バザー物品を募集!ご協力ください。

日々のできごと

つくろい東京ファンドでは、個室シェルター「あわやハウス」の活動を地元の住民に知ってもらい、交流を図るため、2月22日(日)にチャリティバザーを企画しております。

有志で手作り品などを持ち寄り、安価で販売するつもりですが、商品が足りません。

皆さんのご自宅に、新品だけど使っていない物、使わない物がございましたら、大変お手数ですが、つくろい東京ファンドまで送っていただけませんか?
送料も負担させてしまい、心苦しいのですが、宜しくお願いいたします。

つくろい東京ファンドの事務所スペースに限りがあるため、お一人様一箱と限らせていだきます。

特に希望する物品:未使用の洋服、タオル、石鹸、洗剤など生活必需品、未使用の食品(賞味期限内)など。

物品を提供してくださる方は、下記のお問い合わせフォームにてご連絡ください。

【お問い合わせフォーム】 http://tsukuroi.tokyo/information/

折り返し、送付先住所をお知らせします。申し訳ありませんが、送料はご負担をお願いします。
ご協力よろしくお願いします。

※関連記事:個室シェルター「あわやハウス」開設から半年が経ちました

個室シェルター「あわやハウス」開設から半年が経ちました

日々のできごと

一般社団法人つくろい東京ファンドが個室シェルター「あわやハウス」(東京都中野区)を開設してから、1月末でちょうど半年になります。

「あわやハウスとは?」の説明は、こちら。

「あわやハウス」では都内の様々な生活困窮者支援団体の紹介で入居者を受け入れていますが、この6ヶ月間に入居された方は計22名になりました。

この中には、1週間程度の短期宿泊の方(年末年始の「ふとんで年越しプロジェクト」を含む)もいますが、1か月以上滞在し、生活保護の申請同行やアパート探しなどのサポートをした方も徐々に増えてきています。

その結果、これまでアパートに移った方は計5名になり、近日中にアパートに移る予定の方も2名いらっしゃいます。

アパートに移った方とも、毎月の「なべ会」の開催などを通して継続的なつながりを作っています。

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物資カンパも引き続き、募集中です。

シェルターに入居される方の中には、着の身着のままの状態の方もいます。つくろい東京ファンドでは、必要に応じて生活保護の申請支援を行なっていますが、当面の対応として食料などの緊急支援も行なっています。

こうした緊急支援のために以下の物品を提供できる方がいらっしゃれば、ぜひカンパをお願いします。

◆募集する物品
・インスタント食品、缶詰(賞味期限内のもの)
・お米
・男性用下着(新品)
・男性用防寒着
・洗剤
・クオカード
・電気ポット

保管スペースが限られているため、あらかじめ、品目と数量をお問い合わせフォームでお知らせください。

【お問い合わせフォーム】 http://tsukuroi.tokyo/information/

折り返し、送付先住所をお知らせします。申し訳ありませんが、送料はご負担をお願いします。

つくろい東京ファンドでは、引き続き活動資金も募集しています。
下記の銀行口座にお振り込みの上、上記のお問い合わせフォームにご連絡ください。

◆つくろい東京ファンドの銀行口座
みずほ銀行 飯田橋支店(061)
普通 2634440 「つくろい東京ファンド」

また、クレジットカードを利用したAmazonギフト券によるご支援も可能になりました。下記ウィッシュリストでご購入いただけます。

「つくろい東京ファンド」Amazonウィッシュリスト

いただいたギフト券は、日々の活動で必要な物品の購入に使わせていただきます。

セーフティネットのほころびを修繕する事業にぜひご協力をお願いします。

※関連記事:【あわやハウス】ビッグイシュー販売者にステップハウスとして使ってもらっています。

※関連記事:【2014年10月3日&17日】ダイヤモンドオンライン「生活保護のリアル」にインタビュー記事掲載

 

2月18日(水) 東京都精神保健福祉相談事業講演会 「精神障がい者の生活のしづらさ ~その実際と理由を探る~」

講演・イベント告知

東京都精神保健福祉相談事業講演会
「精神障がい者の生活のしづらさ ~その実際と理由を探る~」

『こころの病』と言われる精神障がいは、誰でもが患う可能性があり、現在323万人と年々増加傾向にあります。また、がんや糖尿病と同じ国民の5大疾病にも含まれています。今回は、その精神障がいに起因する『生活のしづらさ』『生きにくさ』について、さまざまな視点から都民の皆様と学び、誰でもが安心して、共に生活できる東京を考えたいと思います。多くの方々のご参加をお待ちしております。

講師:井藤佳恵 氏 (精神科医師)
略歴:2010年~東京都健康長寿医療センター研究所 研究員
1993年、東京大学フランス文学卒業。その後民間企業勤務を経て、東北大
医学部卒業。東北大学病院精神科入局、緩和ケアー、助教、病棟医長等歴任

講師:稲葉剛 氏 (自立生活サポートセンターもやい理事/埼玉大学非常勤講師)
略歴:2009年~住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人 他多数
1969年、広島県広島市生まれ。幼少期は被爆二世として戦争や平和の問題に敏感な子どもとして育つ。東京大学教養学部卒業。在学中から平和運動、外国人労働者支援活動に関わり、1994年より新宿を中心に路上生活者支援に取組。2001年、湯浅誠氏らと共に「自立生活サポートセンターもやい」を設立

◇日 時 : 平成27年2月18日(水) 開場 13:00  講演 14:00~16:15 
◇会 場 : 都庁第一本庁舎5階大会議場  
     東京都新宿区西新宿2-8-1 (新宿駅西口より徒歩10分)
◇定 員 : 500名                   
◇参 加 費 : 無料
◇申し込み : 不要  当日直接会場へお越しください

◇問い合せ : 地域生活支援センターあさやけ   042-345-2077
NPO法人わくわくかん     03-3906-9997
東京都精神保健・医療課  03-5320-4464

◇主  催 : 東京都
◇主  催  東京都精神保健福祉民間団体協議会(略:都精民協)
都精民協(都内精神保健福祉関係の8団体で構成)は、都の委託事業等も受けて精神障がい者等の相談・普及啓発活動を行っています。

 

1月23日(金)20~21時、『ボトムアップチャンネル越年チャリティ生放送』最終回です!

日々のできごと

私が遠藤大輔さん(ビデオジャーナリストユニオン)とともに司会をつとめる越年チャリティ生配信「ボトムアップチャンネル」
12月12日(金)からほぼ毎週放送を続けてきましたが、いよいよ1月23日(金)20~21時の生放送が最終回になりました。

Bottomup

最終回では、野宿者・生活困窮者への医療支援活動をおこなっている医師の谷川智行さんをスタジオにお呼びして、「路上の健康問題」についてうかがいます。

また、恒例の宇都宮健児さんの人生相談コーナー、松本春野さんの「はるののにわ」、ソケリッサ!の街頭ダンス映像もそれぞれ今回が最終回になります。お見逃しなく!

ご視聴には、以下のサイトで登録(無料)が必要になります。登録をしていただければ、過去の番組映像もご覧になれます。

http://bottom-up-channel.net/

まだの方は、ぜひご登録ください。

 

もう一つ、インターネットTVの話題を。

「のりこえねっとTV」で1月19日に生放送された私と雨宮処凛さんの対談番組「貧困の現場から社会を考える」は、YouTubeでもご覧になれます。

拙著『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』をもとに、野宿者排除、生活保護基準の引き下げ、若者の住宅問題などについて、雨宮さんと語り合いました。

またの方は、ぜひこちらもご視聴ください。

20150119 のりこえねっとTV 「貧困の現場から社会を考える」 稲葉剛×雨宮処凛

今後とも機会があれば、インターネットTVを活用した発信をしていきたいと思います。

 

公営住宅での強制退去に伴う悲劇をなくしていくために

提言・オピニオン

昨年9月24日、千葉県銚子市の県営住宅に住んでいた母子世帯が、家賃滞納を理由に明渡訴訟を提起され、その判決に基づき強制退去を求められた日に、中学生の娘を殺害し自分も死のうとする、という痛ましい事件(無理心中未遂事件)が起こりました。

生活に困っている人が安定した住まいを失い、ホームレス状態になってしまうことは、生活困窮の度合いがさらに深まると同時に、当事者に多大な精神的なダメージを与えます。今回の事件は「ホームレス化」という現実がもたらした絶望感が引き金になったのではないか、と私は考えています。

事件当時の報道によると、この母親は2013年4月に銚子市市役所を訪問し、医療費について相談をしていたようです。その場で、生活保護の制度に関する説明を受けていたそうですが、申請には至っていません。

一方、県営住宅を管理する千葉県は部屋の明け渡しを求めて裁判手続きを進めていましたが、福祉部局との連携は行なっておらず、家賃減免制度を促すこともしていませんでした。

この事件に関して、1月19日、弁護士や市民グループでつくる「千葉県銚子市の県営住宅追い出し母子心中事件の現地調査団」(団長・井上英夫金沢大学名誉教授)が、千葉県と銚子市に公営住宅の家賃減免制度の周知徹底などを求めて申し入れをおこない、記者会見を開催いたしました。

写真 (57)

申し入れの内容は下記をご覧ください。

私が世話人を務める「住まいの貧困に取り組むネットワーク」も調査団に加わり、申し入れに参加しました。

調査団が調べたところ、千葉県内の県営住宅入居者のうち、家賃減免対象者が11616世帯(2013年度)もいるのに対し、減免を実施したのはわずか1961世帯(2014年3月末現在)と2割に満たないことがわかっています。

今回のような悲劇を繰り返さないために、各行政機関が縦割りの壁をのりこえて、生活に困窮している人を必要なサービスをつなげていくことが求められています。

この申し入れについての記事が、1月20日付け東京新聞千葉版に掲載されたので、ご参考にしてください。

*東京新聞:生活保護など「改善を」 弁護士ら申し入れ 銚子の心中未遂受け

———————

2015年1月19日

千葉県知事 森田健作 殿
千葉県県土整備部住宅課長 殿
千葉県健康福祉部長 殿
銚子市長 越川信一 殿
銚子市福祉事務所長 殿
銚子市保険年金課長 殿
銚子市住宅課長 殿

県営住宅での強制退去に伴う母子心中事件の対応についての要望書

    千葉県銚子市の県営住宅追い出し母子心中事件の現地調査団
自由法曹団/全国生活と健康を守る会連合会/
中央社会保障推進協議会/住まいの貧困に取り組むネットワーク

2014年9月、千葉県銚子市内に所在する千葉県営住宅の入居者(母子世帯)が、家賃滞納を理由に明渡訴訟を提起され、その判決に基づき強制退去を求められた日に、中学生の娘を殺害し自分も死のうとする痛ましい事件(無理心中未遂事件)が起こりました。
この事件の経緯について千葉県、および銚子市の対応は、後記のように問題があると考えられるので、緊急に以下の対応をおこなうよう要望します。

1.県は、県営住宅の入居者に対し、家賃の減額制度があることを、十分に周知させること。

2.県は、家賃の滞納者に対し、入居者の置かれた状況を確認し、家賃の減額制度や他の社会福祉制度が利用できる場合には、その制度を丁寧に滞納者に対して説明すること。また、この説明は手紙や文書だけでなく、民生委員などと協力してできるだけ訪問することより、対面で説明を行うこと。

3.県は、民間賃貸住宅よりも低額な県営住宅を家賃滞納で退去させられた入居者の多くは、ホームレス状態にならざるを得ないことを認識し、退去後の生活ができることを十分に確認するべきであり、明渡訴訟は最後の手段とし、安易にこれを提訴しないこと。

4.市は、保険証を失効する、水道料金を長期間滞納するなど生活困窮の様子が見られる市民に対し、利用できる社会福祉制度を丁寧に説明し、申請意思があるかどうかを確認すること。仮に申請意思が認められない場合でも、長期間の家賃の滞納や保険証の失効など職権保護が妥当と判断される場合には本人からの申請がなくとも生活保護を利用させること。なお、誤った説明により、生活保護が利用できないと思わせる言動は間違っても行わないこと。

5.県と市は、県営住宅の入居者が生活に困窮していることを認識した場合、互いに情報を伝え、市からも県営住宅の家賃の減額制度の説明をしたり、県からも利用できる社会福祉制度を説明をすること。

6.県と市は、今回の事件の事実経過を明らかにし、再発防止のためにいかなる措置を採るべきか検討し、その防止策を県民、市民に公表すること。

<千葉県および銚子市の対応の問題点>

報道によれば、入居者の母親は、県営住宅の家賃の減額ができる程度の収入しかなったとされています。しかし、千葉県では、この母親に対し減額の申請を促すような対応をした形跡はありません。そもそも、一般の民間賃貸住宅よりも低額な県営住宅の家賃すら支払えない場合には、生活に必要な収入が減少しているか、なくなっていることが予想され、極度に困窮している状況にあることは十分に考えられることです。このような場合、安易に明渡訴訟を提起するのではなく、生活困窮していないかどうかを確認し、生活困窮していることが確認された場合には、家賃の減額の申請や利用できる社会福祉制度を伝えるべきです。

また、千葉県では入居者と接触しないまま明渡訴訟を行うケースもあると報道されています。生活に困窮している入居者は、相談先さえ分からない場合や、不安定・低賃金、劣悪な労働条件の雇用で、仕事を休むと給与が減額されるなどの恐れがあることから相談に行く時間すら作れない場合が多くあります。家賃を長期間滞納している多くの入居者もそのままの状態でいいと思っているわけではなく、何とかしなければならないと思いながらも、上記のようなことからどこにも相談にいけない状況に置かれていることを予想して措置をとるべきです。

さらに、報道によれば、2013年4月にこの母親は銚子市保険年金課に保険証再発行の相談に訪れた際、保険年金課の職員は生活保護の申請を勧められ、生活保護の相談をしていますが、結局生活保護の申請には至っていません。本来、福祉事務所は生活に困窮している者に対しては、申請の有無にかかわらず職権で保護を開始するべき責任を負っています。

低額な県営住宅の家賃さえも支払えず、保険証を失効し保険年金課に保険証の再発行の相談をしていること自体で生活困窮は明らかです。このような場合にまで「申請がなかったから」との理由で保護を開始しないことは、生存権を尊重していないと言わざるを得ません。

このような問題点が多々見られることから、緊急に前記の要望を行うものです。

以上

1/19(月)21時~のりこえねっとTV 「貧困の現場から社会を考える」 稲葉剛×雨宮処凛

日々のできごと

インターネットTV「のりこえねっとTV」の1月19日(月)21時~の放送で、雨宮処凛さんと対談をすることになりました。

ぜひご覧ください。

YouTube Liveによる生放送です。以下をクリックしてください。

20150119 のりこえねっとTV 「貧困の現場から社会を考える」 稲葉剛×雨宮処凛(YouTube)

のりこえねっとTV「貧困の現場から社会を考える」

聞き手:雨宮処凛
ゲスト:稲葉剛(認定NPO法人自立生活サポートセンター・ もやい理事)

概要
稲葉剛さんの近著『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』に即して、その内容を雨宮さんから聞いてもらい、
稲葉さんから著書の内容と最近の経験などからお話をしていただくの中で、
東京の街に暮らすホームレスの人たちの現状、差別や襲撃の事実を知ろうと思います。

※関連記事:『鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために』、書店での販売が開始されました!

『鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために』、書店での販売が開始されました!

日々のできごと 書評・関連書籍

私の新著『鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために』(発行:エディマン/発売:新宿書房)の一般書店での発売が始まりました。

今週から全国の書店で並ぶ予定です。

『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』紹介ページ(エディマン)

 

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鵺(ぬえ)の鳴く夜を正しく恐れるために
――野宿の人びととともに歩んだ20年
稲葉 剛 著

発行=エディマン 発売=新宿書房
46判変型/上製/192頁
本体1700円(税別)
ISBN978-4-88008-453-4 C0036

1994年、大学院時代に新宿西口地下道のダンボール村に飛び込んで20年。野宿者支援・生活保護問題で活動を続けてきた著者による路上のスケッチ的エッセイ集。野宿者襲撃・路上死・強制排除……。路上の社会問題を、そこで暮らす人びとを通してリアルに解き明かす。
装画は、ダンボールハウス絵画で著名な武盾一郎氏による「新宿鵺」。

 

「お近くの書店にない!」という方は、こちらのチラシPDFをダウンロードの上、冊数を記入して書店にお申込みください。

書店お申込み用チラシPDF

また、各地の図書館へのリクエストもお願いいたします。

Amazonにも出ましたが、現時点(1月14日)では一時的に品切れになっています。近日中に受付が再開される予定です。

丸善&ジュンク堂ネットストアや、紀伊国屋書店ウェブストアにも出ています。いずれも送料は無料ですので、ご活用ください。

すでにお読みになった方から、たくさんのご感想をいただいています。そうした感想や書評も徐々にこのサイトでご紹介していく予定です。

私にとっては、この20年間の活動の集大成になる本なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと心より願っています。
よろしくお願いいたします。

 

「共生」が憎しみ合いに転じるのを許さないために立ち上がる~フランスからの報告

提言・オピニオン

1月7日に発生した『シャルリー・エブド』襲撃事件に始まる一連のテロは、フランス、そして全世界に大きな衝撃を与えました。
フランスでは、1月11日の午後、パリ中心部で開かれたデモ行進に百数十万人の人々が参加しました。フランス全土でデモに参加した人数を合わせると、参加人数は370万人を超えたと言われており、フランス史に残るデモ行進になりました。

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今回の一連の事件はフランスでどのように捉えられているのでしょうか。

かつて日本に滞在し、NPO法人もやいの活動にもボランティアとして参加したことのあるフランス人研究者のマリーセシールさん(Marie-cecile Mulin)に、今回の連続テロの背景についてメールでうかがったところ、お返事をいただきました。

マリーセシールさんは11日の歴史的なデモ行進に参加し、そこで撮影した写真も提供してくださいました。

多くの方にフランスからの報告を読んでいただき、私たち日本社会のあり方について考える材料にしていただければと願っています。

なお、マリーセシールさんが日本の貧困問題をどのように見たのか、という点については、もやいブログに連載記事がアップされているので、こちらもご参考にしてください。

「海外からのもやいボランティアインタビュー」
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=1723
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=1761
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=1899

 

質問1:フランスでは事件はどのように受け取られているか?

フランスでは、1789年に「人権と市民の権利」の宣言が採択されてから、ブラスヒーム(神への冒涜行為)罪は撤廃されました。その結果、国家と宗教が分離され(1905年政教分離法成立)、そのことで原理が決定的に制度化され、世俗主義は私達の国家の核として形成されてきました。世俗主義のことをフランスでは“laïcité(ライシテ)”と呼んでおります。

これまでにも、『シェルリーエブド』に掲載された漫画によって侮辱されたと感じたフランスカトリック教会やフランス国内のイスラム教組織が風刺漫画家達を相手に何度も裁判を起こしてきましたが、それでも彼らが糾弾されずにきた理由はこういう背景があるからです。それは、宗教を扱った風刺画に対するフランスの寛容さとも説明できます。時には低俗で露骨なものであってもです。

『シェルリーエブド』は、その不遜なユーモアセンスと因習打破の漫画と記事でフランス国内でも有名な新聞社です。そこで働くジャーナリスト達(大体はアナーキストか極左の人たちですが)の信条は、反啓蒙主義とあらゆる形の支配的イデオロギー相手に闘うことです。

大部分の一般市民は自分の宗教が何であれ、≪laïcitéライシテ≫と≪表現の自由≫の原理に深く共感しており、1月11日にパリで行われるデモには多くの人が参加を表明しています。(仏内務省発表370万人!!が参加)

たとえ、『シェルリーエブド』の故意に挑発的な記事に対して、時に意見を異にする人でも、「フランスをひざまずかせようとした行為がフランスを立ち上がらせた」という一文によってテロリストに対する自らの態度を表明しているのです。

人々が示したいのは、一つは自分たちが決して恐怖に屈服しないということ、そしてもう一つは、狂信的なテロリストと他のイスラム教徒達を決して混同しないということ、最後に、私たちが団結して立ち上がる事で「共生」が憎しみ合いに転じるのを許さないという強い姿勢を示すことです。

極右政党を支持する人たちの中には、今回の事件をイスラム教徒全体のせいにしようとしている人たちもいます。私達はこういう危険な考えを注視し、阻止していかなければいけません。

それと同様、イスラム教徒の人々の中には、今回のテロ行為を非難しない者もあります。パリや大都市を囲むスラム地域に住む貧困層の若者などです。そういう人たちは、「JE SUIS CHARLIE 私はシェルリー」といったスローガンに共感できず、「私はシェルリ―ではない」と表明しています。この現象は二問目の質問の答えに続きます。

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質問2:今回の連続テロの社会的背景に何があると思うか?

最初の質問で、スラム地帯で育つ貧困層の若者の様子をお答えしましたが、どうして高校生たちがこのようなリアクションをしているのでしょう?その理由は、彼らが存在する環境と、将来の見通しの無さにあります。今回のテロリストたちがなぜあのような野蛮なテロ行為に及んだか、その説明にもなります。

60年くらい前のフランスでしたら、貧困に苦しむ者が貧困を脱出し、自分や家族がより豊かな将来を獲得する為の主な手段は学校教育でした。実際、教育は社会、民族、文化など、社会統合の強力な武器でした。様々な国からフランスに移ってきた移民や、社会的排除を受けてきた市民達は、教育によりフランス社会と統合し、さらに独自の文化と併せ、より一層文化を充実させていきました。それでも、みな同じ価値観を共有することができたのです。しかし、70年代初頭から状況は変わり始めます。失業者が増加し、個人主義の台頭…私たちの世俗主義的な社会の基盤が崩れ始めたのです。

かつて貧困層だったものの、教育システムを最大限に活用できた人たちは、スラム地域から出て行きました。今スラムに残っている人たちは、主に近年の新しい移民を中心とする人たちが多いのですが、失業と貧困に直面する人々は年々増え、その子どもたちはもはや教育システムがきちんと機能していない学校に取り残されてしまいました。それとともに高まるレイシズムや差別が彼らの困難に追い打ちをかけているのです。

同時に、大多数の政治家達の関心はこれらの貧困層から徐々に離れていき、彼らはひどい苦境の中で自力で生活していくことを課せられます。そんな苦境の中で、彼らは政治/宗教過激派のいいカモになってしまいます。共同体や地域社会で孤立した人々が外国人排他主義で知られる極右政党「国民戦線」に吸収されていく。そんな現象が知らず知らずに増殖する癌細胞のように社会に拡がっています。

将来に希望が見出せず、差別され続ける若者たちの中には、宗教に逃げ道を求める者も出てきます。それは貧困と無知によって拍車がかけられます。そして、そういった若者たちの苦悩は宗教の原理主義者に利用されてしまうのです。この憂慮すべき現象は、フランス以外のヨーロッパ諸国でも見られるようになってきました。パリで起きたような事件が、どこで起きてもおかしくないのです。

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質問3:最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。

困難な時代において社会的つながりは非常に重要な概念で、責任ある社会であれば、困窮している人々を助けていくのは必要不可欠です。しかし、このことをフランスはこれまで成し遂げることができないできました。しかし、皮肉なことではありますが、(事件が起きてからの)3日間で私たちは「共和国の良心の光」とでも呼ぶべきものを改めて始めることができたように思います。

『シェルリーエブド』の社員が命を落とした「表現の自由」に関してですが、あらゆる民主主義が絶対に死守しなければいけない極めて重要なものです。そして、「表現の自由」がテロ防止の為とか、国家防衛の為などという口実によって踏みにじられぬよう絶えず注意していなければなりません。私たちの社会や生活を守るためには、新聞やメディアの言論統制をさせてはいけないのです。私たちが油断していたら、フランスも日本もこのような脅威に直面することになるでしょう。(Marie-cecile Mulin)

あまりに非人道的な生活保護の住宅・冬季加算ダブル削減方針

提言・オピニオン

1月14日に閣議決定される2015年度予算案で、生活保護費のうち住宅扶助と冬季加算が削減されることが大臣折衝で決まりました。

※関連記事:【2015年1月13日】 東京新聞:15年度予算案 住宅扶助、冬季加算カット 「命にかかわる」

家賃に相当する住宅扶助は、国費ベースで2015年度に約30億円、2018年度には約190億円の削減を見込んでいると報道されています。

厚生労働省は、有識者で構成される社会保障審議会・生活保護基準部会の報告書を踏まえて引き下げを決めたと説明しているようですが、ライターのみわよしこさんが報告されているように、同部会の報告書は引き下げを容認する内容にはなっていません。

生活保護の住宅扶助引き下げを、社保審・生活保護基準部会は決めていません(みわよしこ)

報告書のとりまとめがなされた1月9日の部会を私も傍聴しましたが、民間の委員からは口々に「引き下げ方針」がマスメディアで事前報道されていることへの不快感が表明されていました。

社会保障審議会・生活保護基準部会報告書PDF

2015年1月9日の生活保護基準部会

2015年1月9日の生活保護基準部会

安倍政権が社会保障費全体を削減していくという方針を明確にする中で、厚生労働省は財務省からの削減圧力に屈してしまったのでしょう。

私は、NPO法人もやいで生活保護利用者の入居支援(アパート入居時の保証人や緊急連絡先の提供)をおこなってきた経験から、「現状でも生活保護の住宅扶助基準は十分ではない」ということを訴えてきました。

2013年には、東京都千代田区で生活保護利用者が福祉事務所職員の紹介により「脱法ハウス」に入居していたことが社会問題になりましたが、その背景には住宅扶助の基準内で入居できるアパートが地域の中にないことがあります。

国土交通省の調査でも、「狭小・窓無し」のシェアハウス(脱法ハウス)の入居者のうち、11%を生活保護利用者が占めていたことが明らかになっています。

関連記事:住宅政策という「パンドラの箱」を開けよう!

車いすで暮らす障がい者からも、現状の基準では車いす生活をできる居住環境を確保できない、という問題が指摘されています。

関連記事:生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに反対する記者会見を行いました

厚生労働省の調査でも、生活保護利用者の住宅の13.8%に「腐朽・破損」があることが判明するなど、居住環境が劣悪であることが判明しています。

今回の削減方針は予算の大枠を決めただけであり、具体的にどの地域で、どのような形で基準が引き下げられるかは明らかになっていませんが、現状でも住宅扶助基準が充分と言えない状況で、さらに生活保護利用者の居住環境が悪化してしまう危険が高まります。

また、冬季加算の引き下げは寒冷地で暮らす生活保護利用者の健康悪化につながりかねません。

しかも、住宅扶助と冬季加算が同時に下げられると、2つの引き下げによる相互作用で、さらに深刻な影響を与えかねません。

一般に、家賃の水準と住居の断熱性・気密性は比例関係にあります。
家賃が低ければ、「腐朽・破損」があり、すきま風が吹く木造の住宅に暮らさざるをえません。すると、当然、暖房費は鉄筋の住宅に暮らすよりも高くかかります。

現在でも、そのために暖房費の捻出に苦慮している生活保護利用者は多いのですが、冬季加算が下げられると、最悪の場合、生命の危機に直結してしまいます。

厚生労働省や財務省は、こんなことも理解できないのでしょうか。あまりに人々の生活実態が見えていないと言わざるをえません。

ただでさえ、生活保護の生活費にあたる生活扶助基準は段階的に引き下げられています。食品などが値上がりしているにもかかわらず、厚生労働省は今年4月に第三弾の引き下げを強行しようとしています。

人々の健康を害し、いのちをないがしろにする非人道的な住宅扶助・冬季加算の削減方針の撤回を求めます。

 

【2015年1月13日】 東京新聞:15年度予算案 住宅扶助、冬季加算カット 「命にかかわる」

メディア掲載

15年度予算案 住宅扶助、冬季加算カット

「命にかかわる」 生活保護受給者から悲鳴

14日に閣議決定される2015年度予算案で、生活保護費のうち住宅扶助と冬季加算の支給カットが決まり、生活保護受給世帯からは「ますます生活が苦しくなる」「命にかかわる」と懸念する声が上がっている。

(中略)

家賃に相当する住宅扶助は、7月に引き下げ開始予定。厚生労働省は、国費ベースで15年度に約30億円、18年度には約190億円の抑制を見込む。

受給者を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事は「受給者の多くは、国が定めた最低居住面積の水準を満たす住居で暮らせないでいる。住まいの支援充実が先決なのに削減はおかしい」と批判する。

冬季加算は15年度に総額約30億円を削減するが、これも受給者を追い詰めかねない。11月から3月に必要な暖房費として支給されるが、寒冷地では「それだけでは灯油代を賄いきれない」との声が上がる。湯たんぽで体を温めて節約したり、隙間風が入り込む老朽化したアパートで我慢したりする人もいる。

稲葉さんは「冬季加算を住宅扶助と一緒に削ると、冬場の生活が一気に苦しくなる人が出てしまう。生命の危機にもかかわる問題だ」と訴える。(共同通信配信記事)

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