求む!蚊取線香&虫除けスプレー(9/19追記あり)

日々のできごと

代々木公園に始まったデング熱問題は東京都内各地に広がりつつあります。
各行政機関の担当者は代々木公園や新宿中央公園などをまわり、野宿の人たちへの声かけや一時的な入所施設への誘導をおこなっているようです。

公園の封鎖が野宿者排除につながる危険性もあるため、現在、各野宿者支援団体の関係者と連絡を取り合い、情報収集をしていますが、今のところ、強制排除の情報は入ってきていません。

各支援団体は野宿の人たちへの声かけを継続しておこなっており、防虫グッズなどを配布しながらデング熱への注意を呼びかけています。

代々木公園を含む渋谷区を中心に支援活動を展開している「のじれん」(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)では、蚊取線香や虫除けスプレーなど物資カンパの募集をおこなっています。
たくさん集まった場合は、新宿など各地で活動する団体にも分けてもらう予定です。

以下に「のじれん」のウェブサイトからの情報を転載します。

 

【緊急カンパのお願い】
デング熱の件、報道等でご存知の方も多いと思います。閉鎖された代々木公園及び近辺には現在も多くの野宿者がいらっしゃり、のじれんでは訪問支援を継続して行っています。
デング熱対策として、蚊取線香や虫除けスプレーといった物資の支援、もしくはカンパをどうぞよろしくお願いします!
(送り先は下記事務所まで、振込先はみずほ銀行もしくは郵便振替口座)

カンパ送り先:
みずほ銀行 渋谷支店
(普)9095210 のじれん

​郵便振替口座:
00160-1-33429 「渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合」
※ゆうふり口座の名義は、旧団体名になっております。ご注意ください。

のじれん事務所
〒150-0011 東京都渋谷区東1-27-8-202

首都圏では虫除けスプレーなどが非常に手に入りづらくなっているので、ぜひご協力をお願いします。(2014年9月8日記)

寄付で送っていただいた防虫グッズ。ありがとうございます!

寄付で送っていただいた防虫グッズ。ありがとうございます!

********************
【9月19日追記】

東京都は本日、上野公園で蚊に刺されたと思われる人がデング熱に発症したという発表を行いました。

朝日新聞デジタル:デング熱、上野公園で感染の可能性 都が患者確認

上野、隅田川、山谷地域で野宿の当事者とともに支援活動を展開している山谷労働者福祉会館でも、蚊取り線香、虫除けスプレーを募集することにしたという連絡がありました。

ぜひご協力ください。

●物資送り先(蚊取り線香・虫除けスプレーなど)
〒111-0021 東京都台東区日本堤1-25-11
山谷労働者福祉会館活動委員会
TEL&FAX 03-3876-7073

●現金カンパ振込先
銀行名 ゆうちょ銀行
金融機関コード 9900
店番 019
預金種目 当座 店名 〇一九 店(ゼロイチキユウ店)
口座番号 0550132
名義 サンヤロウドウシャフクシカイカンウンエイイインカイ

 

10月12日(日) 反貧困全国集会2014 ~生きぬくために つながろう!~

講演・イベント告知

http://antipoverty-network.org/archives/2309

反貧困全国集会2014 ~生きぬくために つながろう!~

貧困とはつながりを簡単に断ち切る。人と人を孤立させる。
ほんとうは憎みあわなくていいはずの人たちを憎みあわせる。
生きることが苦痛になる大切なものを失わせる。
だからもう一度わたしたちは呼びかける。貧困問題は解決していない。
生きぬくために…つながろう!

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日時: 2014年10月12日(日) 11:00~19:30
場所: 東京都生協連会館(東京都中野区中央5-41-18)
アクセス: JR中央線・地下鉄東西線「中野駅」徒歩7分、地下鉄丸の内線「新中野駅」徒歩8分
参加費:無料(どなたでも参加できます。当日カンパ大歓迎!)
主催:反貧困全国集会2014実行委員会

※チラシPDFはこちら

◇手話通訳あります
◇キッズコーナーあります。ご利用の方は受付までお申し付けください。
◇手作りパンとジャム、コーヒー等の販売を予定してます
◇昼食休憩は30分です。1階のコープのお店で弁当・おにぎり等購入できます。

<プログラム>
★午前の部★(2部構成となります。お好きなプログラムにご参加ください。)
11:00~12:30
①全国反貧困ネットワーク活動交流会
反貧困をテーマに活動している方々から報告をいただき交流します
②映画上映『続・メトロレディーブルース』(40分)、『ウォール街占拠2011』(14分)

※上映後、関係者による解説あり

★午後の部★
13:00~15:00 シンポジウム
ブラックアルバイト、非正規雇用、JK産業や子どもの貧困、生活保護、住宅問題に取り組む方々からのメッセージと課題の共有化を行います。

司 会:雨宮処凛(作家・活動家)
パネラー:岩井佑樹(首都圏青年ユニオン)、後呂良子(東京東部労組メトロコマース支部)、仁藤夢乃(女子高生サポートセンターColabo)、稲葉剛(自立生活サポートセンター・もやい)

15:00~17:00 ワールド・カフェ
『生きぬくためにつながろう!』をテーマにこれからの運動の目標や方法論を参加者全員で考えます。
※「ワールド・カフェ」とは、カフェのようにリラックスした雰囲気をつくり、「問い」をもとにした自由な「語り合い」を行うことで、お互いの気づきや学びを高め合う場です。

17:30 STAND UP アクション

18:00~19:30 懇親交流会(ここからの参加も歓迎です。)

<上映映画>
『続・メトロレディーブルース』
~東京メトロ売店・ 非正規女性のたたかい~
2013年3月のストライキから1年。非正規差別が依然として続くメトロの売店。親の介護、家族の問題、迫る定年、組合員一人一人の心はゆれる。シンポジウムのパネラーとして後呂良子さん出演。
『ウォール街占拠2011』
「ウォール街占拠」を担った人々へのインタビュー。「もううんざりだ!決定に参加させろ!」に胸打たれる。

<賛同金のお願い>
個人一口1000円団体一口3000円。何口でも可。賛同頂いた方のお名前を公表させて頂きます(匿名ニックネーム可)
郵便振替:00170-5-594755
加入者名:反貧困ネットワーク
※通信欄に内訳(賛同金・カンパなど)名前の公表の可・不可ご記入ください

【問い合わせ】反貧困ネットワーク
〒113-0023 東京都文京区向丘1-7-8 コミュニティー・スペース「ほのぼの」内
TEL/FAX 03-3812-3724 E-mail:office@antipoverty-network.org
URL:http://antipoverty-network.org/

10月4日(土) 2014年住宅研究・交流集会「いま、公共住宅、民間住宅の現場で何が」

講演・イベント告知

2014年住宅研究・交流集会

 「いま、公共住宅、民間住宅の現場で何が」

と き:2014年10月4日(土) 午前11時~午後5時
ところ:新宿区・保育プラザ・2階研修室(新宿区納町26-3)
(都営大江戸線・牛込神楽坂駅徒歩8分、東京メトロ・市ヶ谷駅徒歩10分、JR市ヶ谷駅徒歩15分)
http://www.hoiku-zenhoren.org/about/info.html

資料代カンパ:500円(払える人のみ)

〔第1部〕(11時~12時30分)

(てい談)「住宅問題の現在状況を語る」

1.住宅扶助引き下げ問題をめぐって―稲葉剛(住まいの貧困ネット)
2.脱法ハウス居住者のその後の状況―小田川華子(横浜国大講師)
3.2013年住宅土地統計調査に見る現断面―坂庭国晴(住まい連)

〔第2部〕報告と討論(午後1時30分~午後5時)

「いま、公共住宅、民間住宅の現場で何が起こっているのか」
司会 萩原 幸(NPO住まいの改善センター)

(前半)
①「最近の相談事例とアンケートに見る民間住宅の現状」全国借地借家人組合連合会
②「公営住宅での高齢者居住の実状と孤立死の問題」全国公営住宅協議会
③「公社住宅の空家問題と建替えの現状」東京都公社住宅自治会協議会

(後半)
④「UR(公団)住宅の最近動向と特徴について」都市機構労働組合
⑤「都営住宅の建替え、耐震化を現場から見る」東京都庁職員労働組合住宅支部
⑥「耐震不足マンションの状況と新たな動き」NPO建築ネットワークセンター
⑦「東日本大震災の住宅復興の実態について」新建築家技術者集団
(午後4時30分~午後5時)参加者からの発言、アピールなど

〔開催団体〕
国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、住まいの貧困に取り組むネットワーク、日本住宅会議

〔連絡先〕
NPO住まいの改善センター TEL:03-3837-7611

「同世代から同世代に伝えたら一番伝わりやすいから伝えよう」 対談:川口加奈さん(NPO法人Homedoor代表理事)

対談・インタビュー

稲葉:本日はあわやハウスにお越しいただき、ありがとうございます。

川口:ありがとうございます。

稲葉:恒例の対談シリーズですけども、今日は大阪のNPO法人Homedoorの代表理事の川口加奈さんに来ていただいています。よろしくお願いします。

川口:よろしくお願いします。

稲葉:まず、「Homedoor」の活動から教えていただきたいのですけど、ま、ホームレス状態をそもそもなくしていこうというようなコンセプトで活動していらっしゃると聞いていますが、具体的にどういう活動を?

川口: ま、そうですね。と言うより、ホームレス状態になってしまったとしても、そこから脱出できる道、出口があったり、そもそもホームレスになりたくないと望んだらならずに済む社会を作っていきたいなぁっていう思いで2010年から活動を始めたのですけども、いまそのホームレス状態からの出口づくりと啓発という部分をやっていて、出口作りだと大きく5つに分けることができ、啓発だと4つやってます。

出口づくりの一つは「HUBchari」っていう、ホームレス・生活保護状態からの就労による出口のサポートとして、大阪市内に20個拠点があって、その拠点のどこでも自転車を借りても返してもいいというコミュニティサイクルをおっちゃん達が運営していくというもの。2つ目は、「HUBchari」だとちょっと接客もあるので、少し高度な仕事なので、その前段階の仕事で、「HUBgasa」っていう、傘のリサイクル販売をやっています。内職のように傘を修繕して、それを卸していくっていうことですね。
3つ目は、中間的就労研究所です。就労支援で携わったケース数が溜まってきたので、対外的に発信していこうというので、財団から助成を貰い、白書の刊行をやっています。4つ目は、就労の部分のみでなくて、生活の部分もサポートしていこうよっていうので、一、二週間に一度、講座を定期的に提供する「CHANGE」っていうのをやっています。5つ目は夜回り活動です。毎月1〜2回、梅田を3コースに分かれてまわっています。
で、啓発の方だと、2ヶ月にいっぺん、「釜Meets」という、釜ヶ崎の街歩きと炊き出しとワークショップをイベントとしてやっています。
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稲葉:街歩きっていうのは、野宿のおじさん達が案内しているんですか?

川口:そうですね。経験者と事務局のメンバーでやってます。あと、街歩きだけに特化して、中学、高校、大学、企業から依頼を受けて実施するという「釜歩き」と、あとは講演やワークショップ(元ホームレスの人々と一緒にまわって)をやっているのと、あとは稲葉さんも理事である一般社団法人【ここで事務所に飾ってあった風船が割れて一同ビックリする】の「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」の事務局をやらせていただいております。

稲葉:仕事を自分たちで作っていくという指向性が強いなと思ってるんですけど、ホームレスの支援といった時に、私も2つの方向性が大切だと思っていて、一つは行政に対してきちんと生存権の保障を求めていくという方向と、それでいて自分たちで仕事と住まいを作っていこうという両方の2本柱だなと思っていて、ここの「つくろい東京ファンド」では、「住まい」を自分たちで作っていこうと、住宅提供していこうと考えているんですけど、一方で仕事を作るってすごく大変じゃないですか。
そこに踏み出して行こうっていうふうに考えたきっかけって何かあるんですけ?

川口:そうですね、もともと私自身14歳の時にホームレス問題に関わることになったんですけど、それまではごく普通の中学生でバスケ部でって感じだったんですけど…。

稲葉:14歳っていうと、今から何年前ですか?

川口:9年前?今、23歳なので9年前なんですけど、そうですね、釜ヶ崎が大阪にはあるんですけど、中学の時にそこを電車で通っていたんですね。で、ある時その駅をわざわざ避けるために地下鉄に乗って通学している友達の存在を知って、なんでそこまでしてあそこを避けなければいけないのかと。まぁ、そこがホームレスの方が多い地域だって、全く知らなかったんですけど、で、親や周りの人に「なんであそこに行ったらいけないの?」って聞いたんです。すると、「あなたも行ったらあかんよ」と言われ、ちょうど反抗期を迎えていたので、「行ったらいけない」と言われると余計に行きたくなって行ってみたたのがきっかけです。何だか隠されているっていう感じがあったので、その隠されてることは何だろう?っていう興味本位でネットで調べて炊き出しに参加したんですね。

で、参加した時に、その施設の方に、「あなたのように、孫くらいの年齢の子どもから、おっちゃん達にとっては命の綱であるおにぎりを受け取る気持ちを考えて渡しなさい」って言われて、ハッとしました。「そんなことも考えずに自分本位な気持ちで来てしまった。申し訳ない。」っていう気持ちがあって、じゃあどうしたらおにぎりをそんなにダメージなくって言ったらアレですけど、渡せるかなって考えた時、そもそもホームレスってどんな人なんだろうっていうところに気づいて、私正直思っていたのは、彼らはもっと勉強したら、もっと頑張ったらホームレスにならなかったんじゃないかって。で、おっちゃんに聞いてみたんです。「おっちゃん、もっと勉強したらホームレスならなかったんちゃうん?」って。

稲葉:ストレートに?

川口:そう、ストレートに。そしたらおっちゃんに、「バカ言え!」って言われたんです。「ワシの家には勉強机無かったぞ!」みたいな。で、そう言われた時にまたハッとした自分がいて。私はあたりまえのように小学1年生の時に勉強机とランドセルを買ってもらって、勉強できる環境がある中で、自分が頑張るか頑張らないかという選択ができた。おっちゃんの話を聞くと、そういう環境になかったり、機会に恵まれない人が多いことがわかり、これって自業自得っていう言葉だけじゃ片付けられないんじゃないかなってとこだったり、そのあと日雇いの話とか聞いた時に、やっぱり自分の生活を支えてくれている日雇いの人たちがホームレスになりやすかったりするっていうのは、日本の構造自体、間違ってるんじゃないの?ってところで関心が高まっていったんですね。
そんなある日、新聞を読んでいたら、自分と同世代の中高生がホームレスを襲撃したという記事を見かけました。その供述も、「ホームレスは社会のゴミだ、俺達はいいことをしたんだ」とか。これを読んだ時に、なんてひどいことをするんだって、私が出会ったおっちゃん達の中で、殺していいおっちゃんなんて一人もいなかったのにって思いました。でももう一方で、正直に思ったのは、自分もその中高生達と同じような考えをそもそも持っていたなってことで、じゃあ、その中高生と自分の違いは何かっていうと、グレているかグレてないかとか、いろいろあるんですけど、でも、一つは知る機会があったかなかったかっていうところで。じゃあ、せっかく自分には知る機会があったわけだから、知ったからには知ったなりの責任というか、今度は伝える側に回る責任があるんじゃないかと思った時に、同世代から同世代に伝えたら一番伝わりやすいから伝えようと考えました。

稲葉:その時、まだ中学生ですよね。20140913183834

川口:中学生です。

稲葉:中2の間に、今、話されたようなことをずっと考えていたんですか、すごいですね。

川口:稲葉さんの本も高校生の時に読んでますから、今すごいっ!って。ジャニーズに会えたようなそんな感じで。ずっと勉強して、それを友達に伝えてってやってました。

稲葉:中学の時から友達を釜ヶ崎に連れて行ったり・・・

川口:そうです、そうです。ワークを開いたりとか。

稲葉:活動として始めてた?

川口:あんまり認識はなかったですけど、でもその、講演というか、最初は自分の学校の全校生徒の前で自分の思ってることを話させてもらったら、他の先生が聞きつけて、

稲葉:ぜ、全校生徒…。

川口:依頼が来るようになったりとか、実際に釜ヶ崎に行って欲しいと思って二泊三日でワークショップを企画したりとか、そんなことをやっていたんですけど、そろそろ高校も卒業するぞっていうときに、結局活動始める前と後で何も変わってないなっていうのを正直感じて。夜回りしてても、おっちゃんがせっかく心開いて、「路上脱出できんかな」ってポツンと呟いた時に、何も言えない自分がいて、役に立たない自分がいて。結局変わってなかったので、どうしたらいいのかなって思った時に、今まで自分がやっていた活動っていうのが、ホームレス状態を単に良くするような対処療法でしかない。そうでなくて、もっと根本的な解決を考えながら、やらないと意味がないんじゃないかなって思うようになって、じゃあ大学どこ行こうってなって、大阪市立大学はいっぱい先生いるからそこ行こうってなって、大学二年の時にようやくそういう思いに賛同してくれる友達に出会えて、ようやく団体を立ち上げたっていうのが19歳の時。で、今で4年目に、あ、5年目か!になりますね。

稲葉:じゃあ、活動歴って9年、10年くらいなんですね。すごいですね。

川口:いやいや。

稲葉:実際、どうですか?HUBchariという仕事を野宿のおじさんたちがやっていて、やっぱり変化っていうのはあるんでしょうか?

川口:そうですね。予想以上に変化してるっていったら何ですけど、変わられるので。私達が特に何かしているっていうんじゃなくって、仕事をしてもらうってだけで、すごく水を得た魚くらいに生き生きされる様子がありました。やっぱり最初、私達としては、専門的福祉の知識ってそんなにないし、おっちゃん達に関わってる年数だってそんなに多くないし、私にとってはお爺ちゃんくらいの年齢の人達を雇うわけなので、すごい抵抗あるんじゃないかっていろいろ心配してたんですけど、そんなのが気にならないくらいイキイキと働いて下さって、良かったなという思いと、あとはHUBchariをきっかけに次の仕事を見つけて、自立の道を、自分らしく生きる道を探していってくれるおっちゃん達が55%になっているので、確率的にも上がってきたなって言うところに良かったなって。

稲葉:具体的にはどういう仕事、作業というか・・・。

川口:そうですね。あのー、一番目に言っていたHUBchariだと、自転車の貸出しや返却の手続きの業務、自転車の清掃・修理、メンテナンスの業務がありますね。

稲葉:放置自転車を利用して?

川口:今は協賛でいただいたキレイな自転車を使っているんですけど、でも、お客さんに貸し出すもので利用者数も多いので、結構メンテナンスが必要となるので、毎日やってもらっていますね。
あとは、自転車対策のお仕事を行政からいただいてるので、それだと自転車をここに停めないでねーってアナウンスをしたり、ハンドルにつけるタグをつける仕事だったり清掃の仕事をやってもらったりしています。あと、やっぱりそういう仕事も難しいという方には、企業さんから内職作業を取ってきて、それを事務所でみんなでやったりとか、あとはそのおっちゃんが「こんな仕事就きたい」って言えば、そういう系の企業さんに交渉に行って、民間企業からお仕事をもらってくるっていうのをやっています。今だと水やりの仕事とか、昔だと調理の仕事とか、そういうのもありましたね。

稲葉:NPOもやいでも「こもれびコーヒー」と言って、元ホームレスの人たちが自家焙煎のコーヒーを焙煎し、販売するというささやかな仕事を作ってるんですけど、そこで働いている皆さんは収入的には大きなものではないんですけど、コーヒーを買って下さるお客さんとの交流が嬉しいっていう話があります。多分、HUBchariでも観光客の方とか街のHUBchariユーザーとの交流が楽しいのでしょうね。

川口:そうですね。それが大きいというおっちゃんもいますし、あとHUBchariだと、どうやったらお客さんが増えるかなってディスプレイを考えたりとか、チラシ配りをやってみようとか、おっちゃんが自発的にこういうのやってみようってあれこれやってみる中で自分の好きなポイントっていうのを見つけてもらいやすいところはあるかなぁっていうのはありますね。

稲葉:それと同時に啓発活動にも力を入れてらして…。
東京でも最近いくつかの支援団体で調査をして、野宿している人たちの約4割が襲撃をされた経験があるという非常にショッキングなデーターが出たんですけど、大阪でも一昨年ですか、梅田で襲撃されて亡くなった方が出たりという状況があったりしました。今も続いていますか?

川口:そうですね、襲撃の件数自体は、多分私がホームレス問題に関わり始めた当初に比べたら少なくなってきているなぁとは思うんですけど、ただそのニュースにならない部分、例えば、寝ていたら通りがかりの人が蹴っていった、空き缶を投げられた、オシッコをかけられたとか、そういうのは減らないなぁっていうのはすごく感じますね。

稲葉:実際、川口さんご自身もそういう襲撃を無くすためにいろんな学校に行って話をされたりとかされているんですか?

川口:そうですね。講演とかだと、80本くらいなんですけど、その中でHUBchariで働いてるおっちゃん達とも行って、そのおっちゃんが自分の襲撃された経験を語ってくれたりとか。

稲葉:中学校とかもあるんですか?

川口:そうですね。最近は特に教職員関係の研修が多くなっていますね。

稲葉:なるほど。最後に、今後の「Homedoor」としてのこれからの展開、もちろんそれは私達の課題でもあるんですけど、今後どうやってホームレスの人たちの状況、どうやって出口を作っていくかという課題についてどう考えてらっしゃいますか?

川口:出口の設計の部分では、住まいと仕事のリンクは非常に重要だなぁっていうのは今感じていて、特に最近路上からHUBchariだったり、自転車対策の仕事に来られる方いるんですけど、自分で稼いだお金の中でやりくりして部屋に住むんですけど、それだとどうしても「働く」ってことが金稼ぎにしかならないっていう部分で、やっぱり住まいっていうのがあってから働く中で働くのが生き甲斐っていうふうに感じてもらってやってもらう方が長続きして、次のステップっていうのを考えていただけるなぁと思います。なので、そういうリンクをさせていきたいというのは非常にありますね。なので、是非「つくろい大阪ファンド」を…(笑)
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稲葉:大阪では作れないですけど(苦笑)。今まだ「つくろい東京ファンド」でシェルターを作ったばかりなんですけど、ここでの経験を是非活かしていただければと。なんでもお伝えしますので、いろいろと連携していこうと思っていますんで、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

川口:ありがとうございました。

住宅政策という「パンドラの箱」を開けよう!

提言・オピニオン

昨年8月から始まった生活保護の生活扶助基準の段階的引き下げにより、生活保護利用者の暮らしはますます厳しくなっています。

厚生労働省はそれに追い討ちをかけるように、住宅扶助基準(賃貸住宅の家賃分に相当)の引き下げも狙っています。社会保障審議会の生活保護基準部会では、今年に入り住宅扶助に関する議論が急ピッチで進んでおり、今年11月に報告書をとりまとめる方針だと言われています。

これに対して、生活保護問題対策全国会議と住まいの貧困に取り組むネットワークが中心となり、7月9日に「生活保護の住宅扶助基準引き下げの動きに反対する共同声明」を発表し、記者会見をおこないました。

9月15日(月)には、この問題に関する緊急集会も開催されます。

9月15日(祝) “低きに合わせる”のが、この国の生存権保障なのか?~次に狙われる住宅扶助基準と冬季加算の削減

厚生労働省は今年の7月、「生活保護受給世帯の居住実態に関する調査」を実施しました。これは各地の福祉事務所ケースワーカーが生活保護世帯を家庭訪問した際に、住居の状況(家賃、面積、設備など)を調査するというもので、「近隣同種の住宅等の家賃額と比較して、明らかに高額な家賃が設定されている」という疑いがあるかどうかについても調べているようです。

この調査結果はまだ公表されていませんが、厚労省が「生活保護世帯は一般の低所得者世帯よりも高額な家賃の住居に居住している」という調査結果を導き出し、「だから、住宅扶助基準は下げるべき」という方向に議論を誘導しようとしているのは火を見るより明らかです。

しかし、ここで考えなければいけないのは、「なぜ生活保護世帯が割高の家賃のところに住まなければいけないのか」という問題です。生活保護の利用当事者にとって、住宅扶助費は受け取った額をそのまま大家に払うので、その金額が高くても本人には何のメリットもありません。

私はNPOもやいで多くの生活保護利用者のアパート入居の支援(連帯保証人や緊急連絡先の提供)を行なってきましたが、何人もの方から「不動産屋を何軒もまわっても、自分の年齢を言うと貸してくれない」という話を聞いてきました。

本来、住宅に困窮している人たちのためにある制度が公営住宅です。しかし近年、各地の自治体は財政難を口実に公的住宅の数を抑制・削減してきました。東京でも1999年以降、都営住宅が増えていません。

そうした中、ほとんどの生活保護利用者は民間のアパートを借りざるをえません。ところが、日本の民間賃貸住宅市場では、高齢者、障がい者、失業者、ひとり親家庭などに対する入居差別が蔓延しており、こうした人々が多い生活保護利用者はなかなか部屋を借りることができません。

そのため、住宅扶助基準の上限額を払って、ようやく貸してくれるところを確保するという状況が広がっているのです。地域によっては、上限額を払っても貸してくれるところがないため、「管理費」や「共益費」の名目で数千円を上乗せして、部屋を借りている人もたくさんいます。

厚生労働省が、生活保護利用者が暮らす部屋の家賃が「割高」であることを問題にしたいのなら、こうした実態こそ改善すべきなのです。

今回の住宅扶助基準をめぐる議論は、住宅政策を管轄する国土交通省とは全く無関係に進められようとしています。

国土交通省が今年7月に発表した「貸しルーム入居者の実態調査」はインターネットを使って、各地のシェアハウスに暮らす人びとの生活や就労の実態を調べたものですが、その中で興味深いのは、「狭小・窓無し物件」に暮らす人のデータをピックアップして公表していることです。

「狭小・窓無し物件」というのは、「部屋が7㎡未満」か、「窓のない」のいずれか、両方を満たす物件ということなので、事実上、「脱法ハウス」と言えます。

この「狭小・窓無し物件」に暮らす人の半数は15万円未満で、やはり低所得者が多いのがわかります。

狭小・窓無し収入

しかも、驚くべきは入居時に生活保護を受けていたという方が11%もいることです。生活保護を利用しているにもかかわらず、「脱法ハウス」に暮らしていると考えられます。

狭小・窓無し物件

厚生労働省は、国土交通省が発表したこの調査結果をどう考えるのでしょうか。

こうした実態に目を向けず、住宅扶助の金額だけを下げてしまえば、生活保護利用者はさらに劣悪な住まいへと追いやられてしまうでしょう。

生活保護の住宅扶助に関する議論を真面目にしたいのであれば、厚生労働省と国土交通省という省庁の縦割りによって議論が封印されてきた「日本の住宅政策のあり方」という「パンドラの箱」を開けるべきだと私は考えます。

貧困ジャーナリズム大賞2014発表!生活保護問題に挑む書き手たち

提言・オピニオン 書評・関連書籍

9月4日、反貧困ネットワーク(代表世話人・宇都宮健児弁護士)は、「貧困ジャーナリズム大賞2014」の受賞作品13点を発表しました。

「貧困ジャーナリズム大賞2014」受賞者一覧

7回目となる今年の大賞は、ダイヤモンド・オンラインの長期連載「生活保護のリアル」などインターネットを中心に生活保護問題を発信しているフリージャーナリストのみわよしこさんと、下野新聞で半年にわたる連載「希望って何ですか 貧困の中の子ども」を報じた「子どもの希望」取材班に贈られました。

また、『陽のあたる家~生活保護に支えられて』を描いた漫画家のさいきまこさんとNHK(Eテレ)の「ハートネットTV」取材班に貧困ジャーナリズム特別賞が贈られました。

『陽のあたる家』は、普通に暮らしていた一家が父親の病気をきっかけに生活に困窮し、生活保護を利用しようとしたらどう扱われるのかをテーマにした作品で、生活保護制度の基礎知識や生活保護バッシングの問題点などをわかりやすく描いています。

 

『陽のあたる家』から。

『陽のあたる家』から。

作者のさいきさんは、NPO法人もやいの生活相談活動にもボランティアとして参加され、その経験が作品の中でも生かされています(「水際作戦の撃退法」も!)。

まだの方はぜひご一読ください。

貧困ジャーナリズム賞(9点)でも、生活保護基準引き下げや法「改正」の問題点を鋭く突いた東京新聞の上坂修子さんの一連の報道やTBS「報道特集」の生活保護報道が選ばれました。

また、連載が始まってまもないので、今回はノミネートされませんでしたが、「週刊ビッグコミックスピリッツ」では、柏木ハルコさんの話題作『健康で文化的な最低限度の生活』が現在連載されており、9月3日には単行本の第1巻が刊行されました。

写真 (51)

こちらは、福祉事務所の新人ケースワーカーが直面する生活保護行政の実態が非常にリアルに描かれています。

柏木ハルコさんはこの連載を始めるにあたり、各地の福祉事務所や民間の相談機関に徹底した取材をされています。NPO法人もやいにも取材に来られ、私も何度もお話をしました。

「スピリッツ」で連載中のお話がどのように展開していくのか、とても楽しみです。

近年、生活保護制度や利用者への誤解や偏見に基づく報道が各マスメディアで垂れ流される中、少数ながらも、生活保護をめぐる「本当の問題は何か」という点に着目して、発信するジャーナリストや著述家、漫画家の方がいらっしゃるということは、私にとっても大きな希望になっています。

*関連記事:相対的貧困率が16.1%、子どもの貧困率が16.3%に上昇

10月1日(水) 「なぜ路上生活やネットカフェ生活から抜け出せないのか〜東京を修繕しよう! つくろい東京ファンドの挑戦〜」(予約優先)

講演・イベント告知

http://www.ohdake-foundation.org/index.php?option=com_flexicontent&view=items&id=264:event-20141001

「なぜ路上生活やネットカフェ生活から抜け出せないのか
 〜東京を修繕しよう! つくろい東京ファンドの挑戦〜」

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「行政がホームレス対策を進めているはずなのに、なぜまだ路上生活をしている人がたくさんいるのか?」「ネットカフェなどで暮らすワーキングプアはなぜそこから抜け出せないのか?」

生活保護を受ける人から生活保護費の大半を支払わせて相部屋の施設に押し込む「貧困ビジネス」が問題となり、「生活保護を受けたいが個室で住める所がない」という相談が増えた。しかし都内には生活困窮者を受け入れる施設が100近くあっても、個室の施設は少なく、相部屋生活になじめずに路上に戻ってしまうケースが目につくようになった。

きちんとした居住環境を提供することが支援の第一歩につながる。安心して過ごせる一時的な受け入れ施設として、すぐに入居できる個室シェルターをつくろう。稲葉さんたちは【つくろい東京ファンド】を立ち上げ、第一弾企画は、都内にあるビルを改装し、住まいのない生活困窮者のための個室シェルタープロジェクトがはじまった。住まいのない人たちが抱える様々な問題と支援のあり方、シェルターの準備から現在の状況、そして今後の展開についてお話をお聞きします。

 

日 時: 2014年10月1日(水) 19:00〜21:00/開場18:30〜
講 師: 稲葉剛さん/(社)つくろい東京ファンド代表理事
会 場: 大竹財団会議室
     東京都中央区京橋1-1-5セントラルビル11階
交 通: JR東京駅八重洲中央口徒歩4分(八重洲地下街24番出口すぐ)
 東京メトロ京橋駅7出口徒歩3分
 東京メトロ日本橋駅B3出口徒歩4分

参加費: 一般=500円(学生、大竹財団会員=無料)
定 員: 30名(定員を超える場合は予約を優先します)

 予約申し込みフォーム

主 催: 一般財団法人大竹財団

【講師プロフィール/稲葉剛さん】
1969年広島市生まれ。被爆2世。つくろい東京ファンド代表理事。自立生活サポートセンター・もやい理事。大学在学中から平和運動、外国人労働者支援活動に関わり、1994年より東京・新宿を中心に路上生活者支援活動に取り組む。2001年、路上生活者を支援する「自立生活サポートセンター・もやい」を湯浅誠氏らと設立し、理事長として生活困窮者の相談・支援活動にあたる。今年7月、もやいの理事長を退任し、前後して新団体「つくろい東京ファンド」を設立した。著書に『生活保護から考える』(岩波書店)、『ハウジングプア』(山吹書店)等。

<お問い合わせ>
大竹財団事務局 Tel 03-3272-3900
http://ohdake-foundation.org

*関連記事:あわやハウス開設 初利用者の声

*関連記事:つくろい東京ファンドの個室シェルターが報道されました

【2014年9月1日】 下野新聞:子どもと貧困 関連法改正の問題指摘 NPO理事が講演

メディア掲載

9月1日付け下野新聞に宇都宮でおこなった講演についての記事が掲載されました。

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20140901/1704307

子どもと貧困 関連法改正の問題指摘 宇都宮 NPO理事が講演

改正生活保護法と生活困窮者自立支援法について考える学習会が31日、宇都宮市中戸祭町の県労働者福祉センターで開かれた。東京都新宿区のNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の稲葉剛理事が講演。「(改正生活保護法で)扶養義務者への圧力強化は、子どもの貧困対策推進法の理念にも反する」などと2法に関する問題点を指摘。よりよいセーフティーネットの在り方を訴えた。

反貧困ネットワーク栃木主催。7月施行の改正生活保護法で、福祉事務所が扶養義務のある親族に対し、扶養できない理由の報告を求められるようになった。

稲葉理事は「問題の解決を社会でなく親族間でしなさいという風にみえる」とする。子どもの貧困対策推進法は、子どもの将来が生まれ育った環境に左右されない社会の実現を目指すが、「子どもが学習支援などを受け進学し、世帯分離しても親への扶養義務を果たせと言われ続ける。何のための支援か分からなくなる」と疑問を投げ掛けた。

また、来年4月施行の生活困窮者自立支援法では「窓口の『自立相談支援事業』が(実質的に生活保護が受給しづらくなる)新たな水際作戦の場にならないよう注視する必要がある」などと指摘した。

*関連記事:激化する「水際作戦」で排除される数百万人

NPO法人もやいが認定NPO法人になりました

日々のできごと

私が理事を務めるNPO法人自立生活サポートセンター・もやいは、本日9月1日から、認定NPO法人になりました。20140901162456_nintei

2013年7月10日に、認定NPO法人の申請を東京都に行い、1年2ヶ月を経て、通知をいただきました。
この間に理事長が私から大西連に代わりましたが、無事に認定されて、私も安心しています。
本日、新理事長の大西連(写真左)と事務局長の小幡邦暁(写真右)が都庁に行って、認定の証書を受け取ってきました。

認定NPO法人とは、NPO法人のうち、運営組織・事業活動が適正であること、公益の増進に資すること等、一定の要件を満たすものとして、各自治体から認定を受けたものをいいます。

この認定により、皆様、お寄せいただくサポーター会費・寄付金などは、確定申告をすることにより、寄付金控除の対象になります。
今後も、認定NPO法人制度の趣旨に基づいて、運営していくとともに、ますますの向上・発展に努めます。

毎度のお願いになりますが、今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。

●認定NPO法人もやいへご寄付頂ける方はこちらからhttp://www.npomoyai.or.jp/deduction

関連記事:もやい理事長交代記念 対談×大西連(前編)

もやい理事長交代記念 対談×大西連(後編)

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