体では少数者だった住宅困難者が多数者になりつつあるというのが実感です。

今回の調査で衝撃的だったのは、親所有の賃借住宅に住む若者が4分の3を占め、そこから出ると生活が成り立たないという若者が増えていることです。親元に住まざるを得ないという貧困な状況に追い込まれています。

◆高いハードル

日本の住宅政策は国土交通省が所管していますが、もっぱら「建てる」政策が中心です。高度成長期に拡大した持ち家政策(主に金融・税制支援)が現在の住宅の貧困拡大に対応できていません。

公営住宅もありますが若者には入居資格が原則ありません。民間賃貸住宅への支援政策はなく、事実上野放し状態です。敷金や礼金、仲介料などの初期費用があるうえに保証人が必要になるなど、低所得の若者にはハードルが高いのです。2008年のリーマンショックのあと、第2のセーフティネットとしての離職者への住宅手当が創設されました。しかし、当初6カ月間の支給期間が現在では3カ月に短縮され、ハローワークに通うことが条件になるなど使い勝手が非常に悪い。

◆公的支援拡充

〝脱法ハウス〟に暮らしている若者の多くはワーキングプアで、生活保護基準よりも少しだけ収入が多いので、生活保護の対象にもならない。また、すでに生活保護を受けている人も、今年から住宅扶助が減額され、「家賃が下がったから」と大家から立ち退きを迫られることも起こりかねない――。まさに〝住宅無策〟という状態です。

若者も公営住宅に入居できるよう条件を緩和する、入居できない人への家賃補助などが求められます。NPO法人がすすめる空き家のシェアハウス(共有住宅)の活用など、民間での取り組みへの支援も必要です。
今回の調査結果は大きく見れば「家族による支え合い」に依存しすぎた社会のゆがみを映し出したものです。それを改めて公的支援の拡充による生存権の保障が求められています。

【2015年2月19日】 読売新聞:「顔」欄に稲葉剛の紹介記事が掲載されました。

メディア掲載 日々のできごと

「顔」 稲葉剛さん:住まいを失った人の支援に取り組んで20年

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バブル崩壊後の1994年冬、東大大学院生の時に友人に誘われ、東京・新宿の地下通路に林立する段ボールの「家」を訪ねた。凍えて、息も絶え絶えの路上生活者の姿を目にし、頭を殴られたような衝撃を受けた。

当時は、新宿区だけで年間50人以上が路上死していた。以来、「社会の割れ目をのぞいて、見て見ぬふりはできない」と、住まいを失った人の支援に取り組み始め、健康相談や声かけを地道に続けた。20年の節目を迎え、これまでの自身の活動をまとめたエッセー集を出した。

都の強制排除を巡り騒動になった98年、段ボールに火が燃え移り、4人が亡くなった。焼け落ちた「家」の前に立ち、安全な住まいの確保を誓った。2001年に設立し、理事を務める「自立生活サポートセンター・もやい」では、アパートの入居保証人引き受けや、生活困窮者向けの制度の利用を呼びかける。

路上生活者は減ったが、最近は若者の相談が増加。「ネットカフェ難民」「派遣村」が流行語になるなど、住まいの貧困という根本的な背景は変わっていない、と感じる。「誰もが安心して暮らせる住まいを得られる。そんな社会を目指したい」

(社会保障部 手嶋由梨)

動画で見る『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』出版を祝う会

日々のできごと

7cc3ae8b6e86d314c1a503d32ff67d8e-600x4002月15日(日)、伝通院・繊月会館で開催された拙著『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』の出版記念イベントの模様を、当日行われたプログラムの中からピックアップして動画でご紹介します。

■座談会:『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』をめぐって 星野智幸さん(作家)×吉水岳彦さん(僧侶)×稲葉剛

■演奏:寺尾紗穂さん ダンス:ソケリッサ

■演奏:演奏:みほこん(大原未歩子)さん

写真で見る『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』出版を祝う会

日々のできごと

2月15日(日)、拙著『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』の出版記念イベントが伝通院・繊月会館で開催され、100人以上の方が集まってくださいました。
私にとっては、夢のような一日でした。

参加された写真家の吉田敬三さんが素晴らしい写真を何枚も撮ってくださったので、許可を得てアップさせていただきます。

吉田敬三さんの個人サイト「Human Photo Gallery」もぜひご覧ください。

吉田さんとは新宿の野宿者支援の現場で知り合ったのですが、吉田さんのライフワークである「被爆2世の肖像」では、被爆2世の一人として写真を撮ってもらっています。ちなみに、このサイトのプロフィール欄の写真も吉田さんの撮影です。

イベントの冒頭では、私が挨拶をさせていただきました。

撮影:吉田敬三

撮影:吉田敬三

続いて、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』の編集者である「エディマン」の原島康晴さんがスピーチ。

今回の本を作ることになったきっかけは、原島さんがご自身の職場近くで野宿をしている男性のことが気になって、もやい事務所に相談に来られたのが最初でした。

編集者の原島康晴さん 撮影:吉田敬三

編集者の原島康晴さん 撮影:吉田敬三

本の装画を描いてくださったアーティストの武盾一郎さんは原画を持ってきてくださいました。武さんは、1995年~1998年に新宿ダンボール村で、ダンボールハウスに絵を描いていたアーティストの一人です。

装画のタイトルは『新宿鵺』。ペンの線だけで表現された鵺と新宿の街並みが圧倒的な迫力で迫ってきます。

武さんのブログは、こちら。

武盾一郎さんと『新宿鵺』原画 撮影:吉田敬三

武盾一郎さんと『新宿鵺』原画 撮影:吉田敬三

ビデオジャーナリストユニオンの遠藤大輔さんは、1995年に『新宿路上TV』で放映された私へのインタビュー映像を紹介しながら、当時から今につながる私の活動について語ってくれました。

遠藤大輔さん 撮影:吉田敬三

遠藤大輔さん 撮影:吉田敬三

写真家であり、新宿駅東口にあるビア&カフェ「BERG」副店長の迫川尚子さんは、写真集『新宿ダンボール村 迫川尚子写真集1996-1998』に収められた写真を見せながら、新宿ダンボール村の歴史とそこに暮らしていた人々の横顔を紹介してくれました。『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』の中のエッセイにも登場する松ちゃんや佐々木さんなど、ダンボール村住民のその後についても語ってくれました。

迫川尚子さん 撮影:吉田敬三

迫川尚子さん 撮影:吉田敬三

ミュージシャンの寺尾紗穂さんは3曲を披露してくれました。ソケリッサ!のダンスとのコラボも最高でした。

寺尾さんは最後に、私のリクエストで『家なき人』(アルバム『残照』『放送禁止歌』に収録)を歌ってくれました。野宿の人に語りかけるように歌う『家なき人』は、寺尾さんの曲の中でも私が一番好きな曲です。

※関連記事:りんりんふぇす2014が開催されます!寺尾紗穂さんに見どころを聞く

寺尾紗穂さん 撮影:吉田敬三

寺尾紗穂さん 撮影:吉田敬三

ソケリッサ! 撮影:吉田敬三

ソケリッサ! 撮影:吉田敬三

会の中盤では、作家の星野智幸さん、僧侶の吉水岳彦さんという私が尊敬するお二人との座談会もありました。この座談会の模様は、後で動画をアップする予定です。また、野宿を経験されたお二人の方からのスピーチもあり、それぞれご自身の人生と私との関わりを語ってくださいました。

座談会 右から吉水岳彦さん、星野智幸さん、私、司会の小林多美子さん 撮影:吉田敬三

座談会 右から吉水岳彦さん、星野智幸さん、私、司会の小林多美子さん 撮影:吉田敬三

最後を飾ってくれたのは、みほこん(大原未歩子さん)によるバイオリン弾き語り。『路上のおっちゃんに贈るバレンタイン』など、支援現場から生まれた歌を披露してくれました。

大原未歩子さん 撮影:吉田敬三

大原未歩子さん 撮影:吉田敬三

あっという間の2時間半でしたが、本当に楽しい時間を過ごすことができました。

イベントを企画してくれた友人たち、素晴らしい会場を用意してくださった吉水さんと「ひとさじの会」の皆さん、当日参加してくださった皆さんに感謝申し上げます。

ありがとうございました!

この日、皆さんからいただいたパワーを糧に、活動をさらに広げていきたいと思います。

大阪市・生活保護費プリペイドカード導入は「ケースワーカーにもメリットなし」 現場からも異論の声

提言・オピニオン

大阪市は今年4月から生活保護費の一部をプリペイドカードで支給するモデル事業を実施する予定です。

このモデル事業に関して、2月12日、大阪弁護士会は、生活扶助費の金銭給付の原則を定めた生活保護法第31条第1項に違反すると同時に、生活保護利用者のプライバシー権・自己決定権(憲法第13条)を著しく侵害するものであり、撤回を求めるとする会長声明を発表しました。

大阪弁護士会:生活保護費をプリペイドカード支給する大阪市モデル事業の撤回を求める会長声明

大阪弁護士会館

大阪弁護士会館

このモデル事業は福祉事務所の現場ではどのように受け止められているのでしょうか。

大阪市内の福祉事務所でケースワーカーをされている、ペンネーム「ぴょん吉」さんから「ケースワーカーの立場から見た問題点」についてご意見をいただきましたので、転載をさせていただきます。

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(以下、転載)

今月、2回にわたって、プリペイドカードに関する説明会が開かれました。
これはVISAのスタッフが現場のケースワーカーに、今回のモデル事業への協力を求めるものでした。

まず利用対象者ですが、パソコンかスマートフォンを持っていてメール受信が可能な方に限られます。
これはカードの残額確認や紛失した場合のロックを会員サイトにログインして行わなければならないからです。加盟店舗では残額確認はできずサイトでのみの確認となります。
またサービスセンターのようなものは設けられず、紛失などの場合のロックも利用者が自分で行うのです。

毎月3万円がカードに振り分けられますが、これは生活扶助に限られており、収入が一定あり生活扶助が3万円に満たない人は対象になりません。また居宅の生活扶助に限定されており入院、入所中の人も対象外です。

【問題点】

その1 いい加減なチラシで勧誘

業者が作成した募集チラシが事務所に大量に届いています。
このチラシでは「先着2000名様に3千円の商品券をプレゼント」と記載されていますが、商品券がもらえるのは今年の5月から来年の3月まで毎月カードを継続利用し、アンケートに回答した人のみです。
途中で収入が増えたり、入院したりして一回でも利用しない月があれば商品券はもらえません。
チラシにはこの説明が記載されておらず、不自由なカード生活を我慢したのに商品券がもらえないという苦情が予想されます。

その2 さまざまな不便を強いられる

すでに指摘されているように使える店舗が限定され、近くの商店や安売りスーパーなどでは利用できません。
大阪には「スーパー玉出」など1円で食材を買えるようなスーパーがあり、よく利用されていますが、こういう所も利用できません。
説明会では業者のスタッフが「コンビニでも使えるから便利です」「ガソリンスタンドでも使えます」と説明していましたが参加したケースワーカーたちは「馬鹿じゃないの?」という反応でした。

また、残額が少なくなった場合は、カードと現金を併用して支払をすることも考えられますが、併用ができる店舗は限られているようです。併用できる店舗一覧は示されておらず、業者の方でも把握していないようです。
残額を現金化するのには、担当ケースワーカーに依頼し、残金分を業者から払い戻しさせ、その後に一時扶助をするという手続きが必要で日数を要します。
月末に手持ちの現金とカードの残金をあわせて何とか食材を買おうとしても買える店がないということになりかねません。

その3 ケースワーカーにもメリットなし

このような方法で依存症対策ができるとはまったく思えませんし、説明会でもそのメカニズムは何一つ説明されていません。
一方で、上記のような利用上の不便や紛失などのトラブルについて苦情がケースワーカーに持ち込まれることが予想されます。
業者はサービスセンターなどもつくらず負担はケースワーカーが負わされることになります。

その4 現場への強制は本当にないのか

大阪市は説明会では、現場のケースワーカーに対して「もちろん強制ではなくお願いです」としていますが、商品券がもらえない場合もあることや様々な不便があることをていねいに説明すればするほど協力者は少なくなるでしょう。
目標としている2000人にはなかなか届かないのではないでしょうか。
その時に本当に協力者を出すようにという圧力がケースワーカーにかからないのか心配です。

生活保護利用者にもケースワーカーにも何のメリットもない制度です。
業者が業者のために行政を利用するものではないでしょうか。

大阪市ケースワーカー ぴょん吉

(転載終わり)
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生活保護利用者、ケースワーカー、地元商店に多大な悪影響を及ぼし、「百害あって一利なし」のモデル事業。撤回を求めていきたいと思います。

※関連記事:【2015年1月25日】 東京新聞:差別助長、効果に疑問 大阪市の生活保護支給プリペイド化

2月12日(木)20時~デモクラTV『池田香代子の100人に会いたい』に出演します。

日々のできごと

インターネットTV「デモクラTV」で、池田香代子さんの『100人に会いたい』という番組に出させていただきました。

この番組はタイトル通り、池田香代子さんが様々な分野で活動している100人のゲストに一人ずつ会って対談するという番組で、私は21人目のゲストになるそうです。

拙著『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』を題材に、約1時間、池田さんと対談させていただきました。

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この番組は、2月12日(木)20~21時に初回放送が配信されます。

ご視聴には入会登録が必要です。詳しくは「デモクラTV」のサイトをご覧ください。

http://dmcr.tv/

池田香代子さんは、集会などでよくお顔をお見かけしているのですが、ゆっくりお話するのは初めてでした。
ドイツ語翻訳家の池田さんはヴィクトール・E.フランクルの『夜と霧』の新訳(みすず書房)をされたことでも知られています。

『夜と霧』は私の人生観に大きな影響を受けた本で、旧訳版・新訳版ともに読んでいます。
収録の間には、そうした話もさせていただき、楽しい時間を過ごすことができました。

【詳細決定!】2月15日(日) 『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(稲葉剛著)出版を祝う会

講演・イベント告知

手前味噌ですが、友人たちが出版祝いの会を企画してくれたので、お知らせします。

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稲葉剛さん『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』出版を祝う会

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稲葉剛さんが新宿ダンボール村で野宿者支援に取り組みはじめて20年。

このたび、これまでの活動をまとめた『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために――野宿の人びととともに歩んだ20年』と題する新刊がエディマンより上梓されました。

稲葉さんのこれまでの活動をねぎらい、出版をお祝いする会を企画しました。

ぜひご参加ください!

 

日時:2015年2月15日(日)13:30開場 14:00~16:30

場所:伝通院繊月会館(文京区小石川3-14-6)

http://www.denzuin.or.jp/

内容

座談会:『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』をめぐって

 星野智幸さん(作家)×吉水岳彦さん(僧侶)×稲葉剛さん

演奏:寺尾紗穂さん、みほこん(大原未歩子)さん

ダンスパフォーマンス:ソケリッサ!

参加費:カンパ制

(当日は稲葉さんの著書、こもれびコーヒーなどを販売いたします。)

発起人

遠藤大輔(ビデオジャーナリストユニオン)

加藤歩(自立生活サポートセンター・もやい)

小林多美子(毎日新聞社記者)

小林美穂子(自立生活サポートセンター・もやい)

迫川尚子(写真家・ビア&カフェ ベルク副店長)

 

お問い合わせ:「稲葉剛さんの出版を祝う会」事務局(新宿書房内)

電話:03-3262-3392 メール:info@edimantokyo.com

 

3月1日(日) 生活困窮者自立支援ネットワークフォーラム岡山(会場変更あり。要予約)

講演・イベント告知

http://fukushiokayama.or.jp/

3/1開催「生活困窮者自立支援フォーラム」のご案内

平成27年4月の生活困窮者自立支援法施行を前に、現在そしてこれから生活困窮者支援に取り組む団体が集い、今一度、生活困窮者自立支援制度についての最新動向を学ぶとともに、行政、社協、社会福祉法人、NPO法人、地域社会等による支援ネットワークの必要性と多様なネットワークのかたちについて考えていきます。

詳しくはこちらのファイルをご覧ください → 20150301開催要綱&申込書.pdf

日 時 : 2015(H27)年3月1日(日)12:50~16:30

会 場 : 岡山ロイヤルホテル(岡山市北区絵図町 2-4 /☎086-255-1111)
※会場が変更となりました。

※ホテル駐車場には限り(100 台先着)がありますので、ご留意のほどお願いいたします。

対 象 : 行政,社協,社会福祉法人,NPO法人等の生活困窮者支援に取り組む団体関係者, その他、生活困窮者支援に関心のある方

内 容 : ※スケジュールは多少変更する場合があります。

12:50~13:00 開会・オリエンテーション

13:00~13:40 行政説明 「生活困窮者自立支援制度について」(仮)

熊木 正人 氏(厚生労働省社会・援護局地域福祉課 生活困窮者自立支援室長)

13:40~14:40 基調講演 「いのち・すまい・けんり-貧困の現場から社会を変える」(仮)

講師 稲葉 剛 氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)

14:50~16:30 パネルディスカッション「岡山県における生活困窮者支援の最前線レポート」

(登壇予定) 行政関係者:*調整中*

池田 朋宏 氏(倉敷市生活自立相談支援センター所長:社会福祉法人 めやす箱)

劒持 美典 氏(総社市生活困窮支援センター自立相談支援員:社会福祉法人 総社市社会福祉協議会)

豊田 佳菜枝 氏(NPO法人 岡山・ホームレス支援きずな 副理事長)

(助 言 者) 稲葉 剛 氏(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)他

参加費 : 無 料  定 員 : 180名

申込方法 :2月25日(水)迄に申込書へ氏名・所属・連絡先を記入の上、下記宛にお申込ください。

申込・問い合わせ先:岡山県社会福祉協議会 生活困窮者支援特命チーム(担当:地域福祉部 吉田・西村)

〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1きらめきプラザ3階 TEL:086-226-2835

FAX:086-225-6602 / MAIL:chiiki@fukushiokayama.or.jp  

主 催:岡山県生活困窮者支援ネットワークフォーラム実行委員会 (※)

(※構成団体)岡山県保健福祉部障害福祉課、(社福)岡山県社会福祉協議会、(社福)岡山市社会福祉協議会、(社福)倉敷市社会福祉協議会、(社福)総社市社会福祉協議会、(社福)めやす箱、NPO法人岡山・ホームレス支援きずな、NPO法人岡山入居支援センター、NPO法人フードバンク岡山、弁護士法人岡山パブリック法律事務所(順不同)

 

2月23日(月) 講演会「生活保護と住まいの貧困」

講演・イベント告知

2月23日(月)に反貧困ネットワーク埼玉主催の学習会で講演をすることになりました。
お近くの方はぜひご参加ください。

反貧困ネットワーク埼玉
講演会「生活保護と住まいの貧困」

◆日時 平成27年2月23日(月)午後6時30分~

◆場所 埼玉総合法律事務所 3F大会議室
http://saitamasogo.jp/access

◆スケジュール

午後6時30分~午後7時30分 稲葉剛さん講演会「生活保護と住まいの貧困」
午後7時30分~ 反貧困ネットワーク埼玉定例会議

今回は、東京から、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事の稲葉剛さんをお招きして、講演会を行います。

稲葉さんは、1994年に路上生活者を支援する活動に飛び込まれ、以来、20年以上、東京を中心に、路上に暮らす人々に声をかけていく夜回り活動や、福祉事務所への生活保護申請同行などの活動をされてきました。

また、2001年には、「自立生活サポートセンター・もやい」を立ち上げられ、元ホームレスの人々や、いわゆるネットカフェ難民と呼ばれる人々などが、安心して暮らせる住まいを確保するためのお手伝いをされてきました。

2009年には、住宅政策の転換を求める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」を設立され、賃貸住宅の「追い出し屋」問題や「脱法ハウス問題」などの問題に取り組まれています。

稲葉さんは、近年の貧困の広がりの背景に、非正規労働の拡大といった雇用の問題だけでなく、「ハウジングプア」(住まいの貧困)の問題もあるとおっしゃられています。

ぜひ、稲葉さんと、貧困をなくし、真に人間らしい生活が肯定されるような社会を実現するにはどうしたらいいか、一緒に考えてみませんか?

予約不要・参加費は無料です。
ぜひ、気軽にご参加くださいませ。

◆主催:反貧困ネットワーク埼玉

http://antipovertysaitama.web.fc2.com/introduction.html

https://www.facebook.com/hanhinkoncaravansaitama

【2015年1月25日】 東京新聞:差別助長、効果に疑問 大阪市の生活保護支給プリペイド化

メディア掲載

1月25日付け東京新聞朝刊の特報面に「差別助長、効果に疑問 大阪市の生活保護支給プリペイド化」という記事が掲載されました。

私も参加した生活保護問題対策全国会議の記者会見に関わる部分を中心に以下に一部転載します。

同会議の要望書もご参考にしてください。

プリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望書

 

差別助長、効果に疑問 大阪市の生活保護支給プリペイド化

全国最多の約十五万人の生活保護受給者を抱える大阪市は、生活保護費の一部をプリペイドカードで支給するモデル事業を実施する。市によれば全国初の試みだ。二〇一六年度にも本格導入する。過度な浪費の防止が狙いだが、生活保護への風当たりが強いだけに、受給者は「偏見が助長される」とおびえる。肝心の削減効果も期待できず、受給者のプライバシー権と自己決定権を侵害するだけに終わりかねない。(白名正和)

生活保護費支給のプリペイドカード化は、橋下徹大阪市長が昨年12月26日の記者会見で発表した。橋下氏は「受給者の自立に向けた家計収支の把握に役立つ」と意義を強調した。

二千世帯の利用を目標に来月から希望者を募り、新年度から実施する。受給者には三井住友カード(東京)が発行するプリペイドカードを貸与。食料品や衣料品の購入などを目的とする生活扶助(同市では単身世帯で約8万円)のうち、約3万円をカードにチャージ(入金)する形で支給する。明細を市で確認し、過度な飲酒やギャンブルへの支出などがあれば、生活や金銭の管理の指導につなげる。

だが、特に恒例の受給者にとっては、カード使用自体への警戒感が強い。
「現金でしか買い物してへん、こんなおばあちゃんが、急にプリペイドカードなんか使い始めたら、すぐに生活保護の受給者だって分かってしまうやんか」。
大阪市港区のアパートで一人暮らしの女性(83)は不安を口にする。
(中略)

大阪市の生活保護受給者は2014年10月時点で約14万9千人。市区町村別では全国最多である。100人あたりの受給者は5.5人と、全国平均の1.7人を大きく上回る。14年の保護費は2944億円に上る。

市は12年度から「生活保護費の適正化」と銘打ち、保護費の削減に取り組む。主なターゲットは、過度な飲酒やギャンブルへの支出だ。今回のプリペイドカード化も、その流れの中に位置付けられている。

果たして効果はあるのか。全国の法律家や支援者でつくる「生活保護問題対策全国会議」は8日に厚生労働省で記者会見し、事業の撤回を求めた。

会議のメンバーで、依存症からの回復を支援するNPO法人・ジャパンマックの武沢次郎事務局長は「依存症の治療には金銭管理だけでなく長期的な治療が必要だ。カードを発行しただけでは効果は出ない」とみる。市は将来的に、一日に使える金額の限度額も設定できるようにする考えだが、「限度額を設けてもすべて酒やギャンブルにつぎ込むだけで、根本的な解決にならない」。

さらに問題なのは、細かな使い道まで行政側に把握されれば、プライバシー権や自己決定権を侵害しかねないことだ。この点、カードを使うかどうかは受給者の判断に委ねるようだが、浪費癖のある受給者が自らカード化に手を挙げる事態は想定しにくい。となれば、削減効果はない。

(中略)

全国会議メンバーの小久保哲郎弁護士は「利益を上げるのはカード会社だけの自治体規模の貧困ビジネスだ」と指摘した上で、「必要なのは、受給者の生活を支援するケースワーカーなどの体制を整えることだ」と訴える。

社会福祉法は、ケースワーカー一人当たりの受け持ち世帯の目安を80~65世帯と定める。大阪市は、働ける年齢の世帯は一人につき60世帯を受け持つ一方、高齢者の受給世帯は一人で380世帯を担当している。働ける世帯に集中するのは結構だが、高齢者世帯には支援が届きにくくなっている。

「カードで受給者を管理しても効果は望めない。保護費の削減が進む中、カード化が他の自治体に広がる恐れもある。一自治体の限定的な取り組みだからと放っておける話ではない」

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