『若者の住宅問題』発表記者会見が開かれました

日々のできごと

12月17日(水)、認定NPO法人ビッグイシュー基金・住宅政策提案・検討委員会(委員長:平山洋介神戸大学大学院教授)は報告書『若者の住宅問題~~住宅政策提案書 調査編』完成に伴う記者会見を開きました。

※報告書の詳細はこちらをご覧下さい

会見の様子を動画レポートでお送りします。

また、報告書をご希望の方には無料で必要数をお送りいたします。
(ゆうメール着払い分の送料のみ、ご負担をお願い致します)
ご希望、お問い合わせは「ビックイシュー基金」代表メール info@bigissue.or.jpか、FAX(06-6457-1358)までご連絡ください。
(担当:ビックイシュー・高野)

10433317_753825978020636_6250937212131672021_n

12月24日(水)25日(木) 年末拡大相談会(東京・四谷)のお知らせ

講演・イベント告知

法律・生活・労働・住まい・震災分野の総合相談会

年末『拡大』相談会(2日連続/無料)

あったかいへやで安心して年を越そう!

1412年末拡大相談会

【来所相談】年末の2日間、法律・生活・労働・住まい・震災分野のワンストップ総合相談会を開催いたします。
どなたでもお気軽にお越しください。

日時:平成26年12月24日(水)・25日(木)10:00~20:00(受付終了19:00)

場所:日本司法書士会館地下1階ホール(新宿区本塩町9-3)
http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/intro/accessmap.html

内容:法律・労働・生活等総合相談

証明写真撮影・履歴書提供(いずれも無料)あります。

主催:つながる総合相談ネットワーク東京(代表:宇都宮健児)
http://tsunagarutokyo.blog38.fc2.com/

【独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業】

※チラシのダウンロードはこちらから(pdf・別ウィンドウで開きます)

必要としている方にぜひ相談会の情報を伝えてください。

『若者の住宅問題~住宅政策提案書 調査編』が完成!17日に記者会見を開きます。

提言・オピニオン

認定NPO法人ビッグイシュー基金・住宅政策提案・検討委員会(委員長:平山洋介神戸大学大学院教授)は、このたび『若者の住宅問題』と題した調査報告書をまとめました。
私も委員の一人として執筆しています。

この調査では、若年・未婚・低所得の若者の居住実態をインターネット調査で調べましたが、回答者の4分の3の若者が親と同居している一方、ネットカフェ、友人宅など広い意味でのホームレス状態を経験したことがあると回答した人が全体の6.6%(親と別居しているグループに限定すると13・5%)にものぼることがわかりました。

これはホームレス化のリスクを回避するために、親もとから出られない若者が増えていることを意味しています。

ぜひこの調査報告書を多くの方に読んでいただき、日本の住宅政策や若者支援のあり方に関する議論が深まればと思っています。

以下はビッグイシュー基金からのお知らせです。報道関係者の方はぜひ記者会見にご参加ください。

*******************

http://www.bigissue.or.jp/activity/info_14121201.html

ビッグイシュー基金では、住宅政策の再構築が日本の貧困問題解決の切り札ではないかと考え、2013年より研究者、実践家に呼びかけ「住宅政策提案・検討委員会」を開き、同年10月「住宅政策提案書」をまとめました。
(『住宅政策提案書』に関しては、リンク先過去の記事をご覧ください。)

info_14121201

これに続いて2014年8月、提案を裏付け、さらに深めるために調査事業を実施しました。

首都圏(東京都・埼玉・千葉・神奈川) /関西圏(京都・大阪府・兵庫・奈良)に住む <1>若年(20~39歳)<2>未婚 <3>低所得(年収200万円以下)の男女を対象に、インターネット調査を実施し、1767人をサンプルに調査報告書をまとめました。

低賃金で過酷な住居費負担にあえぎながら、6.6%もの人が広義のホームレス状態を経験している一方で、回答者の4人に3人が親と同居。3人に1人が「大卒」、「いじめ経験者」、3割弱が「うつ病経験者」など、無業・ひきこもりなどの社会的不利・困難を抱えた若年層の居住・生活の実情も明らかにされました。

複雑・深刻化する貧困下の若者の問題を、「住宅」の側面から照らした日本で初めての量的な調査です。以下はその目次です。

『若者の住宅問題』―住宅政策提案書 調査編― (A4版 40p.)

目次

第1部 若年・未婚・低所得層の住宅事情――調査結果の分析
平山洋介(神戸大学大学院教授)

1. 人生の足がかりをつくる――若者の住宅問題
1-1 人生の道筋と住宅
1-2 「年収200万円未満」について
2.“結婚する、できるは1割未満”――親との同居/別居と結婚意向
3. 増加した“移動しない人生”――出身地と学歴
4. 多い極貧レベルの人たち――経済生活基盤の実態
4-1 無職と不安定就労
4-2 少ない収入・資産
4-3 社会保険加入の不安定さ
5.いじめ、ひきこもり、就職挫折、人間関係トラブル、うつ病……
――苦難の経験と相談相手
6.親持家が6割、自己借家は2割――住宅所有形態について
6-1 誰の所有・賃貸なのか
6-2 住宅所有形態の特性
7.住居費や家事で親に頼る――親の家と世帯内単身者
7-1 親に頼れる/頼れない
7-2 続かない安定
8.負担の過酷さ天地の開き――住居費負担の特性
8-1 負担する/しない
8-2 異様に重い負担
9.親持家は”とどまるべき”場所に――住宅困窮と定住・転居指向
9-1 だれがどのように困っているのか
9-2 親の家の内/外―住宅所有形態について
10.“健康”、そして“住まい”と“仕事”が大切
――暮らし向きの変化、幸福の条件
11.“次の段階”へ、もっと選択肢を――住宅政策から社会持続へ

第2部 若者に多様な住まいを――調査結果から

・家を借りることがリスクの時代――檻のない「牢獄」と化した実家
藤田 孝典(NPO法人ほっとぷらす代表理事)

・若者の自立・家族形成の保障は住宅政策から
川田 菜穂子(大分大学 教育福祉科学部准教授)

・ホームレス化しない「絆原理主義の国」の若者たち
稲葉 剛(NPO法人 自立生活サポートセンターもやい理事)

ご希望の方には無料で必要数をお送りいたします。(ゆうメール着払い分の送料のみ、ご負担をお願い致します)ご希望、お問い合わせは基金代表メール info@bigissue.or.jpか、FAX(06-6457-1358)までご連絡ください。(担当:高野)

*************************

『若者の住宅問題』発表記者会見のお知らせ

◆日時・場所・概要

■タイトル:『若者の住宅問題 ―住宅政策提案書 調査編―』 発表記者会見
■概要 :住宅政策提案・検討委員からの調査報告
平山洋介委員長 (神戸大学 大学院人間発達環境学研究科教授) 、
稲葉剛委員 (NPO法人もやい理事)

■日時:2014年12月17日(水)13:45~14:45 (13:40開場)
■場所:日本弁護士会館502-A 会議室

住所:東京都千代田区霞が関1丁目1番3号 弁護士会館5階

主催:住宅政策提案・検討委員会  認定NPO法人ビッグイシュー基金(http://www.bigissue.or.jp)

越年チャリティ生配信「ボトムアップチャンネル」、放送開始しました! 第一回無料公開中!

日々のできごと

私が遠藤大輔さん(ビデオジャーナリストユニオン)とともに司会を務めます、越年チャリティ生配信「ボトムアップチャンネル」
全6回を予定している内、その第1回が昨日(12月12日 金曜 20時~21時)配信されました。
現在、その第1回放送を特別無料公開中です!(第2回以降を視聴するのは無料の会員登録が必要です)

●第一回放送 主なプログラム
・00:00~ 司会 稲葉剛 遠藤大輔
・05:00~ VJUレポート「ハウジンプア」
・20:00~ VJUレポート「つくろい東京ファンドとは」
・28:00~ 宇都宮健児さんのコーナー「人生相談・宇都宮さんに訊こう」
・35:00~ 松本春野さんのコーナー「はるののにわ」
・45:00~ 「ストリート! 一曲入魂」
・50:00~ ゲスト登場! 「新人Hソケリッサ」
・55:00~ ソケリッサが新宿の町で舞う! 「ソケリッサオンライン」

第二回以降の配信をご覧になるには、会員登録(無料)が必要です。

以下のURLからサイトへ飛び、

http://bottom-up-channel.net/regist/

「Choose a Username」欄に半角英数字であなたのニックネームを、
「Email」欄にEメールアドレスを入力下さい。
すぐに「wordpress@bottom-up-channel.net」から、パスワードが下記のように送られて来ます。

username: ????(あなたのニックネーム)
password: ????(あなたのパスワード)

上記を使い、
http://bottom-up-channel.net/on-air-bottom-up-channel/
よりログイン下さい。放送開始されましたらご視聴いただけます。

放送スケジュールは、

第2回放送 12月19日(金)
第3回放送 12月26日(金)
第4回放送 1月2日 (金)
第5回放送 1月16日(金)
第6回放送 1月23日(金)

放送時間帯はいずれも 午後8:00-9:00

です。
次回放送も、どうかお楽しみに!

1511087_751331308270103_7556182603428186574_n

【あわやハウス】ビッグイシュー販売者にステップハウスとして使ってもらっています。

日々のできごと

つくろい東京ファンドが運営する個室シェルター「あわやハウス」がオープンして、4ヶ月が経ちました。
「あわやハウス」には7部屋の居室がありますが、そのうち2部屋はNPO法人ビッグイシュー基金との業務提携のもと、ビッグイシューの販売者の方に使っていただいています。

このたび、ビッグイシューのFacebookページに「あわやハウス」に入られた方の報告が掲載されたので、許可を得て転載させていただきます。

****************

【ステップハウスに入居しました】

つくろい東京ファンド(http://inabatsuyoshi.net/tsukuroi)の個室シェルター「あわやハウス」に、10月末からビッグイシュー販売者のYさん兄弟が入居しています。

ビッグイシューでは、あわやハウスのひと部屋をステップハウスとして借り、貯金サポートをしながら、販売者に安価な家賃で貸しています。

これまではネットカフェに寝泊まりしていたお二人。雑誌の売り上げも順調で、今後は貯金をしてアパートを借りることを目指し、まずはあわやハウスへ入居されました。

部屋に用意されたあたたかな布団やお風呂場の湯船に感激。「自分の家みたいで落ち着きます」とYさん。ネットカフェではスペースも狭く、なかなか心身を休めることができません。

販売もはりきって頑張っているYさんたちのアパート入居が、早く実現できるよう、応援していきたいと思います。

ビッグイシュー基金の活動については、こちらから→http://www.bigissue.or.jp/activity/index.html

(東京基金スタッフ 中村)

※写真は借りている部屋、共有のお風呂・キッチン。

303Aの部屋 (2)お風呂2

*********************

つくろい東京ファンドでは、物資カンパを募集しています。

以下の物品を提供できる方がいらっしゃれば、ぜひカンパをお願いします。

◆募集する物品
・インスタント食品、缶詰(賞味期限内のもの)
・男性用下着(新品)
・男性用防寒着
・洗剤
・クオカード
・電気ポット

保管スペースが限られているため、あらかじめ、品目と数量をお問い合わせフォームでお知らせください。

【お問い合わせフォーム】 http://inabatsuyoshi.net/information

折り返し、送付先住所をお知らせします。申し訳ありませんが、送料はご負担をお願いします。

また、つくろい東京ファンドでは、引き続き活動資金も募集しています。
下記の銀行口座にお振り込みの上、上記のお問い合わせフォームにご連絡ください。

◆つくろい東京ファンドの銀行口座
みずほ銀行 飯田橋支店(061)
普通 2634440 「つくろい東京ファンド」

セーフティネットのほころびを修繕する事業にぜひご協力をお願いします。

 

関連記事:【2014年10月3日&17日】ダイヤモンドオンライン「生活保護のリアル」にインタビュー記事掲載

関連記事:【2014年8月6日】 毎日新聞:「ひと」欄に稲葉剛の紹介記事が掲載されました。

12/12(金)20時~『ボトムアップチャンネル~越年支援生放送』が始まります!

日々のできごと

b59a00b9762576a2e1aa79c6389d6fa6

インターネットTV『ボトムアップチャンネル~越年支援生放送』が始まります!

私は遠藤大輔さん(ビデオジャーナリストユニオン)とともに司会を務めます。

ぜひご視聴ください!

詳細はこちらのウェブサイトをご覧ください。

http://bottom-up-channel.net/

第1回は12月12日(金)20時~21時。

出演:宇都宮健児、松本春野 、ソケリッサ!他

司会:稲葉剛、遠藤大輔

制作:ビデオジャーナリストユニオン

以下は、ビデオジャーナリストユニオンからの案内です。

**************************

越年チャリティ生放送「ボトムアップチャンネル」のご案内

2014年12月9日

VJUビデオジャーナリストユニオンの遠藤大輔です。VJUは90年代より、
野宿者支援現場を一つの拠点として活動してきた映像製作グループです。
支援関係の皆様には日頃より大変お世話になっております。

この度、VJUは(社)つくろい東京ファンドへの支援を表明するとともに、
新たな動画配信プラットフォーム「ボトムアップチャンネル」を設立しました
(登録制/視聴無料)。

この動画サイトは、私たちが作るオリジナル映像を見ていただいた方から
募金をいただき、制作費以外の収入を「つくろい東京ファンドへ」寄付する
しくみです。とりわけ、越年期間は、野宿を強いられた人々は役所の支援を
受けられません。体調を崩した方たちについての緊急対応が多く求められま
す。

そこで、VJUはこのしくみを使い、2014年12月から2015年1月にかけ、
「つくろい東京ファンド」との共同で、全6回のチャリティプログラムを組む
ことになりました。ぜひ多くの皆さまのご視聴と寄付を広く呼びかけて頂け
れば幸いと存じます。

●「ボトムアップチャンネルのURL

http://bottom-up-channel.net/

●放送予定

第1回放送 12月12日(金)
第2回放送 12月19日(金)
第3回放送 12月26日(金)
第4回放送 1月2日 (金)
第5回放送 1月16日(金)
第6回放送 1月23日(金)

放送時間帯はいずれも 午後8:00-9:00 です。

詳しい放送内容等はサイトをご参照ください。

●連絡先

VJUビデオジャーナリストユニオン
vj.union@gmail.com TEL 03-5927-1612
(放送中の電話は受けられません)

年の瀬の折、皆様におかれましてはご多忙のことと存じますが、何卒本企画の
広報にご協力いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

VJUビデオジャーナリストユニオン
代表 遠藤大輔

各党の住宅政策を比較してみました

提言・オピニオン

12月14日(日)に衆議院総選挙が行われます。
私が世話人を務める住まいの貧困に取り組むネットワークでは、各党のウェブサイトに掲載されている公約から、住宅政策に関する記述を抜き出して比較してみました。

こうして比べて見ると、党によって力点の置き方がかなり違うことがわかります。

どの党が「住まいの貧困」に正面から向き合っているのか。
ぜひご参考にしていただければと思います。

【自民党】
政策BANK
https://special.jimin.jp/political_promise/bank/index.html

<躍動感ある経済の実現を>
大幅に拡充した住宅ローン減税と減税の効果が限定的な所得層に対するすまい給付金の給付措置を引き続き講じます。
住宅金融支援機構の金利引下げや住宅に関するエコポイント制度の創設等により、良質な住宅取得や住宅投資の活性化を図ります。
不動産市場を支える制度面の整備により、不動産市場の活性化や投資の喚起を促し、経済再生との好循環を図ります。
空家の除去や再生支援等空家対策を推進するとともに、住宅評価の客観化、取引情報の透明化、リフォーム産業の活性化等を通じ、中古住宅市場の活性化を図ります。

【公明党】
衆院選重点政策

https://www.komei.or.jp/campaign/shuin2014/manifesto/manifesto2014.pdf

2 家計支援―賃金上昇と消費拡大の好循環
① 低所得世帯等への家計支援
「経済の好循環」の実現に向けた「緊急経済対策」を講じます。特に、GDPの6割を占める個人消費の回復がカギを握っていることから、簡素な給付措置の対象拡大などにより中低所得世帯への支援を行うとともに、個人消費を喚起するため、住宅ローン金利の引き下げや住宅エコポイントの復活による住宅取得支援、自動車に係るグリーン税制等の見直しによる環境性能の優れた自動車への買い替えを促進します。

7 魅力ある地域づくり
⑥空き家対策の着実な推進
2014年11月19日に成立した「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、使用できる空き家は地域の活性化のために利活用するとともに、周囲に迷惑をかけているような空き家は除却を促すなど、空き家対策を着実に進めます。

2 充実の医療・介護体制の確立
① 地域包括ケアシステムの構築
誰もが住み慣れた地域で老後を安心して暮らせるために、医療、介護、住まい、生活支援サービス等を高齢者が地域の中で一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を加速します。(中略)さらに、低所得者の高齢者のための住まい確保とともに、24時間365日いつでも利用可能な在宅支援サービスを強化します。(後略)

【民主党】
政権公約 マニフェスト
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto20141202.pdf

住宅・交通・物流
●「まちづくり基本法」の制定、中古住宅のリフォームの推進や流通の活性化などを進めます。

生活困窮者などの自立支援
●経済的に困窮している人や社会的に孤立している人に対し、求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体のさまざまな相談機能の縦割りの解消、NPO等との連携により、社会復帰、早期就労や住居確保など自立支援を充実させます。

【維新の党】
マニフェスト
https://ishinnotoh.jp/election/shugiin/201412/pdf/manifest.pdf

●エコ住宅減税を拡充。住宅の環境性能とエネルギー効率を高め、住宅購入の負担を軽減する。

【次世代の党】
政策宣言マニフェスト
http://www.jisedai.jp/download/pdf/jisedai_manifest.pdf

4.世代間格差を是正する社会保障制度の抜本改革、徹底的な少子化対策
⑦近居や二世帯・三世帯の住宅の建設に対する支援制度

【共産党】
2014年 総選挙各分野政策

http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/11/-201411-25-1990.html

19、住宅・マンション

居住の権利を明確にし、その保障を基本とする住宅政策に転換します

良好な居住環境の住まいを確保し、安心して住み続けたい、これは多くの人々の共通の願いです。そしてこの願いは、個人の努力まかせではなく、権利として保障することが国際的な流れとなっています。

日本国憲法ではその第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。」と宣言し、社会福祉、社会保障増進の努力義務を国に課しています。また「個人の尊重、生命、自由、幸福追求の権利」を規定しています。

1990代後半に仕事と住まいを同時に失い路頭に迷う、家賃滞納を理由に暴力的に退去を強要する「追い出し屋」の横行、住宅ローン滞納で多額の債務を抱えたまま住み慣れた持家を失う事態が顕在化しました。また家族構成の変化、高齢化の進展などによる地域コミュニティの喪失、「孤立死」の多発が社会問題になっています。

また2013年には、2~3畳に間仕切りした「部屋」で、プライバシーが確保できず、避難経路や防火設備が不十分、窓がない、空調の不備など劣悪な住居である「脱法ハウス」がクローズアップされました。国交省が規制措置をおこなったものの、いまだに悪質な業者による脱法行為がはびこっています。その背景には月10万円前後の収入での生活を強いられているワーキングプアの増加があります。

また東日本大震災では、多くの人々が津波、地震で住まいが損壊し、いまなお9万7千人余が劣悪な仮設住宅等に居住を余儀なくされています。生活再建支援法による支援金の額が過小であるため、恒久住宅建設が困難になっています。

これらは、住まいについて人間らしく生きる権利が著しく損なわれていることを示しています。いまや住まいを権利として位置づけることを本格的に検討すべき時期に来ています。

歴代政権の住宅政策

我が国の住宅政策は、公営・公団(現在のUR住宅)・公社住宅など公的住宅供給と持ち家支援策である住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)による金融支援による持ち家供給という2本柱で進められてきました。しかしその中でも明確に持ち家支援策が優先的に行われてきました。

その結果、持ち家戸数は全住宅の61%を占め、次いで多いのは民間賃貸住宅で27%、公的な住宅はわずか6%にすぎません。(2008年「住宅・土地統計調査結果」)

住宅供給をもっぱら民間市場に任せ、公的支援を縮小していく施策が一貫しておこなわれてきました。2006年6月の住宅宅地審議会答申では、新たに「市場重視」という概念が登場し、「国民生活の基盤である『居住』についても、競争を通じた適正な価格の下で多様な選択が可能になるようにしていくことが必要」とし、「公の役割は、『市場の環境整備』『市場の誘導』『市場の補完』に限定」するとされました。

このような流れを受けて、2006年6月に「住生活基本法」が、07年に「住宅セーフティネット法」が制定され、低額所得者、被災者、高齢者など住宅の確保に特に配慮を要する者の「居住の安定の確保」を謳ったものの 、「居住の権利」は明記されず、結果として公的保障を限られた貧困層に絞り込む内容となっています。また、公的住宅も含め、住宅の計画的な建設を明記した「住宅建設計画法」も廃止されました。

前・民主党政権もこの路線を継承しつつ、住宅部門における「構造改革」を一層鮮明にし、UR(都市機構)住宅の削減・民営化を推し進め、“地方主権”に名のもとに、公営住宅の削減と入居階層の貧困層の限定化をすすめていきました。また、住宅金融公庫も、住宅ローンを証券化(住宅ローンを証券化して資本市場で売買)する機関へと姿を変えられました。その結果、銀行の住宅ローン供給が急増し、大規模な市場が確保されています。住宅金融市場を、銀行などの金融機関に明け渡したものです。さらに、建物の安全検査の民間まかせと安上がり競争を奨励した建築行政によって、耐震強度偽装事件や欠陥エレベーターの死亡事故が起きるなど、住宅の安心・安全も脅かされています。低層住宅地域に高層、超高層マンションが入り込み、風害や日照被害など住環境や景観の破壊も深刻です。

日本共産党は、この住宅政策を転換し、国民の居住の権利を明確にし、その保障を基本とするよう「住生活基本法」(「住宅基本法」)を抜本的に改正します。その内容としては、(1) 国民の住まいに対する権利の規定と国自治体の責務の明確化、(2) 公共住宅の質量ともの改善の明確化、(3) 耐震性や居住スペースなど、めざすべき居住・住環境の水準の法定化、(4) 適切な居住費負担の設定と家賃補助制度の創設、(5) 国民の居住権を守るための住宅関連業者・金融機関などの責務を明確化し、市場任せでなく国・自治体が積極的に介入するなどです。そして、以下のようなとりくみを地域からすすめ、国民の居住生活の改善・向上をめざします。

住まい喪失者緊急対策……政府は失業に伴う住まい喪失者対策として「住宅手当緊急特別支援事業」を創設し、住宅支援給付を行っていますが、対象者に対してその利用状況はわずかにとどまっています。要件と手続きの緩和、手当支給期間の延長、さらに失業していないものの、収入が低いなどのため、劣悪な居住環境におかれているものに対しても支給するなどの改善を図ります。

雇用促進住宅の全廃方針を撤回し、居住権を保障します……定期契約者も含めて入居者の声を十分に聞き、納得のいく話し合いをおこない、一方的な住宅廃止や入居者退去の強行をやめさせます。低賃金や不安定雇用などで住居を確保できない人たちの住宅対策の一環として、雇用促進住宅の新たな活用をすすめます。

公営住宅の改善……公営住宅は、法制度の改悪で、ごく限られた低所得者しか入居できないため、居住者の高齢化などにより自治会活動など、住民の共同活動も困難を抱えています。しかも、東京都をはじめ大都市は、新規建設をおこなわないため応募倍率が89.3倍(東京都営住宅世帯向け一般募集住宅の抽選倍率 2013年11月)になるなど、現在の計画では、住宅に困っている人の需要を充足することはできません。

公営住宅の新規建設をすすめるとともに、UR住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど、多様な供給方式の活用で公営住宅を大幅に増やします。公営住宅については、現行の月収15万8千円の入居収入基準の引き上げで、若い子育て世代も入居できるようにします。子供への居住継承は復活します。また「孤立死」を防ぐため単身高齢者見守りなどをおこなう自治会に対する支援制度を強化・充実します。家賃も収入にあったものにし、収入が増えると不当に高い家賃を課して居住者を「追い出す」ことをやめさせます。期限付き入居制度である定期借家(期限がくれば理由のいかんを問わず契約更新をおこなわない)、入居時の資産調査などをやめさせます。

公団住宅(UR住宅)の改善……大都市部の住宅不足を補うため中堅所得者を対象として誕生した公団住宅(UR住宅)・公社住宅は、今では新規建設から全面撤退しました。そのうえ10年間で8万戸削減する「削減・民間売却」方針を実施し、耐震強度不足を理由にした取り壊しを進めようとしています。また「家賃改定ルール」により、3年ごとに家賃が値上げされるなど、家賃負担が重くなっています。建て替え後の家賃が2~3倍にもなり、住み慣れた団地を去らなければならない居住者が増えています。また、「団地再生」の名による敷地の民間売却がすすみ、隣地への高層マンション建設など、地域社会が大きく変わる事態も進行しています。

UR住宅の居住者の高齢化と世帯収入の低下がすすんでいます。全国公団住宅自治会協議会がことし9月行ったアンケート結果によると60歳以上の世帯主は73.8%、7割が世帯収入367万円未満となっています。それだけに、現在の家賃負担が重いと答えた世帯が72.6%に上っています。

UR賃貸住宅の「民営化」を許さず、公共住宅として守り、充実させます。「削減・民間売却」方針は、白紙撤回させます。また、住み続けられる家賃にするため、家賃は近傍同種家賃制度を改め、負担能力を考慮したものにします。高齢者や低所得者、子育て世帯への家賃減額制度をつくるなど家賃制度を改善します。老朽化した団地についても、一律建て替えでなく、改修やリフォームなど多様な住宅改善をすすめ、だれもが戻って住み続けられるようにします。劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳・ふすまの入れ替えを、UR負担で行わせます。阪神淡路大震災でも東日本大震災でもUR住宅で倒壊するなど甚大な被害は出ていません。UR住宅の空き家が被災地から避難した世帯の「みなし仮設住宅」になりました。こうしたことからもUR住宅を存続、改善していくことは重要です。

民間賃貸住宅の改善……民間賃貸住宅市場は全体の住宅の約27%を占めていますがその改善が求められています。居住環境が良好で広い住宅は高家賃であり、また低家賃の住宅は狭いうえ設備も劣悪であるなど多くの問題を抱えています。

政府は良好な民間賃貸住宅を供給する家主やデベロッパーにたいし、建設費の補助をおこなうなどの施策をおこなっていますが、住宅スペースも小規模で高家賃になるなど効果も上がっていません。ヨーロッパ諸国での施策を参考にしながら、民間賃貸住宅に居住する低所得者への家賃補助制度を創設します。この家賃補助制度によって、年収200万円以下の約340万世帯への居住費負担を軽減します。

民間賃貸住宅に暮らす高齢者や子育て世帯、「生活困窮フリーター」と呼ばれる、低賃金のために家賃が払えない若者などにたいする自治体の家賃補助、敷金・礼金など住宅確保のための初期費用貸付や相談業務など、「チャレンジネット」のとりくみを広げると共に、公的な居住保証制度を確立して、追出被害の撲滅を図ります。

定期借家制度の導入に反対します……借家人の追い出しを容易にする借地借家法の改悪や定期借家制度の導入・拡大が推進されています。こうした居住の安定確保を脅かす改悪にきっぱり反対します。

住宅の改善、住環境の保護……住宅の耐震化や老朽化対策、バリアフリー化など、安全で快適な住宅をめざすリフォームを自治体として支援します。耐震偽装事件に象徴される欠陥住宅問題の被害をなくすために、建築確認・検査制度を民間まかせにせず国や自治体の責任を明確にし、行き過ぎた厳格運用などを改善するとともに、消費者保護、被害者救済などの制度改善をすすめます。「瑕疵担保責任保険」については、中小建設事業者の保険料負担を軽減します。居住者に重い負担となっている、固定資産税の軽減をはかります。

42年ぶりに土地区画整理事業の計画決定段階での提訴を認める判例変更が行われました。都市再開発や土地区画整理事業などまちづくりへの住民参加をすすめ、「住民が主人公」のまちづくりを支援し、住環境や景観、コミュニティを守り、改善します。それを目的・基本理念として、住民主体の計画づくりや許認可制度を軸にした「都市計画法」の改正や「建築基本法」の制定をめざします。

空き家対策

総務省の調査では、2013年10月時点での空き家は全国で820万戸。総住宅戸数の13.5%を占めています。空き家の増加によって、防災、衛生、景観など地域住民の生活環境に影響を及ぼしています。11月19日の臨時国会で「空き家対策特別措置法」が成立しました。空き家取り壊しによる固定資産税の軽減措置を行うなど老朽危険空き家をなくすための施策をすすめます。またシェアハウスへの活用など空き家活用を行う地方自治体への支援をすすめます。

分譲マンションの維持・管理への支援……分譲マンションは国民の1割、1400万人の人々が暮らす場であり、都市における新しいコミュニティの場でもあります。マンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全、快適で、長持ちするマンションをめざすとりくみを支援することが求められています。

国や自治体の責任で耐震診断・改修への助成を強めるとともに、共用部分のバリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去などを支援します。自治体の実態調査や相談窓口の整備などをすすめ、マンション管理の主体である管理組合のとりくみへの行政の支援を充実します。大規模修繕など、マンションを長持ちさせるとりくみを支援します。電気、ガス、水道など、ほんらい公共がおこなう基本的サービスの居住者負担を軽減するために、行政や、電力・ガス会社などに応分の負担を求めます。すでにいくつもの自治体が実施していますが、集会室、ゴミ置き場、遊び場などは、その公共性にふさわしく固定資産税を減免します。集合住宅の共用部分の固定資産税を減免させます。マンション購入時の消費者保護をすすめます。

マンションの老朽化と、居住者の高齢化が問題になっていますが、管理組合の理事会をなくし、マンション管理を管理会社まかせにする「新マンション管理方式」をファミリータイプのマンションにまで広げることに反対します。住民の立場で活動するマンション管理士の育成・活用や、管理組合団体などの自主的な助け合いのとりくみへの支援、行政の相談体制の整備など支援体制を充実します。

http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/11/post-664.html

24、高齢者

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

高齢者向け住宅の増設……高 齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。特養ホーム待機者は50万人を超えており、ケアハウス、グループホームなどの入居希望者 も増えています。政府は、「高齢者住まい法」を改定し、「サービス付き高齢者向け住宅」の建設を推進していますが、その利用者は、家賃・食費・サービス 費・介護保険の自己負担分をあわせて月15~20万円程度を負担できる人に限られます。低所得・低年金の人も含め、高齢者に住まいを確保する取り組みが必 要です。

低所得で体調に不安があり、様々な理由から同居家族がいない高齢者を低廉な費用で住まわせる「軽費老人ホーム」の増設、低所得者や 高齢者が住み慣れた町で暮らせるよう、国と自治体の責任で住宅整備や家賃補助を行う「地域優良賃貸住宅」の活用など、住宅福祉を抜本的に拡充します。

介護保険の住宅改修の改善をはかるとともに、自治体による住宅改造助成制度の新設・拡充をすすめます。サービス付き高齢者住宅については、自己負担への補 助制度や入居者のくらしと権利をまもる仕組みづくりをすすめます。

公営住宅やUR(都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。民間賃貸住宅に暮らす高齢者にたいする自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

【生活の党】
政策パンフレット
http://www.seikatsu1.jp/wp-content/uploads/91c15980a0296c61d938cca8955c83d0.pdf

① 家計収入の増大こそ最優先課題
住宅ローン減税とともに、住宅取得にかかる税制上の優遇措置、給付措置などにより負担を軽減します。

【社民党】
衆議院選挙公約2014
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2014/commitment.htm

(4)地域の安心・安全の確保
○すべての人に安定した住まいを保障するよう、「住宅基本法」を制定します。公営住宅の供給拡大や空き家等の活用、家賃補助等による「住宅支援制度」を創設します。

【新党改革】
『2014約束』
http://shintokaikaku.jp/web/manifesto.html

記載なし

【関連記事】稲葉剛「進行する住まいの不安定化~イラストで見る住宅問題」(上)

【関連記事】稲葉剛「進行する住まいの不安定化~イラストで見る住宅問題」(下)

 

年末年始の生活困窮者支援にご協力ください!

日々のできごと

今年も残り一ヶ月を切りました。

年末年始は行政機関が閉庁するため、生活に困っている人が公的な支援策を利用することが困難になります。

※注:閉庁期間中でも各自治体の夜間・休日窓口で生活保護の申請書を提出することは可能ですが、各自治体が独自の対策を行わない限り、宿泊の支援や一時的な生活費の貸付を受けることはできません。

そのため、生活に困っている人には早めに役所に相談に行かれることをお勧めしています。

12月24日(水)、25日(木)には法律家のグループが中心になって、恒例の「年末拡大相談会」が東京・四谷で開催されます。

必要な方に情報が届くよう、ぜひご協力ください。

********************

恒例!「年末『拡大』相談会~2014~」
~あったかい部屋で安心して年を越そう!~

1412年末拡大相談会

年末の2日間、法律・生活・労働・住まい・震災分野の
ワンストップ総合相談会を開催いたします。
どなたでもお気軽にお越しください。

日時:平成26年12月24日(水)・25日(木)
両日とも、10:00~20:00(受付終了19:00)

場所:日本司法書士会館地下1階ホール(新宿区本塩町9-3)
地図は、こちら。

内容:法律・労働・生活等総合相談

主催:つながる総合相談ネットワーク東京(代表:宇都宮健児)
*独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業

チラシのPDFは、こちら。プリントアウトをして、必要な方にお渡しください。

********************

また、年末年始に公的支援から取り残された人々を支援するため、今年も東京都内の野宿者支援団体の関係者が集まり、「ふとんで年越しプロジェクト2014」を結成しました。

昨年同様、クラウドファンディングで集めた資金をもとに、各団体と連携しながら、年末年始の緊急支援(シェルターや食料提供など)をおこなっていきます。

ぜひクラウドファンディングにご協力をお願いいたします。

【モーションギャラリー】ふとんで年越しプロジェクト2014 ~誰もが暖かく年を越せるように~

 

つくろい東京ファンドも、シェルター提供などを通して、「ふとんで年越しプロジェクト2014」に協力しています。

貧困対策を最優先課題にしてください!

提言・オピニオン

12月2日、衆議院議員選挙が公示されました。
これにあわせて、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいでは、「緊急声明:貧困対策を最優先課題にしてください」をリリースしました。
衆院選での各政党・候補者に貧困対策への関心とコミットを訴えていきたいと思います。ぜひご注目ください。

以下が声明文です。

【緊急声明】貧困対策を最優先課題にしてください
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長 大西連

~衆院選をむかえるすべての政党及び候補者のみなさまへ~

私たちは、日本国内の貧困問題に取り組む団体として、生活に困窮された方が生活保護などの社会保障制度を利用するにあたっての相談・支援や、安定した「住まい」がない状態にある方がアパートを借りる際の連帯保証人の提供、サロンなどの「居場所作り」といった活動をおこなっています。

2001年の団体設立からこれまでに、のべ約2,300世帯のホームレス状態の方の連帯保証人を引き受け、また、生活にお困りの方から寄せられる面談・電話・メール等での相談は、年間3,000件近くにのぼります。

私たちは相談の現場において日夜、貧困の現状に直面し、まさに今、社会全体の底が抜けて、少しずつですが確実に、一人ひとりの「いのち」を守る前提や土台が崩れつつあるのを感じています。

実際に、厚労省国民生活基礎調査によれば、日本の相対的貧困率は16.1%、子どもの貧困率が16.3%(いずれも2012年)と、近年、増加傾向にあります。

また、2013年8月より段階的に生活扶助基準の引き下げが始まり、生活保護世帯の家計の平均6%がカットされました。しかも、子どものいる世帯ほど結果的に多く削減される計算方法がとられており、同年に成立した「子どもの貧困対策基本法」の理念と矛盾した施策となっています。

そして、2014年4月よりは、消費税が8%となり、低所得者、生活保護世帯の暮らしを圧迫しています。また、物価の上昇や円安の影響により、食料品や灯油代等の値上げも、喫緊の課題として家計を直撃しています。

政府は、2012年に成立した社会保障制度改革推進法に基づき、税と社会保障の一体改革を進め、消費増税をしてもその分、社会保障に充てていく、ということを内外に表明してきました。しかし、実際に、低所得者、生活保護世帯等には、どの程度の手当てがなされたのでしょうか。
彼ら・彼女らの生活の実態を見ていると、きちんと再分配がなされているとは言えない状況です。

私たちは、持続可能な社会保障制度を求めています。そして、そういった議論が国会でおこなわれることを強く望んでいます。しかし同時に、私たちは今この瞬間、食べるものもなく、寒さに震え、孤立し、誰にもSOSを発することができずに苦しんでいる方がいらっしゃることを知っています。

彼ら・彼女らをどう支えたらいいのか。どのような施策が必要なのか。私たちは「貧困問題」に取り組む団体として、そして、「貧困」に晒されている一人ひとりの方の声を受けとめている立場として、より具体的な貧困対策についてのビジョンやアウトラインを策定していく必要性を強く感じています。
貧困対策は今やこの国の持続可能性を考える上での最優先課題の一つでもあるのです。

12月14日に衆院選をむかえるすべての政党及び候補者のみなさまへ。

貧困を社会的に解決したい。私たちの想いは、ただその一点のみです。そして、その困難な道を拓くためには、政治の力がどうしても不可欠です。私たちは、真摯に貧困の現状と実態を見つめ、困難な状態に陥っているすべての人の声を受けとめて社会に還元し、必要な制度や施策の実現につなげていく政治家を求めています。

私たち、<もやい>としては、以下の施策の提案をおこないます。

【最低限度の生活を守るために~短期的に必要な手当て~】

◆低所得者向けの簡素な金銭給付
 今回の消費増税や物価上昇への手当てとして単発でなく継続して給付措置
◆生活扶助基準引き下げの中止と引き上げの検討
 生活保護世帯への手当てとして削減の中止と物価上昇をうけての基準引き上げ
◆消費増税延期にともなう代替財源の確保
 医療・年金・介護・子育て等の各施策の社会保障税源の確保
◆安心・安全に働ける場の確保
 最低賃金の底上げや社会保険の拡充、労働基準法の順守徹底や労働環境・待遇の改善
◆低所得者向けの住宅政策の拡充
 求職者向けでなく低所得者向けの住宅手当等の住宅政策の創設・拡充

【社会保障のビジョンの転換~貧困対策に必要な中長期的な視点~】

◆個人単位の社会保障へ
 特定の家族のあり方や世帯の状況へのサポートから個人単位での社会保障へ
◆必要な人に必要な給付を
 子ども・障がいや疾病・高齢など状況に応じた現金給付型の社会保障の創設・拡充
◆社会保障の財源についてのより広範な議論を
 消費税以外の税源による社会保障財源の確保についての具体的な議論
◆「貧困」を知るために
 貧困の実態の調査や貧困の背景にあるリスク要因の調査

以上

*関連記事:生活弱者の切り捨てに懸念(2013年10月2日)

 

【2014年11月30日】 中日新聞:「家族のこと話そう」 稲葉剛

メディア掲載

11月30日付け中日新聞・東京新聞の「家族のこと話そう」欄に、稲葉剛のインタビュー記事が掲載されました。

************************************

家族のこと話そう:稲葉剛 被爆体験語った母

 

ものごころがついたころに父は家におらず、母と姉、兄、祖父母と暮らしていました。両親は離婚して、父は「たまに会うおじさん」という感じ。小学校の途中で祖父母は引っ越していきました。母がスナックのママをして一家を支えてくれました。

私が強い影響を受けたのは母です。母は10歳のとき広島原爆を体験。疎開先の小学校の校庭できのこ雲をみたそうです。母のおばと幼なじみの友だちが亡くなり、母も数日後に広島市内に行って、「入市被爆」しました。知り合いの人の顔がやけただれ、誰かわからなかったそうです。

そんな話を、何かのおりにぽつりぽつりと口にする。「戦争は嫌だ」と話していました。原爆についてよく話し合う家族で、毎年の8月6日の午前8時15分にはテレビをつけて黙とうしていました。8歳上の姉は高校生の時、NHKの番組で平和への願いをしゃべったことがあり、外国人に広島の慰霊碑を案内するボランティアをしていました。

私は小学校の時、アニメの「宇宙戦艦ヤマト」が好きでした。ある日、日本軍の戦艦図鑑を見ていたら、姉から「人を殺す道具だよ」と言われたんです。母は勉強についてうるさいことは言いませんでした。私は中学・高校時代は私立高校で寮生活。家族とは夏休みなどに帰省したときに話すぐらいになりました。

大学入学後、平和運動に加わったのは、広島出身の被爆二世としての問題意識があったから。1991年の湾岸戦争では、学生を集めてデモをしました。新宿駅西口で段ボールハウスの野宿者たちが東京都に強制排除されたニュースを見て、野宿者の支援活動を始めた。強制排除反対の活動で警察に逮捕されそうになったこともあり、母や姉には心配をかけました。

平和運動と貧困者支援は、「人の命が理不尽に奪われている」という点で共通しています。野宿の人が凍死や餓死したりする。戦争と同じようなところがあると…。当時の自治体窓口は、生活保護の申請を受け付けない「水際作戦」を今より強力に行っていました。それで仕方なく路上生活をする人がいます。

私は大学に6年いて、東京大大学院に進んだのですが、活動が忙しくやめてしまいました。姉に強く反対されましたね。折に触れて「もやい」の会報を送り、自分たちの活動を取り上げた新聞記事のコピーも送っています。今も広島在住の母がカンパしてくれることもあり、理解してくれているようでうれしいです。(聞き手 白井康彦)

 

< 1 2 3 >